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人工知能は東大に合格できるか? ~東ロボ君の軌跡を追う~

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by [2015年11月30日]

 日本最高学府である東京大学の入学試験を突破しようと取り組む一人(?)のロボットがいた。その名も東ロボ君。今回は彼のこれまでの軌跡を追ってみた。

人工知能はどこまで発達できるのか

 人工知能による東大合格を目指すこのプロジェクトは国立情報学研究所が中心となって、行われている国内最大級の人工知能研究である。近年のビッグデータの解析と機械学習の発達により、このようなプロジェクトが誕生したが、決してその道のりは簡単なものではないようだ。

今のAIは統計的に処理してるだけ

 ニコニコ生放送で放送された「電王戦」などで、将棋ソフトが、プロ棋士に勝利したこともあって、多くの人が人工知能が、すぐに東大に受かるのではないかと思いがちだが、入試には、将棋とは違った難しさがある。
 将棋の場合は、統計的な処理さえすればよい。つまり、その状況で最も勝つ確率が高い手を打てば良いわけである。一方で、入試の場合はマーク式のセンター試験はともかく、論述式の二次試験では、問題の意味を理解し、答えなくてはならないのだ。

実際に東ロボ君の最新のテスト結果を見てみると……

こちらは2015年11月時点での東ロボ君の成績。まずはセンター試験から…キャプチャxzx
 センター試験は全体の偏差値が57.8とまずまずの結果を残している。特に数学や地歴は偏差値が60近くと、なかなか良い成績を残している。一方で、英語や国語は苦手としているようだ。
 PC Watchによると、代々木ゼミナールの講師陣は、英語は言い換えやダミーの選択肢を判別できない一方で、知識系が得点源になっていると分析している。国語は文脈理解が乏しく消去法を使えない、主語の把握が出来ていないことが問題だという。
次に二次試験を見ていこう。
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 センター試験で比較的好成績を残した数学だが、二次試験では散々な結果となっている。文系向け数学も理系数学も学生平均を大きく下回っている。一方で同じくセンター試験で好成績だった世界史は二次試験でも学生平均を超えている。

果たして将来的に、合格できるのか

 今回のプロジェクトの指揮を執る新井紀子教授は、偏差値60程度までの成長は見込めるが、東大合格は不可能だと分析する。入試問題などビッグデータが得られにくい分野や個別、具体的な要素を持つ分野は人工知能が活躍するのには難しいというのだ。

東ロボ君がもたらすもの

 もし、東ロボ君のチャレンジが失敗する公算が高いとしても、そこから得られるものはたしかにある。それは、人間の身体性や心の領域に踏み込むことができる可能性があるということだ。
 例えば、東ロボ君が物理の入試問題に取り組むことで、人間が体験して身につける物理法則を学習することが出来る。こうした体験的な知識を身につければロボットはより人間らしくなる。また、国語の入試問題では文章表現力が求められる。すなわち、人間の気持ちを理解し、心や感情といった要素を学習する必要があるのだ。
 東ロボ君の合格への道は長く険しいものであるが、人間らしい人工知能、ヒューマノイドロボットの開発の第一歩として、大きく貢献するプロジェクトであることは間違いないだろう。

●関連リンク
ロボットは東大に入れるか2015 結果概況
今の人工知能に解ける問題と解けない問題
~AIによる東大合格を目指すプロジェクト成果発表会レポート

ロボットは東大に入れるか
NII Today 第60号/2013年6月発行 人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか。」

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