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2013年、日本がWebの大舵を切る!モバイル HTML5 による世界への挑戦<デブサミ2013>

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by [2013年2月15日]

2月15日、東京目黒雅叙園にてDevelopers Summit 2013が開催されました。
今回は、「モバイル HTML5 による世界への挑戦」と題された紀平拓男氏による公演の模様をレポートします。

紀平氏プロフィール

自身が設立した会社で、HTML5でFlashを再生する「exGame」を開発。現在、DeNAでHTML5を総括されています。「『インストール』が大嫌い」とのことですが、「インストール」を伴わないウェブアプリの可能性についても今回の公演で触れています。

過去

WEBを取り巻く過去について。

1995年 アプリ全盛期

当時、コンピュータを使うことはアプリを使う、という時代であった。Windows95の登場により、インターネットへの接続機能が標準装備となった。ただしネット回線はナローバンドであり、当時、ネット経由でのアプリをダウンロードする用途が活発であった。
開発環境もアプリ一色であり、ネットを使ったサービスはごく限られたものであった。

ブロードバンド元年

ADSLの登場によりネット回線の品質が向上する。Yahoo BBが登場したのもこの年。また、ブラウザも相次いでリリースされる。同氏がJavascriptに目覚めたのもこの年という。
これら状況に伴い、開発環境ではJava系の技術に注目が集まり、PHP4もリリースされる。AmazonといったWebをベースにしたサービスも台頭してくる。このタイミングでネットへの常時接続が主流となってくるが、Webサービスはリクエストに対してレスポンスを返すという「ページ遷移型」が一般であった。

2004年 rich internet applicationの登場

AJAXアプリの台頭。AJAXによって、Google Mapsはそれまでのようにページ遷移型ではなく、シームレスに次々に地図を読み込むことができるようになる。アプリと同様のUIを持つWebサービスが登場する。
さらに高速なネット回線が主流となってくる。
Web 2.0、マッシュアップといった明確な定義が無いまま持て囃される、いわばバズワード元年であった。ただし、これらは当時の夢を語る時代であったことの裏返しであって必ずしも悪いことでは無かった。
Facebook、Twitterといった、それまでのサービスとは一線を画すリッチWebサービス企業が登場する。同時にそれらのリッチな表現やサービスを可能にするJavascriptへの関心が高まる。それまで、Javascriptはサイトの表層に装飾等を施す程度の認識でしかなかった。

2008年 スマートフォン元年

この年、世界的にiPhone 3Gが発売される。同年、APPLEとGoogleによるアプリストアが開設。2010年、HTML5へも実用レベルで対応が図られる。

過去のまとめ

1995年:アプリ全盛期

2001年:常時インターネットの普及

2004年:リッチWebアプリの登場(アプリとの差が縮まる)

2008年:スマートフォン登場

過去を振り返ったのは、歴史は繰り返すためで、今、同じ流れがモバイルでも起きている

現在

モバイルを取り巻く現在。

Flash Playerの攻防

スティーブ・ジョブズの発言に象徴されるように、スマートフォンのFlash離れが進んでいく。ただし、当時の日本におけるコンテンツの多くはFlash Liteであり、スマートフォンのシェアが今後増えていくという確定事項は、コンテンツ資産が無駄になる可能性を示唆していた。
そこで同氏はiPhoneのSafariブラウザ上でFlash Liteを走らせるJavascript製Flashプレーヤー「ExGame」を開発する。

左:Flash Player、右:ExGame。Flash Playerと同じように再生されるデモ

FacebookのHTML5離れ。

昨年2012年と今年2013年は大きな違いが生じている。マーク・ザッカーバーグの発言によって、アメリカではHTML5離れが進んでいる。ただし、日本の技術者の中での認識は、単に強力なプレーヤーが抜けただけで、むしろありがたいとも。それほど衝撃はなかった。

現在、HTML5には、速度、音楽、3Dの課題がある。それ以外にも下記の互換性問題がある。

残されたHTML5の課題:互換性

Android端末間の互換性が絶望的である。理由は端末各社がベンチマークで有利に働くよう、それぞれにブラウザをカスタマイズしているため。また、CSS3、Canvasでも課題が山積している

極端なバグとして下記ツイートが披露された。

日本のモバイルHTML5状況

ExGame等ミドルウェア展開が充実してる。別言語からJavaScriptに展開され実行されるJSXなど、オープンソースによる貢献も大きい。

結果的には、日本のHTML5はアメリカよりも進んでいる。過去の状況と比べると

  • アメリカ:アプリ全盛期(1998年)
  • 日本:Webサービスの登場(2001年)
  • に近い。だけでなく、かなり近い将来、次のフェーズであるリッチWebアプリがモバイルでも台頭してくる

    将来

    2001年レベルから、2004年レベルへ

    2004年に起きたアプリと変わらないUIをもつWebアプリがモバイルでも登場してくる。かなり近い未来である。

    アメリカのGoogle Playゲームランキング1~3位をしめる3つのゲームのうち、2位のBlood BrothersはHTML5とJavascriptで動作するngCoreのエンジンを積んだゲームである。

    多少重たいが問題なく動作するデモが演じられる

    Webならでは

    ネイティブアプリには速度の面では絶対にかなわない。Webアプリを利用するメリットは「インストールが不要」であることである。今後はアプリの性能を追い求めるのではなく、Webならではの可能性を追求することが大事である。

    共有においてもWebのURLは優れた技術である。例としてゲームで考えると、共有の場面では、スクリーンショットをFacebookやTwitterでポストするのがアプリ製ゲームの限界である。これではスル―されるであろう。ただしHTMLベースでゲームを作成した場合、URLで共有が可能になる。FacebookやTwitterクライアントアプリの中に表示されたURLを叩くことで、そのままブラウザが立ちあがり、ゲームに参加することができる。高い口コミ効果やバイラルが期待できる

    JavaScriptを捨てる日

    ExGameのようにJavaScriptでアプリ然とした挙動を実現することは可能だが、今後、JavaScritすら不要になるタイミングがくる。PNaClといったネイティブコードをブラウザ上で走らせる技術や、JSXがそれを後押しするであろう。

    日本はモバイルHTML5最先端の国である

    多くのWeb技術の先端国であるアメリカと比べてもHTML5に関しては日本の方が先を行っている。先端を走るということは、これまでのように既に定められた枠組みの中ではなく、想像力次第で未来を描いて行ける世界である。

    以上、紀平氏の公演でした。

    近年、Webアプリへの機運は高まるばかり。AppAnnieのこの記事でも日本がHTML5で世界に先駆けた存在であると分析しています。
    HTMLをベースとしたWebアプリが完成するということは、APPLEやGoogleから解放され、第3、第4のエコシステムやプラットフォームが産まれていくる事を意味します。今この瞬間、その急先鋒に存在するのが日本であり、これまでとは全く異なる新しい地平が拡がっていることを感じざるを得ませんでした。

    2013年、Webは日本によって大きく舵切られようとしています。

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