Windows 10へのアップグレード作業中に表示される画面互換性チェックと同様、インストールされているアプリなどが多いほどここでの所要時間が長くなる

Windows 10無償アップグレード終了まで残り2ヶ月半 ~より賢いアップグレードを考える~ 後編

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by [2016年5月19日]

前編では終了まで2ヶ月半を切ったWindows 10への無償アップグレードについて、そのシステム要件やその実施の可否などについて見てきました。後編ではその続きと、アップグレード作業そのものなどについて取り扱います。

交換・追加を検討した方がよいグラフィックスカード

次にグラフィックスカード、つまりGPUのサポートについてはMicrosoft社によって挙げられた要件を満たしていても、チップ開発元の最新ドライバ提供対象から外された機種がここしばらくで増えています(※注9)。これらの機種ではサポート終了までにメーカー各社によって提供された最終更新版ドライバを利用するか、さもなくばMicrosoft社がWindows 10に同梱している、あるいはWindows Updateで提供しているInBoxドライバと呼ばれる標準提供ドライバを利用することになります。この場合、以後に発売されるゲームやアプリへの対応は期待しにくいため、そうした古めのカードを利用している場合はできれば現在も最新ドライバが提供されているより新しい世代のカードに交換した方が無難です。

 ※注9:例えばAMDのRADEON系GPUではRADEON HD5000番台~HD6000番台とHD7750未満のHD7000番台各モデルのドライバサポートが2016年3月1日リリースのRadeon Software Crimson Edition 16.2.1 Betaで実質終了となっており、今後のドライバ更新は期待できなくなっています。また、NVIDIA製品でも既にGeForce 400M/GTX 400シリーズ以降のみが最新版ドライバでのサポート対象となっていて、同社製ユニファイドシェーダ搭載GPUでも古いDirect X 10.1までに対応の機種は2016年4月1日でサポートが切られています。

というのは、最近のWindows対応WebブラウザではGoogleのChromeをはじめGPUアクセラレーション機能によるハードウェアアクセラレーションをWebページ表示時のバックグラウンドでのレンダリング処理などに積極活用するようになってきており、特に3Dグラフィックス機能を利用するゲームで遊ばない場合でも、グラフィックスカードの性能向上の恩恵を受けられる機会が増えてきているためです。

場合によっては、むしろCPUをより高速な機種に変更するよりも同じ予算でより高性能なグラフィックスカードを導入した方が高いトータルパフォーマンスが得られるケースもあるほどで、Windows(およびDirect X)が代を重ねるごとにGPUハードウェアアクセラレーション機能への依存度が高まっていることも踏まえると、Windowsのアップグレードに合わせてグラフィックスカードだけはDirect X 12対応世代の高性能な製品を導入した方がよりよい実パフォーマンスが得られる可能性が高いと言えます。

AMD RADEON HD58702009年にデビューしたDirect X 11対応GPUカード。高いレベルで性能のバランスがとれていてヒット作となったが、現行ミドルレンジモデル並みの性能でしかない

AMD RADEON HD5870
2009年にデビューしたDirect X 11対応GPUカード。高いレベルで性能のバランスがとれていてヒット作となったが、現行ミドルレンジモデル並みの性能でしかない

なお、Windows 7発売直後の時期にパソコンを自分で組み立てて、そのまま使い続けている、といった方の中には、GeForce GTX480やRADEON HD5870など当時のハイエンドグラフィックスカードを大枚叩いて購入、搭載されている方も少なくないと思います。しかし、そうした「2009年~2010年頃のハイエンドグラフィックスカード」は、実は登場から6~7年を経過した今となっては(対応APIなどによる得手不得手はあるものの)おおむね「現行のミドルレンジグラフィックスカード」クラスと同程度かそれ以下の性能となってしまっています。言い替えると、当時6ピンのPCI Express電源コネクタ2本、あるいは8ピンと6ピンの電源コネクタを1本ずつつないで動作させていたグラフィックスカードに匹敵する性能が、6ピンPCI Express電源コネクタ1本をつなげば動作する2万円前後のグラフィックスカードで実現できてしまっているのです。

これはつまり、それだけこの6~7年の間のグラフィックスカードをめぐる技術開発競争が熾烈なものであったということなのですが、ただでさえ電気料金の値上がりが厳しくなっている昨今の状況では、グラフィックカードを最新のものに交換しある程度の期間使用するだけでも電気料金に相応の影響が出る≒グラフィックスカード換装の元が取れるか、さもなくば同じ電気料金でよりよいパフォーマンスが得られる可能性が高い(※注10)ということになります。

 ※注10:同じことはCPUについても言えます。極端な例では性能的には大差ない代わりに消費電力の抑えられた世代の新しいモデルに交換しただけで月あたりの電気料金が5,000円以上安くなったケースすらありました。

また、Windows 7リリース直後の時期の機種と比較すると、現行のグラフィックスカードでは動画再生支援機能の性能が大幅に強化されています。GPUチップのメーカーにもよりますが、H.264やH.265といった新しいCodecでのデコード支援による動画再生時のCPU負荷大幅軽減や動画再生時の発色や階調表現の改善など様々な改良・強化が行われており、当然ながらより新しい機種ほど新しいCodecに対応しています。これらの機能に対応した最新のDVD/Blu-ray再生ソフトを利用する必要はありますが、これはパソコンでDVDやBlu-rayを観るという人にはこれもグラフィックスカードを最新世代へ交換することの無視できないメリットと言えるでしょう。

Windows 7からのアップグレードでは特に慎重な判断が求められる

ここまでをご覧いただけばおわかりいただけるかと思いますが、「Windows 7で動作していたのだからWindows 10でもドライバくらい提供されているだろ」などと甘い考えで安易にアップグレードすると、互換性チェックで問題なしとされ、またアップグレードに成功してもグラフィックス機能がVGA互換モード動作となって画面解像度が低く固定され、音も出ず、つながっていたはずのハードディスクが全部きちんと認識されないなどといったかなり悲惨なことになる可能性があります。歴代どのWindowsでもそうだったのですが、このWindows 10においても「自分が使っている各種デバイスのための対応ドライバがちゃんと供給されていることを確認しないとアップグレードで泣きを見る」ことには変わりはありません。

そして、今回のケースではWindows 7がインストールされているマシンからのアップグレードで特にそうした状況に陥りやすくなっています。

Microsoftが提供している互換性チェックツールなどが行う単純なアプリケーションソフトウェアレベルでの互換性を基準にしたアップグレードの可否判断だけでは、見えない部分に問題が潜んでいる可能性があるのです。

そのため、Windows 10へのアップグレードで得られる利益がいかに大きくとも、それを実現するために必要なハードウェアアップグレードやアップグレードに伴う諸作業のコストがその利益を上回るのならば、あえてWindows 10へのアップグレードを行わない(※注11)という判断も充分あり得ます。

 ※注11:状況によってはWindows 7インストール済みの既存マシンをそのまま維持し、別途Windows 10搭載マシンを購入した方がメリットが大きくなる場合もあります。

もちろん、Windows 10に一度アップグレードしてから1ヶ月以内ならば元のバージョンにダウングレードして戻すことも(条件付きで)可能となっていますので、時間的に余裕のあるときに一度アップグレードして動作状況を確認し、どこに問題があるのかを調べ上げてから元の環境に戻してしまう、というのも1つのやり方ではあるのですが。

いずれにせよ、Windows 7からWindows 10へのアップグレードは他のケースよりも更に慎重な対応・判断が求められ、さらにアップグレード後の各種動作チェックを念入りに行う必要もあることは強調しておきたいと思います。

Windows 10へアップグレードを決めたら

下準備

Windows 10へアップグレードすることを決めた場合、Windows 7とWindows 8.1については手順はそれほど難しくはありません。

Win10UPG_0002

Windows Updateで(Windows 7の場合はサービスパック1の適用が必須ですが)ひたすら最新版へのアップデートを行えば、(ライセンス条件が満たされていれば)やがてタスクバーに「田」の字状のアイコンが表示されるようになり、これを右クリックすればアップグレードプログラムが呼び出せる(※注12)ためです。

 ※注12:他に、USBメモリやDVD-RなどにあらかじめWindows 10へのアップグレード用ISOファイルを保存し、これを利用する方法もありますが、いささか手順が繁雑になるためここでは省略します。

一方Windows 8の場合は少々事情が違います。まずWindows 8としてWindows Updateで一定の時期のものまで更新を行ってWindows 8.1へのアップデート条件を満たすようにして、その後でWindowsストア経由でアップデータを入手、それを実行しWindows 8.1へアップデート、さらにWindows Updateで最新版まで更新することでようやく(適切なライセンスがある場合は)Windows 10への無償アップグレードの条件が満たされるためです。

そもそもWindows 8のMicrosoft社によるサポートは既に終了しているため、今もWindows 8のままで使用している方は殆どおられないと思いますが、特にWindows 8の場合はこうした手順の相違があることは念頭に置いておく必要があります。

アップグレード実行

タスクバーに表示される「田」の字状のWindowsアイコンをクリックすると表示される「Windows 10を入手する」ウィンドウほとんど「はい」か「後でYes」しかないというある意味えらいことになっている

タスクバーに表示される「田」の字状のWindowsアイコンをクリックすると表示される「Windows 10を入手する」ウィンドウ
ほとんど「はい」か「後でYes」しかないというある意味えらいことになっている

Windows 10へのアップグレード作業そのものは至って簡単です。

先に触れたようにタスクバーに表示されている「田」の字状のアイコンをクリックして「Windows 10を入手する」ウィンドウを表示し、都合に合わせて「今すぐアップグレード」あるいは「今夜アップグレード」をクリック(※注13)すれば、後は互換性チェックを経て必要なファイルのダウンロードが開始され、ほぼ自動的にアップグレード作業が進行します。

 ※注13:アップグレードしたくない方がこのウィンドウを開いてしまった場合は、これを閉じるには右上のクローズボタン(×のボタン)を押さねばならず、これら2つのボタンを押してはいけません。なお、「今夜アップグレード」の右には「時刻を指定」という表示があり、ここをクリックすればアップグレードの開始時刻を指定できます。なお、このあたりのアップグレード関連プログラムの挙動については随時更新・変更が続いていて、次第にWindows Updateへこの機能を統合する傾向が強まっているため、ここで記した手順通りに行えない場合があります。ご注意ください。

ただ、自動的に作業が進行すると言ってもトラブルが皆無ではないため、できればシステムディスクのバックアップを取っておいた方がよろしいでしょう。

Windows 10のアップグレードに必要なファイルはWindows Updateの機能を用いてダウンロードされる

Windows 10のアップグレードに必要なファイルはWindows Updateの機能を用いてダウンロードされる

Windows 10のダウンロードファイルサイズは環境にもよりますが概ね3GB弱といったところで、当然ながらダウンロード終了までの所要時間はそのマシンが接続されている回線速度に依存します。

ダウンロードが完了し準備が終わると、「それではアップグレードを開始します」というダイアログが表示され、インストール時におなじみのマイクロソフトソフトウェアライセンス条項とその同意の有無が問われます。

Windows 10へのアップグレード作業中に表示される画面互換性チェックと同様、インストールされているアプリなどが多いほどここでの所要時間が長くなる

Windows 10へのアップグレード作業中に表示される画面
互換性チェックと同様、インストールされているアプリなどが多いほどここでの所要時間が長くなる

ここで「同意する(A)」をクリックしてしばらくすると「Windowsアップグレードをインストールできます」という表示が現れ、ここで「今すぐアップグレードを開始」をクリックすれば後は全自動、再起動を何度か繰り返した後でWindows 10へのログインに伴うユーザー名・パスワードの入力が求められる画面が表示されるまでユーザーがなすべき事は何もありません(この間はアップグレード中のパソコンの電源を決して抜いたり切ったりしないように)。

なお、Windows 10へのアップグレード後には「設定」→「更新とセキュリティ」にあるWindows Updateを開いてWindows 10の最新版アップデートを行っておいた方が良いでしょう。

いつかはWindows 10へのアップグレードが避けて通れなくなる

以上、Windows 10へのアップグレードについて色々見てきましたが、結局の所Windows(およびその対応アプリケーションソフトウェア)を利用し続ける限りは、いずれかの時点でWindows 10へのアップグレードが必要になります。

Windowsにはサポート期間が定められていて、それが終了した後はセキュリティ対策のアップデートプログラムなどが提供されなくなるためです。

具体的にはWindows 7で2020年1月14日、Windows 8.1で2023年1月10日に延長サポートが終了することが告知されています。

ちなみにWindows 10については記事執筆時点で2025年10月14日をもって延長サポート終了と告知されているのですが、実はこの告知には「2015年7月リリース」という但し書きが対象エディションの欄に追加されていて、今後Windows 10で予定されている大規模アップデートが実施された際には、それに合わせてサポート終了時期が変更される可能性があることが示されています。

つまり、Windows 10は大規模アップデートが継続的に行われる限り、その間はサポート期間の延長が繰り返される可能性が高いということになります。

これはあくまで予定は未定という話になるのですが、Windows 10のサポート期間についてはこれまでのルールが適用出来ない可能性があることは念頭に置いておく必要があるでしょう。

言い替えれば、Windows 10へアップグレードを行っておけば、後はハードウェア性能が限界に達するまで相当長い期間にわたってOSのメジャーバージョンアップが必要なくなる可能性があるのです。

なお、Windows 10への無償アップグレード期間終了後、Windows 10 Homeへのアップグレードで119ドル(約13,000円前後)の費用がかかるようになることが予告されています。

ここまで何度も書いてきたように、特にWindows 7からのアップグレードの場合は様々な条件が絡み合うため今すぐ無条件にWindows 10へアップグレードすべきだとはとても言えないケースがあるのですが、それでもここまでの約9ヶ月の間にWindows 10は総体としてかなり「使える」ようになってきています。

そのため、これからアップグレードの可否を判断される方は、「その時」になって後悔することのないよう、これからの約2.5ヶ月の間に慎重に判断を行ってください。

▼参考リンク
Windows 10 アップグレードガイド TOP – Microsoft atLife
Windows 10 の仕様とシステム要件 – マイクロソフト
Windows 10(Windows 10メディア作成ツールダウンロードページ)

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