Windows 10のスタートメニューの右半分にMicrosoft  Office 2013のアプリなどよく使うものを紐付けて表示させた例このようにWindowsストアアプリだけでなくデスクトップアプリも紐付け表示でき、しかもグループ分けして表示できるので、うまくカスタマイズすればWindows 7のスタートメニューよりも便利に使える可能性がある。

Windows 7マシンにWindows 10を入れてみる その4

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by [2015年8月28日]

第3回はWindows 10がWindows 7と比較してOSとしての挙動がどう変わったかを中心に見てきました。今回は搭載アプリの相違を見てゆきたいと思います。

廃止されたDVD Video再生

機能面でWindows 7とWindows 10で異なる点の1つに、標準状態でのDVD Video再生の可否があります。

Windows 10ではライセンス料のかかるMPEG2方式で圧縮された動画データのデコード機能が搭載されておらず、この結果MPEG2にかかる技術を映像信号の圧縮に利用しているDVD Videoの再生表示が、標準状態ではできなくなったのです。

これは元々Windows 8およびWindows 8.1での仕様変更をそのまま踏襲したもので、Windows 8の発売時にはこの対策として一定期間内にWindows 8 Proをインストールし登録手続きを行った場合にWindows 8 Media Center PackというDVD再生機能を含むマルチメディア拡張パックのライセンスキー(通常は有償で定価800円)が期間限定で無償提供されるというWindows8発売記念優待キャンペーンが展開されていたのですが、Windows 8.1発売時にはWindows 8.1 Media Center Packが同様に有償提供されたものの特に何のキャンペーンも行われず、Windows 10でもそのまま同じ仕様が引き継がれたものです。

このあたりは、特に何もせずとも当たり前にWindows Media Playerなどで市販DVD Video再生ができる状態を享受していたWindows 7ユーザーからすれば戸惑う部分でしょう。

Windows DVDプレイヤーマイクロソフトがWndowsストアにて有償提供しているDVD再生アプリ。低価格だがご覧のとおり必要最小限の機能しか搭載されていない

Windows DVDプレイヤー
マイクロソフトがWndowsストアにて有償提供しているDVD再生アプリ。定価1,500円と低価格だがご覧のとおり本当に最低限の機能しか搭載されていない。むしろ、同様にDVD再生に必要な機能拡張を追加するWindows 8やWindows 8.1のMedia Center Packが定価800円であったことを考えると、ここまで低機能で一体なぜこんなに高いのか、という話になる

ちなみに、Windows 10でもマイクロソフトがWindowsストアで1,500円にて有償提供しているWindowsストアアプリの「Windows DVDプレイヤー」をインストール(※注1)すればDVD Video再生が可能となり、またWindows Media Playerなどで利用できる汎用のMPEG2 Codecもインストールされるため、単にこのアプリでDVD Videoが再生できるようになるだけでなく、Windows 7の時と同様にWindows Media PlayerなどでもMPEG2でエンコードされた動画ファイルの再生が可能となります。

 ※注1:Windows 10でも、元々DVD再生に対応していたWindows 7のHome Premium、Professional、Ultimateの3エディション、あるいは同じくDVD再生対応のWindows 8.1 (Pro)with Media Center PackおよびPro Pack適用済みWindows 8.1のいずれかからのアップグレードインストールした場合に限っては、既にMPEG2のライセンス料が支払われているという扱いとなるためか、「Windows DVDプレイヤー」が無償提供されアップグレード直後は利用できないもののその後のWindows Updateで自動的にインストールされて利用できるようになっています。このため、この条件を満たす環境ではこの「Windows DVDプレイヤー」をWindows ストアで別途購入する必要はありません。

もっとも、このマイクロソフト純正のDVDプレイヤーはDVDドライブのディスクトレーのイジェクトさえ制御できないという文字通り最低限の機能しか搭載されていないものであるため、また、最近のコピー防止用プロテクトが強化されたDVD Videoディスク(※注2)だとディスクを挿入しても(DVD Videoで規定されたフォルダ構造が標準的なファイルシステムからは正常に見えないために)検出されず再生できないことが多々あるため、DVD Videoプレーヤーとしては難がありすぎます。

 ※注2:最近の市販DVD Videoディスクでは「DVD Decrypter」などのDVD Videoの暗号解除を行う複製アプリで正しく複製できないよう、フォルダ構造などに特殊な細工を施して、通常のエクスプローラなどではそのフォルダ内部が正常に参照できないようにしてあったりします。「Windows DVDプレイヤー」はDVD Videoディスクに記録されたこのフォルダ構造とそこに置かれた特定ファイル名のファイルを、エクスプローラーと同様にOSのファイルシステムを利用して参照し、再生に必要な情報を得る仕組みであるらしく、そのためこうしたエクスプローラでフォルダ内部が参照できない=標準的なアクセス手順でDVD Videoとしての構造を検出できないイレギュラーな構造のDVD VideoディスクはDVD Videoではないと判断されるため全く再生できません。

そのため、Windows 10環境でDVD Videoの鑑賞を本格的に行いたいのであれば、「Windows DVDプレイヤー」が自動インストールされるか否かにかかわらず「Power DVD」シリーズなどのサードパーティ製DVD再生ソフトをインストールして利用するのが賢明です。

Officeには特に影響は無い

Windows 10上でWord 2013を起動した状態One Driveとの連携による文書ファイルのオンライン保存を含め、特に問題なく機能している

Windows 10上でWord 2013を起動した状態
One Driveとの連携による文書ファイルのオンライン保存を含め、特に問題なく機能している

Windowsを利用するユーザーにとって重要なアプリの1つであるMicrosoft Officeですが、さすがに、と言うべきか既にWindows 7でインストールされていた「Microsoft Office Professional 2013」をWindows 10にアップグレード後に確認した範囲では、これまではアプリインストールによる利用であったものがOS標準搭載の機能の利用に変わった「OneDrive」との連携による文書ファイルのオンライン保存機能のようなOS側サービスと密接に結びついた拡張機能まで含めて、筆者が日常利用する範囲の機能は特に問題なく利用できています。

Wordなどを見るとWindows 7の時よりも挙動が軽くなったような印象すらあるのですが、あるいはこのあたりは先に触れたメモリ利用効率の改善などが効いているのかも知れません。

もっとも、「OneDrive」がOS側に統合された結果、この機能そのものに何らかの不具合が出た場合、これまでであれば「OneDrive」のデスクトップアプリをアンインストールして再度インストールし直す、という手段で強引に環境をリセットできたものが、それができなくなっています。

このため、「OneDrive」と連携するOffice側でこの不具合が表面化した場合、それを是正するのが難しくなっています。

あるいは、Windows 7で「OneDrive」を利用していた方は、念のためにオンライン上のストレージ内データのローカルバックアップをとった上で、一旦「OneDrive」をアンインストールし、その状態でWindows 10へアップグレードし、そこでこれまでの「OneDrive」の設定情報を登録して再度オンラインストレージを利用できるようにする、という手順を踏んだ方が安全かも知れません。

便利になったファイルコピー

Windows 7のファイルコピーで保存先に同一名のファイルがあった場合の状況

Windows 7のファイルコピーで保存先に同一名のファイルがあった場合の状況

これはWindows 8の時点で既に実施されていた改良点になるのですが、エクスプローラのファイルコピー機能はWindows 7のそれと比較して格段に便利になっています。

具体的には、コピー先に同名ファイルが存在していた場合、Windows 7のエクスプローラだと「コピーして置き換える」「コピーしない」「コピーするが両方のファイルを保持する」の3択のみであったのが、Windows 10では「ファイルを置き換える」「ファイルは置き換えずスキップする」「ファイルの情報を比較する」の3択がまず提示され、このうち「ファイルの情報を比較する」を選択すると「どのファイルを保存しますか?」というダイアログが表示され、競合するファイルのタイムスタンプとファイルサイズが比較表示され、いずれか、あるいは双方を選択して保存できるような仕組みに改良されています。

Windows 10でコピー先に同一名ファイルが存在した場合の挙動双方のファイルの同一性、あるいはコピーしようとしているファイルの方がより新しい、あるいはより古いことに確証が持てない場合、このようにタイムスタンプとファイルサイズを表示させ、一つ一つ検討しながらコピーの可否等を選択できるようになった。

Windows 10でコピー先に同一名ファイルが存在した場合の挙動
双方のファイルの同一性、あるいはコピーしようとしているファイルの方がより新しい、あるいはより古いことに確証が持てない場合、このようにタイムスタンプとファイルサイズを表示させ、一つ一つ検討しながらコピーの可否等を選択できるようになった。

大量のファイルをコピーする場合、それぞれのバージョン管理が面倒で、これまでのコピーだと一律に全部上書きするか、その反対に一律スキップするか、の2択だったのが、きちんと一つ一つ確認して選択できるようになったわけですから、バージョン管理が必要なファイルのコピー時には非常に便利な改良であると言えます。

この辺の機能はフリーソフトのファイルコピーツールなどでは当たり前にサポートされていたものであって、それがようやくWindows自体で標準対応されるようになっただけだ、という厳しい見方もできるのですが、これに限らずWindows 8以降ではこうした標準搭載機能や例えば電卓などのこれまで下手をするとWindows 3.1時代から延々と改良もないまま搭載されてきたような古参の標準搭載アプリのブラッシュアップがあちこちで行われており、善し悪しは置いておくとしても、ユーザーが考える以上に様々な部分に改良・改善の手が入っています。

こうした改良については「余計なことをしやがって」と「良く改良してくれた」の実質2択になると思いますが、筆者個人としては、「昔に比べてずいぶん良くなったなぁ」というのが正直な感想です。

既存アプリ・ハードウェアの互換性がやや心配だがWindows 7の正常進化に位置づけることができる

以上、Windows 7マシンのOSをWindows 10にアップグレードした場合について、OSそのもののインストール過程からインストール後の挙動までざっと見てきました。

Windows 10では、どうしても復活し大改良されたスタートメニューの見た目の派手さに目が行ってしまいがちなのですが、その挙動を見る限りはこれは本質的な部分ではWindows 7のUIに近い構成となっています。

つまり、これまでWindows 8/8.1へアップグレードせずにWindows 7で頑張ってきたユーザーがWindows 10へアップグレードインストールして利用する分には、それほど致命的な違和感を覚えずに済むような構成となっているのです。

もっとも、逆にWindows 8/8.1に慣れてしまったユーザーからは不評な面もあるようですが。

いわゆる自作機で日常的にあれやこれやと部品を取っ替え引っ替えするのが当たり前の筆者などからすると、(それがどれなのか明示されない)特定のハードウェアに強制的にOSライセンスを紐付けてしまう今回のアップグレードについては、今後ライセンス認証関係の制限がこれまでと比較して厳しくなることに対する危惧がぬぐい去れない(※注3)のですが、メーカー製パソコンを利用しているユーザーにとっては、一度認証してしまえば後は特にライセンスキーの入力をせずともWindowsの再インストールが何度でもできるようになるWindows 10のライセンス紐付けの方が利便性が高くなるのも確かで、このあたりはユーザーの利用実態によって賛否が分かれそうです。

 ※注3:筆者個人としては、マザーボードやLANカードなど認証の識別ポイントになりそうな部品を交換したらその度ごとにライセンスキーの新規購入を強いられるような認証の仕組みになることだけは正直勘弁願いたいところなのですが、このあたりのルールについてはマイクロソフトは例によって例のごとく曖昧な表現をしていて、今後同社によって認証システムについてどのような運用が行われるのか、多少不安が残ります。

Microsoft EdgeこれまでWindows 95時代から漸進的に改良・拡張を繰り返されてきたために基礎構造が古く、その改良が限界に近づいていたInternet Explorerを代替すべく全面新規開発された新Webブラウザ。シンプルなユーザーインターフェイスなど、最近の他社製モダンWebブラウザの流行を取り入れて開発されている。

Microsoft Edge
これまでWindows 95時代から漸進的に改良・拡張を繰り返されてきたために基礎構造が古く、HTML5への対応をはじめとする新技術や新規格への対応が難しくなりその改良が限界に近づいていたInternet Explorerを代替すべく全面新規開発された、Windows用の新Webブラウザ。シンプルなユーザーインターフェイスなど、最近の他社製モダンWebブラウザの流行を取り入れて開発されているが、その一方でInternet Explorer決め打ちで動作していたWebサイトでは正常動作しない可能性がある。

もっとも、こうした不安要素もありますが、その一方でメモリ利用効率の改善やDirect X 12での3Dグラフィック描画機能の改良、それにメディアプレーヤーでのFlacなど新しい可逆圧縮伸張対応Codecの標準サポートなど、マシンの利便性を考えると無視できないような改良が地道に行われており、さらに新Webブラウザとして従来のInternet Explorerに代えて「Edge」が新規開発の上で搭載される(※注4)など、標準搭載アプリの新陳代謝も進んでおり、機能的には明らかにWindows 7よりも改善されている部分が多いことは否定できません。

Windows 10搭載のInternet   Explorer 11Windows 10には新ブラウザ「Edge」だけでなく、Webサイトの動作互換性に配慮して、このように従来通りのInternet Explorer 11も併せてインストールされている。

Windows 10搭載のInternet Explorer 11
Windows 10には新ブラウザ「Edge」だけでなく、Webサイトの動作互換性に配慮して、このように従来通りのInternet Explorer 11も併せてインストールされている。

 ※注4:銀行などがEdgeの搭載を理由として当面ネットバンキングでWindows 10そのものの利用を控えるようアナウンスしたために誤解が広まっていますが、Windows 10には従来通りのInternet Explorerも(主にこのブラウザの固有機能を決め打ちで利用するような「行儀の悪い」Webサイトが未だ少なくないことに配慮して)搭載されており、こちらを利用すればネットバンキングでも特に問題にはなりません。

Groove ミュージックマイクロソフトがこれまで「Xboxミュージック」として家庭用ゲーム機のXbox 360やXbox Oneで展開してきた、iTunes的な音楽サービスをWindows全体で広範に提供するもの。DRM保護された楽曲を除くiTunesで購入した楽曲の再生に対応するなど、iTunes対抗、あるいはその代替を前面に押し出したサービス/アプリであるが、Windows 10ではOSの機能の一部として取り込まれたOneDriveのサービスを利用することで、ミュージックフォルダにアップロードした楽曲の再生にも対応し、独自色を打ち出してもいる。

Groove ミュージック。マイクロソフトがこれまで「Xboxミュージック」として家庭用ゲーム機のXbox 360やXbox Oneで展開してきた音楽サービス。DRM保護された楽曲を除くiTunesで購入した楽曲の再生に対応するなど、iTunes対抗、あるいはその代替を前面に押し出したサービス/アプリであるが、Windows 10ではOSの機能の一部として取り込まれたOneDriveのサービスを利用することで、ミュージックフォルダにアップロードした楽曲の再生にも対応し、独自色を打ち出してもいる

特に、音楽アプリ/サービスであるGrooveミュージックはiTunes的な環境を提供するもので、現状では旧バージョンWindowsへの展開・対応が考慮されていないため、このサービスをパソコンで積極的に利用したい場合は、既存Windows環境へWindows 10をアップグレードインストールし、移行する以外の選択肢がない状況です。

無理をしてアップグレードを急ぐ必要はほとんどない

今後のOSサポートのスケジュールを考えると、現時点ではまだ解決されていない、あるいは解決の見通しの立っていない問題も少なからず存在するため、無理に急いでWindows 7からWindows 10へアップグレードインストールする必要は全くありません。

特に仕事などで使用しているパソコンにインストールされたWindowsをアップグレードする場合には、その可否について特に慎重に検討し可能であれば実際にインストールしてテストを行って、業務等で使用するアプリの動作をきちんと確認してから本格移行するかどうかを判断すべきです。

もっとも、Windows 7やWindows 8.1はそのサポート期間に一定の期限が切られているため、未来のいずれかの時点で否応なしにWindows 10への乗り換え/アップグレードを検討せねばならないのは確かです。

問題は、果たしてWindows 7のサポートが終了する時期を越えて今使っているマシンを使用する可能性があるかどうか、という点です。

さすがに、Windows 7のサポート期間終了が予定されている2020年1月以降も現時点で使っているマシン環境をそのまま使用し続けるというのはあまりなさそうな気もするのですが、ここ10年ほどの筆者自身のマシン環境の変遷を振り返ってみると、Windows XPに始まって遂にWindows 10をインストールするところまで使い倒してしまったxw9400/CTをはじめ意外と発売時期の古いマシンを使い続けていて、明らかに昔よりも長期使用の傾向が強くなっているため、世間的にもそうした状況になるマシンが皆無というわけでもなさそうです。

その場合、サポート期間終了の時点でWindows 7を使用していたなら否応なしにサポート終了の時点までにWindows 10へのアップグレードが求められ、その時点では恐らく有償でのアップグレードとなります。そのため、アプリやデバイスの互換性に問題がないのであれば、そういったマシンは無償アップグレードサービスの実施期間内にWindows 10へのアップグレードを実施しておいた方が、長期的にはコスト面で有利になると考えられます。

今回の無償アップグレードのように、またWindows XPのサポート期間終了に伴うWindowsのアップグレードあるいはパソコン本体の買い換え促進キャンペーンのように、「その時」が来れば何らかのアップグレード促進施策が採られる可能性は皆無ではありませんが、それを期待してアップグレードせずに古いWindowsを何の積極的な理由もなしに使い続けるというのもクレバーな策ではありません。

一方、サポート終了時期以前に使用を終了しそうなマシンの場合であっても、そのマシンを含めて複数台のマシンを使用している場合、マシンの世代によらずその操作を統一したい、あるいはネットワーク管理を統一して扱いやすくしたいという考えもあって、その場合は古いマシンにも新しいOSを入れたいということになるでしょう。

このあたりは本当にケースバイケースですが、少なくともアプリやハードウェアの互換性問題がクリアできるのならば、Windows 7マシンを利用しているユーザーがその後継OSとしてWindows 10をアップグレードインストールする価値はそれ相応にある、と筆者は考えます。特にデスクトップのUIの挙動を見る限り、少なくともWindows 8/8.1よりはよほどハッピーになれる可能性が高いことは断言して良いのではないでしょうか。

「ただより高いものは無い」という言葉もありますが、少なくともこれから約1年は無償アップグレードのサービスが提供されることで、アップグレードについて互換性や操作性について検討し実際に試す猶予期間が与えられるのですから、読者諸氏には十分時間をかけて検討や準備を行った上で、実際にWindows 10をインストールしてその是非を考えてみていただきたいと思います。

ああ、もちろん「ふっかつのじゅもん」を唱えるときのために、「ぼうけんのしょ」に当たるインストール前のバックアップは必ず忘れずに。

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