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とにかくプロトタイプを作ってみよう「ボトムアップアプローチでのVRサービス立ち上げ」

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by [2016年2月03日]

 ゲームやEC、電子コミック、ヘルスケア、自動車、野球……といろいろな事業を展開する株式会社ディー・エヌ・エーが、それらサービスを実現するために行っている技術的なチャレンジを紹介するお祭りイベント『DeNA TechCon 2016』を開催した。その講演の中からここでは「ボトムアップアプローチでのVRサービス立ち上げ」をお届けしたい。

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スピーカーのWADA TAKAHIKO氏。組み込み系ベンチャーを経て2010年DeNA入社。複数のソーシャルゲーム開発に携わった後、新規サービス開発を担当。趣味でOculus Riftによるメーヴェ型飛行機を作った頃からVRに没頭し、現在はVR関連のサービス立ち上げに奮闘中。

 なぜ今VRがきているのでしょうか? 実は1990年代にも「これからはVRだ」という時期があったものの、いまいち盛り上がらず……という黒い歴史があったんです。ただ、当時からのベテランの人を含めても「今回は本物だ」と口を揃えておっしゃっています。

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ボトムアップアプローチでのVRサービス立ち上げ / DeNA TechCon 2016 from Takahiko Wada

今、VR業界で何が起きているのか

 VRがきているという根拠は諸説ありますが、1つはスマートフォンの普及が進みキーデバイスが広まったこと。もう1つは、UnityやUnreal Engineといった3Dエンジンが普及し、3Dコンテンツの開発が簡単で低コストになってきたことです。
 そんな中各種のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が登場しています。コンソール向けのものからスマホ向けの簡単なものまでいろいろあります。その分野もゲームを始め、映画、音楽、アトラクションなど様々な応用が考えられています。
 一方で不安要素もあります。例えばHMD導入のハードルが高く普及が進まない恐れ、Oculus Riftのコンシューマバージョンの価格10万円弱でコアなファンも二の足を踏むかもしれません。そして、VRは体験しないと凄さが伝わりません。やっている本人は「おぉ、すごい!」となるのですが、周囲の人には何がすごいのかが分からない、という温度差が生まれてしまいます。
 またVRゲームは、一見すると3DのゲームをVRにするだけでいいと思われがちですが、そのままだと、いわゆる「VR酔い」を起こしやすいという技術的な難しさもあります。
 次からは、そういった間でVRプロジェクトを立ち上げていく、紆余曲折について話していきたいと思います。

Oculus Riftなら何でもできる!

 開発のきっかけは、Oculus Riftと出会って何でもできると感じたことでした。
 そして初めて作ったのがこの体感型のVR『メーヴェ型飛行機』です。これは完全に趣味で作ったものですが、いろいろな展示会に出展し評価をもらう内にビジネスとしてやれないかと考えるようになり、Google CardboardやハコスコといったスマホVRを知ってからは、アプリ開発のノウハウがある弊社と繋がると思うようになりました。
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 僕の場合は、アイディアコンペから挑戦が始まりました。弊社では年に2回、自分のやりたいことを発表して、社内で仲間を見つけてブラッシュアップしていく「アイディアトーク」というものがあって、ブラッシュアップしたものを、一定の審査を通して、それがプロジェクト承認されると、開発、検証と進めていくんです。この開発、検証が弊社の他の部署と少し違っていて、いわゆるリーンスタートアップ形式で、特徴としてはリアルなユーザーの声を重視します。また、そのためにコア価値をハッキリさせて最小仕様のプロダクトをいち早く作ろうという形で進めていきます。
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処女作『パラレルガールVR』と課題

 プロダクトとして初めて作ったのが、この『パラレルガールVR』というノベルゲームです。ノベルゲームを選んだ理由としては萌え要素と技術の相性が良く、ストーリーの差し替え次第で展開を増やせると考えたからです。
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 スマホ向けにVRゲームを作るにあたって意識して避けた点が3つあります。

  1. スマホへのタッチができないので、複雑な操作を無くしたこと
  2. VR酔い対策として、プレーヤーの移動を制限したこと
  3. スムーズにスマホ上で動作するよう派手な演出を避けたこと

 ユーザーからの評価は「VRの入門編としては楽しめた」というものでしたが、細かく聞いてみるとリピートに関して課題が見つかりました。それは位置づけの中途半端さにあったようで、VRに圧倒的な没入感を求めるコアな層には物足りず、かといって一般層にはVRをやるという習慣が根付いていないが故の難しさがありました。
 そこで再度ネット企業としてのアプローチについて考え直しました。もっとハイエンドなコンテンツを作っていくのか、あるいはもっと別なものを目指すのかというところですね。その中でチームで考えていたモデルがこちらです。
 ダウンサイジング・コミュニティへの流れと言うんですが、これは新しいデバイスが出てきた時にどんな風にコミュニティに普及していくかというモデルです。
 まずは、縦軸はデバイスで、コンソールとしてマニア向けであったものがモバイル化して手軽になって広く普及していくという風になっています。次に、横軸はソフトウェアで、最初はデバイスを持っている人が少ないので個人向けのコンテンツが主流で、デバイスが広まるにつれて大勢で楽しむようなコンテンツになっていくのだと考えています。
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 これを今の業界に当てはめると、ディー・エヌ・エーの強い部分は右下の部分だと思います。初期のソーシャルゲームがそうだったようにコミュニティ形成に力を入れていくことに意味があるんじゃないかと思います。
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パラレルガールVRがヒントになった『petaly360』

 パラレルガールVRでは、背景の写真に注目する人が多かったので、最近、petaly360(ペタリーサンロクマル)というサービスの配信を始めました。これは、360度を写した写真を投稿できるコミュニティサイトです。特徴は360度の写真にコメントを表示することができる点です。
 着想としては、写真をグルグル見ながら「これ何?」みたいなコミュニケーションができたら面白いなと思ったことです。今後HMD等が増えてきたら、写真の1つのフォーマットになると思うので、それに向けて改良を続けていきたいと思います。
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 今回、私の事業部でボトムアップというアプローチで、VRを形にすることができたのですが、必要な事は「やりたいという気持ち」と「実現に向けての具体的な行動」です。私にとっては、メーヴェが動機になってくれました。そして具体的な行動と言いますと、やはり言葉だけでは伝わりにくい事も多いので、簡単なものでもいいのでとにかく作ってみるという一歩を踏み出すことが大事だと思います。

▼参考リンク
DeNA TechCon
パラレルガールVR 〜没入型VRドラマ〜(iTunes)
petaly360
DeNA ディー・エヌ・エー

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