株式会社VASILY 広告事業部長 白川 賢氏

[ad:tech tokyo 2015] iQON、by.S、MERYの広告責任者が語るスマホ女性メディアの広告戦略

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2015年12月14日]

IMG_1562
 今回は、「ad:tech tokyo 2015」で行われた、女性向けウェブメディアを展開している3社の広告責任者によるセッションをまとめた。登壇したのは株式会社VASILY白川 賢氏、株式会社サイバーエージェント山田陸氏、株式会社ディー・エヌ・エー長村禎庸氏の3名で、今後の広告戦略について語った。

サービスと主な広告手法の紹介

『iQON』(株式会社VASILY)

株式会社VASILY 広告事業部長 白川 賢氏

株式会社VASILY 広告事業部長 白川 賢氏

 『iQON(アイコン)』は、ファッション誌のスクラップ体験が出来るアプリです。現在のユーザー数は240万人で、主に消費意欲の高い女性に使ってもらっています。サイトに掲載されるコーディネートの数は1ヶ月6万種で、1日辺り2,000もの数が、新たに上がっている計算になります。

iqon
 ユーザーは非常にアクティブという特徴があります。『iQON』のサービスで出来ることは、スクラップブックのような形でファッションコーディネートを作ったり見たりすることと、雑誌記事の閲覧です。記事は講談社とコンテンツ連携をし、提供しています。ユーザーがコーディネートを作成する際は平均14分、1記事の閲覧にも2~3分かけていることから、比較的滞在時間が長いと言えます。さらにノンインセンティブにもかかわらず、積極的にアンケートにも答えていただけるため、非常にアクティブだと言うことが出来ます。

iqon2
 ここで出来る広告手法のうち一番ユニークなものは、ユーザー参加型のコンテンツマーケティングです。企業が伝えたいブランドメッセージや世界観を、ユーザーはコーディネート作成を通じて理解します。さらにアウトプットとして、ユーザーがコーディネートという表現で、企業メッセージを他のユーザーに拡散していきます。このことで見込み客のエンゲージメントが高まり、ファン育成、ブランド認知へと繋げることが出来ます。

『iQON』の代表的な広告手法

iqon3
 1つ目は伊藤園です。我々はファッションサービスを展開していますが、ファッションやコスメ以外のクライアントさんとのPR実績もあるという紹介です。伊藤園とはTEAS’TEAの広告として、オケージョン(場合、機会)別コーディネートの紹介を行いました。通常、飲料系クライアントだと、飲料体験の重視やボトルデザイン・フレーバー訴求がメインとなりますが、この時はそれに加えてオケージョン訴求を実施しました。旅行、ビーチなどといったシチュエーションとフレーバーを掛け合わせ、ユーザーのみなさんにそれぞれイメージするコーディネートをつくっていただいたところ、4,000を超える投稿が集まりました。

iqon5
 2つ目はiQONでつい先月までやっていた事例で、コスメ会社シュウウエムラとメゾンキツネがコラボした際に、店頭にてサンプルがもらえるという店舗送客を実現しました。シュウウエムラとのお仕事は2回目でしたが、この送客点を大きく評価していただけました。いずれも企業の新たなブランドメッセージや世界観を伝える展開をした事例です。

『by.S』『Spotlight』(株式会社サイバーエージェント)

株式会社サイバーエージェント 執行役員 Ameba広告部門統括 山田陸氏

株式会社サイバーエージェント 執行役員 Ameba広告部門統括 山田陸氏

 サイバーエージェントはいくつかキュレーションサービスを運営しています。『by.S(バイ・エス)』は働くおしゃれなOLがターゲットで、OLが求めているであろう高品質な情報を届けることを目指しています。現在、月間ユニークブラウザ数が1千万を超え、急激に伸びています。
byssumspotlightsum
 『Spotlight』は男性も含めたオールジャンル層へ提供するサービスで、心動かす新しい情報を日々提供しています。ユニークブラウザ数は『by.S』より多く、2千万です。強みは、ソーシャルのアクション数が高いことによる、FacebookやTwitterでの拡散力や付随するリーチです。『by.S』も同様の強みを持っています。

代表的な広告手法

spotlight
 記事広告を中心としています。我々の掲載記事は一見すると長く見えますが、記事質にこだわっているため、ユーザーの読了率が高いです。某電子機器メーカーの記事を書いた際は、ソーシャルでのアクション数が5,000を超え、リーチ数も稼ぎました。我々の広告商品「Amebaエディトリアルアド」は、タイアップ記事を作る際に用いられます。様々なところから取った、理解度・購買意向・印象などのデータを基に、ユーザーに適した記事を発信します。

───ソーシャルでのアクティビティが高いのはなぜしょうか。
山田 ソーシャルのファンページのいいね数を運用の際に意識しているからです。他のメディアと比べていいね数が多く、ユーザーとのエンゲージメントが高いため、ソーシャル上で表示がされやすくなっています。

───『by.S』『Spotlight』はキュレーションメディア、『iQON』はコーディネートアプリとして切り分けがされることが多いと思いますが、それを受けてのジレンマは感じていますか。
白川 『iQON』は、コーディネートだけではなく、雑誌に近いメディアとしても既にユーザーに認知されています。我々は一時期キュレーションではなく、「クリエイトなメディア」と言わせていただいていました。ユーザーがコンテンツを作りあげたり、雑誌の編集部と連携し、クオリティを担保した記事を作らせていただいたりしているからです。そこに自負を持っておりまして、だからこそ平均よりも長い滞在時間を獲得できていると考えています。そうした部分で我々は差別化をして、ユーザーに深く情報を届けられるという点を強みにしたいです。様々なキュレーションメディアが存在する中でそれらを競合として認識するより、我々がどのようにポジションを確立していくかを命題としています。

『MERY』(株式会社ディー・エヌ・エー)

株式会社ディー・エヌ・エー 広告ビジネス部部長 長村禎庸氏

株式会社ディー・エヌ・エー 広告ビジネス部部長 長村禎庸氏

 『MERY』は可愛くなりたい女の子のキュレーションメディアで、月間ユニークユーザー数は2,000万人です。モテたいというユーザーの気持ちにリンクするような、ファッション・グルメ・恋愛など、幅広い情報を扱っています。弊社も様々なキュレーションサイトを運営していますが、『MERY』はインスタグラムのファン数が多いことが、他のメディアと違っている点です。フォロワー数は10万人ほどで、この数はかなり多い方です。また、サービスを使った4人に1人が、モノを買った経験があるということで、他のメディアより購買に繋がりやすい点も特徴として挙げられます。

mery
 ネイティブアドの考えはすごくシンプルです。我々は商品の紹介をLPのようにやるのではなく、企業の気持ちとユーザーの気持ちを繋げるという編集の部分を大切にして行っています。例えば、大幸薬品の正露丸を『MERY』に掲載するのは、そのままだとなかなか出来ません。しかし、憧れの先輩が持ち歩いているかわいいパッケージの必須アイテムとして紹介することで、「あの先輩に近づける!」という訴求を行いました。このように、どのようなオーダーをいただいても、ユーザーの気持ちと企業の気持ちをしっかりつなげて、アクションに持っていくことを心がけています。

代表的な広告手法

ora2
まず1つ目はサンスターの『Ora2(オーラツー)』です。サンスターには、男性向けの商品であったOra2のブレスケアを、女性に訴求するのが難しいという課題がありました。この時は『MERY』でモデルをアサインして座談会を開催し、その会話の中で自然に「パッケージかわいいよね」「カバンに入るサイズだよね」などと話していただき、記事化しました。企業の伝えたいとユーザーの知りたいを、モデルやライターさんと立体的に作っていったという事例です。

もう1つはコーセーの記事です。この記事では冒頭に上戸彩さんのCM画像を使っています。しかしCM画像を使っているのはこの部分だけで、その他はすべて『MERY』が用意した素材を利用し、商品紹介をしています。これはつまり、上戸さんという強いビジュアルでユーザーの引きを強めつつも、CMのまとめ直しではない我々オリジナルの素材や文章を用いた記事であるということです。これにより、ユーザーへのブランディングから理解までをしっかり行うことが出来ます。

───女性向けメディアへの出稿となると、広告主のイメージが一定の業種に限られると考えがちですが、サンスターの実績を見るとそんなことはなさそうですね。実はかなり幅広い業種に広がっているということでしょうか。
長村 確かに編集体制がないとファッションやコスメに限定されてしまうと思います。しかし我々はそもそも扱っているジャンルが幅広いため、どんなオーダーをいただいてもそれを噛み砕いて伝えることで、様々な業種に対応することが可能です。

───広告主のカテゴリーは徐々に広がっていったのでしょうか。
長村 そうですね。はじめはファッションやコスメが主で、そこから徐々に広がりました。今ではほぼ全業種のクライアントが、定期的に入っています。

今後の広告戦略・展望

───ここからは自メディアや広告ビジネスの中で、今後どういったことに取り組んでいくのかについて伺いたいと思います。

『iQON』

白川 近ごろ市場で動画広告のニーズが高まっていますが、しっかりそこにポジションを置いていきたいです。我々は現在静止画で、女性系のアプリメディアを中心としたアドネットワークを構築させてもらっています。スタートしてから1年経ちますが、ここにプラスアルファし、動画アドネットワークの展開も進めていきたいです。既存の静止画アドネットワークが女性向けのアプリを中心としているので、エンゲージメントの高いファン層の女性に、しっかり動画でメッセージを届けられる仕組みの構築を目指しています。既に動画配信ベンダーと組み、年内リリースに向けて動いています。また、ファッションECと繋がっているので、ユーザーの消費行動や購買データが活用出来ます。こうしたデータも、動画アドネットワークの展開と共に付加価値として提供できたらと考えています。

───現在の静止画アドネットワークとしては、どれくらいのメディアと連携しているのでしょうか。
白川 10~15サービスです。

───では、メディアを本当に限定して、『iQON』とユーザーセグメントが近いメディアのみをネットワークとして出しているのですね。
白川 『iQON』のアドネットワークだけだと、アプリサービスの数はが10~15になるのですが、実は動画配信ベンダーの方でも、ブラウザサービス中心のネットワークを持たれているので、そこも同じようにやっていこうと考えています。

───動画アドネットワークでの広告形態はどうしていくのでしょうか。
白川 静止画はインフィードを中心にやっているので、それのリプレイスでと考えていますが、発注を頂ければ変えていきます。

───起動時に思い切り表示するような形ではやらないということですね。
白川 はい。あくまでネイティブな形で展開したいです。ぜひ楽しみにしていてください!

IMG_1558

『by.S』『Spotlight』

山田 今後やっていこうとしていることは、大きく2つあります。1つが編集力の強化です。先日広告の記事質も上げていくために、「エディトリアルアドスタジオ」という広告商品を作らせていただきました。30-40名の組織で編集力強化の体制を組んでいます。独自の判断ポイントを作り、それをどれだけ高めていけるかという点に注力してやっています。

───その30-40名というのは『by.S』や『Spotlight』の広告記事製作の人数ですか。
山田 はい、そうです。

───多いですね。
山田 本気でやろうと思っているからです。国内の記事広告単価が大体100万円であるのに対し、海外の有名企業が作っている記事広告は、1千万円近いことがあります。例えば今、100万円以上の広告を国内で作った際に、リーチ出来るメディアが1つだとすると、せっかくつくっても効果が発揮できずもったいないままで終わってしまいます。 ここで我々が広告の記事質を上げることが出来れば、ソーシャル上の拡散力を用いて色々な人にリーチ可能であるため、広告記事製作に100万円以上かけてもいいのではないかという発想が生まれます。こうした動きを市場として作り、広告に対しての在るべき思考を作り出していきたいと思っています。
 2つ目に注力したいのは、KPI設計です。これはここに登壇されている2社を含めた多くの企業と共に、記事広告の市場でやり切りたいことです。今の市場では、記事広告のKPI設計がされていません。リスティングやインフィードはダイレクトな効果で非常に分かりやすいと思うのですが、記事広告はを何のためにやるのかと考えた際に、定量的に示せる業界の当たり前がないため、その点をここに関わる皆でなんとか設計していきたいと考えています。自社で測ったものなのですが、リスティングから誘導されたユーザーのLP離脱率と、『by.S』から誘導されたユーザーのLP離脱率がほぼ同じくらいのスコアでした。基本リスティングはワードで入るので、商品に興味がある人しか入って来ませんが、記事広告はオーガニックに当たるので、この結果から、潜在層に対してのアプローチが有効と考えることが出来ます。この潜在層がLPに飛んだときに、リスティングと同じくらいの離脱率しかないというのが本当にすごいことだと思っています。読了率・PV・リーチなど総合的に鑑みたKPI設計をし、業界のルールを作っていきたいと思っています。

───ユーザーは質がいいから数を読み、ユーザーが数を読むから広告主は広告費を出したいと考える。本質を引き出す流れ作りですね。ただ、その記事の質が上がったかどうかはどのようにして計るのでしょうか。
山田 オリジナルチェック項目が100あり、それを全てクリアしたら100点としています。難しい問題ですが、転載メディアではなくオリジナルの記事を持っているという強みを伸ばすために、工夫すべき点だと考えています。

『MERY』

長村  クリエイティブが良いと結局何が良いのかという点は、正直曖昧だと感じています。広告事業として見たら、今は偉く楽な時代だと思います。「きれいだね」「コンセプトを体現してくれたね」「ありがとう」などと言われるのはすごく嬉しいことですが、これを曖昧なままで放っておくと継続的なビジネスにならない気がしています。そうすると、広告主の皆様にも本当の意味で役に立ちきれてないという反省が生まれます。
 良いものをつくろうとすることは広告事業者としての差別化であり、ユーザーに対しての提供価値でもあります。我々は『MERY』の全ての記事に読了率を計るタグをつけていて、自社で見ています。平均読了率は高く、80%くらいあります。そういうメディアはあまりないのではないかと思いますが、だから何なんだというのが僕らも言えません。完全に読了してくれると何が良いのかという点をしっかり示していかないと、「ネイティブアドっていうのが昔流行ったらしい。でも今はあまりやっていないみたい」と成りかねません。クリエイティブが良いと何が良いのかという点は、全てがすべて数値化出来るものではありませんが、何かしらのチャレンジしていかなければならないことです。その危機感に向き合っていきたいです。

iQON|おしゃれが見つかる、欲しいが買える。
by.S(バイ・エス) | 知ってる女性御用達の情報メディア
MERY [メリー]|女の子の毎日をかわいく。
アドテック東京 公式サイト

PageTopへ