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敏腕経営者3人が語る将来の展望!~注目経営者、次の一手~【B Dash Camp】

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by [2015年9月18日]

 今回のB Dash Campの最初を飾ったのは新進気鋭の3人の経営者。株式会社Gunosyの福島良典氏。株式会社マイネットの上原仁氏。株式会社クラウドワークスの吉田浩一郎氏だ。以前はiemo株式会社の代表取締役CEOを、現在は株式会社ディー・エヌ・エーで執行役員も務める村田マリ氏のモデレートのもと、彼らの経営上の哲学や葛藤、将来の展望が語られた(以下敬称略)。

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今回の登壇者。左から村田氏、吉田氏、上原氏、福島氏

各々の企業の紹介

共通項を見出すのが難しいお三方だなと思っておりましたが、皆さんサービスや事業をめちゃくちゃ拡大されています。参考にここ1~2年の従業員の方の増加人数を教えていただけますか?

吉田 上場前の去年9月が29名で、今は正社員が110名。アルバイトや派遣社員を入れれば200名くらいですね。

上原 1年半前ほどに現在のスマホゲームのセカンダリーの事業を始めましたが、その当時は60名。現在は230人です。

福島 1年前が30人で、今が80人。ただ、事業を始めた3年前は6~8名でした。その時からすると大体10倍くらいでしょうか。

そうしましたら、まずは簡単に事業の紹介や自己紹介をお願いします。

吉田 皆さん改めまして、こんにちは。「働き方革命」を打ち出しております吉田と申します。日本最大級のクラウドソーシングをやっています。クライアントは現在10万社を超え、働き手は73万人になりました。年頭に安倍首相が設定した日本ベンチャー大賞のうちワークスタイル革新賞を受賞させていただきました。個人に信用インフラが積み重なって、個人のあらゆるスキルがデータベース化され、それに対して誰もがアクセスできるような世の中にすべく日々がんばっています。

上原 こんにちは、マイネットという会社をやっている上原と申します。創業したのは9年前ですが、スマホゲームのセカンダリー事業(ゲームの自社開発をせずに、運営のみを行う事業)に参入したのは1年半前です。スマホゲームのセカンダリー市場という言葉をご存じないと思いますが、今ものすごい勢いで成長しているマーケットになっています。現在は210億円の市場規模ですが、日本国内に残っているスマホマーケットの中でも数少ない急激な成長が見込まれている市場ですので、注力させてもらってます。
 今は様々なゲームメーカーさんと協業したり、タイトルの買取とその復活を行っており、現在13種類のタイトルの運営をしております。ちょうどセカンダリー市場も競争が激しくなってくる時期ですので、アクセルをベッタ踏みにしてがんばっています。

福島 株式会社Gunosyの福島と申します。僕の会社はグノシーというニュースアプリをやっているんですけど、目指していることはテクノロジーを使って、人がストレス無く情報を集められる社会の実現です。グノシーは増え続けるコンテンツに対して人手ではなくテクノロジーやアルゴリズムを活用して適切な情報を人々に届けていくということを目標に今年の4月、無事マザーズに上場を果たしました。

会社ごとに異なる考え方

皆さん急激に事業を伸ばしてきたわけですが、今までどのような経営者としての一手を打ってきましたか?

福島 グノシーは2年ぐらい試行錯誤してきたんですが、一番伸びた施策って、実はシンプルなものだったんです。それはログインをなくしたことです。グノシーは以前、TwitterやFacebookのアカウントでログインさせることで、ユーザーに合ったニュースを提供することをウリにしていたんですけど、ログインが必要なせいで50%利用者が減っていたんですね。
 今まで、この記事を見た人はアプリの継続率が高いとか数パーセントの改善にばかり着目して、もっと大きな影響を与えていたポイントに気づかなかったんです。その時に自分のエゴに基づく施策の意味の無さに気づいて、経営者やマネージャーは本当に顧客や会社のためになるように物事を選択しなくてはならないと学び、その哲学に準じて行動するようにしてきました。

吉田 サービスを伸ばすためには人に尽きると思います。結局いい人がいればサービスは伸びていきます。我々大企業向けに業務の効率化を図るような提案をする部隊を作ったんですけど、そこのマネージャーがとにかくいいですね。私は採用にタッチしてないので、私っぽくない穏やかで一人ひとりと対話をする人がモチベートしていて、綺麗に立ち上がりました(笑)。事業を伸ばすためには適切なタイミングで前倒しで有能な人が採用できているかどうか、これに尽きると思います。

上原さんは周りより遅れて現在の事業に参入されましたが、その転換点や意思決定を特に伺いたいです。

上原 以前は基本ガラケーベースで、飲食店向けのモバイル送客サービスをやっていました。しかし、この事業ではこれ以上の伸びしろが作れないと思っていたところ、周りの皆がゲームに活路を見出していたのを見て、ゲーム業界に参入しました。
 でも、ゲーム事業に参入直後は上手くいきませんでした。最初は自社でゲームを開発していたんですけど、そこそこのゲームを維持するだけでも精一杯。正直ジリ貧で、成長できないベンチャーは死であるという現実に再度ぶち当たったんです。そこで得意なことだけをやろうと思い、ゲームを作るのをやめるという決断をしました。
 ゲームの運営って泥臭いですし、人を抱えなくちゃいけないからリスクも高いので誰もやりたがらない。でもそういった皆がいやがることをやり続けた結果、今みたいに成長することが出来ました。

グノシーさんは様々なチャレンジをしていらっしゃいますが、そうした中でどうやって事業を伸ばしていらっしゃいますか?

福島 サービスを伸ばすためには結局、意思決定が重要です。一番大きかったのはパーソナライズした情報からオールジャンルのニュースの提供に移行したという意思決定でしたね。
 この意思決定をしたときもそうだけど、いつもこの決定は自分の意思で決めていることなのか、正しい道を選んでいるのか自問自答している。会社の経営は意思決定の連続だけど、感情に任せて意思決定したら会社って潰れるんですね。プライドやエゴを捨て去って論理的に選択できることが経営者にとってもっとも重要なことだと思います。実際にその選択をした時も数字という客観的な情報を元に判断しました。
 客観的な数字から、情報をパーソナライズすることが間違いだと気づいたとき、オールジャンルに移行しつつ、自分たちのテクノロジーを適切に使おうと判断したことで、急激に成長しました。それ以降そうしたユーザーが求めるもの=正しい道のみを選択するユーザー第一主義の文化を会社に根付かせることに成功し、事業を伸ばせるようになりました。

サービスを伸ばすことと収益をあげることのバランス

吉田 ユーザーに対して善であることとマネタイズはどうやって両立させているんですか?

福島 もちろん会社ですので、グロースがとても重要です。グロースのために必要なのが売り上げで、例えば広告に良くない印象をもつユーザーもいるかもしれませんが、広告を完全になくすと、会社が存続できなくなって、結果的に大量のユーザーが損してしまうことになる。だからそこは割り切って広告を表示するにしても、ユーザーを詳細にカテゴライズすることで、可能な限りユーザーが不快に感じないように努力をしています。

吉田さんは収益を伸ばすこととユーザーを増やすこと、そのバランスについてどうお考えですか?

吉田 例えば理念と数字において、創業時は自分たちの理念のもとサービスを作るんだ、数字は関係ないと息巻いたりしていたが、今はorではなくandのフェイズに入ったことを実感している。
 第2創業期を迎えて初めて幹部の候補の人物が会社をやめて、今まで役員からGMまで一致団結していて誰もやめなかったので、ある意味そこに関して衝撃を受けて、ひとつの目標に向けて今まで勢いでごまかして様々な要素を削ぎ落としてきたのに、限界を感じました。僕にとっても会社にとってもorからandへの移行は直面している問題です。

企業の大規模化で変わる経営者の役割

皆さん数百人単位の従業員を抱えていらっしゃるわけですが、そうした中で成長するための打ち手はなにかお考えでしょうか?
 
上原 私は今、200人ほど社員を抱えていますが、今はまだ組織が崩れるような問題には直面はしてないです。ただ人を増やしていく上で意識していることは、シングルマネージメントです。ある意味andを捨て、orのみに絞っていると言えるかも知れませんが、ひとつの組織の中に新作を作る部署と運営をやる部署を作ると、どうしても新作が花形の扱いを受けてしまうので、従業員の不満がたまる。だから、我々は運営だけに絞ることで運営が花形であると、ユーザーと向き合い続けることが大事だと伝え続けることで、社内の統一意識を高めている。
 ソーシャルゲームはユーザー課金型のサービスですので、ユーザーにバリューを提供したら、しっかり対価が返ってくる。すると社員の給料が上がったり、環境が整備されたりするので、社員のやる気も上がるという好循環が生まれる。それにユーザーさんのデータが全て分かるということもあって、ユーザーさんを向いて仕事をするというのが観念的な話でなく、数字に基づいた合理的な判断につながると考えています。ということで、この領域だからこそ、ユーザーさんの方を向くという概念を共有しあうシンプルな方法で全体をマネジメントできると考えています。

福島 組織が大きくなるにつれて僕の働き方は変わってきていて、創業時はエンジニアだったので、コード書いてアルゴリズムを作っていました。次にKPIを作ってユーザーデータの何を追えばいいかマネジメントをしていました。そして今やらなくてはいけないことは、KPIの仕組みを作る仕組みを作ること、つまり人を育てるとか仕組みを育てることです。僕がいなくてもグノシーがもっと成長できるようにすることで、将来環境や市場のルールが変わっても、グノシーが安定して成長できる仕組みを作るのに時間を費やしたい。この段階に踏み入れられるかというのが組織全体の課題であり、僕自身の課題。
 
吉田さんもorからandに移行すること、人に任せることの必要性をおっしゃっていました

吉田 上場してみて、先に上場してきた先輩方のすごさを知りました。人に仕事は任せるんですけど、組織や事業の集中力だけは維持しないといけないんですね。今は最後の最後までやっていたようなことも皆が出来るように任せている。自分がいなくても会社が大丈夫なように逆算して、自分が今何をするべきなのかずっと考えていますね。
 ソフトバンクや楽天は社長が社長であり続けることで伸びていますよね。一方でクックパッドやミクシィは社長が身を引いて成功している、その分岐点というのはずっと考えています。会長になって力が逃げてしまうのではないか、創業者として会社の沿革を見届けるべきではないか、とも考えています。

DeNAでは創業者の南場、社長の守安がいますが、やはり創業者の存在は大きいことを、南場自身はわきまえていて、事業について口を出さないということを徹底しています。私も周りに圧力をかけないように、シンガポールから遠隔マネジメントをし、現場に権限を譲って取り組んでいまして、皆さんと同意見です。

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吉田 オーナーの力が強いっていうのは最近ようやく自覚をしてですね。私は結構社内での立場は低いんですけど、私がひと言、言ったりすると知らないところで社員が動いていてですね、慎重に言葉を発さなくちゃいけないんだなと。夢や目標を語って熱意を維持することはいいけど、個別具体的なことに言及するのは避けようと意識してます。

福島 僕もそういうのは止めなきゃなと思っているんですけど、まだ個別具体的なことに首をつっこんでますね。でも指示を出さなくても上手くいくように……些細なことですけど、チャットの部屋でコメントは書かないように気をつけていますね。

経営者の方って熱量も影響力も高いという話だと思うんですが、吉田さんはその影響力の強さを対外的にカンファレンスなどで語ることで上手く生かしていますよね。

吉田 でも対外的に語るということは会社の本質的な価値とは関係の無いことですので、主役にはならないようにしています。社員にも「私の仕事はつけあわせみたいなもので、本質的な価値を作るのは皆さんだ」ということははっきりと伝えます。そこのバランスはすごい気をつけていますね。

各々の将来の展望とは

皆さん色々な課題に直面していらっしゃいますが、これから事業を伸ばすために考えている次の一手はなんですか?

福島 公開している範囲内で言うと、増え続けるコンテンツに対して、アルゴリズムを通して選択肢を絞りユーザーを幸福にするという自分たちの基本理念に立ち返って、ニュースだけでなく漫画や占い、チラシなど、コンテンツが無限にあって、フィルタリングが必要な領域に広げている。今ニュースという情報の入り口を押さえられていて、これからも情報の入り口を押さえて、加速しているマーケットに追いついていきたいです。
 あと上場で集めた資金を元に海外展開を本格化しようと考えています。例えばウーバーがアジアでシェアが取れていないことから分かるように、現地で強い会社が出来てしまうと苦戦してしまう、つまりマーケットのスピードが類例を見ないほど速くなっている。ですので、平行してグローバル展開していかなくてはいけないと考えています。また上場したことで、株式交換や資金調達が出来るようになり、様々なオプションが使えるのでそういった手も考えていこうと思っています。

上原 他のスマホマーケットは終盤戦を迎えていますけど、我々の事業であるスマホマーケットのセカンダリー市場は大きな成長性が見込めるので、今はアクセル全開でこのチャンスを生かしていきたいです。
 それ以外にも、例えばTSUTAYAさんがコンテンツの二次流通を発展させたことであらゆる人が映像や音楽を誰もが手軽に手に入れられるようになった。ブックオフさんのおかげで人の知恵やエンターテインメントが多くの人に共有されるようになった。こういった先人たちと同じようにスマホゲームの二次流通にも、スマホゲームの寿命を延ばしユーザーさんの居場所を守ることで、社会的な意義を見出していきたいです。

吉田 我々の会社は働くを通して人々に笑顔をというミッションのもと、具体的には20年で営業利益一兆円ということを、社内でずっと言い続けています。ベンチャー企業を経営するからには世界に名だたる会社を目指すことは悪いことではないと思っていて、その目標から逆算して今やるべきことを話し合っています。最初のうちはみんな半信半疑だったんですが、目標をいい続けてきたことで社員の中でも意識するようになった。私自身の仕事としてはいかにクリアに社員が目標への道を見渡せるようにできるかどうかだと思っています。
 クラウドソーシングは本当に市場があるのかなど、疑問に思われることも多々ありますけど、現在はマーケットシェアをとるために人員を増やしてがんばっています。15年前はネットで服を買うなんてありえないと思われていたが、今では一般的になっているように、将来何が起きるかなんて分からない。私は将来ネットで労働力をシェアする世界がくると信じており、そのマーケットで世界一を取れるようにがんばっています。

皆さんのビジョンを語る熱量は替えが聞かないと感じたのでそうしたことを生かして会社を伸ばしていければと思いました。本日は急成長する企業の裏側の葛藤と打つ手を生々しく語っていただきました。お三方ありがとうございました。

▼参考リンク
株式会社Gunosy(グノシー)
株式会社クラウドワークス
Mynet Inc. ( 株式会社マイネット )
株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】
B Dash Camp 2015 Fall in Kyoto

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