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広告ブロックは広告やメディアに影響を与える(与えた)のか?

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by [2015年12月21日]

「2015年に話題になったものシリーズ」として今回は「広告ブロック」を取り上げよう。広告ブロックツール自体は2015年以前から存在していたものの、2015年にはiOS 9で広告ブロック機能がついたことで、人々の話題となった。しかし、結局広告ブロック機能は、広告業界やメディアに大きな影響を与える(与えた)のだろうか?

広告ブロックが与える影響はどれくらい?

モバイルへの影響は今のところ限定的

iOSでアドブロックを利用するにはCrystal Adblockなどのアドブロックアプリをダウンロードする必要がある。ということで、御馴染みAppgraphyさんでCrystal Adblockの各国ランキング推移を調べてみると、以下のグラフの通り。アプリがリリースされた直後は大人気を博したアドブロックアプリだが、このグラフを見る限り、広告ブロックへの需要はあまり無いのかもしれない。
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 また、Business Insiderによると、投資銀行UBSのアナリストが、iOS 9の広告ブロック機能について、世界のデジタル広告収益に与える影響はたった10億ドルだと述べたとしている。10億ドルはデジタル広告費用全体の0.5%に過ぎないことから、モバイルにおいては、現状、広告ブロックが大きな影響を与えているわけではなさそうだ。
 しかし、その背景には「モバイル・ギャップ」という問題があることに触れておかなくてはならないだろう。モバイル・ギャップとは、モバイルとPCで広告の収益性に大きな格差があると言う問題で、例えば「ニューヨーク・タイムズ」のウェブ版はモバイル利用が半分を越えたが、デジタル広告収入に占めるモバイル関連広告の割合はたったの15%である。結局モバイル広告自体の収益性が悪いのだ。

広告ブロッカー利用率は確実に増えている

 アイルランドの企業であるPageFair社とアドビ社の発表によると、広告ブロックソフトの使用で2015年に、220億ドルの損失が生まれたという。iOS 9による損失額を考慮すると、多くのPCに広告ブロックツールがインストールされていることがわかる。
 また、同発表の中で、米国では広告ブロックの利用者は、2015年6月までの12ヶ月で48%増加し45万人に達したとされており、その勢いは留まることを知らない。

 モバイルにおいては、今のところ影響は限定的かもしれないが、PCを含め広告ブロッカーの利用率は段々高まっているのが実情である。 

広告ブロックは2016年の話題の中心にならないという意見も

 前述のように、広告ブロック率が毎年のように、上昇している事実がある一方で、これ以上広告ブロックが大きな問題にならないと考えている人物もいる。その人物とは、GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏だ。
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 ピチャイ氏によれば、プログラマティック広告の導入や読み込み時間をスピードアップする措置を行い、関連性の高いモバイル広告を提供することで、ユーザーにより良い広告体験をしてもらうことが出来れば、広告ブロックされる心配はなくなるというのだ。
 実際、Googleは2015年度第3四半期の広告売上は168億ドルとなり、前年同期比では13%も増えたということで、広告ブロックに上手く対処していることが分かる。
 いずれにせよ、Googleのやり方が上手くいっていることや、広告ブロックの利用率が高まっている現状を鑑みれば、より良い広告体験を提供するための努力が求められるようになっていることに疑問のつけようがない。2016年以降にメディア、広告がどのように進化を遂げるのか、注目が集まる。

●関連リンク
Crystal
Appgraphy
iPhone ad blocking apps will ‘only’ cost $1 billion in lost advertising revenues
The 2015 Ad Blocking Report | Inside PageFair
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