現行ソニー製β・ED BETA方式ビデオカセットテープ

1つの時代の終焉 ~ソニー、βビデオカセットおよびマイクロMVカセットテープの出荷終了を告知~

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by [2015年11月24日]

現行ソニー製β・ED BETA方式ビデオカセットテープ

現行ソニー製β・ED BETA方式ビデオカセットテープ

地上波テレビ放送のデジタル化が事実上完了し、テレビの録画に記録型ブルーレイディスクやハードディスク、あるいはSSDをはじめとするフラッシュメモリを利用する記録デバイスが使用されるのが当たり前になってきた昨今、「ビデオカセットテープ」という映像記録媒体がある/あったことさえ意識されなくなってきています。

そもそも、「ビデオレンタル」ショップに行っても並んでいるのはDVD VideoディスクやBD Videoディスクがほとんどで、よほど特殊な店でも無い限りレンタルのビデオカセットテープにお目にかかる機会がなくなってしまっています。

また、家電量販店に行ってテレビ録画用の機器を買い求める際にも今やDVDレコーダやBDレコーダ、あるいはハードディスクレコーダばかりで「ビデオデッキ」を見かけることは珍しくなってしまっているのですから、それも致し方ないところなのですが、このほど、ソニーからβ(ベータ)ビデオカセットおよびマイクロMVカセットテープの出荷が来年3月までに終了することがアナウンスされました。

ソニー製マイクロMV方式ビデオカセットテープ店頭でもこんな製品、見かけたことがない、とおっしゃる方も少なくないのではなかろうか

ソニー製マイクロMV方式ビデオカセットテープ
店頭でもこんな製品、見かけたことがない、とおっしゃる方も少なくないのではなかろうか

日本国内ではわずか4機種の対応ビデオカメラが細々と発売されただけで、愛用者の方には大変失礼ながら社会的にもほとんど影響もなさそうなマイクロMVカセットテープはともかく、1970年代後半から1980年代中盤まで日本の家電業界を二分して熾烈な販売競争・シェア争奪戦が繰り広げられたあの「ビデオ戦争」の一方の主役であり、かつては高画質録画媒体としてマニア層の熱狂的な支持を集めたβビデオカセットの出荷終了は、かつて大学生時代にこのβ方式の最上位規格であるED Beta(Extended Definition Beta)対応ビデオデッキを愛用していた筆者には、1つの時代の終焉を告げる出来事として何とも感慨深いものがあります。

そこで今回はこのβ方式と、その最大のライバルであり、同時に「ビデオ戦争」の勝者となったVHS方式を中心(※注1)にビデオカセットテープ規格の盛衰について考えてみたいと思います。

 ※注1:家庭用ビデオテープには、この他携帯用ビデオカメラのための8mmビデオ方式やその対抗馬となったVHS-C方式、それらのデジタル記録化された後継としてのDV方式などがあったのですが、これらについては割愛します。

黎明期のビデオテープ規格

家庭用ビデオテープと、その録画再生用ビデオデッキの標準規格の事実上の始まりとなったのは、1/2インチ(12.65mm)幅のテープを用いるオープンリール式の「統一I型」と呼ばれる規格(1969年制定)でした。

この方式はテープがオープンリール、つまり磁気テープが剥き出しの状態のリールに巻き取られて保存され、録画再生時にデッキのヘッドに巻き付けるようにセットして使用するという、およそユーザーフレンドリーとは言いがたい仕様・構造で、オランダ・フィリップス社によって開発された音楽用のコンパクトカセットテープが(磁気ヘッド接触部が開口しているものの)全体をカセットに格納して極力ユーザーが磁気テープそのものに触れることがないよう配慮されていたのと比較すれば、とてもお手軽な一般家庭用とは言いがたい代物でした。

Uローディング テープ走行経路概念図ビデオカセット内から引き出されたビデオテープはガイドによって円弧を描くようにして回転ヘッドドラムの周囲をぐるりと回る形でロードされ、無理な負担をかけずにヘッドに巻き付けられるように工夫されている

Uローディング テープ走行経路概念図
ビデオカセット内から引き出されたビデオテープはガイドによって円弧を描くようにして回転ヘッドドラムの周囲をぐるりと回る形でロードされ、無理な負担をかけずにヘッドに巻き付けられるように工夫されている

そのため、この「統一I型」の出現から程ない1971年にソニーが世界初の市販ビデオカセットテープ規格として発表した「Uマチック」は、その取り扱いの簡便さとUローディングと名付けられたテープに負担をかけないローディング方式の優秀さもあって、大きな支持を集めることになりました。

もっとも、この「Uマチック」ビデオテープのテープ幅は3/4インチ(約19mm)と広く、カセットもそのサイズが186mm×123mm×32mmと恐ろしく巨大で、その割に録画可能時間は約1時間しかなく、家庭への本格的な普及は進みませんでした。

家庭用の本命となった1/2インチテープビデオカセットの規格争い

そのため、一般家庭にビデオデッキを普及させるには、より小型でより長時間録画の可能な方式の開発が求められました。

具体的には、統一I型でも使用されていた1/2インチテープを使用したビデオカセットテープの開発が求められ、1974年にUマチックのオリジネイターであるソニーによってまずβ方式として最初のビデオテープレコーダーとその対応テープが開発され、翌1975年から市販開始されました。

この方式ではUマチックの構造をほぼそのまま踏襲の上でダウンサイジングされました。そのため、Uローディングがそのまま採用されており、これにより非常に高い応答性が実現され、またテープに無理な負担をかけない走行経路形状であることから特殊再生や高精度編集、あるいは高速早送り・巻き戻しに有利という大きなメリットがありました。

一方、このβ方式に少し遅れて、日本ビクター(現・JVCケンウッド)からVHS(Video Home System)方式ビデオデッキとその対応ビデオカセットテープが発表されました。

M-Loading

Mローディング テープ走行経路概念図
Uローディングと比較して一見単純に見えるが、実は回転ヘッドドラム左右のガイドが図の上下方向で複雑に動く必要があってヘッドドラムは単純だがローディング機構そのものは意外と複雑で、また2回鋭角的にテープを折り曲げるようにして方向転換する必要もあるため「テープに優しくない」方式である

こちらもβ方式と同様に1/2インチ幅のテープに記録するのですが、Uローディングを採用するβ方式と比較すると編集などでは不利でテープにかかる負担も大きいものの、安くメカデッキを作れるMローディング方式(※注2)を採用し、さらに将来的な長時間録画対応を見据えてより大型のカセットとするなど、単純にテレビ番組を録画再生するだけなら、あるいはデュプリケートされた市販ソフトを視聴するだけなら、こちらの方がより有利な設計となっていました。

 ※注2:ヘッド周りは簡素化できますが、ローディングによりMの字状の走行経路形状となることからテープに相当な負担がかかり、またテープ自体の走行安定性も低くなるため、高速早送り・巻き戻しや特殊再生などが行いにくくなっています。なお、このMローディング方式を開発し特許権を保有していたのは実はソニーで、VHS方式のビデオデッキが売れれば売れるほど、β方式の首魁である同社に(クロスライセンス契約を結んでいない)VHS方式陣営に属するメーカー各社から巨額の特許料が支払われるという皮肉な状況が特許権の切れる1990年代まで続きました。

これらβ方式とVHS方式は、当時の仕様で比較する限りは一長一短でした。

端的に言ってしまうと、画質面で有利で編集しやすいもののその分複雑な構造でどうしても高価になりがちなβ方式と、画質面で不利で編集しにくいものの単純な作りで廉価に製造できて標準モードでの最大記録時間が最初から2時間と長く取れたVHS方式ということで、こうした特性差からβ方式は自分で撮影・編集を行うようなマニア層の支持が厚く、VHS方式は借りてきたレンタルビデオソフトを視聴できればそれでよい、あるいはテレビ番組を1本のテープに長時間録画したい、といったカジュアルユーザーから支持される形で普及してゆきました。

結論から言うとこの2方式の一般市場での競争は、β方式の開発元であるソニーの致命的な戦略ミスもあってβ方式の敗北=VHS方式の普及という形で終わった(※注3)のですが、先に少し触れたようにβ方式にはコマ送り操作を非常に正確に行え、編集が行いやすく、しかも改良規格の1つであるHi-Band Beta方式であればNTSC規格によるテレビ放送の録画において必要十分な性能を備えていてVHSを上回る画質が得られるという大きな利点があったため、市場の趨勢が定まった後もマニア層の支持は根強いものがありました。

 ※注3:最後までβ方式にこだわったソニーも、1988年以降は家庭用としてVHS方式ビデオデッキの製造販売を開始しています。もっとも、業務用ではβ方式のコンパクトでしかも編集が容易かつ正確に行えるという利点が高く評価され、テープ走行速度を3倍以上に高めてより高画質での記録を可能としたBETACAM方式(およびその後継規格)がアナログ時代を通じてカムコーダ用として広く普及し、事実上の業界標準規格となっていました。

究極のβ

更に1987年には、ED Beta(Extended Definition Beta:拡張解像度ベータ)方式という、保磁力の高いメタル磁性体を使用することで水平解像度500本を実現し、当時の競合規格であるS-VHS方式(水平解像度400本以上)を上回る高い輝度信号記録を可能とした、開発当時としては破格の高画質方式(※注4)が発表されました。

 ※注4:もっとも最初に発表された1987年の時点でこの方式を上回る画質の映像ソースが一般に存在せず、そのため一般には真価を発揮する機会がほとんどありませんでした。

しかもこの方式に対応するビデオデッキの初号機種の1つであるEDV-9000(※注5)の編集機能が抜群に良くできていたことから、一部のマニアの間ではこの機種を2台並べて録画テープの編集を行うことが流行しました。

 ※注5:下位モデルのEDV-5000と同時発表。あまりの完成度の高さとユーザーの支持の厚さ、それにこれ以上ED Beta方式対応ビデオデッキの新規開発を行えないというソニーの社内事情などから、1987年2月の発売開始から2002年8月のβ方式ビデオデッキ生産終了まで実に15年半に渡ってモデルチェンジのないまま現行機種であり続けました。

冒頭でも触れましたが、筆者自身は1990年代中盤から20世紀の終わり近くまでにかけての約4年ほどの間、このED Beta方式対応ビデオデッキ(EDV-7000)とその対抗規格と目されていたS-VHS方式対応ビデオデッキ(三菱電機 HV-V700)の2台を愛用していました。これら2台の間でED BetaテープとS-VHS方式テープを使用して(S端子経由で)ダビング編集を行った際の画質劣化の少なさや、それなり以上に高性能なLD(レーザーディスク)プレイヤー(KENWOOD LVD-Z1)で再生した映像の録画を行った際の性能比較で、ED Beta方式のキャパシティの突き抜けた高さにただただ感嘆させられた(※注6)のをよく覚えています。

 ※注6:ただし地上波アナログテレビ放送を含め、一般に複合させて送受信されることの多かったY(輝度)信号とC(色)信号の分離については、EDV-7000はその開発時期の早さが祟って後発のS-VHS機と比較して画質的に不利でした。そのため自機内蔵チューナーによる地上波放送などの録画については、世代が新しく三次元Y/C分離などの新技術を満載したHV-V700の方が、テープそのもののキャパシティでは下回るにもかかわらずより高画質に記録できていました。

当時はまだMPEG2圧縮も規格制定されておらず、アナログ記録での高画質化や高音質化が特にS-VHS対応機種を製造販売する各社で追求されていたのですが、そうした潮流の中で見てもED Betaの画質は突出していました。

もちろん、当時登場したばかりのW-VHS(※注7)と比較すれば開発時期が先行する分スペック的にどうしても見劣りする部分がありましたが、それでもこの時代の映像ソースに対しては当時のBS9、つまりNHKによる衛星アナログハイビジョン試験放送やほとんど市販ソフトの供給されなかったハイビジョンLDを別にすれば十分すぎるほどの性能であったのです。

 ※注7:1993年に日本ビクターが開発した、アナログ映像信号記録によるVHS方式の頂点。当時衛星放送で試験放送の始まっていたアナログハイビジョン映像の録画を目的として開発され、ED Beta方式と同様にメタルテープを使用することで、HDモードではアナログハイビジョン放送をMUSE圧縮なしでのベースバンド信号のまま記録可能とするという驚異的な高性能を実現しました。

βの終わった後で

こうした高画質化の流れは、β方式が市場撤退した後もS-VHS方式やW-VHS方式によって追求されたのですが、結局はテレビ放送が技術の進歩や放送電波の周波数帯域割り当て見直しなどの必要からデジタル化されることになってアナログ方式のままでの進化はそこで終わりました。W-VHSはあまりの高コスト(※注8)もあって事実上HR-W1・HR-W5の2機種のみで終わり、S-VHSも後継はData VHSことD-VHS(※注9)となってビデオテープはデジタル放送のストリーミングデータを保管するためのデータストレージになってしまいました。

 ※注8:2000年代に入って筆者はこのW-VHS方式のビデオレコーダー(HR-W1)を使用していたのですが、その修理の際にメーカー窓口で聞いたところでは心臓部となる録画ヘッド部分の部品代が10万円以上するとのことで、S-VHS対応製品などのそれと比較してあまりの高価さに驚愕した記憶があります。
 ※注9:地上波デジタル放送などで採用されているMPEG2-TSの動画ストリーミングデータをそのまま「データ」としてデジタル記録する方式。このため、通常のアナログ映像信号をD-VHS方式で録画しアナログ出力経由で再生する際には、デッキなどに搭載されたMPEG2 エンコーダ/デコーダによってMPEG2-TSに変換して記録し、再生時に復元する必要があります。

ここまで来るともう、磁気記録テープによるメディアでなければならない必然性はほとんど残っていません。

実際、このD-VHS方式はS-VHS方式に代わるものとしてデビューしたものの、それから数年でDVD-Rやハードディスクドライブを使用した録画機が製品化されるようになり、一気にそのニーズは低下しました。

それでもしばらく存続したのは、DVD-RではフルHD解像度のデジタルハイビジョン放送を記録するには容量が不足し、大容量のD-VHSテープ(※注10)以外に録画データを書き出す手段が事実上存在しなかったためです。

 ※注10:収録時間が最長のDF-480タイプのテープ1本で最大容量が約50GB、ハイビジョン録画のHSモード換算で4時間(480分)録画可能で、現在の2層Blu-rayメディア1枚に匹敵する容量が確保されています。DVD-Rでは2層メディアでも1枚あたりの公称容量が8.5GBで、HD/フルHD解像度での録画をサポートした規格が用意されていませんでしたから、この時点ではD-VHSには他に代えがたい存在価値があったわけです。

こうして、β方式が事実上の終焉を迎えた後もなお進化を続けていたVHS方式は、家庭用としてはDVDレコーダの新規開発が終了し、BD-RメディアによるBDレコーダが一般に広く市販されるようになった2010年頃の時点でその歴史的使命をほぼ終えたと言え、対応ビデオデッキも以後はDVDレコーダなどとの複合機や比較的ローエンドの既存機種、あるいはそれらのマイナーチェンジモデルの製造販売が細々と続けられるのみとなりました。

業務用として生き続けているビデオカセットテープ

SONY SRW-5800 製品紹介ページ現在もなお販売が続けられている業務用HDCAM-SR対応デジタルレコーダ。オプションボード追加により4K2K映像のリアルタイム録再にも対応する。テープそのものは磁性体などがかなり変わっているが、カセット構造は通常のβ方式とほとんど変わりが無い

SONY SRW-5800 製品紹介ページ
現在もなお販売が続けられている業務用HDCAM-SR対応デジタルレコーダ。オプションボード追加により4K2K映像のリアルタイム録再にも対応する。テープそのものは磁性体などがかなり変わっているが、カセット構造は通常のβ方式とほとんど変わりが無い

しかし、実は業務用としての磁気記録テープによるビデオカセットテープは、今も現役の座にとどまり続けています。

これはムービーカメラ、特に放送用などの業務用機の場合、揺れや衝撃に対する要求が特に厳しく、光学記録メディアを利用するDVD-RやBD-Rなどではこれを満たすのが難しかったためです。

そのため、DVテープを使用してHDデジタルビデオ記録を実現したHDV方式が開発され、テレビ放送やビデオ制作の現場で多用され続けていますし、それどころか、β方式の業務用規格であるBETACAMをデジタル記録化したDigital BETACAMやその後継でHD対応となったHDCAMなどの各方式も今なお業務用として放送局などで幅広く使用され続けています。

実は、これまで年間の出荷本数がわずか3桁台になるまで激減し続ける状況下にあってなお、そして対応ビデオデッキの生産が完了してから既に13年が経過したにもかかわらずβ方式やED BETA方式のカセットテープの生産・販売が細々とでも続けられてきたのは、カセットの構造がほぼ共通で同じ1/2インチテープを使用するこれらBETACAM系業務用規格が現役であり続けていて、部材供給面での問題が少なかったからなのです。

ビクターアドバンストメディアのVHSビデオテープ製品紹介ページプレスリリースでは特に告知されていないが、実は同社ではW-VHS・D-VHS・S-VHSの上位3規格だけでなく、ノーマルのVHSテープさえも既に生産完了扱いとなってしまっている

ビクターアドバンストメディアのVHSビデオテープ製品紹介ページ
プレスリリースでは特に告知されていないが、実は同社ではW-VHS・D-VHS・S-VHSの上位3規格だけでなく、ノーマルのVHSテープさえも既に生産完了扱いとなってしまっている

これに対し、ローディング機構の制約などが原因で編集用途に使いづらく、またBETACAMが事実上の業界標準規格となった状況で、そうした業務用上位規格を持たなかった/まともに普及させられなかったVHS陣営の各方式は、そのシェアの大きさにもかかわらず上位規格から順番にあっという間にテープの供給が打ち切られてしまいつつあって(※注11)、規格の事実上の終了後も細々とでも長期にわたって新品テープの安定供給が続けられたβ方式とは対照的な状況になっています。

 ※注11:例えば医療機関向けでは、高画質で改竄が行いにくいアナログHD記録のできるW-VHSが手術記録などの業務用途でそのまま利用されていました。しかし規格開発元である日本ビクターのビデオテープ製造販売を引き継いだビクターアドバンストメディアにおいてさえVHS方式対応ビデオテープは既に全て生産完了となっていて、特にHDモード(アナログハイビジョン録画モード)を利用する場合は他のタイプのテープで代用がきかない上にビクター1社のみの供給であったW-VHSテープの新規購入は、業務・民生を問わず絶望的な状況となっています。

ビデオ戦争の真の勝者は?

こうしてみると、市販ソフトの供給でも対応ビデオデッキの供給でも不利な状況にあったはずのβ方式の方が(ユーザーレベルでは)結果的に長く安定的に使えたということで、販売期間のばらつきから同じソニー製ビデオデッキでも修理対応には機種によってかなりの差があった(※注12)ようですし、未だ対応ビデオデッキの新品が曲がりなりにでも手に入るVHS方式とは異なり現存ビデオデッキのメーカー修理すら期待できませんが、(勝敗は既に意味の無いことになってしまっているとは言え)果たしてビデオ戦争の最終的な勝者がどちらであったのか、考え込まざるを得ない状況にあります。

 ※注12:例えば筆者が保有していたEDV-7000は先発の普及機であるEDV-5000とハイエンド機であるEDV-9000の間という割と微妙な立ち位置が祟ってか、元々生産数が少なく早期に生産打ち切り・販売終了となったため、1990年代の終わりには専用設計であったローディングメカの重要部分の補修部品在庫が尽きていてメーカーでの修理を拒否され、泣く泣く廃棄せざるを得なくなりました。一方、それより発売開始時期の古いEDV-9000は2002年夏まで販売が続いたため、少なくとも(生産打ち切り後8年となる)2010年頃まではメーカー修理が期待できました。

この種の記録機器は、記録メディアの供給が終わった時が事実上その規格の終わりであると言え、そういう意味では規格のオリジネイターである太陽誘電が年内でのメディア製造販売終了を予告しているCD-R(1989年~)などもそろそろ終わりが見え始めています。そう考えると、初号機登場から40年もメディアの供給が(開発元であるソニーが深刻な経営危機に陥っても、またその価格がVHS方式のそれに比して割高であっても)途切れること無く続けられたβ方式は、シェアの多寡はともかく随分幸運な規格だったと言っても良いのでは無いでしょうか。

▼参考リンク
Sony Japan | ニュースリリース | ベータビデオカセットおよびマイクロMVカセットテープ出荷終了のお知らせ
Sony Japan | Sony History 第1章 ビデオもカセットに
商品の特長 | SRW-5800 | HDCAM-SR | カムコーダー/レコーダー/プレーヤー | 法人のお客様 | ソニー
>S-VHS/D-VHS/W-VHSビデオテープ生産完了のお知らせ ビクターアドバンストメディア
太陽誘電プレスリリース:記録製品事業からの撤退について(PDF)

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