RIKEJO_CAFE_02344

「リケジョ」という言葉のない社会を目指して~『RIKEJO CAFE』運営のナレッジハンズに聞く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2016年2月25日]

RIKEJO_CAFE_1 工学部で情報システム系を専攻しているリケジョです。「リケジョ」というと、どうしても小保方晴子さんを連想する方もたくさんいらっしゃって、「あーリケジョね(笑)」と言われることもしばしば……。もしくは、「リケジョ」というだけで、「ヲタクなの?アニメ好きなの?ネットばっかしてるの?」なんて言われちゃうわけで……実際、アニメ、ネット大好きヲタクですけども! もちろん、理系女子であることには誇りを持っています(ここ重要)。
 さて、みなさんは「リケジョ」に対してどんなイメージをお持ちですか? 私の周りでは、こんなイメージを持っている人が多いようです。
リケジョのイメージ

 また、私自身リケジョとして今後のキャリアを歩む上で、希望や期待はたくさんある反面、不安な要素も多いのが事実です。結婚や出産についてはもちろんですが、小保方晴子さんの例にもあるように、理系分野で活躍されている優秀な女性研究者がよく遭う「リケジョバッシング」など……。
 そんなわけで今回は、「つむぐ、理系女子」をコンセプトに『RIKEJO CAFE(リケジョカフェ)』を運営する株式会社ナレッジハンズの人材紹介事業部「ハイアリー」の塚本貴映さん(写真)と小野真弓さんにお話を伺ってきました!(以下敬称略)
RIKEJO_CAFE_02344

知を紡ぐナレッジハンズ

───株式会社ナレッズハンズ、ハイアリーについてお聞かせください
塚本 ナレッジハンズは、2010年に設立した医療分野のコンサルティング会社です。弊社のミッションに「知を紡ぐ」というものがありまして、ナレッジハンズの売り上げは、基本的に医療法人さんのM&Aの支援や、経営戦略のコンサルティングで成り立ってます。
 コンサルティングは仕組みだけ作って終わりというのではなくて、実のあるコンサルティングファームでありたいという、代表の想いからナレッジハンズ自体で介護事業所も経営しています。自分たちで言うのも何ですが、介護事業所としては珍しく黒字事業として展開しております。
 ハイアリーは人材紹介の事業部です。私の上席の小野が人事コンサルの担当なんですが、彼女は学生さんと企業の幸せなマッチングがあまりできていないということを感じていました。どうしても学生さんはいきなり自己分析をして、とにかく合同面接に参加してとなりがちです。そこで彼女がナレッジハンズに参画したときに「学生さんにとっても企業にとっても幸せな採用を」ということで立ち上げたのがハイアリーです。
 その中で理系女子学生との出会いが多くありまして、リケジョ達が専攻にとらわれすぎていたり、物事が広く見えていなかったりしていたので、多角的な視点や、いろいろな人とのつながりをベースに、もっと職業選択を広くしても良いのでは? と思いました。そして、リケジョ自身も「いろんな人とつながってみたい」「自分の専攻以外のことも知りたい」という希望があったので、リケジョの交流の場として『RIKEJO CAFE』を作りました。
RIKEJO_CAFE_1

 RIKEJO CAFEを作るにあたって『理系女子未来創造プロジェクト』という一般社団法人を設立しました。一般的に理系は男性が多いイメージです。日本は理系に対して、女性の参画がほかの先進国に比べて遅れていて、これに関しても、理系を目指す女子が増えてくれるように理系に対するバイアスを払拭していけたらと思っています。RIKEJO CAFEは、そこで働くスタッフや、交流してくれる女子がロールモデルを果たしていくことで、もっと若い世代が「理系って面白いんだな」「理系ってかっこいい」というイメージを持ってくれたらいいなというプロジェクトです。

───究極的には「リケジョ」という言葉がなくなればよいということですか?
塚本 はい! ちょっと理系女子って特殊なイメージをもって語られるじゃないですか? そうではなくて、当たり前になればこういう言い方(リケジョ)もされなくなると思うので。

───一般社団法人として設立した理由は何ですか?
塚本 もちろん、ハードル的な理由もあるのですが、一番の理由は、お金儲けが一番の目的ではないということです。
 そして大学生だけでなく、中高生や社会人になってからのキャリアも含めて、日本で活躍する理系女子を増やすための総合的な活動とするために設立しました。

───実際にそうであるのと、対外的にもそういうイメージにしたいということですか?
塚本 性が絡んでくることなので、センシティブなことだと思うんです。そこで、ビジネスの匂いがしてしまわないよう、また私たちが真摯な気持ちでやっているというのを一番わかっていただける形だと思っています。

「リケジョ」という言葉の強み

リケジョ

───リケジョのイメージはどんな感じですか?(上図のメモを見せながら)この通りだと思いますか?
塚本 一概には言えないと思います。このイメージは、ひとつの個体としてみると「ああ、たしにかなるほどね、そう言われるよね」と思いますが、物理専攻でも読者モデルをしていたり、化学専攻でもイベントコンパニオンをしていたり、工学のみでロボットの開発が好きで、おしゃれ興味ありません! という方もいるし、本当に千差万別ですね。

───リケジョの魅力は何だと思いますか?
塚本 何を専攻しているかにもよりますが、ひとつは専門性がすごく高いことです。日本の大学は、理系を専攻すると、非常に専門分野へ特化した勉強になるので、そういう意味で4年間大学に行って培った知識のレベルはとても高いと思います。

───リケジョが増えるとどんなよいことがありますか?
塚本 大きく言ってしまうと、ダイバーシティ(人材活用の多様化)の推進だと思います。さらに大きく言うと、良い意味での自己実現可能な世の中の達成ではないかと思っています。
 日本がリケジョの参入に遅れていると言いましたが、欧米では日本よりも早い時期から、親や学校教育の男の子と女の子に対するアプローチの仕方が指摘されていて、矯正されてきた歴史があります。それで、いま理系女子の比率がとても増えてきているんですね。
 日本ではやはり、親の接し方の違いとか学校教育での先生の教え方が、あまり男女を考慮してこなかった歴史があるので、その中で女子が理系の分野に、後天的に手を出しづらい文化が存在しています。そこで才能をひとつ開花し損ねてしまっているということなんです。そこにもう少し多角的にアプローチしていくことで、子供たちが早いうちからいろいろなことに興味をもって取り組めるようにすれば、その子たちが本来持っている良いものを花咲かせることができると思います。それは、個人らしさを尊ぶことにつながるので、ダイバーシティの推進自己実現というところで合致してくるのではないでしょうか。

───「リケジョ」という言葉が将来的になくなればよいというお話がありましたが、リケジョという言葉があることによって、プラスになっていることはありますか?
塚本 認知が高まったことです。どうしても理系は男性一色というイメージが強いので、女子が「理系=女子」と連動させられるものとして、ひとつ取っ掛かりになっていると思います。
 また、リケジョに対しては、社会としてもニーズが高いと言えます。企業さんは「リケジョが欲しい」、政府も「リケジョの数を増やしたい」というように、各方面からのニーズが強いからこそ、言葉がそのまま生き続けているのではないかと思います。

───リケジョをブームで終わらせないために必要なことは何だと思いますか?
塚本 私たちのような社団法人がきちんと活動を続けることです。「リケジョ」がただのブランドやイメージ戦略ではなく、女の子でもロボット好きでもいいし、女の子がブロックで遊んでもいいし、というふうにみなさんが思ってもらえるように、ジェンダーバイアスを社会から払拭していくことを、いまの理系女子大生と一緒にしていくこと、それを発信していくことが大事だと思います。

学生が集まりやすい「RIKEJO CAFE」

RIKEJO_CAFE_2

───RIKEJO CAFEの運営費用は、企業からの協賛金ですか? 店舗売り上げは、学生のお客様が無料なのであまり多くないのではと思いますがいかがですか?
塚本 はい、企業様からの協賛金です。売り上げは、おっしゃる通りです。

───お客様は学生が多いですか?
塚本 はい、学生団体が多く利用してくださっています。あとは学生団体から卒業していったOB、OGの方が、いまだに使って頂いたりもしています。

───お客様は、何を目的に来店していると思いますか?
塚本 一番頻度が高いのは、学生団体のミーティングだと思います。学生はドリンクがフリーですし、Wi-Fiもあるので、集いやすいと思います。

───スポンサーになる企業側のメリットは何ですか?
塚本 一般社団法人としての弊社のミッションに共感して頂けることが前提で、スポンサーになって頂くのですが、ただリケジョが欲しいというだけではなく、採用した後も教育制度があり、そのなかでキャリアパスがきちんとあるという企業様とお付き合いさせて頂いています。
 弊社に来てくださるリケジョは、とても意識が高く、新しいことに対して貪欲に学んでくれる姿勢があります。弊社のスタッフに関していえば経営についても学んでもらっているので、ただ研究開発だけを学んで研究分野にいくのではなく、マーケティングやセールス、企画の視点から見て研究ができるし、その逆もできるという強みを持っています。企業様としては、そういう理系の女子たちに出会えることがメリットかと思います。

───RIKEJO CAFEのイベント企画を行なうのは、御社ですか? それとも学生さんですか?
塚本 両方あります。学生主体のものもあれば、キャリア系のイベントや企業様がセミナーを行なう際は、弊社が企画する場合もあります。

───イベントの告知は、プレスリリースと御社のサイトのみですか?
塚本 その他にSNSと、登録していただいている学生さんにメルマガを配信をしています。

───イベント参加者がゼロということはありますか?
塚本 やはりあります。集客はどこでも大変なことだと思いますが、学生が主体となって動いてるので、当然、集客の手法にしても学生が考えています。だから、うまくいくときもあれば、閑散としているときもあります(笑)。うまくいかなかったら「何がまずかったか」ということを考えて次に活かすということをしています。その中で、本当に実のあるビジネススキルを身に着けてほしいなと思っています。

───イベントを企画するにあたって、芯になるようなものはありますか?
塚本 弊社は「輝く理系女子大生に機会と場を提供する」というコンセプトを持っています。その「機会と場」が、「さまざまな学生がつながる」ことです。また、いろいろな専攻のリケジョがいますが、例えば、いま代表をしているリケジョは家政を専攻していて、料理に興味があるので、バーベキューのイベントをしたりしています。そこでいろいろなリケジョと関わりたいと。それもひとつの成長の機会と場だと思います。そこから逸脱しない範囲でいろいろと企画、運営する分にはOKです。「ただの合コンしたい」とか言わない限りは大丈夫です(笑)。

───RIKEJO CAFEのスタッフはどのように選ばれますか?
塚本 理系女子であれば、それ以上の基準は設けてはいません。もちろん人数の制限があるので、その中で一番重視しているのは、既存のスタッフが一緒にやっていけるかどうかです。やはり、楽しくみんなでやれないと仕事としてまわらないので、全員が「この子とやりたい」と思える、そして同じビジョンをもってくれる方です。

───RIKEJO CAFE卒業生の声は聞いていますか?
塚本 はい。一期生だったので、すべてがトライ&エラーだったと思います。彼女たちは「すごく失敗も多かったけれど、それをそのままにしないで、次どうしたらよいのか? なぜあそこで失敗したんだろう? と考えられる場があったことがよい経験につながった」と言ってくれています。あとは、いろいろな人とのつながりができたことと、今まで興味がなかった業界の会社にも行くことで「こんな業界、こんな会社があるんだ!」と世界が広がったとも聞いています。

───そういう声を聞くと、御社としては成功と言えますね?
塚本 はい。「もう二度と関わりたくない」と言われていないので、ひとまず成功かと思います(笑)。
 あと、いろいろな企業様、特に隠れホワイト企業という、本当に魅力のある業界なのに知名度がないが故に、なかなか新卒の選択肢として選ばれていなかったりするところがあります。弊社としては、そういう企業様をどんどん前にもってきて「こういう会社もあるんだよ!」と見せてあげるのも必要です。そういう意味で、新しい世界が開けたと感じてもらえたことで、弊社としてもひとつ先のステージに進めたのかと思います。

“隠れホワイト企業”って何だ!?

───隠れホワイト企業を見つけ出す仕組みがあるのですか?
塚本 企業担当は、あちらにいる小野ですが、彼女が人事でやってきたネットワークです。本当に、広告などに頼るわけではなく、人と人がわかっているところでないとご紹介できません。

───小野さんは、隠れホワイト企業をたくさんご存知ということですね?
塚本 小野さん! たくさんご存知なんですか?(笑)

(オフィスの奥から小野さんが登場)

小野 そうですね。人事の経験が長いものですから、そのネットワークがあります。自分が信頼できる人事担当がいる企業は、人事制度や教育制度、どんな取り組みをしているかもわかりますし安心してご紹介できます。人事というフィルターで企業様を見ると、ある程度キャリアパスがイメージできますので、ここはこの学生に合う、合わないと。もちろんそれ以外にも、弊社は経営コンサルですので、財務面なども含めたアドバイスもさせて頂いております。
 そして一番のポイントは、そこで働く女性社員がイキイキしているかどうかだと思います。

───それでは、逆の企業もたくさんご存知ということですね?
小野 そう……ですね。おすすめできない企業もあります(笑)。それは、もう、はっきりおすすめしていません、と。
塚本 自分が入りたくない会社はおすすめしませんね(笑)。
小野 確かに、それは基準としてありますね。

───リケジョが働きやすい環境はどういうものですか?
塚本 弊社が紹介したい企業は、女性がきちんとキャリアパスを歩めて、そういう支援が得られるところです。そういうところはきちんと活躍されている理系女子がたくさんいるから、紹介しようと思うんです。いまはなかなか少ないのですが、今後もっとそういう企業が増えるのは間違いありません。そして、その中で実際に働いている女性と話をしてみて、その人がどう感じているのかを聞くことがすごく大事だと思います。

───最後に、今後についてお聞かせください
塚本 一般社団法人としての活動をもっと活発にしていきたいと思っています。
 「RIKEJO CAFE」は、ひとつのハブになっていけばよいですね。そしてRIKEJO CAFEが、この『理系女子未来創造プロジェクト』の一環である以上、未来の理系女子を成長させる場であり、今の理系女子をさらに成長させる場にしていきます。

RIKEJO_CAFE_02354

「リケジョ」を応援してくれている人はたくさんいた!

 リケジョとして、将来に対して抱えていた不安もありましたが、このインタビューを通して、ちゃんとリケジョの価値を見出して、それを支援してくれている大人がたくさんいることを知りました。ナレッジハンズ以外にもリケジョを応援、増加させるために活動している団体はたくさんありました。

Rikejo(講談社)
女子中高生の理系進路選択支援プログラム(国立研究開発法人 科学技術振興機構)
女性技術者育成基金(トヨタ)
女子特別推薦(神奈川大学工学部電気電子情報工学科)

 このように、たくさんの応援があることを知ると、今後、リケジョとして、その強みを活かし、社会に貢献できる人間になれたらという想いが強まりました。そして、私自身もリケジョの良さを発信したくなりました。
 ……最後に、リケジョはモテます。特に、工学部はモテます。現時点では(恋愛的にもキャリア的にも)競合が非常に少ないです。男子にモテたい女子中高生のみなさん、工学部への進学をぜひ考えてみてください。 

▼参考リンク
RIKEJO CAFE(リケジョカフェ)
株式会社ナレッジハンズ
higherly(ハイアリー)

タグ:
PageTopへ