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妊婦健診は超音波からVRへ? 3Dモデル化された胎児から分かること

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by [2016年11月30日]

heron-werner_hs-lg11月27日~12月2日にシカゴで開催される北米放射線学会(RSNA)で、「VRで胎児を3Dモデル化する」という内容が発表されます。これは、共同執筆者の一人であるHeron Werner Jr氏(写真)が「VRの没入的な技術と結びついた胎児の3Dモデルは、胎児の解剖学的特徴の理解を促進したり、教育の目的で使用されたり、両親のために胎児を視覚化するために使われたりするだろう」と述べている通り、様々な面での応用が期待されている技術です。
この学会は、年一回開催されており、発表された内容については会期後に日本各地でセミナーが開催されるそうなので興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか?

VRで胎児と対面

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今回開発された新技術を用いると、MRIや超音波データを胎児のVRモデルに変換することができます。
これにより両親は、VRを通して胎児の様子を見ることが出来るということです。VRの世界に没入することで臨場感を味わうことが出来る上に超音波からわかる胎児の心音を聞くことも可能であり、胎児をより近く感じることが出来るでしょう。
また、胎児モデルが新生児の出産後の姿と非常によく似ているのもこの技術の特長です。呼吸器等の臓器の詳細なども含め、胎児全身の内部構造が忠実に再現されていることから、この技術の徹底ぶりが伺えるのではないでしょうか。つまり、ヘッドセットを装着した状態で頭を動かせば胎児の人体構造を学ぶことが可能であり、教育の場でも十分活用できるのです。

胎児のMRIの結果からVRの3Dモデルを創り出したのは、ブラジルの研究者らでした。
彼らは創作の開始にあたって、順次に積み重ねられたMRIの断片を使用しました。そして医者が胎児のどの部分を3Dで再現するかを選んだ後、それらを分類していきました。
これらの段階を経て最終的に子宮・へその緒・胎盤・胎児を含んだ精密な3Dモデルが作られたのです。
モデル完成後、VR装置がそのモデルを組み込むようにプログラムされ、ヘッドセットを用いて見ることができるようになりました。

応用範囲はもっと広がる…!?

Werner氏が「従来の超音波やMRの映像よりはっきりした胎児の姿を見ることが出来た」という感想を述べられたほど完成度の高いこの技術には、上記以外にも多くの潜在的な応用方法があります。
具体的には、超音波では十分な映像が得られなかった際の胎児の異常を発見する手助けです。
一例としては気道開存性の診断が挙げられます。気道開存性とは気道が開いており何にも塞がれていないことを指しますが、これは胎児の成長には重要な課題です。例えば超音波検診で胎児の気道の近くに異常な塊が存在することがわかった場合、医者が3Dの映像とVRヘッドセットを用いて気道の全長を確かめる、というようにこの技術を用いるのです。これにより明確に異常の様子を確認でき、豊富で正確な情報を基に対策を立てられることでより良い決断が出来るでしょう。
また、VRを通した視覚的情報は、胎児の両親が奇形やその治療の決断を理解する助けにもなります。この技術によって医者と両親の意思疎通が今まで以上に円滑に進み、いち早く胎児の治療が行われることが期待されます。
Werner氏は、「医者は、胎児の内部構造の3Dモデルを有することで自身が取り組んでいる臨床例に没入体験が可能である」「これらの映像により、両親が胎児の成長を追うという新しい経験が可能になることに加え、いくつかの病気についての議論が容易になる」とも言及しています。いずれの面でも、医療従事者にとっても画期的な技術であることは間違いないようです。

研究者らは現在、ブラジル・リオデジャネイロの病院でこの技術を用いているそうです。胎児が出生後に手術が必要な異常をもっていると判明している場合などにも使用されているということで、出生後には迅速で適切な対応がとられることでしょう。来年はもっと広範囲で使用したいとも述べられています。

▼参考リンク
Researchers Generate 3-D Virtual Reality Models of Unborn Babies
北米放射線学会

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