Intel Core2Duo E8200IntelがPentium 4の高クロック周波数動作路線から決別して開発したCore2シリーズとしては比較的後期のモデル。

あなたのマシンは大丈夫? ~Windows 10はどの位古いマシンまで動作するのか?~ 後編

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by [2015年7月22日]

筆者所有のHewlett-Packard xw9400で「Windows 10を入手する」の「PCのチェック」を行った結果デュアルSocket Fでメモリ32GB搭載と額面上のハードウェア要件を満たすためこのように表示されるが、機種によってはこの表示が出ても様々な事情でWindows 10がうまく動作しない/インストールできないことがありうるため油断ができない。

筆者所有のHewlett-Packard xw9400で「Windows 10を入手する」の「PCのチェック」を行った結果
このマシンはデュアルSocket Fでメモリ32GB搭載と額面上のハードウェア要件を満たすためこのように表示されるが、機種によってはこの表示が出ても様々な事情でWindows 10がうまく動作しない/インストールできないことがありうるため油断ができない。

前編ではWindows 10 Insider Previewでの動作状況からWindows 10で必要となるCPUの条件について見てきました。

後編ではWindows 10で必要となるGPUの条件について考えてみたいと思います。

DirectX 9対応グラフィックカードでも……

さて、Windows 10の動作環境の条件として挙げられている中でも、致命的でないにしろ結構微妙な要素を含んでいるのがグラフィックカードです。

「Microsoft DirectX 9 グラフィックス デバイス (WDDM ドライバー付き)」というのが条件なのですが、問題は括弧の中です。

WDDMドライバーはWindows Display Driver Modelドライバーが正式名称で、Windows Vistaより導入が始まった、Windows標準のグラフィックコントローラ用デバイスドライバのレギュレーションに従って書かれた新しいグラフィックカード用デバイスドライバのことです。

ではWindows Vistaで何故WDDMが開発されたのかという話になるのですが、これは要するにWindows XPの時代にCPUのマルチコア化やHyperーThreadingによるマルチスレッド化が進んで、従来のシングルコアCPUを前提とするWindows 2000/XP時代のドライバモデル(XP Display Driver Model:XDDM)では安定的かつ高い描画性能を確保するのが難しくなってきたためです。

つまりこのWDDM対応のグラフィックカード用デバイスドライバは、マルチスレッドによる並列処理に対応するため従来のXDDM対応ドライバとは構造が大きく変わっているということで、既存ドライバのコードを使い回しできません。

また、そもそもの話としてGPUでハードウェア的にDirectX 9をフルサポートすること自体が結構な難度で、筆者の知る限りまともに動くDirectX 9対応GPUチップを作れたのは、ATI Technologies(現Advanced Micro Devices:AMD)とNVDIAの大手2社、それにノートパソコン向けチップセットを中心に割と低性能なチップセット内蔵グラフィックコントローラを開発・搭載していたIntelくらいのもので、後年になってモバイル機器向けGPUが高性能化してからImagination TechnologiesのPowerVRシリーズやARMのMaliシリーズなどで(主にタブレットでの対応などの必要から)サポートされるようになったものの、パソコン用内蔵GPUやグラフィックカードのレベルでみると、まともにDirectX 9をハードウェアの機能レベルでサポートし、WDDMドライバがきちんと提供され、それなりに実用になったものとなると、やはり先に挙げた3社の製品くらいしかありません。

Matrox Parhelia PCI 256MBDirectX 9の仕様を一部先取りしながら、WDDMドライバが提供されずに終わったグラフィックカードの例。

Matrox Parhelia PCI 256MB
DirectX 9の仕様を一部先取りしながら、WDDMドライバが提供されずに終わったグラフィックカードの例。

実を言うと、DirectX 9登場前の時期に将来的な予定を含め「DirectX 9対応」を標榜したGPU製品を開発・発表したメーカーはそれなりの数があったのですが、3Dlabs(WildCat 4)やMatrox(Parheliaシリーズ・Matrox Mシリーズなど)、S3 Graphics(Gamma Chrome。Chromeシリーズ)それにXGI(Volariシリーズ)といった各社が出した製品は、例えば必要な機能の一部がハードウェアで実装されていなくてソフトウェアエミュレーションになっていたり、実装されていても著しく低性能であったりしていずれもATI/AMDやNVIDIAの製品に性能・機能面で対抗できるレベルになく(※注1)、結果として大変遺憾ながらそれらのメーカーがことごとく経営不振で業態転換を強いられる、つまり一般向けGPU製品市場からの撤退を強いられる原因になってしまったものでした。

 ※注1:筆者自身、この時期にMatrox Parheliaなど幾つかの製品を使用してみたのですが、いずれも同時期のATIやNVIDIAの製品に(価格を含めて)対抗できるレベルにありませんでした。それでもMatroxとS3の製品は2015年現在も一部が現行製品として残っていますが、前者は医療用を中心とする業務用に特化した結果延命され、後者は組み込み用途で自社製チップセットとの組み合わせによるソリューションの一部として存続を許されているにすぎません。なお、これら2社の内Matroxについては2014年9月に自社製GPUチップ搭載製品の後継機種としてAMD製GPU搭載のMatrox Cシリーズを発表しており、現在では自社オリジナルGPUの開発を終了しています。

そんな製品群ですから「DirectX 9対応」を謳っていてもこれらの機種でまともにWDDM対応のドライバが提供されたことは皆無でXDDMドライバばかりという有様(※注2)になっていて、マイクロソフトがわざわざ括弧書きしてまで「WDDMドライバー付き」と念押ししたのも、恐らくこのあたりのWDDMドライバもまともに提供されなかったようなマイナー機種まではとても面倒を見きれない、どうしても対応が必要ならばGPUチップ開発元がWDDMドライバを自分で開発して提供しろ、という意思表示なのでしょう。

 ※注2:実際にもそれらの製品に各社が純正で供給しているデバイスドライバではWDDMドライバが必須となったWindows 8・8.1に対応するものは皆無で,もっとも新しいものでもS3 ChromeシリーズなどでのWindows 7 x64版対応までです。

そのためWindows 10でVGA互換コントローラとしてハードウェアアクセラレーションの行われない「Microsoft ベーシック ディスプレイ アダプター」扱いされることなくまともに使えそうなGPUは、GMA950以降のIntel製チップセット内蔵GPUあるいはCPU内蔵GPUを別にすると、ATI/AMDだとRADEON 9500以降、NVIDIAだとGeForce FX5200以降、ということになります。

もっとも、前編で挙げたWindows 10でのCPU対応を考慮すると、x64版ではAGP対応のチップセットはIntel製CPUでもAMD製CPUでもほぼ切り捨てられたも同然の状態となるため、ATI/AMDだとRADEON Xシリーズ以降、NVIDIAだとGeForce 6シリーズ以降というのがDirectX 9サポートかつWDDMドライバ提供が期待でき、また動作する可能性の高い製品ということになります。

NVIDIA GeForce 7900GTX(上)・ATI RADEON X1900XTX(下)今回筆者がテストに使用した初期のDiretX 9対応グラフィックカードの例。いずれも2006年頃のハイエンドモデルに当たる。

NVIDIA GeForce 7900GTX(上)・ATI RADEON X1900XTX(下)
今回筆者がテストに使用した初期のDiretX 9対応グラフィックカードの例。いずれも2006年頃のハイエンドモデルに当たり、Windows 10 Insider Previewでも特に問題なく動作した。

筆者が実際にWindows 10 Insider Preview build 10162・10166のx64版で試した範囲では、手持ちのRADEON X1900XTXやGeForce 6600、Geforce 7600GT、それにGeForece 7900GTXなどのユニファイドシェーダー非対応かつPCI Express対応の比較的古いGPUが問題なくOS標準搭載のInBoxドライバを組み込まれ動作しているため、このあたりの世代以降のAMD・NVIDIA製GPUならば特に問題なく動作が期待できる(※注3)でしょう。

 ※注3:ただし、このあたりの製品に対するGPUメーカーによる最新OS対応純正ドライバのサポートは、おおむね打ち切られるか最新機種よりも後回しにされる状況にあります。例えばGeForce 6シリーズではWindows 8までしかNVIDIA製の純正ドライバが提供されていません。そのため、これらのカードの今後の継続的な利用にはやや難があります。また、筆者が動作確認したところ、GeForce FX5200は「Microsoft ベーシック ディスプレイ アダプター」ドライバがインストールされてしまい、NVIDIA自身もWindows Vistaまでしかこの系列のGPUに対応したドライバを提供していないため、Windows 10ではVESA VGA BIOS Extensionsによる最低限の動作は行われるものの、GPUの性能が規定通り発揮できるという意味での正常動作は期待できません。GeForce FXシリーズのWindows 10での利用は避けた方が良いでしょう。

一方、32ビットのx86版では少ないながらもAGP対応チップセットが対応範囲に残っています。

Intel製CPUについてはチップセットのPCI Express対応への移行が比較的早かったことから、Windows 8.1・10での対応条件を満たすCPUでAGP対応チップセットが動作するケースはx86版のみしか対応しないモデルでもあるかどうかといった状況なのですが、AMD製CPUの場合、特にSocket 940・Socket 754・Socket 939世代のチップセットでは逆にPCI Expressをサポートするものの方が珍しい状況(※注4)でした。

 ※注4:この世代のOpteron用AMD純正チップセット(AMD-8000)では結局PCI Express対応が行われず、Athlon 64・Athlon 64 X2・Senpron向けでもNVIDIAのnForce 4シリーズとULi(後にNVIDIAに事業譲渡)のM1695+M1567、それにかなり後になって登場した製品に採用されたAMD(ATI)のAMD 785G位しかPCI Express対応チップセットがありませんでした。

このため、これらのCPUがx64版非対応であることからx86版への対応のみ考えれば良いとしても、AGP対応の古いグラフィックカードでの動作についてはそれなりに配慮する必要があるわけです。

AMD RADEON HD3850 512MB AGPAMD(ATI)のRADEONシリーズでは最後期のAGP対応製品の1つ。DirectX 10.1対応のユニファイドシェーダー搭載GPUで、しかもそれなり以上に高速な製品、となるとこれか後発のRADEON HD4670  1GB AGP位しかない。

AMD RADEON HD3850 512MB AGP
AMD(ATI)のRADEONシリーズでは最後期のAGP対応製品の1つ。DirectX 10.1対応のユニファイドシェーダー搭載GPUで、しかもそれなり以上に高速な製品、となるとこれか後発のRADEON HD4670 1GB AGP位しかない。

なお、AGP対応についてNVIDIAは旧式な固定シェーダーユニット構成のGPUを搭載するGeForce 7シリーズのGeForce 7600GT・7800GSで公式なサポートを打ち切ったため、Windows 10でそれなりに実用になるAGP対応GPUが欲しければより遅くまでサポートを続けたATI/AMDのRADEON HD4670・HD3850あたりのAGP対応モデルを探す必要があります。

もっとも、それらの製品は既に生産終了となっているため市場での新品入手はほとんど不可能に近く、中古やネットオークションで出物があった場合にも相応以上の高値がついていたりします。そのため、そこにコストをかけるならばマザーボードあるいはマシンそのものをより新しい世代のPCI Express対応のものにリプレースすることを検討すべきでしょうし、恐らくその方がより高いコストパフォーマンスを得られることでしょう。

2006年頃以降のマシンならば基本的には動作する

以上、さしあたりWindows 10の動作環境について、Insider Previewでの実績や公表されている条件などを基にして主にOSそのものの動作可否に対する影響の大きいCPUとGPUに焦点を当てて見てきました。

Intel Core2Duo E8200IntelがPentium 4の高クロック周波数動作路線から決別して開発したCore2シリーズとしては比較的後期のモデル。

Intel Core2Duo E8200
IntelがPentium 4の高クロック周波数動作路線から決別して開発したCore2シリーズとしては比較的後期のモデル。

結論から言うと、CPUについては2006年発表のIntel Core 2シリーズあるいは同年発表のSocket AM2対応AMD製CPU、およびそれ以降の後継各製品を搭載するマシンならば、初期にx64対応非サポートのモデルが存在するAtom(※注5)搭載機などを例外とすると、大概はWindows 10のx86版・x64版がどちらも動作すると考えて良さそうです。

 ※注5:Atomには一部にxDビット非対応の機種がありますがそれらは組み込み用の特殊なモデルで、一般に超小型PCやノートパソコン、タブレットなどに組み込まれて提供されているAtom各モデルは全てxDビットをサポートしているため、メモリとストレージさえ十分ならばx64版非対応のモデルでも少なくともx86版は動作します。

もちろん、マザーボードのBIOSのバージョンあるいは仕様が古すぎてインストールできない、とかディスクストレージの接続に使っているRAIDカードやSCSIカードのデバイスドライバが提供されていないためインストール時にインストール先となるディスクが認識されない、とか、はたまたメモリが512MBしか搭載されていない、とか、CPUやGPUの互換性以外にもWindowsのインストールと動作に当たって障害となる要因は山ほどあるため、2006年以降のマシンならば確実に動作するとまでは断言できないのですが、基本的には動作する可能性が高いわけです。

XFX PV-T88P-YDFP GF8800GT 512MB DDR3NVIDIAのGeForceシリーズとしては2世代目のユニファイドシェーダーGPUでありそのハイコストパフォーマンスから大ヒットとなったGeForce 8800GT(2007年発表)搭載カードの一例。このカードの成功でユニファイドシェーダー搭載GPUが急速に普及した。

XFX PV-T88P-YDFP GF8800GT 512MB DDR3
NVIDIAのGeForceシリーズとしては2世代目のユニファイドシェーダーGPUでありそのハイコストパフォーマンスから大ヒットとなったGeForce 8800GT(2007年発表)搭載カードの1例。このGPUの成功でユニファイドシェーダー搭載GPUが急速に普及した。

実はGPUで一大転機となったユニファイドシェーダー、つまりGPUの演算ユニットのプログラマブル化による汎用化が各社のパソコン向け製品で実現したのもちょうど2006年の終わり(NVDIA)から2007年半ば頃(AMD)にかけてのことでした。

このため、CPUとGPUで共に現代的な仕様の実装が揃った、という意味ではメーカー製パソコンの場合、(古いパーツを流用して安く作られた廉価モデルなどを別にすると)2007年夏以降に発表のモデルであることがWindows 10が普通に動作する機種かどうかを判断する上での1つの目安になるでしょう。

なお、本編では触れませんでしたが、Windows 7あたりまではデバイスドライバ供給があったがWindows 8・8.1ではマイクロソフトによるOS同梱のInBoxドライバも各メーカーによる純正ドライバも供給されない、というケースがいわゆるパラレルSCSIなどの比較的古めのディスクインターフェイスカードで起きています。これなどは「Windows 10を入手する」の「PCのチェック」でチェックされないため、いざインストールしようとしたらハードディスクやSSDが認識されなかった、といったトラブルを引き起こします。

今時、Windows 7以降のOSをインストールしたマシンで、パラレルSCSIインターフェイスカードをシステムディスク接続に利用している方はさすがにかなり少ないものと思いますが、例えばパラレルATA対応のRAIDカードなど少し古めでやや特殊なストレージ用インターフェイスカードやコントローラを使用している方は必ず事前にメーカーのサポートページなどでWindows 10への対応状況をチェックしておく必要があります。ご注意ください。

何にせよ、短めに見積もっても8年も9年も前の機種から、それも多種多様かつ膨大な種類のある周辺機器を含めてサポートしなくてはならないのですからマイクロソフトも大変ですが、こうした古い機種での動作互換性を維持し続けていることこそはハードウェア/マシンの機種ごとのOS対応を短期間で切ってしまうAndroidにはないWindowsの強みであり資産であると言えます。

今後もマイクロソフトさんには、実用性を維持できる範囲で構わないので古い機種の積極的なサポートを是非とも続けて欲しいものです。

▼参考リンク
システム要件 – Microsoft Windows
Windows 8.1 で利用できる x86 および x64 グラフィックス ドライバーの現状 – Windows app development
Windows Vista ディスプレイ ドライバ モデル

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