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VRで真価を発揮するGeForce GTX 1080『エヌビディアが実現する究極のヴァーチャルリアリティ』

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by [2016年6月23日]

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先日、東京・秋葉原にてNVIDIAのフラッグシップそして最先端のゲーミンググラフィックスカード『GeForce GTX 1080』を体験するイベント「NVIDIA Ultimate Festa 2016」が開かれた。

その中で、エヌビディア ジャパンの矢戸知得氏(写真)は、「エヌビディアが実現する究極のヴァーチャルリアリティ」と題して、VRを支えるNVIDIAの取り組みを紹介した。

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快適なVR体験 その必須要綱は?

VR(バーチャルリアリティ)は、ヘッドマウントディスプレイをかけるだけで、現実の世界と同じような体験ができるということで非常に注目を集めています。VR技術において重要なのは非常に精密、高精細で、遅延の少ないグラフィックスだけではありません。

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それは、オーディオであったり、バーチャル空間にあるものを感じ取れるかというタッチ技術、そしてVR空間で触れるもの全てがどのように挙動するかを司る物理シミュレーションです。VRでは様々なコンピューティングや計算が要求されるのです。

高負荷なグラフィック処理

一般的なゲームの場合、30コンマ秒間に1920×1080pxのフルHD解像度を描き出します。これを毎秒描き出すピクセル数で換算してみると、およそ0.6億ピクセルといえます。それに対して、VRのHMDに描きださなければいけない画はフルHDに匹敵するような1512×1680px、これが左右両眼あるので画素数的には2倍処理しなくてはなりません。

それに加えて、遅延を徹底的に削減しないといけません。遅延が大きくなってしまうと、顔を動かしてから、実際に描いた先の絵が見えるようになるまでの時間が長くなっていき、後から画がついてきます。これがVR酔いにつながってしまいます。

このため、一般的なVRヘッドセットは最高速度90ヘルツでこのディスプレイを駆動しています。画素数とリフレッシュレートの軽さが相まって、VRが秒間あたりに描かなければならないピクセル数は4.5億となり、一般的なゲームの7倍の負荷がかかることになります。

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VRの音楽事情

ここで、VRの世界でオーディオ部分について、Oculusのチーフサイエンティストが語った有名な言葉があります。

「It’s not addition-it’s a multiplier」(それは足し算ではなく、掛け算だ)

Oculus Riftには、オーディオのヘッドセットが付いており、標準で音も楽しめる作りになっているわけです。なぜなら、彼らはこのVRの世界において、音はグラフィックに掛け合わさるぐらいに重要な要素だと考えているからです。

VR空間の音には、音源をどういう風に再生するか、どこから音を発信するか、空間内で音がどのように伝播させるかという3つの段階があります。
音源の生成に関しては、事前にサンプリングした音源を再生するという手法が採られていて、今のゲームではそれで十分とされています。また、音の方向に関しては、方角から、右耳と左耳にどのくらいの時間差で届くのかというところを求めて、大体のステレオ感を出したり、強弱をつけるといった手法がとられます。

さらに音の伝播に関しては、ゲーム以外にもシネマやオペラハウスにいるときのような音源を再現できるモードもあります。これは実際にオペラハウスの中で音を出した時にどうなるのかを物理シミュレーションしているわけではなく、単純にフィルターをかけて擬似的に再現しているに過ぎません。しかし、全てを物理シミュレートできればとてもリアルな音を出すことが可能です。
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NVIDIAの多種多様な物理エンジン

NVIDIA VRWorks Audioは、それを実現するために開発された新技術です。今まで、VR空間の音は、ポジションと方向だけを考慮に入れていました。しかし、実際には音は周辺の構造物に一部吸収され、一部反射し、最終的に人間の耳に届いて、知覚されるのです。そこで、NVIDIA VRWorks Audioは音をレイトレーシングし、音をシミュレーションすることで、リアルな音を作り出すことに成功しました。

みなさんもご存じのように、光のレイトレーシングは非常に重い処理です。それはオーディオについても同じことで、レイトリバーブと呼ばれるような残響音を再現するには、反射まで計算しなければならないからです。ですが、NVIDIAは今まで行ってきた物理シミュレーションを、GPUの並列処理能力を利用して、オーディオについても行うことで、音のレイトレーシングを可能にしたのです。

音以外にも物理シミュレーションは、VR空間の中で、様々なアプローチをすることが可能です。今まで、NVIDIAは、モノが実際にその場に応じた壊れ方をするかをシミュレーションするDestruction、流体がどのようにふるまうかをシミュレーションするFleX、髪の毛などの非常に複雑な構造物をシミュレーションするHairWorksなどを開発してきました。

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また、広い空間で挙動する煙などを、様々な密度を考慮して効率よく処理するFlowと呼ばれる物理シミュレーションのライブラリもあります。

VRの世界を体験したときに、そこにあるものが実際にあるかのように振舞わないと現実感が損なわれてしまいますので、それを正確に再現する物理シミュレーションは非常に重要です。

NVIDIAの物理エンジンを活用したゲームも

NIDIAは、NVIDIA VR Funhouseという1つのVRゲームを完成させまして、2016年4月にアメリカで発表し、GDCでは皆さんに体験頂きました。VR Funhouseはどういうものなのか実際に映像をご覧ください。

VR Funhouseは、お祭りの屋台をそれぞれのステージに再現した楽しいゲームになっています。髪の毛もリアルに再現され、それを撫でた時の感覚も手に持っているハンドコントローラーを介して、リアルに伝わってきています。

また、グニョグニョしたタコの形をしたようなものや、くっつきやすいものも物理シミュレーションを施して再現しています。しばらく、自分の手でこね回してみると、その感覚が掴めてきて、どのようにうまく投げれば板にくっつくのか、掴めるのかを自分の中で体得できるくらいに、リアルに再現されています。

弓矢においては、弓を張っていくとだんだん強くなる張力を振動で感じられます。また、矢を離したときに、それが滑る感覚も伝わってきます。さらに、陶器が割れるシーンでも、実際にどの方角から、どのくらいの強さでものが当たったかに応じて、壊れ方が変化しています。

VR Funhouseは一般のみなさんにも体験できるように、Steam上で無料公開する予定です。さらに、このゲームはもともとVRWorksのサンプルとして用意されたこともあり、デベロッパーさんには中身を見て、参考にして頂きたいので、オープンソースで公開させて頂きます。デベロッパーさんが自分のゲームの中でも、同じようなことを実現してみたいとお考えならば、VR Funhouseのソースコードを参考にして頂くことはもちろん、VR Funhouseの新しいステージを自分で付け加えることも可能です。

VRWorksは、様々なVRに関わる領域で採用が広がっています。Oculus RiftやHTC Viveといったヘッドセットのメーカーはもちろん、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンでも採用されているので、これらを利用している皆さんであれば、NVIDIAのGPU上で効率よく物理シミュレーションを行うライブラリにアクセスできます。他にもここにあげるような、ゲームやアプリで実際に利用されています。

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GeForce GTX 1080

さて次に紹介するのが、GeForce GTX 1080です。GeForce GTX 1080にはたくさんの驚異的なテクノロジーが搭載されており、グラフィックスの性能を上げるために様々な工夫がされております。そして何よりも、VRを念頭において設計されているといっても過言ではないグラフィックカードでもあります。

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GeForce GTX 1080は単純な性能という点で、今まで最高峰として扱われていたTITAN Xをも凌ぐパフォーマンスとなっています。こちらのグラフでは、左の縦軸が一般ゲームにおいての相対性能の比、横軸がパワーの消費を示していて、GeForce GTX 1080は今までになく高性能かつ省エネだということが、お分かり頂けると思います。しかもVRゲームの場合は、さらに高パフォーマンスが得られます。

VRにおけるプロジェクションの課題

そのお話の前に、ディスプレイ革命ついてご紹介します。今のグラフィックスの技術やレンダリングの技術は、平面ディスプレイに対して、どのように画を表示すればいいかということを念頭に設計されているものです。

しかし、昨今においては、横長のディスプレイから始まり、3面構成のモニターや、さらにそれを1枚で実現してしまうような超横長湾曲モニターなども生まれています。その中でも、革命的なディスプレイと言うと、VRのヘッドセットだと思います。
2面のディスプレイを用意して、目の前にレンズを配置し、非常に広い視野角度を持たせることができます。これを扱うには、もう既存のレンダリングのグラフィックスパイプラインでは限界がきてしまっているのです。

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3DのCGレンダリングを行う際に、最終的に行われるステップとしてプロジェクションがあります。このステップでは、コンピュータ空間の中にジオメトリーを配置して、できあがった3Dワールドを、皆さんの目に表示される2D画面上に投影する処理をします。下の画像のように、1つの点から皆さんの目のあるほうに3Dのオブジェクトがどのように、投影されるか、マッピングされるかということを計算するのです。

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既存のプロジェクション技術では、平面のディスプレイを念頭に設計されているために、1面に対して1面のプロジェクションのみしか、一括ではできないようになっています。このために、VRにおいては非常に効率の悪いレンダリングをせざるを得ないことになってしまっています。

NVIDIAの新技術がプロジェクションを変える?

その問題を解消するためにNVIDIAがGeForce GTX 1080に組み込んだ新しい技術が、Simultaneous multi-projection(SMP)です。今までは複数面のプロジェクションをしようと思うと、全ての面を一からやり直して回数を重ねて行う必要がありました。しかし、SMPでは、最終のプロジェクションのみを一括で複数平面において行う事ができるのです。

それにより、16面に分割したカーブした凹面でさえ、一括でプロジェクションできるようになるため、従来の非効率的なレンダリングを軽減し、解消することができます。今回は、分かりやすい形で説明したいと思い、デモを用意させて頂きました。

こちらは、3Dの世界に配置された様々なジオメトリーが、どのようにディスプレイにプロジェクションされるかを表しています。VRのヘッドセットをこういう風につける場合だと、自分の目の方向に応じてグリグリと位置が変わって、その都度その3D世界がこの2次元の平面にとらえられプロジェクションされる。これが、たえず3Dのアプリ、ゲームにおいては行われていることになります。

VRにおいては、左右の目それぞれに対して、プロジェクションする必要があります。実際には、VRのディスプレイが目から非常に近い距離にありますので、広い視野を得て、それでも焦点を合わせて見られるようにするために、レンズがディスプレイの前に配置されているわけです。

四隅に注目すると、レンズの歪みのために、むりやり画を引き延ばして視野角相当に広げているために、周辺部分にも歪みが生じていることが分かると思います。これを補正するために、事前にこちらの画を補正するワープ処理をする必要があります。今はこういった形で画が描かれていますが、事前に画を歪めることで、レンズを通して見た時に正しい形で知覚されるわけです。

このワープという処理は、レンズがあるために、VRにおいて絶対に必要なステップです。しかしGPUでは、魚眼レンズを通して見たような樽型の画を作り出すことはできないので、より大きな画を一旦描いて、周辺部分を歪めることで樽状の画を作っています。画像の中心部分は、オリジナルの大きな画と同じ解像度をもっていますが、周辺の領域は圧縮されています。

Simultaneous multi-projectionを使えば、こうした手順を踏む必要がなくなります。NVIDIAはLens Matched Shadingで、こういう形のプロジェクションプレーンを用意します。4つ分割してみます。それぞれに角度を持たせて、中央が凹んだような形にしてみます。これによって、最終的に選び出さなければいけない樽型の形で、あらかじめ近づけた画を効率よく使えるのです。

例えば、Oculus Riftの場合ですと、4.2メガピクセルの画を最初に大きな画として用意する必要がありましたが、Lens Matched Shading技術を利用することで、2.8メガピクセルという少ないピクセル数のレンダリングで済むようになります。Simultaneous multi-projectionのLens Matched Shading技術を活用すれば、VRの性能を1.5倍に高めることができるのです。

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実はMaxwellラインにも、SMPの前座となる技術Multi-Resolutionを搭載していました。Maxwell第2世代と呼ばれるGeForce GTX 980には、Multi-Resolution Shadingという技術をサブセットとして導入しており、VRの性能を向上させるという取り組みをしておりました。Multi-Resolution Shadingを導入するだけで得られる性能向上はおよそ1.4倍にも上ります。

VRヘッドセットに特化したSimultaneous multi-projectionとLens Matched Shadingを利用することで、VRアプリ、ゲームのパフォーマンスはおよそ1.5倍向上すると計算され、これらの技術が搭載されたGeForce GTX 1080は、VRコンテンツを運用する場合、GTX 980の2倍の絶対性能と3倍もの電力効率を誇ります。

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NVIDIAは、より真実に近い画をVR空間の中に計算処理を施して再現するかという課題に真剣に取り組んでおり、それを念頭に新しいグラフィックスカード、アーキテクチャーを設計しています。

▼参考リンク
NVIDIA ULTIMATE FESTA 2016
GTX 1080 グラフィックスカード | GeForce – nVIDIA

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