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“カジュゲ”と“ソシャゲ”の間~スマホゲームアプリ『中年騎士ヤスヒロ』のマネタイズ~

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by [2015年12月21日]

 2015年12月15日、株式会社VOYAGE GROUP 渋谷ファーストプレイスオフィスにて、「アドフリくんマネタイズナイトvol.4 ディベロッパーが語る!動画リワード実践術」が開催されました。本記事では、株式会社ポラリスエックス 代表取締役社長 住田康洋(ヤスヒロ)氏の講演より、動画リワード実装のノウハウや試行錯誤をお伝え致します。

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 Polaris-Xの住田と申します。Polaris-Xは1年と2ヶ月目というまだまだ若い会社で、社員は私1人です。そんな中でも「スタートアップして1年以内になんとかゲームを1つ出したいな」と思っていました。そしてこの10月に出した第1作目が、今日ご紹介する『中年騎士ヤスヒロ』というタイトルです。

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すべては一目惚れから始まった――「ヤスヒロ」への道

 まず、この『中年騎士ヤスヒロ』がどういうゲームなのかを見ていただきたいと思います。

なんとなく雰囲気はわかっていただけたと思いますが、どちらかと言えばカジュアル寄りのゲームです。
 これに至った経緯を少しだけ説明します。起業した後ゼロから1人でというのは流石に厳しかったので、知り合いのツテで韓国のゲームを探し回っていました。およそ150個のゲームを見た中で、最初の3つ目くらいにこのゲームの紹介を受けて、その時点で一目惚れしました。残りの147個の話は耳に入ってきませんでした(笑)。
 もともとゲームの中に大量にアニメーションや動画を盛り込んだり、チュートリアルに何十分もかけるといった大型RPGではなく、かといってカジュアルすぎてやり込み要素が薄い・ハマれないようなゲームでもない、その間のゲームを作りたいと思っていて、まさに希望通りといった感じです。なにより、ゲームの持っている世界観やプレイスタイルにとても惹かれました。主人公は中年独身男性で、私と同じです(笑)。こうして、第1作目を大のお気に入りでスタートすることができました。

高評価なだけじゃない!ヤスヒロの実績

 先に数字のお話をざっとしてしまいます。現在、Androidがリリースから約2ヶ月でiOSが1ヶ月といった感じです。指標としてはDAU(Daily Active User = 1日にサービスを利用したユーザーの数)が重要だと思っています。DAUは約1万強あたりを推移しています。
 あと、私自身が嬉しく思っているのは、継続率が高くおおむね20%以上で推移していることです。ユーザー評価も、Androidは特にそうなんですが、はじめの評価がすごく高くて、4.7くらいで推移していました。現在も両方のOSで4.0以上をキープしています。これは自分の中でも目標にしていたことだったので、とても嬉しく思っています。1ダウンロードあたりの売上も、iOSのほうはまだ届いていませんが、だいたい200円を超えるくらいです。このあたりを目標にしていたので、なかなかいい感じです。

(1)
 DL数の推移は、iOSでは、最初にローンチした瞬間にフィーチャーで取り上げてもらっていましたので、そこの爆発力は凄かったです。Androidは、ものすごい飛躍することはないのですが、逆に言うと安定的にDL数が増えているという感じです。
 App Storeでフィーチャーされますと週で数万単位のDL数がありました。Androidでフィーチャーしていただいたときは、30~40個あるうちの後ろから3つ目くらいの位置でしたので、ありがたい話でしたがiOSに比べると影響はそこまで大きくはありませんでした。
 現在(※注:2015.12.15)も「片手で遊べるゲーム」というカテゴリでフィーチャーされているので、ぜひそこから見つけてください(笑)。

(2)
 これが先程も話した継続率(DAU)についてです。グラフの一番上の青い線がDL後1日経ったときの継続率を表しています。我々が注目しているのは7日後くらいですので、赤の線を見ますと、平均20%くらいです。次のコンテンツやプロモーションの追加など、ゲームを作るのとはまた別の「安定して収益を得る」という観点で進めていかなければならないので、私はDAUを一番重視しています。

(3)
 次にDL数のグラフを見ますと、一時期ダウンロード及び課金できなかった期間があり、その間は当然ガクンと下がっています。ユーザーサポート担当も兼任している私としては大変な時期ではありましたが、プレイ自体が滞るといったことはなく、DAUにはほとんど影響はありませんでした。このあたりは、「ゲームがどういった作りになっているのか」という部分に影響されるのかなと思います。

「見せ方」に技アリ!広告でのマネタイズ

(4)
 収益構造は、弊社の「ヤスヒロ」はアプリ内課金と動画リワード広告の両方を使っています。右側のグラフを見てください。広告収入が占める割合は、当初は2割くらいでしたが、最近だと4割に届くほどになっています。売上自体は当然同じレベルを維持できるわけではないのですが、割合として広告はやはり押さえておくべきものだと思います。
 ヤスヒロをやって頂ければわかると思いますが、どこかで「あと一歩やりたい」というものを残して、そのタイミングでお金を払わなくてもいい方法として広告を置いておくのが一番ベタで良いと思います。次のクエストをやるのにコインが足りない、というときに15~30秒の動画を見てコインを貰うということが当たり前になると、広告でも安定した収益を得ることができます。ですのでDAUの高さと広告の相性が肝になるのではないか、と思います。
 メディエーションツールはFyberを使っています。各アドネットワークのその時その時の収益性を見て、eCPMの高い順に広告を出すようにしています。広告の見せ方ですが、ゲーム内で使うコインやダイヤを貰うために動画広告を提供しています。一つが15分に1度動画広告を見るとコインが貰えるもので、もう一つは60分に1度ダイヤが貰えるものです。以前はバックエンドにゲームを落としている間はタイマーが進まない仕様だったのですが、最近はユーザーさんの声を受けて、ゲームを落としている時間もすべてカウントする仕様に変えました。おそらく今後、広告が収益の柱になると思うので「ユーザーさんの意見も取り入れた」改善です。

(5)
 実際の売上は書けませんが、どのアドネットワークがどれほど売上に貢献しているかを積み上げ式の棒グラフで表しました。それぞれの会社のテクノロジーや強みが要因しているのか、各社各様に収益への貢献度が出ています。安定して収益を支えているのはUnity AdsとAppLovinです。AdColonyとVungleは最近導入したばかりで、詳しく語るほど時間が経っていないというのもあり、フェアに言いますと「これから」かなと思っています。1ヶ月後には色々見えてくるものがあると思います。

(6)
 これはeCPMでの比較になります。良い意味で気になるのは、AppLovinはiOSでは常に一番収益性が高く、Unity Adsが表示回数を増やしても安定的でeCPMがブレないことです。VungleとAdColonyはまだまだ改善の余地がありそうです、ダメという意味ではありません。
 メディエーションを入れたことによって、実際には収益に顕著な差は出ていません。ただし、私にとって楽なのは、「動画広告を見るボタンを押したのに見れない」「広告案件が無くてダイヤをGETできない」といったユーザーサポートの問い合わせがかなり減ったことです。メディエーションの導入によって運営の負荷が減り、余ったリソースをいろんなことに使えるので良い取り組みかなと思います。

(7)
 プロモーションについても少し触れておきます。それぞれのデベロッパーさんでやり方があると思いますが、うちの中で現在はっきりと目処が立つ効果が出ているのはTwitterです。

課金する人させる人

(8)
 収益の半分以上は課金でもっているので、課金の傾向もシェアさせていただきます。設計した当初は「ちょびっとダイヤ(¥120)」が買いやすい値段で売れるだろうと思っていたのですが、実際には「初心者パッケージ」などのお得感のあるものが売れています。収益では、この初心者パッケージと、一番高い¥9,800のものが多くを占めています。件数では初心者パッケージが最も多いです。日によっては¥120のものも多少貢献はするのですが、安定して収益を生んでいるのは初心者パッケージです。
 この初心者パッケージは、1日1回、ダンジョンを20フロアに到達した時のみ表示しているので、ユーザーさんからは「もう出ないんですか?」「見逃しちゃったので……」といったコメントが多く寄せられています。この初心者パッケージをより頻繁に提案する変更を検討しており、表示させるタイミングは、動画リワードを見せるタイミングと同じロジックの話で、「何かが必要なときにどう提示できるか」という設計者の工夫が最も顕著に現れる部分だと思います。
 

ヤスヒロの未来

(9)
 最後に宣伝みたいになりますが、アップデートを予定します。ご覧のとおり、クリスマス仕様になっています。下に強烈なキャラクターが出ていると思いますが、新しい仲間も増えます。また、アプリ内課金の新しい柱にしたいのがコスチュームです。コスチュームをつけることで、パワーアップしたり報酬が増えたりするものなのですが、複数買ってもすべてが永続的に有効な状態になります。賛否両論あるとは思いますが、このあたりを試したくて今回入れてみました。現在アプリ内課金が収益の6割を占めていますが、これでどのくらい変わるのか期待しています。

リリース2ヶ月の「結論」

 弊社は社員としては私1人でやってまして、その他ファンクションごとにプロの人に手伝ってもらっています。それでもしっかり長く遊んでもらえるゲームが作れて、その中でプレイヤーを上手くなった気にさせる、悔しい思いをさせて新しい戦略を考えてもらう、このあたりはゲームの企画寄りの話になってしまいますが、これがしっかりできていれば、広告とアプリ内課金の組み合わせで、たぶん少ないリソースのデベロッパでもそれなりの売上をあげることは十分可能だと思います(笑)。
 どれくらいのリソースをかけるか、どれくらいの目標をおくかも大切ですが、DAUをどれくらい重視するか、一人あたりの売上をどれだけ期待するか、が大きなキーになって、そこに向けてずっと遊んでもらえるゲームを作れば良いと思います。
 昔は動画広告の案件数も少なかったですし、そもそも「スマホで動画を見る」という文化もありませんでした。それから考えると恵まれた環境になっていると思います。これをうまく活用すると良いだろう、というのが私が2ヶ月強やってきた結論でございます。みなさんもあとは勇気を持ってやって頂ければいいと思います。

▼参考リンク
株式会社POLARIS-X(ポラリスエックス)
アドフリくんマネタイズナイトvol.4 ディベロッパーが語る!動画リワード実践術

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