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MRも登場していよいよSFの世界へ「AR・VRの描く現実の限界と課題」【CEATEC JAPAN 2015】

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by [2015年10月15日]

 アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展『CEATEC JAPAN 2015』のコンファレンスにて、Oculus RiftやPlayStation VRで話題のAR・VRに関するセッション「AR・VRの描く現実の限界と課題」がありました。スピーカーは、株式会社野村総合研究所ICT・メディア産業コンサルティング部でコンサルタントを務める山岸京介氏(写真)です。

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視界に情報を付加するAR、人工的に現実を創るVR

 端的に言うとARは、視界に情報の付加が可能なもの、VRは着席してのゲームやシミュレーションサービスで活用されるものです。
 AR(Augmented Reality:拡張現実)は現実世界に仮想の情報提示を行う、いわば「より物体・情報を分かりやすくする」サービスです。ARの世界にはビジョンベースと、ロケーションベースがあります。ビジョンベースはさらにマーカータイプとマーカーレスタイプに分けられます。マーカータイプはQRコードのような決まった図形を認識することによって、その図形の上や指定され座標に情報を提示します。家具販売店のIKEAは、カタログにARマーカーを掲載し、それを設置したい場所に置くことでスマートフォンのアプリを通じて部屋の家具のサイズ感や配置などが確認できます。
 マーカーレスタイプは現実の環境に実在する物体や空間そのものを認識・識別して、それを元に提示位置を特定し情報を出現させます。事例としては自動車メーカーのフェラーリが「Ferrari AR Showroom」を展開しています。ディーラーでスマホのカメラで自動車を覗くと、自動車の内部構造やカラーバリエーションを見ることができます。
 ロケーションベースは位置情報タイプと呼ばれるもので、GPSなどから取得できる位置情報に付随して付加的情報を表示します。事例としては『山カメラ。』があります。山カメラ。はスマートフォンのカメラを各地の山や名所に向けると、GPSの向きや座標から対象を特定し、画面上にその名称や説明を表示します。
 blippar(ブリッパー)と呼ばれるARのサービスもあります。blipparはアメリカで各企業のロゴを使って情報をさらに表示させるようなサービスを提供しています。例えば、ある調味料のロゴをスマートフォンのカメラにかざすと、スクリーンに本が出てきます。それをめくると商品に関連したレシピなどが閲覧できるようになっています。
 今後は食品の安全を確保するためのトレーサビリティ(ある食品がいつ、どこで、どのような経路をたどってきたのかを可視化すること)が、blipparによって簡単に消費者も理解することができるようになるでしょう。
 一方のVR(Virtual Reality:仮想現実)はゴーグルを装着した頭の動きに反応してゲームや映像が動きます。仮想の情報を元に人工的に現実感を構築する、いわば「現実を創る」ものです。
 弊社ではVRを2つのタイプに定義しています。1つは仮想物体やデータによって現実に存在しない物体や風景を表現するフィクションタイプ。もう1つは現実世界に実在する人やモノを表現するノンフィクションタイプです。
 フィクションタイプは、3DゲームやCGアニメーションにおいて仮想のキャラクターや都市が構成されています。近年の目覚しいグラフィック技術の向上によって、仮想のキャラクターは実際の人間との見分けがつかなくなっています。
 ノンフィクションタイプは、VRジャーナリズムという手法が稼動しており、一般の人が行けないような紛争地帯や貧困地域の実情を実体験できます。これにより報道のリアリティ向上を追及しています。
 AR・VRの発展は、ディスプレイの高精細化や小型化、および情報処理容量・速度の進化が現実感を増すことに大きく貢献しています。さらに今は360度撮影カメラを用いることで、ベースとなる映像も簡単に全方位対応が可能になりました。
CPUの性能=情報処理能力を上げることで、ARのサービス上で表現できる情報量が増えました。高速なCPUによってタイムラグが少なくなり、現実の視界との連動性が上がりました。
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AR・VRはどの市場で活躍できるのか、その市場の中でどこを目指すべきか

 今後、AR・VRの市場は、東京オリンピック開催年度の2020年に世界で1500億ドル(約18兆円)になると予想されています(Digi-Capital社調べ)。
 特にARの関連サービスは目覚しく発展しそうです。ARはハードウェアの売り上げが大きいですが、VRにはないaCommerce(ARを活用したコマース事業)やBtoB(BtoC)ビジネスに占める割合に注目です。小売店の中でも、aCommerceを利用した販売促進やマーケティングを行う企業が増えてくると思われます。
 ARのハードウェアとして期待されたスマートグラスですが、Googleが個人向け販売を中止するなど、プライバシーや安全性の懸念があります。また弊社で行ったスマートグラスに関するアンケートによると、価格以外では、装着時のデザイン性や重量、他の着用物との競合など個人のフィッティング関係をどうするかが導入の障壁になっていることがわかりました。
 VRは、3次元での空間性、実時間相互作用性、自己投射性の3要素が求められると定義されていて、ヘッドマウントディスプレイなど、視界を限定して没入感がある機器との親和性が高いと考えられます。
 ゲーム業界におけるVRは、今までゲームを楽しんできたり、ゲームにお金を費やす人にとってはかなり新しく期待値が高いといえます。弊社のアンケート調査結果でも、家庭用ゲーム機を持っていない人に比べ、家庭用ゲーム機で遊んでいる人では約4倍(6%⇒24%)の関心の高さが示されています。
 しかし、コンテンツ、つまりゲームの中身そのものが面白くないと利用促進にはつながらないのではと思います。

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AR+VR=MR

 最近では、ARとVRを合わせたようなMR(Mixes Reality:複合現実)も登場してきています。弊社では、MRを「現実世界に仮想現実を映し出し、そこに空間性、相互作用性、自己投射性を持たせるサービス」と定義しています。電子情報を現実世界の中で「視る」だけでなく「触る」ことができるようになるイメージです。

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 MRサービスで有名なのはMagicLeapです。現実の中でヴァーチャルが動いています。エンターテインメント要素があります。

MajicLeapによるデモ映像

 マイクロソフトもMagicLeapに対抗するMRサービスとしてHololensの開発を進めており、MRを日常生活の中で使えるようなサービスを目指しています。

 AR・VR市場の大半は、ARが牽引しaCommerce事業の広がりが期待されています。VRはエンタメ分野を中心に市場を拡大しゲーム好き以外への訴求が今後の課題となってくるでしょう。そして将来的には、AR・VR双方の技術はMRとして融合し、より一層リアルとネットの境目が曖昧な世界が現れるのではないでしょうか?

▼参考リンク
NRI 野村総合研究所
CEATEC JAPAN 2015

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