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入間川幸成のこんなに簡単!ゲーム効果音作り「BfxrとGarageBandを使って無料でピコピコ」

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by [2015年8月24日]

 入間川です。
 以前のゲームBGM制作企画を読んでくれた皆さまから「効果音はどうやって作るの?」というありがたいご質問を頂き、今回はフリーソフトで簡単に効果音を作ろうという企画をお届けします。
 「今、パソコン上の音楽制作のハードルって、とても低くなっているんですよ!」という事実を改めて皆様にお伝えしたいと思います。

効果音の役目

 映画やテレビなどをご覧になる時に効果音に意識を集中する機会は少ないでしょう。「この間観た映画ね、効果音が素敵なの!」などという感想はまず耳にすることが無いと思います。手練のサウンドクリエイターが言うならともかく、いきなりそこから始まっちゃったらなんか皮肉っぽいニュアンスになりますからね。
 しかし効果音の存在によって左右される、作品の印象の割合というのは意外にも高いものです。ゲームにおいては、シーンの印象を決める役割に加え、プレイヤーがボタンを押した時のゲームからの「返事」の役割も果たします。返事の有る無しで安心感が段違いです。気持ちの良い返事を返してくれるゲームは、操作にストレスを抱かせずにプレイヤーをゲームのストーリーや演出に集中させてくれます。
 ゲームをプレイした時や映画を観終わった時の感想として「バトルシステムが斬新!」「あぁ、素敵なストーリーだった」「BGMがとにかく怖い」「ヒロインがマジで可愛い」というものは多く耳にしますし、僕自身も思い出に残る作品の数々はそういった感動として記憶しています。
 それに対し、表立って意識や評価をされずとも、操作や演出を盛り上げてくれて作品全体の印象を左右しうる存在感を持つのが効果音というモノなのです。
 ではそんな健気で力強い存在である効果音というモノを、作っていきましょう。フリーソフトを使って簡単にゲームの効果音を作っていく方法をご紹介します。

本記事で使用するツール

  1. Macintosh(iMacを使用)
  2. GarageBand
  3. Bfxr

 以前フリーソフトで簡単にBGMを作る、という企画の記事を書きました。その際に活躍したMac標準搭載の『GarageBand』と、加えて『Bfxr』を使用します。Bfxrではファミコン風の効果音をとてつもなく簡単に量産していく様を、GarageBandではシンセサイザーのプリセットからそれらしい音を作っていく方法をご紹介します。

驚くほど簡単に、ファミコン風の効果音が量産されていく無料ツール『Bfxr』

 通常効果音の制作はDAWソフト上でプラグインソフトを使って行うのですが、『Bfxr』はWebブラウザ上でも使えるお手軽この上無いソフトです。素晴らしい。Windows、Macどちらでもダウンロードしてマシンにインストールして、単体として起動することも可能です。

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 画面を立ち上げるとシンプルなデザインに英語の文字列と、なかなか付き合いづらい印象を受けますが大丈夫です。誤解されやすいけど、話しかけてみたら親切で裏表のないイイ奴だった、みたいな感じです。
 画面左上のボタンを上から順番に押していきましょう。どうですか? あの懐かしきファミコンサウンドではありませんか。

Bfxr_wav

 よーく見ると「Coin」「Laser」「Jump」など効果音の種類別になっているので、このボタンを押して出てきた音で「これだ!」というのを見つけたらすかさず画面右下の『Export Wav』でWaveファイルを出力してしまいましょう。
 できました。効果音です。




 音が出てくる生成ボタンの下にある「Create New Sound」にチェックを入れておくと、ボタンを押して出た音が左下の領域にストックされていくので、「これは使えるかも」という惜しい感じの音は、選択して少し編集してみます。
 文字列とメーターが並ぶ画面真ん中の領域を操作し音を変えていくのですが、主に使う要素だけピックアップすれば狙った音をすぐに表現できます。
 まずは上部の9つのボタン。これは音の波形を選ぶボタンですが細かいことは今は置いておきましょう。服で言ったら綿でできたシャツなのか、麻でできたシャツなのか、そういう材質の違いで肌触りが違う、くらいに思っておいてください。押したら音の肌触りが変わります。

Bfxr_edit

 パラメータは「Attack Time」「Sustain Time」「Decay Time」をよく使います。上から見ていくとすぐに見つかります。この辺りを中心にいじってみて「これは!」と思うものに当てましょう。
 ざっくり各パラメータの特徴を。

  1. Attack Time 音の立ち上がりの速さを決めます。立ち上がりが早いと太鼓のような「バン!」で、遅くすると「ぅぅうわん」というような、ジワリと音が鳴ります。
  2. Sustain Time 音が立ち上がった後の長さを決めます。ゼロだと立ち上がった音は即減衰します。
  3. Decay Time(Release) 音が消えるまでの時間の長さを決めます。マックスにすると長めの音になります。

 マウスカーソルを乗せると各パラメータの説明が出てくるので英語が得意な方にはぼんやり意味がわかるようになっています。でも説明を読まなくても、それぞれのメーターを最大に振り切った場合、ゼロにした場合、真ん中くらい、といじってみると「ああ、こういう変化ね」と理解できるのでもう触っちゃいましょう。理屈は後で、です。
 この3つのパラメータをいじれば、同じ種類の音でもかなりバリエーションがでます。服で言ったら同じ材質でも「袖が長いシャツ」「裾が短いシャツ」くらいには変わってきます。

作った音を混ぜて新しい音にする

 気に入った音が左下のスペースに溜まってきたら、これらを混ぜ合わせて別の音を作ってみます。
 画面上部のタブ『Mixer』を押すと音をミックスする画面に変わります。

mixer

 この画面で最大五つまでの音を選択して各音のボリュームとタイミングを変更して混ぜ合わせることができます。

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 別の音を組み合わせて新しい音を作るのもそうですが、同じ音を時間差で徐々に大きくしながら重ねてみると同じ操作でバージョンアップしたような効果を持たせられるのでオススメです。

感覚的に扱える『GarageBand』が細かい調整や加工を簡単にしてくれる

 続いてGarageBandによる効果音制作例です。
 「小川のせせらぎ」「小鳥のさえずり」などの自然音とは違う「キャラがダメージを受けた時の音」「パワーアップした時の音」などの抽象音が多いゲームの効果音制作ではソフトシンセサイザーを主に使用します。プリセットを呼び出し、少しツマミをいじってそれらしい音をつくる方法をご紹介します。
 シンセサイザーをたくさん使うので「エレクトロニック」のテンプレートから作っていきましょう。

GB_newprofect

 まずはプリセットから「それらしい音」を探してみます。僕はベル系の音から作り始める事が多いです。MIDIデータ(音符)を怪しげな配列で並べてみます。半音3個分ずつの等間隔で4音同時に鳴らします。

suspense

 サスペンスっぽい効果音ができました。
 同様に「それらしい音」を探して操作音を作ってみます。
 あまり残響の強い音は、ボタンの連打も想定されるゲームの操作音には向いていないので、リバーブ(残響効果)とディレイ(やまびこ効果)はカットします。かける場合はごく薄く。

settle

 僕は音質を加工する時、ツマミを回す以外に、EQ(イコライザー)を使って周波数帯で音の成分を増やしたり減らしたりする方法をよく行います。EQ操作に関しては『GarageBand』でも有料のDAWソフトと同じように扱えるため、GarageBandで効果音を作成する時はこの機能を使う事をお勧めします。

settle_EQ

 ボタンを押した時の決定音ができました。
 同じ手順でキャンセル音、アラート音、セーブ音を作ってみました。


 作った音は画面上部の「共有」からAAC、mp3、AIFFの形式で保存できます。

効果音制作は「ケースバイケース」が多いけど、基本は素材のEQ処理

 以上、ゲームの効果音をフリーソフトで簡単につくる方法をご紹介させていただきました。
 ファミコン風のゲームにおいては『Bfxr』の効果音で、ほぼカバーできるのではないのでしょうか。音量バランスを整えたり音質を変えるような細かい調整が必要な場合は、書き出したWAVファイルをGarageBandに読み込んでイコライザーでの加工やエフェクトを施せばかなりのバリエーションを持てます。
 ゲームのシステムによっては打撃音が必要だったり、BGMとの兼ね合いで音質をもう少し柔らかくした方が馴染む、などの「ケースバイケース」が効果音制作には多いです。柔軟に対応していく必要があるので加工の技は多いほど良いのですが、抽象音に関してはソフトシンセでイメージに近い音を作ってEQ処理、という方法を僕はメインに据えています。
 サンプリングされた生楽器の音や素材音源を加工していくという方法も使いますが、その場合もEQ処理をして何個も音を重ねたりしてイメージに合う音を探します。
 探しているうちに「お、これはいいぞ!今ほしいのとは全然違うけど!」という音ができたりする事が頻繁にあるので、わかりやすいファイル名を付けて保存しておくと、遊んでいるうちにサウンドライブラリができたりします。「簡単に作れる」とは言ったものの、結局目的の音とは別の音を追いかけて遊んでしまって時間は結構経っている、という事態に陥るのが悩ましいところです。

まだ存在しない「未来の暗黙の了解」への挑戦

 僕は「意識にのぼるかのぼらないかの自然さで、わざわざ説明するほどでもないけど、なんか良い」といった役割を、ゲームの効果音に持たせるように最近は強く意識しています。「あ、なんか良い」と思ったかどうかの瞬間には、もうゲームの他の要素、グラフィック、音楽やストーリーなどに対して意識が飛んでいて、かつその流れを邪魔しないような役割を、効果音には担っていてほしいと考えているからです。
 カラスが鳴いているグラフィックでスズメの鳴き声を出すのはNGですが、ゲームの抽象音は「なんかそれっぽい」の範疇ならこれまで誰も聞いたことのない音でも正解になり得ます。そういう意味では自由度が高く「遊べる」楽しさがありますよね。
 ロックマンが飛び散ってしまう時のあの切ない「ティウンティウン」は、本来ロボットが壊れる音としてはあり得ない音ですが「あー!終わっちゃったー!!」っていうシーンとしてみんなに受け入れられる「それっぽい」を持った抽象音です。そういう『誰も聞いた事がない未来の暗黙の了解』に挑戦する面白さもあります。効果音。
 遊べる楽しさや、挑戦する面白さに、今回使用した便利なツールを通じて気軽に触れられるということをご理解頂けたら幸いです。

▼参考リンク
Bfxr. Make sound effects for your games.
MacのためのGarageBand – Apple(日本)
Riverside Creature

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