シャープ プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』
FU-GK50-B元々は蚊が媒介する病気の問題が深刻な東南アジア市場向けに開発された技術を応用して開発された、日本国内向け初の蚊取り機能付き空気清浄機

プラズマクラスター空気清浄機に蚊取り機能が付いた!~シャープ『蚊取空清』を発売~

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by [2016年4月01日]

シャープ プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』 FU-GK50-B元々は蚊が媒介する病気の問題が深刻な東南アジア市場向けに開発された技術を応用して開発された、日本国内向け初の蚊取り機能付き空気清浄機

シャープ プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』FU-GK50-B
元々は蚊が媒介する病気の問題が深刻な東南アジア市場向けに開発された技術を応用して開発された、日本国内向け初の蚊取り機能付き空気清浄機

パソコンに限らず、本来コンピュータというものは人間以上に清潔な環境が必要です。

例えば、大昔のフロッピーディスクがリムーバブルメディアの王様だった時代には、ヘビースモーカーのパソコンユーザーが使うパソコンの故障で飛び抜けて多かったものの1つが、タバコのヤニなどの侵入・付着によるフロッピーディスクドライブの故障でしたし、光磁気ディスクドライブの最初期にはそれまでユーザーが見たことも触ったことも無かったような、専用エアフィルターの装着が当然(※注1)となっていました。

 ※注1:筆者が1993年に容量128メガバイトの第1世代3.5インチ光磁気ディスクドライブを大枚はたいて購入した時、専用のエアフィルターカートリッジが複数組同梱されていて、その厳重な防塵対策に感心したのをよく覚えています。ちなみに、そのフィルターは定期的な交換が必要だったのですが、交換時期になってフィルターを取り外してみると想像を絶するほど真っ黒になっていて、その必要性を痛感するとともに清潔を心がけてきちんと清掃していたはずの自室の想像以上の汚れっぷりに落ち込んだものでした。なお、このエアフィルターは伊達や体裁で付いていたわけではなく、事情があって外したままでしばらく動作させたら一発でドライブが故障した、という話もありました。

今でも、企業の電算室と言えば防塵かつ完全空調の密室というのが相場ですが、実のところオフィスや各家庭で使用されているパソコンも、本当はできれば埃も塵もない完全空調の部屋で使用した方が良い機械であったりします。

なぜなら、空冷を基本とする現在のパソコンの冷却システムにおいては、筐体側の吸気口にエアフィルターを装着しない限りは部屋を漂う埃や塵、あるいは花粉などの吸引を避けて通れない(※注2)ためです。

 ※注2:ノートパソコンをある程度以上の期間使用していて、吸排気口周辺に埃がたまっているのを見たことのある方は結構おられるのではないでしょうか。あれほど低発熱でしかも低速でファンを回している機種でも、吸排気口周辺への塵埃の堆積・吸着は避けて通れないのです。

無防備に筐体内に吸い込まれたそうした異物は、やがて冷却系のヒートシンクや空冷ファンなどに付着して接触不良や短絡、冷却能力の低下、あるいは冷却能力低下に起因する電解コンデンサの容量抜け促進(※注3)など、高価な機器の寿命を縮め故障を誘引する様々な現象をもたらします。

 ※注3:内部に塵埃が堆積・固着した結果、異常過熱で想定よりも大幅に短期間で搭載されているケミコンが「妊娠」し、故障してしまったマザーボードや電源ユニットに筆者は何度も遭遇しています。

実は筆者にはかつて忙しさにかまけて24時間運転していたマシンの定期的な内部清掃を長期間怠った結果、その内部各所にたまった塵埃が原因で冷却ファンの効率が低下し、それが原因で部品温度が上昇したためにCPUクーラーのリテンションが破損、CPUクーラーそのものが脱落して最終的にマシンのマザーボードやCPUそのものを過熱焼損で喪うという、およそ考え得る限り最も悲惨な結末の1つを迎えた経験(※注4)があります。

 ※注4:夏の深夜に突然マシンからけたたましい警告のビープ音が鳴り響いた時の事は未だに忘れられません。

そのときの教訓として、パソコンが筆者の想像していたよりも遙かに優秀な集塵機として機能してしまうことと、その結果として内部温度が急上昇し、火事の原因になりかねないようなトラブルを引き起こす危険性があることを、本当に身体で覚え込む結果になってしまいました。

シャープの目の付けどころは健在だった

そんなわけで、筆者には割と定期的に稼働させているマシンを分解清掃し、その内部にたまった塵埃をエアダスター等で吹き飛ばしてやる習慣が今もあるのですが、できることならばそもそも部屋を漂う塵埃を何らかの吸塵機器で吸引・除去してマシンに入り込むそれらを減らした方が、結果的にはマシンや機器の延命にも、そして筆者の場合は自身の花粉症対策にも役立つのは自明のことでしょう。

そんな用途に役立つ機器の1つに、シャープのプラズマクラスター空気清浄機があります。

このプラズマクラスターについてはその搭載機器各種で有効性や効能についての議論が色々あって、消費者庁が掃除機のカタログ表記について景品表示法に基づく措置命令を出して誇大広告の是正を命令したことから懐疑的な目で見られることも少なくないのですが、少なくとも空気清浄機については一定の効果があることは、その設置場所での匂いが軽減されることや、アレルギー性鼻炎の症状に結構影響があることからも明らかではないかと筆者は考えます。

また、最近では南海電気鉄道の特急車である12000系「サザン・プレミアム」や大阪市交通局の御堂筋線用30000系、JR東日本およびJR西日本の北陸新幹線用E7・W7系、それに西武鉄道が現在製造中の40000系など、長時間密閉状態となる鉄道車両車内の脱臭・集塵用としてこのプラズマクラスター空気清浄機が搭載される様になってきているのも、これらの集塵・脱臭能力などの各種機能が相応に期待できればこその話(※注5)でありましょう。

 ※注5:少子化などで乗客数が減少しつつある昨今、一銭でもコストを削減することが求められる厳しい財政状況下で、効き目の定かでない怪しげな機器に漫然と大金を投じるほど鉄道会社は甘くありません。ことに、その種のお客に対するサービスに大きく資すると見定めた機器の導入では戦前の南海鉄道時代から目の覚めるような思い切った決断を下す伝統のある老舗の南海電気鉄道が、このプラズマクラスター技術の本格導入で鉄道業界の先陣を切ったことは色々象徴的です。

そしてそんなプラズマクラスター空気清浄機に、シャープはこのほど新たな機能を付け加えました。

何と、蚊が引き寄せられる波長360nmの紫外線を照射して(やはり蚊を誘引する性質のある)黒一色に塗られた空気清浄機近傍に誘引、エアフィルターの最前面に取り付けられた粘着シートに吸引し絡め取ることで殺虫剤などの薬剤なしでの蚊取り機能を実現したというのです。

つまり、これまでの空気清浄機の筐体色を変え、小さな紫外線ランプと粘着シートを追加するだけで新機能が実現してしまったわけです。

まぁ、筐体色が黒以外選択できなくなるため、部屋のカラーコーディネーションという観点でそれを嫌うユーザーもありそうですし、また粘着シートの粘着力保持期間の問題から2ヶ月毎の定期的な粘着シート交換が必須とされているため、月700円程度のランニングコストがかかるという問題(※注6)もあるのですが、むしろその程度のコストで稼働中のある程度長期的な蚊取り効果(※注7)が、それも薬剤散布なしで期待できるのであれば安いものなのかも知れません。

 ※注6:なお、それ以外のエアフィルターは基本的に交換周期が公称で約10年とされ、実質的に製品寿命の終わるまでは交換無しで使える設計になっています。その交換用フィルターの価格が5千円弱となっていることを考えると、いかに粘着性能の保持が難しいにせよ、1枚で2ヶ月しか持たない粘着シートに1,400円を支払うのはちょっと割高な印象を受けます。ただし日本(秋田県および岩手県以南)においては、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカの活動時期は5月中旬~10月下旬と言われていますので、蚊取り機能が必要になるのは一年のうちで6ヶ月程度と見て良さそうです。
 ※注7:一般的な液体蚊取りの場合、ボトルサイズによって交換周期が異なり、製品として存在する範囲では1ヶ月~4ヶ月程度の交換周期となっています。なお、液体蚊取りの薬剤主成分はおおむね揮発状態で室内などの空気中に滞留しますが、ガス化した薬効成分は静電HEPAフィルター、脱臭フィルター、抗菌・防カビ プレフィルターの3種のフィルターを使用するこの種の空気清浄機では微細すぎて除去できません。

液体蚊取りの場合、殺虫成分を室内の空気中に揮発させて蚊を殺すため、締め切った状態で動作させているとそれだけ室内の空気中の殺虫成分(※注8)の濃度が上がる訳で、人体に良かろう筈がありません。

 ※注8:一般には人体への影響が微少とされるピレスロイド系のメトフルトリンなどの合成物質が使用され、その溶媒として1号灯油や流動パラフィンが配合されています。

実際、閉め切った部屋で液体蚊取りを使用していてのどが痛くなったことのある方もおられることでしょう。それらの薬剤の人体への悪影響が微少と言っても、皆無というわけでは無いのです。

そうした危惧が原理的に皆無であるというだけでも、この空気清浄機内蔵蚊取り機能には価値があると言えます。

ちなみにこの蚊取り機能、元々は蚊が人体からの吸血時などに媒介するデング熱などの伝染病対策としてそれらの被害の深刻な東南アジア諸国向け製品で最初に搭載されたのだそうで、歴代経営陣の無策で経営破綻しても、その結果台湾企業である鴻海精密工業股份有限公司の傘下に入っても、目の付け所がシャープで本来の機能に一工夫することで新機能を実現してしまう同社製品の着眼点の良さは今も維持されていることを思い知らされます。

問題があるとすれば、この「プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』」ことFU-GK50-Bのお値段です。

新機能搭載などの付加価値があることを考えれば強気な価格設定も致し方ないと言えるのですが、さすがに本体の予価が5万円台中盤程度で消耗品費が毎月700円程度、年間で見ると全期間蚊取り機能を有効とするとして1年あたり8,400円程度、半年有効とするとしても4,200円程度のランニングコストが(電気代とは別に)かかってしまうというのはかなり割高かな、という印象を受けます。

公称で同クラスの空気清浄能力を備える、同じくシャープのプラズマクラスター空気清浄機であるFU-E51が約1万6千円~2万円程度の価格で購入できてしまう(※注9)となれば、なおのことその印象を強くします。

 ※注9:今回この記事のためにシャープ製プラズマクラスター空気清浄機の価格を調べていた筆者は、あまりの安さに「この安さなら、通常モデルを1つ欲しい」と思ってしまったことでありました。

そのため、蚊取りと花粉症対策、それに防塵対策の3つが一挙に解決し、しかも蚊取りで一切殺虫成分を扱わないで済むことを評価するか否かで、この機種の売れ行きが決まりそうな印象ではあります。

もっとも、新聞やニュースなどによれば中国では北京でのPM2.5問題でシャープのプラズマクラスター空気清浄機が突出した性能を発揮し、おかげで富裕層を中心にこれらの機種が飛ぶように売れていると伝わっています。

そうした状況を勘案すると、それらに追加の新機能を搭載したこの機種もまた、その新機能についてきちんと説明周知ができるのであれば、また消耗品である粘着シートの安定供給を行えるのであれば、充分な成功を収められることでしょう。

昨今は海外からの旅行客の急増などで外来の有害な、あるいは薬剤耐性の強化されてしまった昆虫などが人知れず日本へ上陸してしまうことも少なくありません。そのため、値段の問題を別にすれば、先行した東南アジア諸国向け製品で新機能のコンバットプルーフを得たとも言えるこの製品には、温暖化が進み熱帯の危険な伝染病等を媒介する蚊の生息圏が拡大しつつある世界の気候の今後を考えると、実はかなり大きな価値があるように筆者には見えます。

繰り返しになりますが、本体価格と消耗品価格の2点を充分に価値あるものとユーザーに納得させることができるかどうかが、この機種の成否を分けることになるのではないでしょうか。

まぁ、仮に蚊取り機能があまり期待できなくとも、ただの空気清浄機としてならば充分過ぎるほどに「使える」スペックを備えているので、買って全面的に期待外れだった、ということにだけはなりそうにない機種ではあるのですが…。

▼参考リンク
プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』を発売|ニュースリリース:シャープ
蚊取り空清 FU-GK50 | 加湿空気清浄機/空気清浄機:シャープ
蚊取り空清 FU-GK50の空気清浄機能 | 加湿空気清浄機/空気清浄機:シャープ
シャープ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁:PDF)
弊社掃除機のカタログ表示等に関する措置命令についてのお詫びとお知らせ | ニュースリリース:シャープ
特急サザン新型車両12000系|南海電鉄
「北陸新幹線」に鉄道車両向けプラズマクラスターが搭載|ニュースリリース:シャープ

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