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<デブサミ2013>Webブラウザの時代は終わるのか?~スマホアプリとHTML5の未来~

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by [2013年2月14日]

2月14日、東京目黒雅叙園でDevelopers Summit 2013が行われました。
今回は、奥一穂氏による公演「Webブラウザの時代は終わるのか?~スマホアプリとHTML5の未来~」の模様をレポートします。

奥氏の経歴

1997年からPalm OS用ブラウザの開発に携わり、サイボウズ・ラボとDeNAに転職後もウェブ関連の業務に携わってきた経歴が紹介。

アジェンダ

  • ウェブが破壊したもの
  • iPhoneの登場とスマホアプリ
    • ウェブvs.アプリ
    • 哲学的な話
    • 市場的な話
    • 技術的な話
  • まとめ

ウェブが破壊したもの

PC-9801とMacカラクラ

2013年から遡ること20年前のPCスペック。PC-9801BX2にはHDDすら搭載されていない

20年前のPCは…

いわばPCは生産ツールとしての定義があった。

NIFTY-Serveの画面

20年前はGUIが台頭する時期であり、APPLEとMicrosoftの裁判のようにGUIが競争力の源泉となっていた。

GUIの概念としての基本操作が示される。

  • シングルクリック:選択
  • ダブルクリック:デフォルトアクション(プログラムの実行など)

ところが、1995年前後に起きたインターネットブームが起きる。ブラウザメーカーが上場、Internet EXplorer 1の誕生などによってブラウザにスポットが当たる
そして、PCはコミュニケーションツールとしての位置づけにウェイトが寄せられ、ブラウザがそのコミュニケーションの基盤ソフトウェアとなる。

ただしウェブブラウザのUIは多くの欠陥を抱えたものであった
OSに依存しておらず、UIが独自のルールと仕様をもっていた。また、ドラッグ&ドロップといったオーソドックスな操作にも対応はしていない。

このような独自仕様を孕みつつもインターネットブームに追い風に乗って、ブラウザの価値は高まる。Microsoftはブラウザを無料バンドルすることや、機能の独自仕様で戦略を図る。

対してGoogleはFirefoxを支援する。オフィス系のシェアを握っていたMicrosoftに対して、Google Appsのようなオフィスソフトをブラウザに組み込むことで対抗を図る。

20年前のPCの進化がたどった道は、インターネットブームに支えられたブラウザによるOSの長所をかき消す流れ。そして、そのようなブラウザの動きに対して、WindowsというOSを開発するMicrosoftは、ブラウザを無料バンドルし独自進化させることで囲い込みを図った。結果的に、ブラウザのユーザビリティは進化せずに、独自仕様という「オレオレUI」を生む結果となってしまった。

このような背景を持ち合わせつつ、産声を上げたのがiPhoneとスマホアプリであった。

Iphoneの登場とスマホアプリ

APPLEは次のような戦略を図った。

  • アプリならではの長所を引き出す
  • アプリマーケットを軸としたエコシステムを構築

ブラウザでもアプリに近しいことは可能である。ただし、結局はブラウザ間の差異を埋めるよりはネイティブコードで、iOSなりAndroid専用アプリを開発した方が簡単である。

それを裏付けるようにObjective-Cの開発者は増加している。(グラフ中の青い線)

ブラウザの次に生まれてきたのがアプリであったが、ではスマホアプリは進化したウェブアプリと言えるのだろうか?

ウェブ vs. アプリ

次のフェーズではウェブとアプリを比較。

まずウェブとはなにか?ウェブの生みの親であるティム・バーナーズ=リーの定義によれば、

  • HTML
  • HTTP
  • URI

である。

さらにティム・バーナーズ=リーはURIがもっとも重要であるとも述べている。

ウェブが成功した鍵は、URIという情報を一意に指すことのできる仕組みである。

ウェブに対して、アプリは「ウェブより優れた」ユーザー体験を提供するが、URIという概念は存在しない。結局のところスマホアプリはウェブにとって代わるものではなく、補完する存在にすぎない

次に市場的な視点からウェブとアプリを比較。

APPLEとGoogleの主力ビジネスはそれぞれiPhoneと広告収益であるが、スマホアプリの収益は補完する存在にすぎない。

APPLE、Google両社ともにiPhoneと広告売上というアプリ以外の売り上げが50%超を占めている

ウェブ市場に占めるアプリ市場の割合も、世界規模で見ても実際にはそれほど大きくない。

全てのウェブサイトがアプリ化するか?というと、そもそもサービスごとにアプリで享受できるメリットは異なるため、あり得ない。またコスト面からもアプリ化に必ずしもメリットがあるとは限らない。

技術的な話

技術的な論点からウェブとアプリを比較。

ウェブと取り巻く環境は進化している。

 

  • Javascript
  • WebGL
  • Web Audio API
  • PNaCl
  • W3C Push API

 

Javascriptは実行速度が1年で2倍に高速化している。Parallel GC、optimizationなど、今後さらに高速化する余地がある。

WebGLやWeb Audio APIによって、描画や音声への表現力も増す。

WebGLによって描画される波紋

PNaClによってネイティブコードがブラウザ上で走るようになる。

W3C Push APIによって、アプリ的なプッシュ通知が実現する。Firefox OSは別方式であるが、実相を既に予定している。

HTMLでアプリ的な表現を実現した例として同氏が携わるngCore on HTML5が紹介された。

Javascriptで動作するゲームアプリが実現する

まとめ

 

  • アプリとウェブは相互補完の関係
  • UIに優れ特化したニーズ向けなアプリ
  • 広汎な用途に応えるウェブ
  • さらにはウェブに不足していた機能が近年急速に実装されつつある

 

以上、奥氏による公演内容でした。
ブラウザ上でのゲームは不可能とさえ言われていましたが、ブラウザ上でのゲーム制御の根幹であるJavascriptの実行スピードの高速化、さらにはWebGL、Web Audio APIといった表現に関わる技術の進歩などにより、今やWebアプリの地平は遥か先まで拡がっているようです。

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