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重要なのは“実在感”SIE秋山氏が語るVR体験を向上させる秘訣とは?

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by [2016年8月31日]

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パシフィコ横浜にてゲーム開発者向けカンファレンス『CEDEC 2016』が開催された。その中でPlaystation VRの発売を10月13日に控えた株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)ソフトウェアビジネス部次長の秋山賢成氏(写真)は『VR 体験向上チャレンジ!:VRの体験を上げるためのテクニックとチャレンジ』と題した講演を行なった。

実在感の維持が絶対条件! VR製作のノウハウ

秋山氏は「まずはじめに、VR製作では最重要項目である実在感をいかにVR内で表現してかつそれを壊さないことを絶対条件として最初に頭に叩き込んでおかなければいけません」と切り出した。この講演はVR製作のノウハウやどのように消費者の体験のレベルを向上させていくかということを焦点に語られていく。

レイテンシーとフレームレートが実在感の質を決める
実在感の基準を満たすには2つの重要な要素がある。
「1つ目はレイテンシー、つまり遅延です。これは例えばコントローラーを握って指示した動作が1秒後に行われたら実在感を壊してしまうことになります。なので、反応良く操作主の期待通りかそれ以上で動作することが実在感を保つために重要になってきます。2つ目はフレームレートです。これも60fps、つまり1秒間に60コマ以上が要求されます。フレームレートが落ちてしまうと使用者が一気に現実に引き戻される感覚になったり、後々変な余韻を感じることに繋がります」
このように、直感的な操作にはレイテンシーの低下と視覚的な現実感を表現するためのフレームレートの向上が必要なのだ。

コンテンツ製作の鍵はパフォーマンスチューニングにあり!
「コンテンツ制作には様々な課題があります。その中で最も重要になってくるのがCPUやGPUの処理最適化のためのパフォーマンスチューニングです。これがないと先ほどのレイテンシーやフレームレートが必要な水準に達しないことになりかねません」
つまりパフォーマンスチューニングとは、レイテンシーやフレームレートの基準をクリアするためにCPUやGPUの負荷を減らしていく作業をいう。

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Playstation VRでは、VRゴーグルのゆがみ補正で丸く切り抜かれてしまう部分の映像を消して負荷を減らす方法や、

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人の視野が中心に寄っていることを活かして、中心の解像度を上げ、その周囲は下げるといった方法でGPUの負担を取り除いている。

VRの体験を向上するためのチャレンジ

次に話はVR体験向上の考察へと移り、秋山氏が「VRの体験向上のための“四天王”」と題する4つを主軸に展開されていった。「その4つとはVR空間を活かした表現、3Dオーディオ、VR UI、VRコンテンツデザインです。そしてこれらを1つ1つ紐解いて改善していくことがVRの体験向上に繋がると考えています」

距離感と実写の利用がVR空間表現の今後の鍵
「当たり前ですがVRになると既存のテレビではできなかった表現ができるようになります。その中でも360度の表現がクローズアップされがちですが、実はVRは距離感の表現が秀逸です。特にCGを使ったVRでは距離感が出しやすく3Dオーディオとの組み合わせ方次第でいかようにも良いコンテンツにできるのではと考えています。ただ実写の動画を使った距離感のうまい表現がまだ生まれていません。実写を使ったコンテンツはCGほど手間が掛からないことと以前の体験を再体験できたり、通常できない体験を味わえるといった魅力があるので、これが今後の課題だと感じています」

VR独自のUIを考える
「次にUIについてです。文字や絵柄が出てくる既存の方法やARのように現実世界にポップアップしてくる方法をVRに採用するのが正しいのか再検討する必要があります。今は、ボイスオーバーと2Dを組み合わせたUIが主流になっています。ただ文字のUIはVR体験下において、時として悪手になりかねない要素でもあるので、現状を越えるVR独自のUIの表現が可能だと思っています。その中で何より大切なのは“気持ちよさ”“直感的”“楽しさとワクワク感”です」

PlayStation VRと3Dオーディオの可能性
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「音に指向性を持たせることができるのが、Playstation VRにも実装されている3Dオーディオです。これによって上下、前後、左右どこから音が出ているのかを感じられるようになります」

“VRでしかできない体験を”カヤックとタッグで挑むコンテンツ開発の最前線
講演の締めくくりには、面白法人カヤックと共同で取り組むコンテンツ開発の現状が紹介された。
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その冒頭、現在できあがっているコンセプト映像が流され、SF的UIの実現をはじめとして、VR空間内でのプロジェクションマッピング、映像のシーンに合わせた空間の変化、風景を変化させる事で時間を飛び越える体験など、実写の映像をVRに活かすための取り組みが示された。

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特に画像2枚目のプロジェクションマッピングをVR空間に入れる取り組みでは「検証段階ではあるものの、VR空間の中に現実のオブジェクトを効果的に取り込むことで表現の幅が飛躍的に大きくなる」と今後の期待を伺わせていた。

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これらの映像について「同じ映像をテレビで見るだけであれば特別なことはありません。それをVRでやるからこそ価値がグッと上がるのです」と語り、さらに、カヤックと共同でVRを使った舞台演出など新しい取り組みが始動していることも示唆された。

最後に「体験の向上ということに立ち返って現状を整理し、VRでしかできないコンテンツということで再検討していくことがコンテンツをより成熟した良いものにしてくれると我々は考えています」と秋山氏は述べ講演は幕を閉じた。

▼参考リンク
ソニー・インタラクティブエンタテインメント
新たなVR体験を提案。ソニー・インタラクティブエンタテインメント×カヤックがPlayStationⓇVR向けコンテンツ制作開始!
PlayStation VR
CEDEC 2016

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