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Windowsユーザーの皆様お待たせしました。入間川幸成のDTM入門講座『Studio One Prime』

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by [2015年9月17日]

at_dawn_final_mix 先日リリースとなったPresonus社のパソコン用フリーDAWソフト『Studio One 3 Prime』。かの有名なDAW『Cubase』の開発に携わったお方が率いる開発チームによって造られたDAWが無償で使える! しかもMacもWindowsも対応! 機能制限や時間制限なし! 日本語版! ということで期待に胸を膨らませ使ってみました。

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ソフトを手軽にインストール

 まずはソフトのインストールから。My PreSonusアカウントを作成しログイン。

Presonus_account

 次にショップページからStudio One Primeをカートに入れ購入。なんと0円! そしてインストールの案内に従ってダウンロード→インストール。

install

 Studio One Primeを起動します。実にお手軽なものでした。ソフトを起動したら新規ソングのスタイルを選択します。一般的な楽曲制作において使用する楽器などがあらかじめ読み込まれているであろうデフォルト設定を迷わず選んでみました。
 使用中のオーディオインターフェースは自動で読み込まれるようです。オーディオインターフェースを使わない場合はパソコンの内蔵マイクと内蔵スピーカーが設定されるはずです。

start_page_song

 そして楽曲制作の画面が開かれます。

song_edit

 ここから僕が普段、楽曲のデモを作っていく手順をもとに、このソフトの操作や機能をご紹介させていただきます。
 ソフトの基本的な扱い方は以前ご紹介したGarageBandと同様です。鳴らす楽器を選んで、音符を並べて、その音符の強さや長さを調節。その繰り返しでできた音のかたまり(リージョン:楽譜で言えば小節に当たります)を、複数の楽器で並べて(トラック)組み合わせ、曲を作ります。

track_edit

MIDIデータ(音符データ)入力

 各編集領域に、鉛筆マークがあります。MIDIキーボードを使わない場合はこの鉛筆を使い、任意の箇所にリージョンや音符を配置します。地道に1つずつ音符を配置していく事を考えると途方も無い作業に思えますが、コピー&ペーストを駆使しながら進めていけば1コーラス分のリズムトラックの基礎は数分で打ち終えられます。ポチポチ打つ作業は特に問題無く進められました。
 今回の楽曲制作では使いませんでしたが、リズムパターンのループ素材も入っているのでひとまずそれらを配置して暫定リズムを組み上げてしまうのも手です。
 ドラムやベースをベタ打ちした後は、音の強弱や長さを調整していきます。ドラムとベースの打ち込みは特に音の強さ(ベロシティ)の調整が肝心です。編集画面下部に音の強さが棒グラフ状に表示されていて、その棒を上下に引っ張れば音の大きさを変えられるという機能に気付いてからは編集作業が加速しました。いけてる機能です。

mix_edit

 と、感動してベースの調整していたのですが、ドラムは同じタイミングで2音から3音鳴るんですよね。例えばバスドラムを踏みながらシンバルをシャーンといったように。そうすると棒が重なるので、1つずつ音を選択してから調整しなければならなくて少ししょんぼりしました。

音色の調整を行うサンプラー操作が快適

 打ち込んだ音符のデータを編集することで狙った音に近付けていくと同時に、音符のデータを読み込む楽器の音色自体も調整していく事でかなりエキサイトできます。

instrument_edit

 トラックに読み込んだ楽器の音色を、ツマミをいじって探していきました。
 このサンプラーの使用感がグッときました。触り心地も、音の変化も「なんか気が利くな」という出世の早い若手社員のようなさりげない印象の良さを感じます。
 そうしてトラックを重ねながら曲を作っていったわけなのですが、内蔵のストリングス音源が良い音だったので、これはもう是非使いたいと思いまして、それはもう音を重ねて鍵盤叩きたいと思いまして。もうMIDIキーボード使っちゃおうという事で、マウスポチポチをやめました。
 ちなみにMIDIキーボードは、オーディオインターフェースと違って、接続済みのものが自動認識されなかったので外部機器として指定する必要がありました。

midi_key

 メニューバーから「環境設定」→「外部デバイス」を選択するとMIDI機器の一覧が表示されるのでそこで使用しているメーカーのものを選択したら音が鳴るように。
 そうして重ねたストリングスとシンセ、そしてオーディオインターフェース経由でギターの音を加えてトラックが揃ってきたところで仕上げに入ります。
 余談ですがトラックが多くなってくると「あ、ストリングスちょっと音数減らそうかな」と思いついてトラックの編集をするときなどに、パッと見でわかりづらくなってきます。またそういう思いつきは、トラックが増えてきた時に加速してくるものです。ですので、僕は似たような見た目のリージョンが並ぶトラックの名前をヘンな文字列に変えたりすることで、狙った音のトラックがすぐに見つかるようにします。ですが画像に写っているようにトラック名を日本語表記にしていると、例えばボーカルトラックだけとか、ギターのトラックだけ、というようにファイルを書き出して人に渡したりするときに不具合の可能性があるのでやめたほうが無難です。このデモでは僕しか操作しないのでやっちゃっていますが。多くの人は、トラックの視認性問題を、リージョンの色を分ける事で解決しているようです。カラフルな編集画面を見ると「あぁ、教則本とかで見る画面だ。いいなぁ」と思います。僕は弾き損じやノイズなどの問題箇所だけ色を変えておいて、一旦別な作業に移る時のためのアラートとして使うくらいなので、地味な画面で作業を行います。余談でした。
 トラック名は通常、英数半角で。

ミックス作業は簡易デモ制作向け

 出揃ったトラック群を、ここからミックスしていく作業に入ります。バンドマンがTwitterやブログなどで「レコーディング終了~! 打ち上げ☆」などと呟くのはだいたいこの辺りまでの工程になります。
 後の工程は、レコーディングスタジオなどで行われる場合が多いのですが、DTMerにとってはここからさらにエキサイティングな作業が待っています。僕も打ち上げには行きますけども。
 画面右下の『ミックス』ボタンを押すと、これまで音符を編集していた画面下部の領域が、ミキサー表示に変わります。作ってきたトラックが一覧できるようになりました。

mix_edit

 表示されたフェーダーを上下させて、各楽器の音のバランスをとる作業をしていくのですが、それぞれの楽器の音を、リバーブやエコーをかけたり、イコライザーで周波数をカット/ブーストしたりという加工も行います。
 この工程より以前の音を「すっぴん」と例えると、ナチュラルメイクからもはや整形レベル、さらには特殊メイクレベルにまで劇的にビフォー/アフターさせる事ができる非常にエキサイティングな作業です。慣れてくるとつい「盛り」過ぎて、周囲の人を引かせてしまうのは、きっとミックスもお化粧も似たようなものだと思います(僕の主観です)。「君誰だっけ」レベルにガンガン盛ったり、ナチュラルな色付けのみに留めたりと、楽曲の雰囲気や使用する楽器の音に合わせていろんな引き出しを増やしていく楽しくも険しいミックス道は、きっと多くの女性達が日夜研鑽を重ねているであろうメイクアップ道に通じるものがあると思っています(僕の主観です)。
 パッと見ただけでだいたいどんな粉をどうやって顔に塗ったらいいのかという目算や、なおかつたくさんのお化粧道具を駆使していく術を、メイクアップ道を歩む世の女性は習得している事と思います。ミックスにおいても、自分でやり始めると世に出回っている音楽の聴き方に少し違った角度が加わります。「あ、こんなパツパツにコンプかけてもいいんだ」とか「こんなに低音域スッキリなのに迫力を失わないのは何故だろう」など、世に流れる楽曲全てが教科書となりカタログとなっていくのです。楽曲の中で使用されている音をどのように加工して混ぜていけば心地良いのか、といった音の眺め方をする目を養うのに、このミックス作業で試行錯誤する経験は、僕の音楽生活の中でかなり役立ってきていると思います。全ての音を机の上に並べて、部屋をウロウロ歩き回りながら1つずつ手に取って「うーん、こんな組み合わせはどうだろう?」「コレは素材が素敵だなぁ。他のを加工する事で目立たせるのはどうかな?」というような俯瞰的な見方です。不正解のような音のバランスを一瞬挟み込む事でその直後に「ああ、待ってた! これこれ!」という展開を作りだす演出や、各楽器の特性を知りたいという意欲にもつながります。
 自分が演奏していて気持ち良い音をプレイヤーが出した上で、一緒に曲を形成している全ての楽器の居場所や効果を考えながら曲を作っていく、という意識は、スタジオやステージでの快適な演奏にも大きく影響すると僕は考えています。演奏している自分の音の気持ち良さに偏ると、エレキギターなど電気楽器を使用するジャンルでは楽曲を破壊するエゴの強い演奏者になりかねません。
 かといって全ての楽器の居場所や音のバランスをとる事だけに意識が偏ってプレイしていると「華」や「サプライズ」のある面白さが抜け落ちて悪い意味で「無難」な曲になってしまうリスクもあります。
 そういう意味でのバランス感覚も、いろんな楽器の混ぜ方を試していく事で体得していけるので、スタジオやステージでの演奏を活動の主体としているバンドマンには、ミックス道へ足を踏み入れるコトを強くオススメします。スタジオやライブハウスの音響エンジニアの方と相談しながら音を作っていくような作業もスムーズになりますから。楽屋でイスを蹴る前にできるコトが、かなりたくさん転がっているものなのです。
 ミックス作業の重要性を長々と独白したところで恐縮なのですが、どうやら『Studio One 3 Prime』ではこのミックス工程での機能制約が特に多いようで、使えるエフェクトにかなり限りがあります(無料ですからね)。
 ですので基本的にはイコライザーで各楽器の周波数帯のモワモワやゴツゴツを削ぎ落としたり膨らませたりする下ごしらえをして、必要があればリバーブなどの空間系を追加する、といった加工のみを行いました。あとはフェーダーでバランスをとって終了です。
 僕はイコライザーを操作して「重低音ガン盛りボワボワペース!」とか「高周波シャリシャリギター!」などと大げさに音を加工して遊んでいました。各楽器の持つ周波数帯の特性を把握して組み合わせを考えるような、ミックス道入口付近の徘徊です。そういう練習には、逆にこれくらいシンプルな機能の方が向いていると考えられなくもないです。ただ、楽曲を仕上げる、という意味ではこのソフトではかなりの縛りプレイを要求されます。
 さて、できました。一曲として聴いてもらえるように書き出しを行います。フリー版では、mp3は対応していないので、mp3形式にする時は書き出したwavファイルを別のソフトを使って書き換える必要があります。リミッターもフリー版には無いようなので、あまり音量を上げ過ぎると書き出しの時に「音割れしてますよーフェーダー下げなくていいんですかー」と注意されます。

無料で始めるには十分過ぎる!

 それでは書き出した楽曲をきいていただければと思います。

at_dawn_demo

 全てStudio One Primeを使用して作りました。通常はこれで歌詞を書いて歌を乗せ、もう少し細かく調整して「できました!」と送ります。
 せっかくなので歌も入れてみました。ドラムの音のバランスを調整しやすいように各楽器(バスドラム、スネアドラム、ハイハットなど)を個別のトラックに書き出してそれぞれの音をイコライザーで処理しています。ボーカルのファイル編集だけは普段の作業環境で行いまして、書き出したボーカルトラックを乗せてあります。
 歌入りがこちら。

at_dawn_final_mix

 それでは最後に、Studio One Primeを使用してみて感じた、良かったところと惜しいと思う部分をまとめます。

良かったところ

  1. サンプラーの操作感が心地よい
  2. 単音の打ち込みであれば強弱の調整が楽
  3. 内蔵のサンプリング音源がカッコイイ(ウッドベースやストリングスはフリーか!?と突っ込むほど)
  4. オーディオファイルのフェードイン/フェードアウトがワンタッチなのに感動

惜しいところ

  1. 使えるプラグインが少ないのでミックス時はほぼ縛りプレイ
  2. オーディオファイルの細かい編集はかなり時間がかかる
  3. 他のDAWソフト(LogicやPro Toolsなど)のキーコマンドが読み込めるが微妙に同じじゃなくて戸惑う

 「DTMを始めてみたい。無料で。」というニーズには十分応えられるソフトです。曲のイメージを伝えるデモをつくる、という用途であれば特に。MIDI編集はサクサクできるので、例えば「ドラムのフレーズこんな感じ!」といった細かい部分まで伝えたい人の要求にも応えられる上に、フリーでMacもWindowsも使用可能なのでファイルのシェアもしやすいかと思います。
 以前のフリーDTMソフト紹介記事で「こちらWindowsユーザーですが!」となった方にも、今回は是非お試しいただければ幸いです。
 では きょくづくりに もどります!

▼参考リンク
Studio One Prime
Riverside Creature(入間川氏が所属するバンド)

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