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[ad:tech tokyo 2015]NewsPicksとDeNAの広告事業責任者が語る、スマホ時代のブランドデザイン

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by [2015年12月09日]

 「スマートフォン時代の新しいブランドデザイン」と題し、 株式会社ニューズピックス室井貴裕氏と、株式会社ディー・エヌ・エー長村禎庸氏の対談が行われた。モデレーターの株式会社ディー・エヌ・エー砥綿義幸氏の進行のもと、ブランディングの手法が語られた。(以下敬称略)

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ソーシャル経済ニュースアプリNewsPicksとは

───それではまず簡単に室井さん自身の自己紹介と、メディアの紹介をお願い致します。

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株式会社ニューズピックス ブランドデザインチーフディレクター 室井貴裕氏

室井 NewsPicksのブランドデザインチーム(広告チーム)事業責任者の室井と申します。NewsPicksのプラットフォーム自体は2013年の秋頃にローンチさせて頂いたんですけれども、なかなか広告メニューが出せない状況でした。2015年の3月から、クライアントさんのマーケティング活動に寄与させて頂けるように、広告の方も積極的に販売させて頂くようになりました。
 簡単に言うとNewsPicksはソーシャル経済ニュースアプリです。他のメディアとは違う点が3つございます。1つ目が、国内外のニュースをワンストップで読むことが出来る点。2つ目が、弊社の編集部による独自の切り口の記事。3つ目が、NewsPicksの大きな特徴である、一般のユーザーさんや有識者の方のコメントです。

───1記事あたり、どの程度コメントがつくんですか?

室井 編集部のコンテンツでは、反響が大きいものは500以上のコメントがあります。先日、ホリエモンさん対佐山さんの刺激的な対談があったんですが、そちらは4桁に近いコメントがつきました。コメント数はコンテンツに依存する傾向にあります。

───いろんな切り口のコメントを見ると、様々な視点で一つの物事を捉えられるようになって、賢くなった気がしますね。

室井 このスキームは代表の梅田のアイデアです。彼は外資系の証券会社時代に、毎朝ニュースを読み為替や金融の情報を得ていました。しかし、隣の先輩によるニュースの解説の方が彼のナレッジになった。なので、そういったことをソーシャルプラットフォーム上で出来ると世の中の人にとって役に立つと考えたわけです。

NewsPicksのユーザー層は管理職以上が3割

室井 現在96~97万人ほどのユーザー様に使用して頂いています。DAUは42~43万人ぐらいで、年内に100万人程度になることを想定しています。
 NewsPicksの非常に特徴的な部分としては、滞在時間の長さが挙げられます。経済の情報を入手して、コメントをしたり読んだりされる中で、ワンアクション11分、ヘビーユーザーの方で言うと40分ほど使っているという数値が取れています。

───「ヘビーユーザー」の特徴は何でしょう?

室井 コメントしてくださる方ですね。

───しかし、95万人の全購読者に対して、DAU40万人は素晴らしい比率です。いかに熱心なユーザーがいるか物語っています。毎日アクセスしてるぐらいの感覚ですよね。あと、メインユーザー層はこのあたりですよね。(スライド右を指しながら)
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室井 そうですね。ビジネス活動で意思決定権を持っている、一般企業でいう管理職以上の方が3割いらっしゃいます。

───課長になりたかったらNewsPicks読め、みたいな。(笑)

室井 NewsPicksで「日本のこれからの課長」みたいな特集をやらせて頂いた時は、なかなか反響は大きかったですね。また、アンケートをとってみると、NewsPicksのユーザーの目標として一番多かったのは課長でした。現場の責任者として頑張りたいっていう思いがあるみたいです。

質の高い送客でBtoBの広告主を獲得

室井 ここからは広告メニューの話になります。NewsPicksのプラットフォームは、クライアントさんのマーケティング活動にどのように寄与させて頂けるのか。
 1つ目は、ハイエンドなビジネスパーソンへ訴求出来ること。2つ目が、コミュニティをNewsPicks上で作れるということ。3つ目が、生活上の最大接触点であるスマートフォンに対し、最適なクリエイティブを内製していることです。
 コミュニティに関しては、「ブランド・アカウント」がございます。記事や動画、新商品のリリースを、定常的にビジネスパーソンに届けると同時に、フォロワーに対してはメールを送る等、ダイレクトマーケティングが出来ます。
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───今、何社ぐらいがアカウントを作られてるんですか?

室井 15社くらいですね。

───広告主さんはどういう方が多いですか?

室井 最初はBtoB系のクライアント様が多かったです。特に自身のメディアをお持ちですが、そちらに質の高い送客が出来ていなかったクライアント様が多かったです。最近は、モバイルでのブランディングや、ビジネスパーソンに対してリーチをしたいというようなBtoC系のクライアント様も増えてきました。

長村 私は、NewsPicksさんのユーザーの価値はすごく高いと思っています。例えば、Oracleさんの2,700人のフォロワーの価値は、他のメディアの2,700人の価値とは比較にならないくらいあると思います。

室井 「送客は出来るんだけれども、定着がぜんぜんしない」というクライアントさんも、NewsPicks経由のユーザーは自身のメディアに長時間滞在してくれるとおっしゃっていました。

長村 NewsPicksで広告主さんのコンテンツを読んだので、受け入れやすいのかもしれませんね。

室井 それを目指してクリエイティブを作っています。

───ダイレクトマーケティングはクライアントさんからフォロワーさんに直接できいるようにするんですよね。NewsPicksさんから、コンテンツのコントロールは行うんですか?

室井 ダイレクトメールを送る前に、内容のコンセンサスを取らせていただいています。

───あくまで記事に近い形でコンテンツを作っていただくんですか?

室井 基本はそうですね。もしくは、例えばフォロワー限定の採用イベントの告知も行わせてもらっています。クリエイティブを内製しているので、記事だけでなく、情報をビジュアライズに表現するインフォグラフィックや動画、スライドに漫画など、いろんな形でご用意してます。
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 動画と記事コンテンツをフィード広告として流せますが、全てにコメントがつくので、実際クライアント様が自身で作られたコンテンツがどう評価されているのか分かります。
 アカウントを開設して頂くと、ブランドのストーリーを我々とタイアップで作らせていただきます。そうして作ったストーリーやオウンドのコンテンツを、パネル、フィード形式でケースしていただき、クライアント様のファンをニューズピックス上に醸成していこうというメニューになっております。

 また、イレギュラーなものとして、ブランドカテゴリーというものがあります。カテゴリーは、政治経済、キャリア、スポーツなどに分かれていますが、クライアント様とそのカテゴリーを一緒に作ります。
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 例えば、IBMさんには、IBMさんのブランドアイデンティティーに親和性のある「イノベーション」というコピーをつけさせて頂きました。IBMさんのオウンドの記事や、我々のイノベーションに関する記事。イノベーションに関する他メディアの記事も入れてカテゴリーを作っています。

───なるほど。IBMさんのカテゴリーでも、IBMさんの記事だけじゃなくて、他のメディアも掲載しているんですね。

室井 その通りです。シビアなユーザーさんが多いので、そのクライアントさんのコンテンツだけだとむしろ、閲覧率が下がってしまう。カテゴリーの充実のためにも、他のメディアの記事を適切に組み合わせています。

───NewsPicksさんの記事広告ですごいと思ったのは、導入の成功事例だけじゃなくプロジェクトXのような壮大な読み物になっているということです。

室井 我々はクライアント様の記事を作るチームなんですが、編集部の記事以上にクオリティの高いコンテンツを出さないと読んでもらえない。アドコンテンツでもクオリティが高ければ、シビアなユーザーにも評価されるので、クオリティという点にはこだわっています。

───次に、アドコンテンツの導入事例の紹介をお願いします。

室井 アカウントのフォロワーを増やしていくのを一つのKPIにしています。そこでGE(ゼネラル・エレクトリック)さんの事例を紹介します。「はじめましてGE」というタイトルで、137年の歴史の中でエジソン含め9人しかCEOがいないという内容のコンテンツをインフォグラフィックで作りました。
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 その結果、3,500人ぐらいフォロワーがつきました。さらに、その中に、GEさんのアカウントのコンテンツを読んでコメントをつけてくれたのは1,000人いらっしゃった。しかも、そのユーザには平均15人ぐらいのフォロワーがいましたので、エンゲージメントが深い15,000人のユーザーが誕生しました。それに加えて、FacebookやTwiterでも拡散されていきます。いいコンテンツにいいコメントがつくので、そのコメントによってプロダクトやコーポレートブランドの価値が高まるという事例です。

───質のいい記事ができれば、そうした仕組みで、クライアントが直接アプローチ出来るユーザーが広がっていくということですね。

室井 2つ目が、リクルートキャリアさんとの取り組みです。簡単に言うと、記事を我々が作らせて頂いて、リードを獲得するというメニューです。マネーフォワードさんや、リンカーズさんの執行役員の方々に取材をし、どういうバックボーンでスタートアップに入ったか、というようなストーリーを作らせて頂きました。ユーザーさんに興味のある会社のアイコンを押していただくと、名前、アドレス、年収、学歴を登録できます。
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 すると、NewsPicksの上にそのデータが登録されます。それをリクルートキャリアさんが回収し、ブランディングとリードを同時にやらせていただいております。この座組みは不動産、金融資産、教育などにも応用できると考えています。

 我々は、こうした手法を「BtoBマーケティングソリューリョン」と呼んでいます。まず、記事で潜在層へリーチしコンテンツを拡散する。その中でフォロワーへ継続的に訴求し、より深いエンゲージメントを見込み客にします。最後に、リードとしてデータベースにたまったものにアプローチできるシステムです。

───BtoBで出稿されるお客さんは、何を指標にされるんですか。

室井 ひとつはオウンドコンテンツへの送客ですね。それに加えて、地上波で流されている動画がNewsPicksのハイエンドな層にどれだけ視認されたかも指標になります。他にも、我々独自のKPIでもあるコメントピットがあります。いいコメントがコンテンツにつくと、クライアント様のモチベーションもすごく上がるんですよね。

DeNAのブランディング事例 クリエイティブと企画の力

───これまでは、BtoBのメディアを用いたブランディングという話を頂いたので、次はDeNAからBtoCのブランディングの事例をご紹介していただきます。

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株式会社ディー・エヌ・エー 広告ビジネス部部長 長村禎庸氏

長村 サクッと我々の考え方をご紹介出来ればと思います。今までは、ブランドさんの商品のストーリーや効果、機能をしっかり取材して記事にしていくのが、我々がしてきたブランディングだったと思っています。つまり、企業さんの気持ちとユーザーさんの気持ちを編集が間に入って伝えるというのをやってきてました。1年間そのスタンスでやってきて、広告主様も大分広がってきまして、現在は次に何をやるかを考えるフェイズです。
編集力
 我々が考えるブランドデザインは、NewsPicksさんとは全然違いますが共通するものもあると思います。基本的には、BtoC向けのマーケティングで、主に3つを伸ばしていきたいと考えています。まず「クリエイティブの力」を使って、写真やテキストだけでなく動画で伝えます。2つ目は「企画の力」ですね。メディアの一部を広告主様と共同で運営するメディア融合やソーシャルもあります。Facebookだけでなく、Instagramも相性がよいです。MERYのInstagramアカウントのフォロワーは10万人いるんですよ。3つ目は「リーチの力」です。DeNAのキュレーションメディアは全て足してもらうと、月間ユニークユーザーが4000万人います。しかも、単にトラフィックを集めるサイトではなく、1つ1つ作り込んだ上での4000万人です。

 ここからは伸ばしたい3つの分野を具体的に紹介します。「クリエイティブの力」の例として、キリンビールさんとiemoで動画を作りました。

 動画担当の部門は無かったので、動画製作会社さんと一緒にやりました。iemoのイメージはDeNAが一番分かっているので、この動画に関しては動画製作よりもディレクションを主にやっていきましたね。
おうちの家具を冬じたく。ミルキーペイントで“ほっこりリメイク”はいかが? | iemo[イエモ]

 次に「企画の力」の例です。MARYとANNA SUIさんの、Instagramを使ったコラボキャンペーンの企画です。SNSを活かすことで、インタラクティブにブランディング出来るという事例です。
ANNA SUIのコスメをプレゼント♡ MERYでInstagramコンテスト開催!|MERY [メリー]

 三つ目はリーチの力です。MERYはアプリのインストール数も大分増えてきていて来月からCMも始まるので、単価を高くセッティングした上で提供します。 一方で、MERYのトップほどのプレミアではないんですけども、各メディアのファーストビューなんかをふまえてまとめて、ネットワーク化して届けようとPalette Videoを提供しています。
リーチ
この3つのブランディングを組み合わせながら広告主さんの課題に向き合っていくのが、我々の考える次のブランディングかなと思います。 

長村 例えば、オフホワイトとiemoでコラボしたとき、DIY関連記事のPVが増えてるんで、キリンさんのオフホワイトとDIYを組み合わせようっていうアプローチをしました。NewsPicksさんは広告を作るときどういう風にお客さんのニーズを見つけるんですか。

室井 ユーザーの方のニーズは編集のコンテンツで担保させてもらってるじゃないですか。それでは、ユーザーがNewsPicksに何を求めているのかっていうと、時事性なのか、テクノロジーなのか、それこそホリエモンさんと佐山さんの対談みたいな有識者の対談なのかということを、編集長を筆頭に考えています。

長村 ブランディングストーリーに関しては、広告主さんに向き合って、伝えたいことを把握しながら作っていくといった感じですかね。
 また、室井さんにお聞きしたいのは、御社はコンテンツを作るチームをユーザー向けと広告主様向けで分けていますが、弊社のほうでは分けていません。広告専門の製作チームは必要なんでしょうか。

室井 クライアント様から対価を得てクリエイティブさせていただくものと、パブリッシャーとして編集部から出しているコンテンツとは分断されているほうが、ジャーナリズムの精神としては正しいので、そうした判断から分離させています。

───最後にこれから取り組んで生きたいブランディングや、こういう風にしたいという展望をお話ください。

室井 我々がクライアント様に向けて提供出来るものを非常に重要視していきたいですね。加えて、いろんなKPIがありますが、見たお客さんがどんな態度変容をしたかとか、実際にリードとなってくれたブランディング情勢と実際獲得出来るリード部分とをどうやって両立させていくのかというのが、僕も全然解は見えてないのですけれど、今後のNewsPicksが取り組む課題かなと思います。

長村 僕は昨日アドテックの公式スピークでスマートニュースの川崎さんと話す機会がありました。そこでも言ったんですが、アドブロックがなぜ使われるのかというと、結局ユーザーさんが不快だったからブロックされるわけです。その理由は、ウェブの広告にかけるコストの低さにあると思います。安価な制作費で効率的にユーザーを獲得するために、広告がチープとなり、ブロックされてしまうんです。ですので、クリエイティブに努力をして、ユーザーフレンドリーな広告を作って、もっともっといい体験を提供したいと考えています。

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