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坂本達夫氏が語るアプリ収益化の新潮流 ~動画広告を活用したマネタイズ~

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by [2015年9月15日]

sakamotoshi_Facesakamotoshi アプリにおいての収益のあげ方は主に3つある。有料(買い切り型)アプリ、課金システム、そして広告だ。
 先日、札幌で行なわれたアプリデベロッパー勉強会では、坂本達夫氏(写真)から、広告の中でも特に動画広告でのアプリの収益化について語られた。
 坂本氏は、Google在籍時にAdSenseおよびAdMobのパートナーシップ開発営業を担当してきており、現在はAppLovinの日本代表を務めている。

今なぜ動画広告なのか

 「今年はモバイル動画広告元年だ」と毎年のように言われてきたが、今年は本格的に市場が立ち上がりそうな兆しがある。昨年までとの違いとして、坂本氏曰く最近広告主のタイプが変化していることが大きな理由の1つとしてあるという。以前は自身のサービスを知ってもらうことを第一目標とした“ブランド型”が主流で、このタイプの広告主に関してはその広告の有用性を示すことが大変であった。そのため、広告主が出稿を継続しない、広告キャンペーンの数が積み上がらないといった問題から、市場として十分大きくならなかった。
 しかし、現在では広告収入の数値を重要視する“パフォーマンス型”が主流になっており、獲得効率や収益といった数値で広告主を納得させることが出来やすくなっているという。
 また広告主の指標も変化している。以前はCPI(Cost Per Install)、つまりいかに安くユーザーを獲得できるかだけが重要視されていたが、徐々にROAS(Return of Ad Spend)、広告費用対効果がより重要視されるようになってきている。

有効な広告の使い方

 CPIとROASの違いについて坂本氏は飲食店の集客の仕方に例えて説明した。
 CPIは言うなればユーザーにいっぱい来てもらうことを重視した指標であり、収益性は度外視されている。一方ROASは客単価と回収率を重視した指標となっている。アプリに話を戻すと前者を重視したやり方としては、バナーやアイコンなどインプレッション数の多い広告を駆使してユーザーをかき集める方法があり、後者を重視したやり方としてはアプリの内容をしっかり説明した上でアプリを存分に使ってもらう手法である。
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 といっても前者のやり方が時代遅れでこれからは後者のやり方だというわけではなく、タイミングによる使い分けが大事になっている。リリース直後では可能な限り利用者を増やし、しばらく経ってからはユーザーの量よりも質を重視するというように、必要に応じてシフトしていく方法が良いと考えられる。

動画広告をマネタイズするときのポイント

 一番大事なことは動画広告を見せすぎないこと。例えば、バナー広告は出しっぱなしでもいいが、動画広告においてはそうではない。というのも動画広告は他の手法の広告に比べて同時に走っている案件・クリエイティブの種類が少なく、どうしても「同じ広告ばかりになってしまう」特性を持っているため、同じユーザーに単一の広告ネットワークを見せすぎると収益が下がる可能性があるからだ。
 そうした時に役に立つのがFrequency Capという機能だ。一日にユーザーに見せる広告の量をコントロールすることが出来る機能で、ユーザーのストレスを軽減し広告の費用対効果もあげることが出来る。
 それに加えてアプリのヘビーユーザーへ広告を出すタイミングを逸しないためにもメディエーション(Mediation)が重要になってくる。メディエーションとはアプリの中に複数の広告ネットワークを入れたときに、使用する広告ネットワークを制御するツールのこと。

動画広告のフォーマットと成功例

 全画面の動画広告は主に3種類存在する。
 インタースティシャルはアプリのコンテンツの「あいだ・隙間」に強制的に表示させるフォーマット。例えばゲームだったら“ゲームオーバーになったタイミング”など、ツールだったら1つアクションが終わったタイミングです表示させるのが一般的だ。インタースティシャル自体は2年前からあるフォーマットだが、最近になって以前までの静止画に加えて動画タイプがトレンドになっている。
 講演では実際の動画広告でのマネタイズの促進の事例として『正方形どん』という動画を正方形にするアプリがあげられた。図を見れば分かるとおり、それまで使用していた広告ネットワークの収益に影響を与えることなく、動画広告(今回はAppLovin)が収益に加算されている。
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 もう1つのタイプが動画リワードだ。最近の流行で動画広告を視聴すると、ユーザーがアプリ内報酬をもらえると言うもの。例えばアクションゲームで動画広告を見るとコンティニュー出来たり、広告を見ることで有料じゃないと使えない機能を使えるようにするなどの報酬を与えたりすることが出来る。動画再生が最後までなされた場合のみに報酬を与えることも出来、自由度が高いフォーマットだといえる。
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 実際の事例であげられたのがクロッシーロード(Crossy Road)というゲームアプリ。坂本氏曰く広告の実装の仕方に上手さがあり、動画広告が出るのが7回に1回程度で、見るだけで沢山のガチャ用のコインをもらうことが出来るのでポジティブな気分で動画広告を見ることが出来るという。良いサイクルが回り、ユーザーのアプリへのエンゲージメントも高める狙いがある。
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 最後のタイプがネイティブ広告。自然とアプリのデザインに溶け込ませて動画広告を配置する方法で、Twitter やFacebookのタイムラインに流れてくる動画広告などがイメージしやすいだろう。

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 こちらが今回の講演のまとめのスライドとなる。
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質疑応答

Q1 動画リワードに興味があるがAppleはこのタイプの広告についてどう考えているのか?

A1 動画リワード広告を実装していることが理由でアプリがリジェクトされたというのは、日本でも海外でも聞いたことがないが、将来どうなるかは分からない。以下の2つの点から、Appleのポリシーに反していないと考えている。
 1つ目は、このアプリをダウンロードしたら報酬をもらえるといった、不正にダウンロード数を増やすタイプのリワードではなく、動画を視聴するだけで報酬がもらえる、つまりダウンロードするのは実際にアプリに興味をもったユーザーだけである点。
 もう1つは、そうした報酬がアプリ内で完結している(アマゾンのギフト券などに変えることが出来ない)という点からAppleのポリシーに反していない点だ。

Q2 動画広告の長さは?

A2 大体は15秒。長いもので30秒のものもある。FIVEという会社は5秒での提供をしている。ブランディングではなくパフォーマンスを目的としている場合は、アプリの魅力が伝わりさえすれば動画は長い必要は全くない。

Q3 現在AdMob(Googleと紐付けされている)を使っているが、 β時代からアプリを使っている人が広告を見た際、開発者が広告を見たとみなされ、AdMobの機能が使えなくなってしまった。AppLovinは不正行為をしている人の排除や本当は不正行為をしていない人への恩赦などは出来るだろうか?
  
A3 不正行為の排除方面ではGoogleが圧倒的に長けている。Googleは不正なアカウントや行動に対して厳しく戦ってきたという背景がある。他の会社がどうやっているのかは分からないが、広告のパフォーマンスが下がっていることが分かった場合、該当するメディアに対しては広告の配信をしない・広告の単価を下げるというアルゴリズムが働くため、長期的には収益は下がる。だから、厳しく不正行為を制限しなくても自然に淘汰されると考えている。恩赦に関しては可能な限り真摯に説明して恩赦を待つしかない。

Q4 動画リワードで与える報酬の内容についてだが、Appleのガイドラインで購入以外での機能の開放や追加フィーチャーを与えたアプリはリジェクトするといった文面があるが本当に大丈夫なのか?

A4 動画をみてアンロックされる機能は多くが課金でもアンロック出来る。想像の話でしかないがレビューで高評価を与えたりダウンロード数を水増しすることをやめさせるための文面ではないだろうか。

Q5 ツール系のリワードとしては必要な時に広告が出ないといけないと思うが、広告の在庫はどれくらいあるのか?

A5 1日にユーザーが1~2回見る程度ならば全く問題ない。一日に20~30回見させる場合は、単一のアドネットワークでも表示率は100%に保てるところも中にはあるが、収益性の観点からはアドネットワークを複数使用することで在庫が尽きることを回避することをお勧めする。

Q6 動画広告はWi-Fiの時しか流さないといったアドネットワークも存在するが、動画専門のアドネットワークはモバイル通信の時も流すのだろうか?

A6 流す。会社によって動画広告の形態は工夫されており、アプリデベロッパー側でツールやアドネットワークを使い広告の使い方を自分でコントロールして欲しい。

Q7 動画リワードに対応したメディエーションはあるのだろうか?

A7 日本語に対応しているツールとしてはAdStirとアドフリくんがある。メディエーションというよりはSSPなので使うのに手数料がかかるがこちらの2つがメジャー。無料で使いたい場合は海外製のメディエーションがいくつかあるが、英語なので開発が大変であったり日本円での振り込みに対応していない場合もあるので一長一短である。

▼関連リンク
AppLovin 公式サイト
正方形どん – 長方形の動画を Instagram 用に簡単変換
AdStir
アドフリくん

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