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入間川幸成のこんなに簡単!ゲームBGM作り「前編 リズム隊だけで成立させてみよう」

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by [2015年7月08日]

 こんにちは。入間川幸成と申します。
 以前こちらにインタビュー記事を載せていただいた者です。
 ロックバンド「Riverside Creature」のギターボーカルと、ゲームアプリ開発SYUPRO-DXのサウンドクリエイターを務めております。『バンドマン×DTMer(コンピューター上で音楽をつくるような人の俗っぽい呼び方)』なアナログ音楽世界とデジタル音楽世界を行き来するハイブリッド(?)音楽屋です。
 「今、パソコン上の音楽制作のハードルって、とてもとても低くなってるんですよ!」という事実を改めて皆様にお伝えすべく、この度連載を担当させていただくコトとなりました。

▼目次
入間川幸成のこんなに簡単!ゲームBGM作り「前編 リズム隊だけで成立させてみよう」
入間川幸成のこんなに簡単!ゲームBGM作り「後編 メロディを重ねてみよう」

▼関連リンク
ゲーム音楽で人の心を動かすバンドマン ~ SYUPRO-DX 入間川幸成氏インタビュー
SYUPRO-DX 記事一覧

はじめに

 スタジオでアナログ音楽、パソコンでデジタル音楽という二足のわらじを履いているうちに、知った事実があります。
 それは「DTM? DAW? よくわかんねーけど興味は無くもない!」というアナログ派にとって、デジタル音楽はいまやすぐに触れるコトができ「え、こんなにつくりやすいの!? しかも楽しい!」という体験ができるということです。
 例えばゲームをつくったり、映像作品をつくったり、友人の結婚式で披露するスライドショーをつくったり。デモテープ(テープではないけど)をつくって友人達とバンド演奏をしたり。
 音楽がほしいときに、自分で作曲できたら、「僕つくっちゃったもんね!」という充足感と制作中の楽しさなどが相まって、思い入れある作品が、よりいっそう大事なモノになります。
 アナログ主体のバンドマンのように、PCを使った音楽制作にあまり馴染みが無い方へ。
「今、音楽制作のハードルってめちゃめちゃ低くなってるんですよ!」という事実を、この企画を通じて、ご紹介させていただきます。

お題:リズム楽器だけでBGMをつくる

 連載第1回目のお題は、『リズム楽器だけでBGMをつくる』です。
 冒頭でお話した、過去のインタビュー記事。こちらで「リズムだけでもBGMとして機能する」的な事を入間川は述べました。今回はそれを実際に行ってみようではないかというわけです。
 ゲームにおけるBGMの役割のひとつに、『プレイヤーをノリノリにさせる』というコトが挙げられます。
 気持ちいい操作感のアクションゲームには、軽快なビートがバックにあればより一層楽しくゲームが遊べちゃいます。そして『ノリノリにさせる』ために最も重要な役割を担うのがリズムです。
 『プレイヤーをノリノリにさせる』というのはゲームに限ったお話ではありません。
 小気味好いビートを刻むドラマーは、ステージの上からバンドメンバーであるプレイヤー達、さらにはオーディエンスまでもノリノリにさせちゃうものです。
 ノリノリなビートを聞いていて自然に体が動いちゃう経験、皆さんも経験があるかと思います。
 動いちゃう体、それもリズムです。
 音楽制作というと、メロディーや和音の知識のイメージが先行してハードルが高いと思われがちですが、音楽の原点要素、リズムだけであれば誰でもすぐに遊べちゃいます。そして楽しいです。

本記事で使用するツール
・Macintosh(今回はiMacを使用)
・GarageBand
・パソコン付属の文字入力用キーボード

 今回はMacintosh標準搭載のソフトである、『GarageBand』を使った音楽制作を紹介します。僕自身、初めてiMacを買ったときに『GarageBand』でパソコン上での音楽制作を学びました。
 Macintoshユーザーなら無料で使える上に、本当に性能が高いソフトです。スマートフォン用のアプリもあります。

▼関連記事:Apple純正の音楽制作アプリ「GarageBand」
GarageBand

リズムの打ち込み方

 僕がリズムを打ち込む時はMIDIエデェット領域にデータをポチポチ打ち込んでいきます。『GarageBand』は使い始めたころよりものすごい進化していました。ですので最近追加された「Drummer」という素晴らしい新機能を中心に使って打ち込んで(もはや『打ち込む』とは呼べない概念の新機能なのですが)みたいと思います。
 まずはざっくりと『GarageBand』の画面の説明を。
Garageband_concept
 赤枠で囲ったところに楽器のアイコンが並んでいます。
 ドラムアイコンのところに黄色いバーがありますが、これは再生ボタンを押した時に流れる音のデータです。上の図ではドラムのアイコンのところにだけバーがあるので、再生したらドラムのビートだけが流れる状態になっています。
 この黄色いバーの中身を、青枠で囲った場所で編集していきます。
 左側の緑枠で囲った場所で楽器を選べば、音色がかわります。ロックドラムのデータを、電子ドラムのポコポコサウンドに変えて再生する、なんてことをする時に使います。
 主にこの三つの領域を操作しながら音を重ねて音楽をつくっていきます。
 パソコンで音楽をつくるソフト(DTMソフトとかDAWと呼ばれるモノ)はだいたい似たような構成なので、慣れれば他のソフトにも応用できます。
 それでは実際にリズムをつくってみましょう。

newproject
 1.プロジェクトを立ち上げる。
 2.Drummerをいじる

 以上。簡単です。
 イメージ的には『GarageBand』というスタジオに入ったら、そこには凄腕のドラマーがもうずっと常駐で待機していて、

僕「ゴキゲンなのヨロシク」
Drummer「オーケー、ボス」

 ……みたいな感じですぐさま叩いてくれちゃう。そんな雰囲気です。
 実際ドラマーを選んで、黄色い丸カーソルを『複雑』とか『単純』みたいな方向にずらして操作したときなんて、
「そこ、もっとグワァァっと!そう、ススッ、の後ね。グワァァっと!」
 みたいなボスの指示に、嫌な顔ひとつせず即座に音で返す優秀なドラマーのようです。

空気が読める子です

空気が読める子です

 これだけでリズムとしては十分なのですが、手持ち無沙汰なボスもちょっとは関わりたいので、僕が手動で打ち込むリズムも加えてみます。
 プラスボタンを押して、『ソフトウェア音源』を選びます。
 新しいトラックができます。
track_new

 このトラックはピアノやギター、オルガンなどに音を変えて出力できるのですが、今回はドラムを選びます。
choose_drum
 左側の楽器名のリストから「Drum Kit」を選択してください。
 これで僕が打ち込むべきトラックができました。
 基本的にはリズムに必要な音は、キック(バスドラム)、スネアドラム、ハイハットの3つです。これは古くから、ドラムを演奏する人達に『三点』という名で親しまれてきた要素です。
 この3点の組み合わせで、あらゆるリズムはつくられているのです。
 今回はこの3点に焦点を絞り打ち込みたいと思います。
 通常MIDIキーボード(それ自体は音が出ない、信号だけ送る鍵盤。ゲームのコントローラーみたいなイメージ)でリズム打ちをするのですが、今回はパソコンだけあれば大丈夫です。タイピング用のキーボードを使います。『D』のキーを押したらシンバルがシャーンと鳴ったりしちゃいます。
music_typing
 ウィンドウ→『ミュージックタイピングを表示』(command⌘+K)

 キーボードを押して録音したい音を確かめます。
 ハイハットシンバルの音を録音してみます。
 画面上部の赤い丸ボタン、録音ボタン、もしくは『R』のキーを押したら録音開始です。
midi_rec
 上側に緑色の四角い箱(リージョン)が、下側に打ち込んだ音のデータ(ノート)が表示されます。
 録音したリージョンやノートは、マウスで動かしたり、optionキーを押しながらドラッグしてコピーしたりもできます。

midi_edit
 録音したハイハットシンバルの音をコピーして移動、スネアドラムの位置に配置、同じようにバスドラムも……という風に打ち込んでいきます。

midi_quantize
 画面下側に『タイムクオンタイズ』というメニューがあります。
 これは打ち込んだ音をテンポに合わせて均等化する機能です。
 メトロノームの音にぴったり合わせた『ズレていない演奏』にするためのものです。これぞDTM! 超便利。
 打ち込んだ音をマウスで選択して、このクオンタイズをかけると音が綺麗に整列します。
 基本的にはこの操作を繰り返して音を重ねていきます。
 違うと思ったら即座にアンドゥ(command⌘+z)です。何度でもすぐやり直せます。
 2小節打ち込んだリージョンができたら、リージョン右上をクリックしながら右に引っ張ってみましょう。
 打ち込んだリージョンが繰り返されます。
region_loop

 これでdrummer作成のトラックと、入間川作成のトラックができました。
 音楽制作ソフトでは通常こうしてトラックをつくって、それぞれを編集しつつ並べて曲をつくっていきます。

Apple Loopsの使用

 ちなみに、画面右側の『ℓ』的なマーク(Apple Loops)を押すと、ループ素材一覧が出てくるので、こちらから気に入ったものをドラッグ&ドロップしてパーカッションを足す方法もあります。

choose_loop
 入間川トラックをミュートしてループ素材に替えてみました。

書き出し

 つくったリズムを音声ファイルとして書き出します。
 これで自分のつくったファイルをiTunesライブラリに取り込んで聞いたり、動画やゲームに組み込めるようになります。
 余談ですが『GarageBand』を使って初めて作った『梅酒ロック』という曲を書き出したときは、それはもうテンション上がりました。このエキサイティングな瞬間は是非みなさまに迎えていただきたいのですが、操作は意外にあっけなく終わります。

bounce
 画面上の『共有』→『曲をディスクに書き出す』でmp3ファイルを書き出しました。

今どきのDTMは無料環境も充実

 今回は音楽制作ソフト『GarageBand』を使って、リズムだけのBGMをつくる方法をご紹介してまいりました。
 新機能『Drummer』やループ素材集『Apple Loops』が素晴らしいので、基本的にはこの組み合わせだけでもイイ感じのBGMがすぐつくれちゃいます。
 そこにプラスして「ここにバシャーン!っていうシンバルが欲しいなぁ」とか「一瞬無音にしてパンっ!ってスネア一音だけ鳴らしたいなぁ」なんていう『こだわり』がでてきたら、手打ちの音も追加していくと良いと思います。
 その『こだわり』をひとつずつ実現していく過程こそが、僕が皆様に強くオススメしたい快感体験です。是非に。
 今回はMacintoshプリインストールの『GarageBand』をツールとして使用しましたが、無料のDTMソフトはほかにもたくさんあります。
 MIDI打ちだけに特化したソフトだと、『Domino』が使いやすいソフトだと思います。機能的にもそうですが動作が軽いのがとても。(過去に僕は制作環境から離れたバイトの休憩中、バイト先のPCでDominoを使ってポチポチと作ったMIDIデータをメールで自宅PCアカウントに飛ばしたりしながら曲を作ったりしていました。笑)
 他には『REAPER』や『Music Studio Producer』など。
 定番DAWのCubase開発者が作ったDAWのフリー版『Studio One Prime』のリリースも僕は気になっています。
 次回は『GarageBand』を使って今回作ったリズムトラックに音を重ねて、旋律のあるBGMの制作例をご紹介いたします。
 基本的にはキーボードを使って録音して調整、というドラムの音を打ち込んだ操作と同じですが、旋律ならではの調整の部分を、もう少し詳しくお伝えできればと思います。

(後編へ続く)

▼目次
入間川幸成のこんなに簡単!ゲームBGM作り「前編 リズム隊だけで成立させてみよう」
入間川幸成のこんなに簡単!ゲームBGM作り「後編 メロディを重ねてみよう」

▼関連リンク
MIDI音楽編集ソフト「Domino(ドミノ)」
REAPER | Audio Production Without Limits
Music Studio Producer
PreSonus Studio One | Prime

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