株式会社エウレカ取締役CSO 中村裕一氏

恋活&婚活の今がわかる!日本におけるデーティングサービスの社会性とは【Japan Dating Summit】

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by [2016年4月15日]

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2016年4月6日に開催されたJapan Dating Summitより、『pairs』『ゼクシィ恋結び』『Omiai』『タップル誕生』『youbride』それぞれの事業責任者5人によるトークセッション「日本におけるデーティングサービスの社会性」をお届けします。※本文中は、登壇者の敬称は略させて頂きます。

モデレーター 株式会社Diverse取締役 小久保知洋氏

モデレーター 株式会社Diverse取締役 小久保知洋氏

───私は、ミクシィ100%子会社のDiverseで『youbride』という婚活のサービスを行っております。私がモデレーターを任された理由としては、私は2007年くらいからこの事業に携わっておりまして、この中では日本のデーティングサービスの歴史を一番知っているだろうということで、中村さんから無茶振りをされました(笑)よろしくお願いします。
まず日本のデーティングサービスの歴史を知りたいので、それぞれのサービス開始のきっかけをみなさんに聞いてみたいと思います。歴史の順番からいって、一番最初が『Omiai』さんです。

株式会社ネットマーケティング メディア事業本部長 柿田明彦氏

株式会社ネットマーケティング メディア事業本部長 柿田明彦氏

柿田 弊社はもともとアフィリエイトというニッチな業界で広告代理店をやっていたのですが、代理店事業なので粗利率がなかなか出ないので、新規事業を立ち上げようという話が2011年の夏くらいにあったんです。そのときに、高粗利事業であればメディア事業というのと、当時いろいろメディア事業はあったんですが、月額でだいたい300円~500円が主流だったんです。その中でLTV(顧客生涯価値)が一番獲れるジャンルがどこか考えたとき、ライフイベントに近いサービスは割とLTVが獲れるかなと参入を決めました。あと、2011年はちょうど『スマホ』『Facebook』が来ている時期で、まず『Facebook』であれば必ず顔写真が取れるのでマッチングサービスの信用性がすごく高いのと、スマホでどこでもマッチングしてメッセージができるところ、この両軸があればLTVの高いメディア事業であるオンラインデーティングに進出できるのかなというのがきっかけです。

───実は私、一番最初にサービスを開発される時にネットマーケティング社長の宮本さんから、課金の仕組みは女性無料にした方がいいのかという相談を受けていて、それが今やこんなに大きくなってですね。『Facebook』のマッチングは今やもう何社あるのかわからないんですが『Omiai』さんは完全に先駆けで、その辺の追随劇をどのようにお考えですか。

柿田 僕らが始めたときも本当に他にはなくて、逆に追随してくれている会社がたくさん出てきてくれたことはすごくうれしく思っています。一人のユーザーが一つのアプリだけを使うわけではないので、おそらく『pairs』さんにも登録されて、『Omiai』にも登録して、ということがあると思うんです。そこで最適な人を見つけていただければ、業界としてはすごくうれしいことですし、まずは敵対視するというよりは、業界全体で、本当にいいサービスなんですよ、ということを言えればいいと思っているので、この状況に対してはすごくウェルカムですね。

───確かに、他の業界だと考えにくいかもしれないんですけど、結構サービスを併用するというのがこのサービスの特徴なので、みんな仲良いですよね。よく飲んだりしてます。ではその次に、中村さん。王者エウレカさん。

株式会社エウレカ取締役CSO 中村裕一氏

株式会社エウレカ取締役CSO 中村裕一氏

中村 もともとエウレカは『pairs』を出し始めた頃はいろんな企業から、それこそリクルートさんから案件をいただいて、受託開発という形でアプリなどを作っていましたが、自社サービスを展開する企業になるために何か新規事業をやらなければいけないとなった時、どのようなビジネス展開をしていきたいかという話になりました。そこで、ライフステージ、ゆりかごから墓場まで、みたいなことをやっていきたい。それこそ結婚とか育児とか出産というものをやっていきたいと。そこで日本になくてアメリカにある市場を考えた時に、その当時からアメリカではオンラインデーティングが当たり前で、どちらかというと日本ではグレーなイメージがあった。そこには課題があるから今は市場がない、それを変えていかないといけない、というところがスタートです。

───今日すごいまじめですね(笑)
次が『タップル誕生』の合田さんなんですが、私からちょっと。合田さんは2011年に『フェイスマッチ』というサービスをされていましたが、いろいろな大人の事情で無くなって、そこからサイバーエージェントの中で新規事業として立ち上げました。サイバーエージェントの新規事業の存続の基準はめちゃくちゃ厳しいと思うんですけど、それをくぐり抜けてここまで成長させた合田さんはすごいなと尊敬していて、そして体もどんどん大きくなっていて…(笑)

株式会社マッチングエージェント代表取締役社長 合田武広氏

株式会社マッチングエージェント代表取締役社長 合田武広氏

合田 一年で20キロ太ったんですけど(笑)2011年頃に『Facebook』連携で「友達の友達をつなぐ」という『フェイスマッチ』をやっていて、当時は無料で『Facebook』連携なんて全然なかったんですよ。なので「儲かんないし、まあ可能性はあるかもしれないけど…」みたいな事業は、サイバーエージェントではスパッと切られちゃうんです。ただ『Omiai』さんと『pairs』さんがどんどん伸びてきて。伸びてきたところに飛び込むというのはサイバーエージェントではすごく大事なんです。そのあとのタイミングで、一度は失敗したものの競合も伸びていたので、じゃあやってみようということで始めたのが『タップル誕生』です。なので僕のサービスだけは『Facebook』連携なしでも使えたり、Tinderといういわゆるフリック形式を使っているとか、なんとしてでもちょっと新しくして、実は若い人を狙っているので変わった感じでやっています。

───各サービスの特徴とか、目指しているところなどはそれぞれちょっと違うと思うんですけど、それはまた後で掘り下げようと思います。そして、満を持して王者の登場です。リクルートさんお願いします。

リクルートマーケティングパートナーズブライダル事業本部執行役員/株式会社リクルートゼクシィなび代表取締役 貝瀬雄一氏

リクルートマーケティングパートナーズブライダル事業本部執行役員/株式会社リクルートゼクシィなび代表取締役 貝瀬雄一氏

貝瀬 業界では一番の新参者で、先輩方にはいつもいろいろ教えていただきながらやっているんですけれども。ゼクシィがこのサービスを始めたきっかけは、婚姻数の減少です。ゼクシィという結婚情報誌は結婚される方が減ってしまうと商売ができなくなってしまうので、単純な発想かもしれませんが、なんとか婚姻数を増やしたいということで。2000年に80万組だった婚姻組数が、現在なんと60万組まで減っていて、これがあと5年くらいで60万組を切るということで、人口構造上そうなるんです。少子化という問題も大きいのですが、もう一つ大きいのが未婚率の上昇です。今、日本の中ですでに男性の5人に1人が生涯未婚、女性も10人に1人。これが2030年には、男性が4人に1人、女性が5人に1人まで伸びていくだろうと。これは何とかしないとまずいと。今までリクルートでは『TwinCue(ツインキュ)』というネットサービスを2年間くらい、言ってみればブランドを変えて細々とやっていたんですけど、ゼクシィというブランドを背負って本気でやらなければならなくなり、我々の場合はすべての領域、ネット、リアルの結婚相談所のサービスやパーティーのサービス、また結婚に近い方と、結婚に向けた恋人探し、この4つのサービスを去年立ち上げまして、現在に至ります。結婚に向けた恋人探し『ゼクシィ恋結び』で今回こちらに参加させていただいております。

───貝瀬さんは、本当に博識なので、この話をするとたぶん二時間くらい(笑)
そして最後に私なのですが、我々のサービスは先ほどもあったようにちょっと歴史が違いまして、実はライブドアが買収してきたサービスで、2000年頃にサービスが開始されてもう16年くらいです。私はずっとライブドアにいまして、始めてみたらものすごく面白くて、どんどんデーティングサービスにのめりこんでいきました。当時はもちろんアプリはないのでウェブのサービスなのですが、実はもう15年も経っているんですけど、結構ずっと横ばいというかあまり変わらなかったんです。それは『yahoo』さんとか『Excite』さんとも同じで。そこからここにいるみなさんがスマホの波に乗ってアプリをいろいろ出してくださったおかげで、市場がすごい活性化して、僕らのサービスも15年目にして150%という見たこともない成長率です。私たちは最近オフラインもやっていまして、婚活パーティーも月に200回くらいやっています。

なぜデーティングサービスなのか

───先ほど中村さんがおっしゃっていたように社会のためにやっていて、それぞれこのマッチングサービスに対する想いがあるのかなと思います。それでは、貝瀬さん、先ほどの続きを。短めに。

貝瀬 『ゼクシィ』が婚姻組数を極力維持していこうとすると、この二年くらいが勝負だったりします。実は結婚する割合が高いのは団塊世代が最後。この2年で職場恋愛とか、学生同士の付き合いで結婚する方が減っています。なぜかというと、晩婚化が進んでいるから。あとはコミュニティの希薄化が起きているからです。だから物理的に結婚を増やそうとしても出会う場がないんです。やはり新しい文化を作らないといけないということで、婚活サービス、恋活サービス全般を世の中一般のサービスにエントリーさせることが大事だと思っています。だからこそ今回『TwinCue(ツインキュ)』ではなく『ゼクシィ』というブランドを介す、それがサービスへの1つの想いだと思います。

───ミスターデーティングサービスの合田さん。

合田 僕はまずデーティングサービスを学生の頃からやっているのですが、ウェブサービスをやるなら人の人生を変えられるようなサービスをやりたいという思いがありまして。人との出会いってすごく人生変わるじゃないですか。僕も実はずっとエンジニアで学生の頃も特にやることもなく生きていたんですけど、Twitterでとある人に出会って、このままじゃだめだな、自分で起業しようと思って、そこで人生180度変わったんです。もしそのウェブサービスがなかったら人生違ったんです。人との出会いって本当にすばらしいなと感動して(デーティングサービスを)作ろうと思いました。
なぜ『タップル誕生』を作ろうと思ったかというと視覚的なところもあるんですけど、やはり若い人たちの意識を変えていきたいなという。加えて、ネットを通じて出会うということは全然悪いことではないのに、なぜか悪いイメージが付いちゃっている。それをアプリとかで払拭して抵抗をなくして、もっともっと人とたくさん出会って、このサービスを使ったら自分の人生が変わったという人を増やしていきたくて、やっている感じです。

───一番初めに『フェイスマッチ』をやっていたと言っていたじゃないですか。あの時すでに、すごい熱量でデーティングサービスがいかにすばらしいかというのをバーで力説されていた気がするんですけど、あの時代にそういうことを言っている若い人って本当に少なくて、この業界にのめりこんでいったのは、何かきっかけがあったんですか? たとえば恋愛に悩んでいたとか?(笑)

合田 ビジネスコンテストがきっかけなんですけど、そこでみんなのニーズを聞いたら、出会いがないという話だったんですよ。そんなことない、みんな『Facebook』で友達たくさんいるじゃん! 出会いはあるじゃん! ただ、その出会いを大切にしていなかったり、身近な人から始まる出会いもあるのに、その身近な人を大切にしていなかったりするじゃん! という話から、『フェイスマッチ』が始まったんですけど… と全然楽しくない話をしてしまいました。

───いや、普通です(笑)

柿田 面白いことを言わなければいけないんですか?(笑)

───いえいえ全然、真面目で大丈夫です。

柿田 あぁ大丈夫ですか。ここちょっとあまり不真面目にやると、あれなんで…
僕だけちょっとみなさんと毛色が違って、おそらくみなさんはサービスの立ち上げから関わってこられた人たちなんです。でも僕自身は『Omiai』が立ち上がって一年弱くらいのときに転職してエンジニアとして入って、CTOというその開発の取りまとめをやって、今はサービスの責任者になっているので。僕自身、なんで『Omiai』を始めたかというと、僕ももう家族がいてやってるんですけど… 結婚されてる方は今回いらっしゃいますか? あっ、じゃあされていない方は今すぐ『Omiai』と検索してみてもらっていいですか?

───あ、全社ね!

柿田 それで僕自身、家族を持って生活するというのがすごく楽しくて、37歳というもうすぐ人生折り返しの時期に転職したんです。そのときに、転職のマッチング会社さんから『Omiai』という最近すごく流行ってるのがあるけどこれ行ってみない? と言われて、見てみたわけですよ。でも当時はこういう文化が全くなかったんで「なんじゃ? こんないかがわしいものを紹介しやがって!」と思って、使ってみたんですよ。すると、まず『Facebook』を使っていたので、既婚者は入れないんですよね。「これ、もしかしてすげー真面目にやってるんじゃないかな?」と思い始めたんです。それで「交際ステータス」を変えちゃったりすると嫁にもバレるんで、ネットマーケティングに連絡してテストアカウントをくださいって言って、貰ってやってみるとすごく良くできているんです。本当に、学校だったり会社にいるような女性の方が普通に登録されていて、それに対して「いいね」とアプローチすると普通に返ってきたりして。僕なんかは家族を持って生活していて、友達でまだ結婚していない人たちもいるんですけど、パートナーを持つということをすごく応援したいと思っていて、合コンをセッティングして友達に彼女を紹介したりしていたんです。これがオンラインで本当にクリーンにできるのかというのを感じて、転職を決めました。実際に入ってみると、本当に思っていた以上にすごく真面目にやっているので、この業界を広めていきたいというのと、あと、社会人になってからは本当に時間がないので出会う機会はすごく少なくなるんですが、少子化対策だけに特化して考えるのではなくて、現代は女性の社会進出だったり、そういう課題もどんどん出てきているわけです。なので、スキマ時間で何かやる、それが人生に対しての転機であるサービス。そういうところに魅力を感じて今も必死に取り組んでいる…というちょっと真面目すぎるお話ですが…

───でも、これは真面目でよかったですね。じゃあ、中村さん。真面目で大丈夫です。

中村 それこそ社会問題をなんとかしたいというのは『ゼクシィ』さんをはじめみなさんほとんど一緒だと思うんですが、もう一つが、文化を変えるということがあって。先ほど合コンの話がありましたが、昔は合コンもそんなに大っぴらにしているものではなかったんですが、今は結構当たり前になっている。一つの出会い方の市場が作られる前に、言葉が作られて、それが一般化されて、当たり前になっていくんだと思って。だからオンラインで出会うということさえも、やはり文化になるんだろうなと思っているし、それが文化になっている国も実際にあると思うと、その楽しさを感じますね。それを余計に感じるのが、自分たちのサービスを使って本当にご結婚された方たちがいて、毎月のように『pairs』を使って結婚できたよ、とか、恋人に出会えました、本当に出会えてよかったです、というようなメールをたくさん頂くんです。そういったときに、本当にこのサービスをやっていてよかったなって思いますし、自分たちももっと頑張らないといけないと感じます。そういう意味でデーティングサービスを頑張っています。

恋活? 婚活? 両方?

───現在ストアにある文言をみると、どのサービスも「恋活・婚活サービス」と書いてあるんですけど、実際、恋愛がしたい「恋活」目的で使う人と、結婚がしたい「婚活」目的で使う人が同じところにいて「あれ?この人結婚する気ないな」みたいなミスマッチも起きたりすると思います。恋活と婚活を両方取りに行くのは無理だと思うところがあって、みなさんがそのどちらを目指しているのか、両方目指しているのか。そのあたり合田さんが一番、違いそうなので聞いてみたいと思います。

合田 私たちのサービスは「恋活」と呼んでいるんですけど、先ほど言っていた通り文化を変えたいというのがすごくありまして、インターネット上で出会うのはすごく良いことだと。そこで、一番文化を変えるのは、若い人たちのマインドだというところに目を付けました。若い人たちが恋人を作るというところからインターネット上でマッチングするっていいねとなって、結婚でも使ってもらうようになるとか。実際『タップル誕生』でも結婚の事例が全然あったりします。そのように文化を作っていきたいという考えから、「恋活」としています。

───『タップル誕生』さんは「婚活」とは言ってないよね。

合田 「恋」を推してますね。青春っぽい感じとか。

───市場が広がって一般的になっていくためには、若い層が普通に使うことで文化を変えることが大切だと、この辺はそういう思いだということですね。

合田 趣味でつながるきっかけを提供するということで、コミュニティ機能なども重視しています。

───中村さんお願いします。

中村 考え方は一緒ですが、うちは両方を語っています。その理由というのは、ターゲットにしたいのもあるんですけど、結局両方大切だよねということ。恋愛して月日が経ってから結婚したいというパターンもあるし、今すぐ結婚したいという人もいていい。それこそ僕たちが言っていることは『pairs』を使うこと、オンラインで出会うことが絶対的に正ではなくて、オフラインで出会うことと並列くらいで考えてもらってほしいという思いが、両方の言葉を使っている背景にあります。

───この中で『pairs』さんは圧倒的にNo.1なのでちょっとくらい叩いてもいいかなと思うんですけど、身の回りで『pairs』を使っていたり、友達レベルで『pairs』使ってることを平気で言うことは本当にすごいことだと思います。でもそういう中で、男性は、なんかチャラいみたいなことを言う人もいるじゃないですか。その中でのミスマッチは制御したりしてるんですか?

中村 制御という意味では何もしていません。ただ、きっかけ作りとしてのコミュニティなどでは、婚活なのか、恋活なのかを分けていたり、プロフィール欄に今すぐ結婚したいのか、まずは会ってみたいだけなのか、などというのも分けていますし、言葉ではそう発信しているだけで実は会ってみたらすぐ結婚するパターンもありますし、そこは結構自由にしているのかな。あとはなんだかんだ言って男性は有料なので、結構男性のほうが真面目な方が多いという話は出てますね。

───会員からそういうクレームは来たことないんですか? 思っていた人と違うんですけど! みたいな。

中村 クレームが来たことはないですけど、こんなこと自分で言うのもなんですが、2ちゃんねるには女性の方が真面目じゃないって書かれていますね(笑)それは無料だからかもしれないし、もしかしたら良い相手が来なかったからなのかもしれないですけど。2ちゃんねる情報なので、本当かどうかはわからないですけど。

───無料はありますよね。やはり、うちも無料で入れるんで僕らはもう完全に恋愛は推していなくて、成婚数を一年に何名という目標を立ててやっているくらいなんですけど、やはり有料会員からすると、「無料会員は邪魔だ」みたいなことはよく言われますね。なんとかしてくれって。
ただ全員課金にしちゃうとやはり入ってこないし、そういう事例もあったりしますね。

中村 ただ、アンケートなどを見ると、払えるって書いている女性も意外といるので、そのあたりは設計次第だったり、今後サービスが当たり前になっていって安全性が問われるようになった時に、動向監視に費用を掛けている会社だから安全なんだというのが認知されると、逆に「無料サービスは危なくて、有料のほうが安心」という方が一般的になっているような気はします。

───僕が個人的に一番聞きたかったのが『Omiai』さんなんですけど、恋活と婚活、どちらを目指されているのかがとても気になります。

柿田 名前が「お見合い」じゃないですか。目指しているところは「恋活」です(会場笑)この会は「デーティング」「ロングタームリレーションシップ」「マリッジ」と大きく分かれると思うんですけど、僕らが目指しているのは「デーティング」の気軽な感じよりは「ロングタームリレーションシップ」で、その中でも「運命のひとに出会う」を目指しています。だから括りでいうと「恋活」のところに入るんですけど、結果的に結婚することもある。『pairs』さんと違ってうちは女性からお金を頂いていたりもするので、これも2ちゃんねる情報ですけど『Omiai』はわりとガチだよね、みたいなのがあって、僕らはそういうところで住み分けていこうかなと。

───最後に貝瀬さん。いろいろなサービスを一気に始められているわけじゃないですか。先ほどお話があったとおり『ゼクシィ』ブランドでやっているということはやはり、結婚につながるというのはあると思うんですが、ただ、やはり結婚に的を絞ると市場が小さくなるし、やはり若い層を取った方が成長率は高いと思うんですけど、リクルートさんの中でのポートフォリオはどうお考えなのでしょうか。

貝瀬 おっしゃるとおりでして、我々のスタンスは完全に「混ぜるな危険」です。なぜ「婚活」と「恋活」は混ぜるとまずいかというと、ご本人が感じている結婚までの距離感の問題です。これは、男性と女性によっても違いますし、特に年齢によっても違います。実は、男性と女性のシングルの方に「結婚したいですか?」と聞くと9割が「結婚したい」と答えるんですよ。しかし「1年以内に結婚したい」と答えるのは、女性はだいたい3割くらい、男性は10人に1人。圧倒的に多くなるのが「いつか結婚したい」。やはり男性の方が夢見がちだという結果がアンケートにも出てきますね。この男女間での距離感の違いと、さらに若ければ若いほどこの傾向はさらに強まります。実際にいつかはみなさん結婚しますし、出会っちゃったらもう半年後に結婚というのも20代でよくあることなんですけど、どうしても距離感が違う人たちが混ざっちゃうと、ちゃんとしたマッチングがし切れない。今感じている距離感に対応するサービスというのが我々の考え方で、結婚に向けた『ゼクシィ縁結び』と恋人を探す『ゼクシィ恋結び』というのを設けています。

監視体制とFacebookの実名で安心安全を

───我々であれば、最近だと『Poiboy』というカジュアルなアプリをはじめ、かなり複数のアプリやオフラインでもサービスをやっているんですけど、今おっしゃったとおり「混ぜるな危険」は私も非常に感じていまして、その分のサービスをポートフォリオとして組んでいきたいです。
次の議題になるのですが、安心安全という話があったので、みなさんの取り組みをお聞きしたいです。日本だと問題が起きたりしたイメージがある中でみなさんがどういう対応をされているかとか、実は全然そんなことないよ、世間が言っているだけだよというのもあるのかなと思いまして。中村さんからいいですか。

中村 婚活と恋活を混ぜている『pairs』ですけれども、すごいいろいろやっています。もちろん出会い系サイト規制法があるので、18歳以上の確認ができなければメッセージはできないようになってます。写真も目視ですし、連絡先交換もできないようにすべて監視してます。あと違反報告機能はどこの企業さんもやられていると思いますが、違反報告が来て目的外利用になってしまっている場合、それこそお金を払ってくださっているお客様であっても、すぐに強制退会というシステムにしていることがポリシーとしてあります。実際に危ないか危なくないかで言うと、そこにお金をかけている企業はそこまで危なくないというのは、僕たち自身も感じていますが、フリーでやっていてそういうところにお金をかけていない企業、ブランドというのはたくさんありまして、AppStoreにアプリが並んでいるときに普通のユーザーさんはそれを区別する術がない。普通のユーザーからするとそういうところで危なく感じることがあるのかなと思います。

───確かにストアにならんでいるものを上から順に落としていったりすると、結構わからないですよね。それを一括りにして、危ないと言われているのが、今の状態。実際に『ミクシィ』さんじゃないですけど『ミクシィ』のコミュニティのオフ会で彼氏とか彼女を作った人がいっぱいいました。でもオフ会で出会うんだったら、僕たちのサービスで出会うほうが身元認証されていて、そのほうが安全なんじゃないかと。それこそ、バーで出会って横でナンパされて結局付き合ったりしてという場合も、付き合う時点では身元承認はされているとは思いますけど、横で喋っている時点よりは全然安全かと感じます。『Omiai』さんは、安心安全という点で何かありますか。

柿田 だいたいサービスが似ているので独自のものは無いかなと思います。でもこういう状況になった理由は二つあると思っていて。昔のガラケー時代のポイントを使ったマッチングサービスがいろいろやらかしてしまったが故に、安心安全というイメージがなくなってしまったんだと思うんです。それは既婚者がめちゃくちゃ使っていたのと、18歳未満がいろいろなトラブルに巻き込まれたというのがあるので、うちとしてはそこを重点的に見ていますね。18歳でも大学一年生の18歳もいれば高校三年生の18歳もいるので、高校三年生の18歳は入れません。あとはもちろん大学生でも使えるんですけど、18、19歳が飲酒・喫煙をしてはいけませんということで、そこは意外とメッセージをチェックしたりしていますね。たとえば男の人が18歳、19歳の人に送った「ちょっと今日、飲みに行かない?」みたいなメッセージには、目ではないんですけど自動でしっかりクローリングして、そういう人を排除していくとか。そういったところでコツコツやっていくというところはありますね。

───「Facebookで安心」残りの2社も謳われているので、あえて『Facebook』には触れずにいってほしいと思うんですけど『タップル誕生』さんの取り組みは非常に気になっています。

合田 『Facebook』認証がないだけで年齢確認処理はしているのでそこは変わりませんし、うちはメッセージに関しては一通一通目視で監視しています。そのチームが専属でいまして、サイバーエージェントでアメブロの監視とかも全部目視でやっていて、そのグループ会社が沖縄にあるんですけど、そこはかなりノウハウがあるので違反だと思ったらすぐに解消できる。その速度が一番早いこと。あと、グループ全体で見てもうちの監視コストが『アメブロ』とかよりも全然高くて、すごくそこに時間と費用をかけているかなと。最近取り組んでいるのは、目視の監視ではなくて自動で検出できるシステムを独自でアルゴリズムを組むことです。やはり違反をするユーザーは特徴があって、ある程度異常値が出るので、それを自動的に検知してそのあと目視で確認してダメだったら退会処理をするとか、そういったところは日々工夫していて、チーム内でも議論しているところではあります。

デーティングサービスをどう認知させるのか

───貝瀬さんとお会いしたときに、人材マッチングビジネスと婚活ビジネスは20年前と同じ歴史を辿っているというすごく勇気付けられるお話をお聞きしました。

貝瀬 私こんな偉そうに話していますが、実は『ゼクシィ』に来て3年で、その前の18年間は『リクルートエージェント』という人材斡旋の会社でずっと仕事をしておりました。私が入った1997年、この人材斡旋業界というのはまさに今のデーティングサービスの市場と全く同じ状態でした。誰も知りませんでしたし、そういう協会みたいなところがあるんですけど、我々『リクルート』が行くと、「この若造が!」と、「業界を引っ掻き回すんじゃない!」というような状態。しかし、僕が入った1997年から2000年の間に、10人に1人のビジネスマンがこの斡旋サービスを使うようになりました。景気の影響もあったんですけど、そこから一気にサービスが拡大し、5年後には我々の市場は三倍になっています。この認知の獲得というのが、ユーザーが10人に1人の浸透率を越えた瞬間に爆発をするということがあります。まさに今、このデーティングサービスがその前夜だと思っています。そろそろそこに到達するので、その時に我々プレイヤーがちゃんとしたサービスを提供し、変な噂などが流れないようにして、最高のサービスを提供することが大事かなと思っています。

───このお話を聞くと、とてもうれしいです。貝瀬さんが言うから間違いないですよね。この事業やってて大丈夫そうだ、と。あとはTVCMがイメージ改善にはかなり大きいというのは本当にそのとおりだと思っていまして。マーケティングの現在の課題みたいなところで、どんなようなことを思っているのかなと。誰か。

中村 CMの話につながるんですけど、やはりいろんなところで掲載可否はまだまだ通りにくいところはあると思います。それは先ほどのAppStoreの話でもありましたけど、この業界はサービス提供者以外の人からすると、いわゆる普通の出会い系サービスと僕たちの健全なマッチングサービスの差がわかりづらいというのがある。そこに関しては『pairs』をリリースした頃とはかなり変わってきていて、最近ではいろんな企業さんがやっと出してくれるようになったなとすごく感じています。

───やはり意外とFacebook広告が多いじゃないですか。みなさんご存知か分からないですけど、ネット広告のなかには「マッチングセグメント」という、我々のサービスが出せないという面が非常に多くありまして、その戦いといっても過言ではないので、結構アフィリエーターに依存することが昔から多かったのが業界の歴史なんです。しかしこれまた皮肉なことに『Facebook』とか『twitter』とか外資系のSNSが増えて、そこは日本みたいな規制はあんまりないですから普通の感覚として可否が通ったりするので、変わりましたけど、だいぶ先を行ってるじゃないですか。そこまで『Facebook』に対しては出せないなというのはあんまり感じないです。

中村 『Facebook』だとそうですけど、やはり一個のチャネルだけだとやっていけないので、結局いろんなところに出さなければならず、そうすると掲載可否が通らないというのを感じています。

───『Facebook』に何割くらい出していますか?

中村 広告費は3割位? 電車だったり雑誌だったり、割と古くからあるものは掲載可否のハードルが高いです。もう一つ別の視点でいくと口コミがしづらいというのがあって、いかにうまく口コミをさせていくのかが文化の改善になると思います。広告の規制があるものの、うちで意識しているのは口コミです。例えば、街コンとか相席屋とは結構普通じゃないですか。あれって言い方次第で全然かっこよくなりますし、我々だと芸人さんとコラボしたり、プロポーズの企画を生配信したりなど、試行錯誤をしている段階ですが、徐々に世の中に受け入れられるように頑張っています。

───最後は貝瀬さん。

貝瀬 人材斡旋の業界でもそうだったんですけど、利用者が10人に1人を超えてくるサービスであれば、どんどん口コミで広がっていくんです。それが一気に爆発するときは、各社さんがCMなどに投下し、目にする機会が日常にあふれているんです。そのためには、サービスが正確に認知されるのが必要で、これを我々の業界でも徹底したいと思っております。

質疑応答

Q. 出会い系で、カップルがどんどん増えていくと思うんですが、デートから結婚までを成約させていくというマーケットとして『pairs』さんはやっていますが、他の4社さんは今後力を入れていくつもりなのか、どういう考えがおありですか。

貝瀬 我々はカップル、結婚を平行してやっている業態なので、人手によるサポートが必要になってくると思います。人手のサービスがかかればかかるほどマッチング率があがるというのが見えています。結婚相談所に登録した方は、だいたい高いところで言うと25%くらいの方が実際にそこを通して結婚されます。同時に50%くらいの方が他のサービスで相手の方を見つけられていて、結婚相談所に登録をすると、結婚できるという傾向があります。ネットで結婚できる人って、比較的自立している方だったり、行動的な方が多いです。難しいところに関しては、サービスの受け皿、リアルの方で作っていただくほうがいいと思います。

合田 若い人が趣味でつながるという切り口でやっているのですが、それ以外の切り口って実際のリアルでどうやって出会っているの?って言ったら、多分ものすごいあると思うんですが、新たな切り口を作っていけたらなと思っています。まだ細かいところまでは詰まっていません。まずは現状のサービスでカップルを誕生させることをしっかりとやっていきたいです。

柿田 僕もだいたい合田さんと一緒で、エウレカさんに追いつこう!追いぬくぞ!という気持ちです(笑)

貝瀬 非言語と言われたらどうしても難しさを感じてしまいますが、それをなんとか言語化するという意味でやっているのがコミュニティかなと。普通にプロフィールで全員の人に書いてもらう形だとどうしても表せないけれども、一人ひとりに合わせた性格を表すものもあれば、1つのコミュニティだけだとなんだかんだわかんないけど、それが7個並んでみたらその人の人となりが意外にあるよねというところで、僕たちはコミュニティを大切にしておりますし、今後もコミュニティ機能でうまくやっていきたいなと思います。

Q. 『ゼクシィ』さんに聞きたいです。マッチング系のサービスは、どういう特徴があるかというのも大事ですが、やはりユーザーがいないと成り立たないと思います。私は他のサービスさんは出てからしばらくして使い始めたんですが、『ゼクシィ』さんに関しては恋結びが出たばかりの頃に登録をしました。その時点でイケてる男性がいっぱいいる印象があったんです。イケてるというのは個人の好みではなくて、客観的に見てイケメンな感じで、自己紹介もしっかりされていて……つまり、広告を打つ前の段階でなんでイケてる人があんなにいたのかなぁって。(会場笑)

貝瀬 サクラのようなことは一切やっていません。ただ、我々のサービスをやると知ったリクルート社員が新しいもの好きで、結構率先して飛びついていったということはあります。

Q. 『pairs』さんは台湾以外で海外進出はありますか?また、他の4社は海外進出する予定はありますか?

中村 すでにシンガポール法人もあって、東南アジア展開していきたいと思います。ただ、まだまだ台湾のほうで成功できないなかで、いろんな各国に投資していって成功するとは限らないので、まずは台湾に集中して成功していきたいと思います。各国で少子高齢化や晩婚化、未婚化が問題視され始めていますので、やはりソリューションとして僕達が手配していかなければならないという使命感があります。

柿田 市場規模や文化に依存するところがあるので、まずは『Omiai』の先を調査している段階です。

合田 海外を検討したのですが、やめようとなっています。理由としては日本でもまだまだ知名度が足りてないし、日本でもやることがいっぱいあるからです。一旦日本でしっかりやろうと思っています。

───まずは日本で掲げたことを邁進していきたいです。サービス今いろいろなものを出しているので、結婚になるとやはり国民性とかがあるので、これからじっくり取り組んでいきたいです。

▼参考リンク
pairs
ゼクシィ恋結び
Omiai
タップル誕生
youbride
Japan Dating Summit #1

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