マウスコンピュータ 「MADOSA Q501A」日本初のWindows Phone 8.1搭載スマートフォンとなった「MADOSA Q501」のOSアップグレードによるWindows 10 Mobile搭載モデル。

Windows 10 Mobile搭載機、続々登場 ~本格普及のチャンスを掴めるのか~後編

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by [2015年12月09日]

前編では、続々と登場したWindows 10 Mobile搭載機を見てきました。後編では、Windows 10 Mobileのもたらすものを考えてみたいと思います。

Windows 10 Mobileのもたらすもの

さて、今回短期間に立て続けに発売が開始されたWindows 10 Mobile搭載機ですが、このOSがもたらすメリットとは一体何なのでしょうか。

「Office Mobile」と「OneDrive」

Microsoft モバイル機器向けOfficeページご覧の通り、Office MobileはAndroid・iOS・Windows Phone(Windows Mobile)・Windowsの各OSが動作するモバイル機器に対応する

Microsoft モバイル機器向けOfficeページ
ご覧の通り、Office MobileはAndroid・iOS・Windows Phone(Windows Mobile)・Windowsの各OSが動作するモバイル機器に対応する

Windows 10 Mobileを使用することによるメリットで最大のもの、恐らくそれはMicrosoftアカウントによって紐付けられた、(Windows 10 Mobileに標準搭載の)オンラインストレージサービスである「OneDrive」と機能限定版「Microsoft Office」である「Office Mobile」の連携による文書の同期機能ではないでしょうか。

もちろん、スマートフォン側で十分な編集作業を行うためには、また作成した文書を商用利用するためには、「MADOSA Q501AO」のように「Microsoft Office 365」のサブスクリプション権を購入して「Office Mobile」の機能制限を解除する必要がありますが、自室などに置かれたWindowsパソコンとスマートフォンで同じ1つのファイルを同様に取り扱えるこの機能がもたらす恩恵は絶大です。

これこそはパソコン版Windowsとモバイル機器向けWindowsの仕様共通化や同期機能が進化した成果というべきもので、パソコンの「Office」で作成した文書がスマートフォンで当たり前に閲覧・編集でき、しかも元の文書ファイルにそのまま反映させられるというのは、時代が大きく変わったことを痛感させられる部分です。

この「Office Mobile」は今回の3社が揃って各端末に標準搭載としてビジネス対応を訴求するなど強力なセールスポイントとして扱っており、特にビジネスユーザーを重視するマウスコンピュータは先にも触れたように「MADOSA Q501AO」として「Microsoft Office 365」の1年間サブスクリプション権を付属させたモデルまで用意するほどの熱の入れようです。

このあたりの対応を見ると、今更ながらに「Microsoft Office」のブランド力の高さと普及ぶり、あるいはそれぞれのファイル保存形式でのファイル流通の多さを思い知らされます。

とはいえ、この「Office Mobile」はWindows 10 Mobileだけではなく、ライバルであるiOSやAndroid向けにも提供されており、またオンラインストレージサービスである「OneDrive」も同様の状況ですから、その意味ではこれはキラーアプリと言うにはやや弱いと言わざるを得ません。

ただ、他のOS向け「Office Mobile」の場合、「OneDrive」がOSに密接にリンクしていないためか、それともそれぞれのOSに独自のオンラインストレージサービスが提供されていて競合するためか、上手く機能しない(※注)ことがあります。

 ※注:筆者がiPhone 6 Plusで試した範囲ではファイルのタイムスタンプ管理やファイルの変更点の反映・更新が上手く行っていない印象で、時々ある時点のファイルを別ファイル名で保存してしまい、バージョン管理が煩雑になることがあります。

Windows搭載のデスクトップパソコンとWindows搭載のノートパソコンで同じことをした場合、少なくとも筆者の場合はこのような状況には陥っていませんから、異なったOSファミリー上で動作する「OneDrive」には何かしら問題があると考えて良さそうです。

そうした問題が起きない/起きにくいというだけでも、特に仕事で使うのであればWindows 10 Mobile+「Office Mobile」の組み合わせには大きな価値があります。

ユニバーサル Windows プラットフォーム(UWP)アプリ

さて、現状では大きなメリットとして挙げられることは少ないのですが、Windows 10 Mobileではユニバーサル Windows プラットフォーム(UWP)アプリと呼ばれる新しいタイプのアプリが利用できるようになっています。

これは「ユニバーサル」という名称が示すとおり、これまでパソコン用とスマートフォン用で分かれていたWindowsストアアプリを統合し、両環境で共通利用できるようにするための仕組みを導入したものです。

これにより、Windows 10 Mobileでは従来別途存在したWindows Phoneストアではなく、デスクトップパソコン向けWindowsストアでアプリを配信・販売するようになりました。

Windows 8.xでの失敗から、Windowsストア(およびWindowsストアアプリ)は鳴かず飛ばずな状況が続いてきたのですが、こうして統合されたため、今後はストアへ登録されているアプリの揃いも、もう少し良くなることが期待されます。

もっとも、現状ではストアに登録されているアプリは古いWindows Phone 8.1までに対応のものや、Windowsストアアプリでもユニバーサル Windows プラットフォーム(UWP)アプリとなっていないものなど、結構混乱した状況となっています。

この状況の改善には今後、アプリ側でのきちんとしたユニバーサル化をアプリ開発者に地道に促してゆく他ないのですが、まだまだ先は長そうです。

結局はOffice頼みにならざるを得ないのか

以上、先日発売が開始されたばかりのWindows 10 Mobile搭載端末をご紹介してきましたが、結局の所キラーアプリと呼べそうなアプリが存在しない状況で、Windowsストア以外にアプリ入手の手段が提供されていない以上、それらの拡充が急務であると言えます。

思い返してみると、かつてのWindows CEなどでも、Officeそのものは提供されなかったものの何らかの形でOfficeのファイルが扱えることがセールスポイントとなっていて、それ専用のような使い方になりがちでした。このあたりの事情を考えると、モバイル機器向けWindows搭載マシンの使われ方は、本質的にはその頃から何も変わっていないのかも知れません。

そもそも、デスクトップパソコン向けWindowsでも結局はOfficeが動作する/プリインストールされていることがセールストークとなってきた歴史がありますから、この体質を変革するのは大変そうです。

Windows 10 Mobileが本当に本格的な普及を果たすには、こうしたOfficeに全面依存の体質から抜け出して、Officeだけに頼らない独自性の強いストアアプリの揃いが充実するようになる必要があるといえます。

やはりハイエンドモデルが無いのは厳しい

以上、2015年11月末に相次いで発売されたWindows 10 Mobile搭載スマートフォン各機種を中心にみてきました。

いずれも一長一短で微妙な差が目立ちます。

性能的に似たり寄ったりの機種しかない、というのは筆者個人としてはいかにも面白みが欠けて見えます。

Microsoft指定のリファレンス設計の関係で自由度が低く独自色を出すのが難しかったのはわかるのですが、やはりより高性能なプロセッサを搭載する本当の意味でのハイエンドモデルを出してくれないことには、Windows 10 Mobileの真価は評価し得ない気がします。

Lumia 950XL/950対応のディスプレイドック紹介ページ「Windows Continuum」に対応するこの専用ドックを使用して外部ディスプレイに接続すると、「Office Mobile」などの対応アプリでは画面に対する表示モードが切り替わり、パソコン上で通常のOfficeを使用する時に近い操作感が得られるような画面構成に切り替わるようになっている

Lumia 950XL/950対応のディスプレイドック紹介ページ
「Windows Continuum」に対応するこの専用ドックを使用して外部ディスプレイに接続すると、「Office Mobile」などの対応アプリでは画面に対する表示モードが切り替わり、パソコン上で通常のOfficeを使用する時に近い操作感が得られるような画面構成に切り替わるようになっている

そもそも、MicrosoftがWindows 10 Mobileの目玉機能の1つとして新たに開発した「Windows Continuum」と称する使用環境・接続される周辺機器に合わせてWindows 10 Mobile側のインターフェイスを動的に可変させる仕組み、例えば「Office Mobile」利用時に外部ディスプレイ接続対応のドックが接続されたときにはその外部ディスプレイに対して通常のパソコン版Officeと同様のウィンドウ表示でそれらのアプリが動作するという機能は、現状ではどのような事情によるものか、ハイエンドのSnapdragon 810クラスのプロセッサを搭載した端末でしか動作しません。

つまり現在日本で発売されている3社のSnapdragon 410あるいはそれ以下のプロセッサを搭載するWindows 10 Mobile端末では、この新機能は全くサポートされず使えないのです。

まぁ、この機能についてはNokiaでもハイエンドのLumia 950XL/950クラスでしかサポートされていないのですが、日本国外では例え少数の機種であってもこの機能をサポートした端末が市販されて利用できるようになっているのに、国内では全く使えるようになる目処すら立っていないというのは、なんとも残念な気がします。

やはり、新製品のセールストークになるようなOSの目玉新機能は使えてなんぼのものですし、それがOfficeの使い勝手改善につながるのであれば、日本でもきっと大きな反響が得られるのではないでしょうか。

そのため、今回Windows 10 Mobile搭載スマートフォンの発売にこぎ着けた3社、あるいは今後新規参入を検討中の各社には、是非この「Windows Continuum」機能をサポートできる高性能プロセッサ搭載ハイエンド端末を出すよう努力していただきたいと思います。

▼参考リンク
モバイル向け Office – iPad、iPhone、Windows Phone、Android 携帯
マルチデバイス – マイクロソフト
Windowsの明日はどっちだ? ~RT・Phoneとx86/x64版統合へ~|APPREVIEW

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