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機微を理解する人工知能とは? 予測不能な事故を防止する『転倒転落予測システム』ベータ版

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by [2016年12月09日]

人工知能を駆使したビッグデータ解析事業を手がけるFRONTEOと、その100%子会社で人工知能を活用した医療データ解析ソリューションを提供するFRONTEOヘルスケアは、NTT東日本関東病院との共同研究により開発を進めているFRONTEO独自開発の人工知能エンジンKIBITを搭載した「転倒転落予測システム」のベータ版が完成したと発表しました。ベータ版とは、システムの仕様や動作・機能が最終版に近い状態で確定し、最終的なテストや評価を行うためのものを指すので、まだ完成とはいかないものの医療現場で実装される日も近そうです。

「KIBIT」とは?
人工知能関連技術のLandscapingと行動情報科学を組み合わせ、FRONTEOが独自開発した日本発の人工知能エンジンです。人間の心の「機微」(KIBI)と、情報量の単位である「ビット」(BIT)を組み合わせ、「人間の機微を理解する人工知能」という意味を持っています。テキストから文章の意味を読み取り、人の暗黙知や感覚を学ぶことで、人に代わって判断や情報の選び方を再現することができるのです。

転倒リスクを高精度で予測

このシステムは、医療における予測困難な有害事象の防止と医師や看護師の負担軽減、病院の安全管理への寄与を目的として2015年2月から開発が進められていました。
開発に当たって実施されたのは、実際に転倒・転落した患者の記録の解析を通じ、電子カルテからどのような患者の記録を捉えると予兆を察知できるかという検証です。この検証の結果、「意識障害」や「自立行動」に関連する患者が発した言葉(主訴)や看護師の所見が有効であると判明しました。そしてこれをKIBITに学習させて解析を行うことで、人工知能が電子カルテ内の自由記述のテキストデータを解析し、入院患者の転倒・転落の予兆を察知、発生件数を減少させるシステムとなったのです。
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今回開発されたシステムは、従来の転倒リスクを評価する国際標準の予測手法「Morse Fall Scale(モース・フォール・スケール)」と比較しても精度が高いことも証明されています。
具体的には、従来の手法では実際に転倒した患者344人のうち195人(57%)を「リスクあり」と判別したのに比べ、「転倒転落予測システム」では、295人(86%)の患者が「リスクあり」と判別されました。これにより、より多くの患者に早い段階で対応することが可能になり、安全管理の効率が上がると考えられます。

一目でわかりやすい

転倒転落予測システムは、必要な情報が見やすいシンプルな画面構成で作られています。
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KIBITの学習成果に基づき、転倒の可能性が高い患者は赤、低い患者は青というように信号機に似た図柄で表示されることで、直感的に状況を把握できます。また、現場の看護師は、自分たちが担当する患者各個人の記録を読まなくても「患者一覧」の表示で、担当患者のリスク状態を見ることができるのです。
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さらに「個人表示」の画面からは、患者がどういった理由でリスクが高いと判定されているかを電子カルテから抽出された表記や時系列での推移を確認することができるため、転倒リスクを的確に軽減できるでしょう。

今後はさらなる検証の他、電子カルテや表示システムとの接続、看護師による使い勝手の検証を進め、今年度中の医療現場での稼働を目指していくということです。
このシステムが導入されれば、病院内の事故も減り、患者の安全がより一層守られていくでしょう。

▼参考リンク
人工知能「KIBIT」|行動情報データ解析のFRONTEO

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