The Startup 代表取締役梅木雄平氏

pairs、Omiai、ゼクシイ恋結びのトップが語るマッチングビジネスの未来【B Dash Camp】

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by [2015年9月30日]

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 2015年9月17日から18日にかけて開催されたB Dash Camp 2015 Fall in Kyotoより、「マッチングビジネスは次のビッグビジネスになるか」をお届けします。

The Startup 代表取締役梅木雄平氏

モデレーターは The Startup 代表取締役梅木雄平氏

───私はThe Startupというメディアをプロデュースしていまして、今回はマッチングビジネスをよく使っているということでモデレーターをやらせて頂くことになりました。
 一番最初にエウレカの赤坂さんの紹介です。『pairs』は260万ユーザー、『Couples』は300万ユーザーいらっしゃる。『pairs』のマッチング数が1140万件、女性が貰っているいいね数が一人あたり月間40件に近いということで、今おそらく国内で一番人気のデーティングサービスかなと思います。
 次はネットマーケティングの宮本さんです。直近では『Omiai』のユーザーが100万人を突破して、累計のマッチング数は300万件を突破しているという現状です。
 最後にリクルートの貝瀬さん。『ゼクシイ縁結び』、『ゼクシイ恋結び』といったサービスを昨年末始められていらっしゃる。

利益率が高く、社会の課題にも向き合うマッチングビジネス

───ここから踏み込んでいきたいと思います。なぜこの事業を始めたのか、宮本さんからお伺いします。

ネットマーケティング代表取締役 宮本邦久氏

ネットマーケティング代表取締役 宮本邦久氏

宮本 ネットマーケティングの宮本です。8月に上場申請を取下げまして、いろいろご心配かけまして申し訳ありませんでした。近く再起したいと思っているので、応援よろしくお願いします。
 この事業を始めたきっかけですが、ネットマーケティングがずっとやってきたインターネット広告代理店の利益率がそんなに高くないことがあって、新たに利益率の高いビジネスをぜひやってみたく、メディアビジネスに決めました。月額300~500円くらいの課金ビジネスが多いなか、今『Omiai』は月額3,980円ですが、高い課金ができるというところでマッチングサービスに魅力を感じました。2011年当時、これからはFacebookが流行るとか、スマートフォンアプリが台頭してくると言われていましたので、スマートフォンアプリでFacebookを活用したマッチングサービスをやれば非常に大きいビジネスになるのではないかと踏んだのが、参入したきっかけです。

───サービスを開始したのはいつでいらっしゃいますか?

宮本 開始は2012年2月です。

───エウレカの赤坂さん。サービスを開始したのがいつかと、なぜこの事業に参入したかを教えてください。

エウレカ代表取締役CEO 赤坂優氏

エウレカ代表取締役CEO 赤坂優氏

赤坂 株式会社エウレカの赤坂と申します。サービス開始したのは2012年の10月ですね。当時は受託開発と広告代理事業をメインにした3~4年目の会社でして、自社サービスに展開したくビジネスを模索している時期でした。当時ブーストメディアがまだまだ摘発されるような気配もなく、ブーストメディアのネットワークを作ろうかというのも悩んでいました。最終的にマッチングビジネスを選んだ理由は、ネットマーケティングさんが『Omiai』を始めていらっしゃって、ご登壇されたときに数字も結構出されていて、すごく伸びが良いということも見ていましたし、海外でも『Zoosk』さんや『Are you interested』さんのようなFacebookをベースにしたマッチングビジネスが伸びてた時期だったので、じゃあこっちにしようという感じで決めました。

───『pairs』の一番最初って『Omiai』に似ていたっていう説が……。

赤坂 似てる……まあ似てるどころじゃなかったかもしれないですね。

───そこに対して宮本さんからは何かありますか。

宮本 まあもう3年以上経って、昔話なのかなあと(笑)

───大人なご対応ありがとうございます。それでは貝瀬さんにお伺いしたいと思います。

リクルートマーケティングパートナーズ ブライダル事業本部執行委員 貝瀬雄一氏

リクルートマーケティングパートナーズ ブライダル事業本部執行委員 貝瀬雄一氏

貝瀬 リクルートの貝瀬です。ゼクシイとして婚姻組数の減少という一番の課題があり、このビジネスを始めさせていただきました。1990年代には90万組あった婚姻組数が、2015年は66万組、2020年には60万組を切るという予測があります。人口動態に加えてもうひとつ大きな理由が婚姻率の低下ということで、結婚しない人たちが今非常に増えています。男性はすでに10人に1人、2030年には男性も女性も5人に1人以上が生涯未婚という状態に陥っていくというなかで、ゼクシイとして結婚系サービスをしたいと。
 メインのブランドは『ゼクシイ縁結び』という婚活サービスで、これはネットサービス・結婚相談所・縁結びパーティという3つのサービスを持ってるんですけども、やっぱりこの婚活というふうに置いてしまうと、どうしても結婚を強く意識した、とても限られたコアなユーザーに限定されてしまうんですね。「いつか結婚する人を探す」という恋人探しに裾野を広げていかないといけないということで、こちらの先輩方のサービスやアメリカの流れを見ましてですね、Facebookを活用したマッチングアプリをやってみようと。ブランドを『恋結び』にして、『縁結び』とは分けて展開したというのが背景でございます。

───『縁結び』の方がガチな婚活で、『恋結び』の方がライトであるということですが、どちらの方が最初にスタートされたんでしょうか。

貝瀬 先に『恋結び』です。2014年の12月にリリースいたしまして、今9ヶ月目になります。2015年の4月に『縁結び』をスタートしてます。

マッチングサービスの立ち上げは広告費が決め手

───うまく立ち上がった要因というのは何かということを、先行者の宮本さんからお伺いしたいと思います。

宮本 マッチングサービスというのは、ちょっとメディアとは違う特質があるのかなと思っています。メディアは自然流入がどれだけ取れるかという世界だと思うんですけども、マッチングサービスは広告費を投下して売り上げを作っていくというサービスになりますので、一番大事なのは投下できる広告費。これがどこまで投下できる体力があるかっていうところが、結構うまく成功するかどうかの決め手になるんですけども、当社の既存事業の広告事業が利益体質になってきたということで、その利益を投入できるというところがあって、そのタイミングでの参入ができたというところが、最初に立ち上がった要因かなと思います。

───通常の広告費っていくらくらいでいらっしゃいますか。

宮本 当時は新規事業ということで、ちょっとおそるおそる投資して、月500万円くらいからスタートでしたね。

───最近はおいくらくらいですか。

宮本 最近はですね、そうですね、あの、ちょっと、あれなんですよ。

赤坂 広告費言わないとだめなセッションなんですか(笑)

───広告費言わないとだめなセッションです。

宮本 まあ、今上場準備をやってまして、利益を出さないといけないというのがすごく大前提でして……。

───今、抑えてらっしゃるんですか。

宮本 本当は勝負かけたいところなんですけども、今は拡大よりも収益ということで、抑えてるところですね。

───出稿は基本的にFacebook広告が多いんですか?

宮本 ほぼFacebook広告です。

───では赤坂さん、一番最初の広告費と、直近の広告費をお願いします。

赤坂 僕らの場合は、既に『Omiai』さんが参入されていて、どれくらい投下してどれくらいリターンがあるか想像がつく中で入って行ったので、比較的初期からアクセルを踏んだところはあります。受託ビジネスの収益を広告費にオールインしていくっていう形で、初期から月1,500万円くらいは入れてました。
 直近は、Facebookアドがメインになってますけど、数千万円後半くらいは目指しています。宮本さんがおっしゃいましたけど、一番最初の状態で人がどれだけいるかっていうのが勝負になってくるというところでいうと、ボリュームを獲得していくというのがすごく必要だったので、未だにアクセルは踏み続けているということですね。

───すみません、この質問、広告費じゃなかったです。うまく立ち上がった要因です。

赤坂 言わなくてよかったじゃないですか!(笑) うまく立ち上がった要因は、人のボリュームが多ければ多いほど良いサービスだとユーザーさんが思ってくださるということで、初期からアクセル踏めたっていうのは良かったと思います。立ち上がったばっかりのお金のない企業さんは広告費が必要になるのでなかなか参入しにくいというところと、逆に大手企業さんだと当時オンラインデーティングという業界がまずないので、出会い系サービスなんじゃないか、参入しても危ないんじゃないかと思ってた時期だったと思います。ちょうど中間エリアでないと参入できないというのが当時の背景だったのかなと。
 うちが立ち上がった理由は、Facebookの中で集客を加速させるために診断コンテンツを200本ずつくらいアプリで出して、FacebookページにLikeをどんどんつけていって、今おかげさまで800万Like弱くらいまであるんですけど、これでFacebookのタイムラインをジャックできたっていうのが非常に強みだったのかなと。今はもうアルゴリズムが変わっちゃいましたけど、当時は本当にLikeとっていればリーチが取れるっていう時期だったので、それが多分僕らが一番最初にブーストできた理由だったと思いますね。

───『恋結び』はまだ立ち上げたばっかりだと思うんですけど、大手ということもあって、広告費は攻めていらっしゃる感じですか。

貝瀬 広告費ということでいきますと、『Omiai』さんや『pairs』さんよりもかけてないと思います。3分の1とか。

───リクルートさんお金持っていらっしゃるのに、がっつりアクセル踏まないのはなぜなんでしょうか。

貝瀬 踏みたいんですけどねえ、ちょっとなかなか。

───稟議が降りないんですか。

貝瀬 まあ大手特有の難しい、そういった側面もあるんですけども、我々の場合やっぱりサービスを少し安定をさせるまで、割と適度なラインのところで会員様を維持しつつ、サービスが磨かれたところで再成長をしていくという想定をしてます。

───まさに『恋結び』の方は始められて1年経っていらっしゃるということで、立ち上げのフェーズですね。

貝瀬 規模感でいきますと、アクティブユーザーで言うと『Omiai』さんの半分くらいになってるんだろうなと。

───アクティブユーザーってあんまり開示されてない数字かなと思うんですけど、貝瀬さんが想定されていらっしゃる『Omiai』さんのアクティブユーザー数ってどのくらいなんですか。

貝瀬 会員様を検索する機能がありまして、そこの人数からある程度のユーザー数がわかるというか。

───ああ、条件検索できますもんね、1ヶ月前ログインの。

貝瀬 実はみなさんもそういったところを見ながらいろいろやっているんじゃないかなとは思うんですけど。

マッチングのキモはアルゴリズムにあり

貝瀬 数万人規模のデータベースになってくると、出会うのに十分な数でもあります。立ち上げたときの最大のうまくいった要因は、やっぱりマッチングが生まれないとユーザーさんは離れていっちゃいますので、100円キャンペーンというのを1ヶ月間やりました。それで出だしのところからある程度のユーザー数を獲得できまして、順調にマッチングが生まれていって、そこがひとつキーだったかなと思います。

───マッチング数が一番のKPIになるかなと思うんですが、マッチング数を上げる各社の工夫というのは何かありましたか。宮本さんからお願いします。

宮本 以前のマッチングサービスは8割の方が顔写真が載ってなかったんですよ。当日待ち合わせして初めて顔を知る世界だったんですけど、やっぱりFacebookを使ったマッチングサービスっていうのは、Facebookのプロフィール写真がそのまま『Omiai』の写真になってますので、最初からもう相手の表情、顔がわかるというところが大きいですよね。特に女性からすると男性と会うのが怖いという感覚がすごく強いので、しっかり顔を見て、あとFacebookを使っているユーザーというところでもゆるやかな与信力というものを感じながら、女性が「じゃあマッチングしてみようかしら」と思えるのかなという感じです。

───今でも犬の写真の方とかいらっしゃいますけど、犬の写真からいいねが来ても困っちゃうんですよね。そういうのはNGにはならないんですかね。

宮本 「いいね」をされた女性のランキングを見ることができるようになってるんですけど、やっぱり上には美女が並んでいて、下には犬猫犬猫みたいな感じです。写真がマッチングサービスのほぼ8~9割のバリューなのかなと思いますね。

───犬猫の写真はやる気ないですよね。では赤坂さん、マッチングをあげるための工夫を。

赤坂 プロフィールの入力率、写真の掲載率といったところはベースに置きつつも、基本的にはマッチングビジネスなので、たとえば梅木さんがどういう人にアクションを起こすかっていうのを120項目くらいにわけて、その項目の偏差値が高い人を優先順位高く表示していくアルゴリズムと、適切なタイミングでのリマーケティングというかプッシュの組み合わせなのかなと思います。

───アルゴリズムが、マッチング数が増える要因になっているんですか。

赤坂 そうですね、たとえば男性は年下の女性に対してアクション率が高いとか、女性に関しては年収どれくらいの人だったらアクション率が高いとか、この辺のユーザー分解についてはリクルートさんが一番研究されているところだと思うんですけど、そこかなと。日本だけで165万人・台湾入れると260万人のユーザーが居る中で、ファーストビューにモバイルなら4人・PCでも16人しか出ないので、この「260万分の4人」に興味を引くユーザーを出せるかがキモかなと思います。

貝瀬 赤坂さんがおっしゃる通り、アルゴリズムが非常に重要だと思っています。弊社のサービスは自社開発したもので、会員数に比べてマッチング数が多いものになっています。マッチングサービスは現実社会と一緒で、男性がいいねを出して女性がそれに応える構造になっていますので、いかに男性にいいねをいっぱい押してもらうかが基本としてあるかと思います。

───男性にいいねを押してもらうための施策は何でしょうか。いいねを押したくなるような可愛い子を並べるんですか?

貝瀬 男性も、いいねを押して返ってこないと萎えるわけですよね。いいねを押したい方と、いいねを押して返ってくる方、この二つのパラメータの組み合わせでコントロールするのがひとつポイントかなと思います。

メリットがあれば女性も課金する

───三社とも若干価格が違いますね。プライシングのロジックをぜひ教えて頂きたいなと思います。

赤坂 先発の『Omiai』さんが当時は2,980円でしたので、後発は先発の会社さんより値段を下げるのが定石かなと思って、値段を下げて参入しました。

宮本 『Match.com』さん、『Yahoo!パートナー』さんの様子を窺いながら最初1,980円でスタートしたんですが、1,980円だとビジネスにならないという結論に至り、2,980円にしました。この値上げでは有料会員になる率に変化がありませんでした。次に3,980円に値上げしましたが、そこでも有料率にあまり差がなかった。しかしこの春にAppleの価格改定で4,800円になったところ、ここは差が出たかなと。いろんな価格と有料率を試して、現状この価格になっています。

───面白いですね! 『Omiai』に関しては、30代以上の女性は有料なんですよね。

宮本 出会い系サイトは男性が強い欲求を持っていて、女性のメリットが無いんですよね。マッチングサービスは真面目な恋愛ができる、あるいは結婚相手が見つかるということで、女性のメリットがすごく大きいんです。結婚相談所は男性より女性の方が会員数が多いです。『Omiai』では、無料会員の数は圧倒的に男性が多いですが、有料率が高いのは女性です。メール交換が出来る会員の男女比で言うと1:1になるように合わせています。20代の女性は有料化を検討していますが、まだ無料です。

───30代女性の課金率は高いんですね。確かに切羽詰まってる感ありますもんね。赤坂さん、女性の有料化についてはどうお考えですか?

赤坂 現在は女性の囲い込みが非常に重要だと思っています。男女比が8:2や9:1になっているようなサイトもある中、『pairs』の男女比は69:31で、6:4を目指しているところです。女性ユーザーが豊富になった段階での、女性課金への踏みこみはやっていきたいと思っています。

───貝瀬さん、いかがでしょうか。

貝瀬 後発ですので、先発の二社の価格をベンチマークし、それより安い価格でということで来ました。『縁結び』という婚活サイトのほうは、男女共に3,980円で有料化していまして、男女バランスも問題なく来ております。

───『Omiai』は先発ですが、後発が出てきたときに「この野郎」と思わなかったんですか?

宮本 うちは『Facebookナビ』というのをやっていたんですけれども、市場が無いサービスは他社さんが追随してこないんですね。『Omiai』に追随があったのは、市場が拡大しているということだと思っています。他社さんのサービスを使って、「こういうサービスがあるんだ」と知ったところからの『Omiai』への自然流入・ユーザーの循環もあるんですよ。

───後発の赤坂さん、他社サービスとの違い・強みは何ですか?

赤坂 元々うちは制作会社だったので、デザインやUXを大事にしていました。「オンラインデート」って聞いても一般ユーザーさんは「出会い系」って思うじゃないですか。こうしたイメージを世界観やデザインで払拭したいというのが一点。
 二点目は『pairs』事業を始めてずっと思っていることなんですが、売上をあげに行かないということです。マッチングビジネスって、プロモーションめちゃくちゃして全部無料だったら最高、それが出来るのが理想だと思うんですよね。無料会員として同じプロフィール写真・自己紹介文・年収で複数のサービスに登録したときに、あるサイトでは10人来ました、別のサイトは25人、50人……ということであれば50人のサイトに課金すると。『pairs』のマッチング数は1,140万組だと思うんですが、お金を意識しないでとにかくマッチングを追求するっていうのが、うちがやっていることなのかなと思っています。

───スタートアップの経営者って、広告費を使いきれない人が結構居るじゃないですか。赤坂さんは度胸があるように感じますが。

赤坂 確実にリターンが見込めるものに関しては投資って踏み込んだほうがいいじゃないですか。サイトのUX・ログインフロー・チュートリアル・アルゴリズムを改善した結果、ARPUが上がり、最終的には新規獲得のコストを抑えられ、価格を下げられる、といった形で全部繋がると思います。プロダクトの結果がプライシングにも反映されるし、新規の獲得のCPAにも関わるので、結局は内部の改善およびチューニングが全部に関わってくるというのが所感ですかね。

───最後、貝瀬さんはいかがですか。

貝瀬 我々のユーザーは女性が4割・男性が6割ということで、業界でも非常に女性率が高いです。「ゼクシイ」というブランドを掲げているのが最大の違いであり、アンケートを取ると「ゼクシイだから使った」「初めてこうしたサービスを使った」という声があります。UXの磨き上げや、悪いことをすると使えなくなるようなパトロールの強化によって、こうしたサービスのある種の怪しさを払拭し、一般的な女性がマッチングサービスを使うのが当たり前の流れを作っていくのが、業界における我々の役割かなと思っています。

───貝瀬さんの管轄じゃないかもしれませんが、気になることがございまして。リクルートさんの子会社のニジボックスっていうところでやっている『Matchbook』ってサービスありますよね。『Matchbook』が出たときに、赤坂さんがFacebookで「なんじゃこれは」みたいな投稿をしているのを見かけました。あれ? 投稿されてましたよね?

赤坂 しましたね。はい。

───(東京オリンピックの)エンブレム問題以上に『pairs』と似ているなと思いまして。これについてご見解があれば。

貝瀬 『Matchbook』については同じリクルートグループではあるんですけど、全く連動してやっていなくて。はい。……似てますよね! 子会社の方で進めておりますので、私は関わってないです。

(会場笑)

───こういうものを見て素朴な疑問だったんですが、エウレカさんはIACに推定百何十億円といった値段で買収されましたよね。リクルートさんはエウレカさんの買収を検討されなかったんですか?

貝瀬 仮にしてたとしても言えないですけど。そういった選択肢もあったのかもしれませんが、我々の場合はゼクシイブランドのつながりのなかでの世界観を作っていくというのが事業戦略としてありました。『pairs』さんは強いブランドとして立っていると思いますので、違うブランドとして切磋琢磨していった方が業界の広がりに繋がるのかなと思います。リクルートでは投資において、純粋に収益が見込めるということでは買収を検討せず、組み込むことで戦略が果たせるかを基準にしています。仮に魅力的なプライスだっとしても、戦略上意味のないものには手を出さない判断があり得ます。

───ゼクシイブランドがあれば、後発でもまだまだ勝てそうだと思って参入された?

貝瀬 三つ目の席というのがどこの領域にもあると思っています。抜くというのもおこがましいので考えていないのですが、三番手の位置にゼクシイブランドがあることで、業界全体が安心なサービスということで認知をされ、発展していくと考えています。

───リクルートインキュベーションパートナーさんの方では、ネットマーケティングさんに投資されているんですよね。投資先を潰すことになりかねないと思うのですが、仁義的なものがおありなのでしょうか?

貝瀬 (リクルートインキュベーションパートナーは)本体の戦略とは切り離されたところにありまして、成長の見込みのある企業様に出資をさせて頂くことでパートナーシップを作り、技術を提供しあうシナジー効果を目的としたものです。当然ですが、宮本さんとは(『恋結び』を)立ち上げる前からお付き合いがありまして、立ち上げる前にはお邪魔して仁義は切りました。

───宮本さんは「リクルートこの野郎!」みたいのは無かったんでしょうか。

宮本 これでまた、市場が広がるのかなと。

───大人ですね。ありがとうございます。

マッチングビジネスの売り上げ規模はどこまで狙えるか

───このセッション、ビッグビジネスになるかというのがテーマなんですが、私の調査・推測では、『pairs』さんに関しては月商4億円前後、『Omiai』さんは東証一の部から推察すると月商1億円強ぐらいではないかと思っております。各社さん、「ビッグビジネス」とはどの程度の売り上げ規模を考えていらっしゃるのでしょうか。一番売り上げが大きい赤坂さんからお伺いしたいと思います。月商4億円くらいって本当ですか?

赤坂 ……言うんですか? ……そうですね、だいたいその、あんまり外してないかなというぐらいですけど。今サービス運営をしていて、毎月売り上げ110~115%成長くらいで、梅木さんの記事にも書かれていたんですけれども、年内に月5億円というのも見えないところではないと思っています。去年の売り上げを見ると1/4でしたし、伸び方で見ると指数関数的に伸びていくことも可能だと思っているので、売り上げは年1,000億円が目標値としてあると思っています。海外やらないとその規模にならないという話もあると思うんですけど、僕は日本だけでもそれだけの市場があると思っています。文化って変わっていくじゃないですか。文化が変わればドメイン以外の周辺領域も含めて、全員がターゲットになると思っています。アメリカだと、我々をM&AしたIACグループが持っている、シニア層向けのOurTimeというマッチングサービスがありますし、収益性も高かったりします。結婚相談所・出会い系サイト・街コン・合コン、これらの市場を持ってこれると相当規模が大きいので、日本国内だけ、且つ自社だけで1,000億円いけると思っています。

───いつぐらいですかね?

赤坂 公約みたいになるじゃないですか。

───2020年までに1,000億円みたいな。

赤坂 2020……。そうですね、2020行きましょう。

───はい。2020年、エウレカ1,000億円。これ記事になりますね。

赤坂 ダメです(笑)

───宮本さんにもお伺い出来たらと思います。

宮本 一言にマッチングサービスと言っても、その下にデーティング・ロングタームリレーションシップ・マリッジの3つがあると思っています。デーティングは気軽に出会って友達からスタートするという『Tinder』のようなものですね。ロングタームリレーションシップは真剣な恋愛交際ということで『Omiai』も含め各社さん参入されています。マリッジというと結婚をダイレクトに目的とするので、独身証明書を出すなど、結婚相談所に近いオンラインサービスになります。
 海外の動向を見ると『Tinder』のようなサービスが非常に大きく広がっていますし、ユーザーの声からも「ガチな出会いより気軽にライトに出会いたい」というニーズが深く眠っていることが分かってきています。ただ日本の風土からすると、デーティングサービスの社会的な機運がこれからというところなので、ライトなところをやりすぎるのはまだ早いかなと。ライトな出会いの市場は大きいので、いろんな顔を持ったマッチングサービスというのを、将来的には立ち上げられるといいかなと思います。

───ネットマーケティングさんは元々は広告代理店で、『Switch.』という人材のマッチングサービスも始められていて、インターネット総合カンパニー的な印象があるんですけれども、今後もいろんな領域をやっていく方針なんでしょうか。エウレカさんは『pairs』『Couples』と恋愛系に特化している印象がありますが。

宮本 恋愛系に特化していこうとは思っていなくて、いろんなサービスをやっていこうと思っています。

───後発の『pairs』さんが推測の月商で3倍くらいの差だと思いますが、『pairs』さんに対して巻き返すのではなく、他のサービスをやっていく方針ですか?

宮本 いえ、『Omiai』に関しては、どのタイミングで広告費のアクセルを100%踏むかというタイミングをうかがっています。

赤坂 ちなみにうち、恋愛だけやっていくわけじゃないです。サービスガレージ目指しているので、それ以外の領域参入も検討しています。

───貝瀬さんはいかがでしょうか。

貝瀬 現状の市場規模から試算しますと、アメリカのオンラインデーティング市場が既に2,000億円あります。アメリカのオンラインデーティングサービス利用率は、2年前で6割を超えていて、3組に1組がオンラインデーティングサービス経由で結婚しています。それに対し日本は市場規模が100億円、利用率も10%くらいなんですね。日本の市場規模がアメリカの1/3くらいと捉えたとしても、700億円ぐらいはとれるかなと。日本には、未婚の恋人が居ない20~40代男女が1400万人。『pairs』さんの会員数の10倍くらいの市場が存在しています。それに加えて結婚相談所の市場が400億円くらい、街コンなどのパーティー領域100億円くらいありますので、恋活・婚活市場は600~700億円くらいの市場があるんですね。確実にここ5年で倍になると思っています。

───そのうち御社では何割を?

貝瀬 やるからには20%のシェアを取りたい。仮に1,000億円の市場が実現したとするなら、200億円を目指したいですね。

質疑応答

───会場から質問がありましたら一問だけ受け付けようと思います。

「Q. 経営者として一番大切にしていることって何ですか。」

赤坂 これはフェーズの問題なのかなというところもあるんですけども、いま従業員が100名をこえて、経営者が単純に事業を引っ張ることに注力していればいいのではなく、個人が独立して動ける組織・体制を目指していかないといけないと思っています。今一番大事だと思っているのは、組織化および社員が自発的に動けてなおかつパフォーマンスが高い組織を目指していくことです。事業については、僕は本当にプロダクトは中身だと思っていて、マッチングビジネスに関して中身というのはアルゴリズム勝負になってくるかなと。Gunosyさんやクラウドワークスさんも同じ領域だと思っています。

貝瀬 リクルートグループの一員として、3年間でいかに世の中にこのサービス領域をエントリーさせるかということが唯一であり最大です。それによって結婚を増やしていきたい。収益も成長のためには大事なんですけれども、いかに認知を拡大していくかという中で、現状の日本の婚活サービスにある3つの負「恥ずかしい・怪しい・高い」をいかに解消できるかが使命と思っています。

宮本 むかし商社で働いていて、新しい事業を作りたいということで起業しました。会社のビジョンとしてニューバリュープロバイダーということをやってきました。アフィリエイトエージェントというものも他社ではやっていませんし、『Omiai』も一番最初に立ち上げて、今年も『Switch.』という新しいサービスを立ち上げました。続々と新しい事業を立ち上げていくというところをやりたくて、そのためにどういうメンバーと一緒にやるかというのを、色々考えながら進めていっているところです。

───ありがとうございました。

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Pairs直近月商は3億後半か?凌ぎを削るオンラインデーティング市場 | The Startup

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