Android M Developer Previewおよび関連ツールの公開を告知するAndroid Developers Blogの該当ページ

次は「M」 ~Google、次世代Androidを発表~

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by [2015年6月02日]

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GoogleがAndroidの各バージョンに対してお菓子の名をコードネームとして与えていることはよく知られています。

最近ではバージョン4.4の「KitKat」や5.0の「Lollipop」が有名ですが、このほど現地時間5月28日にアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコで開催された開発者向けイベント「Google I/O 2015」の基調講演(キーノート)中で、現行最新のAndroid 5.1の後継となるべきAndroidの新バージョン、コード名「M」が紹介されました。現時点ではこの「M」が何のお菓子の名前の頭文字なのか、色々取りざたされていますが明らかになっていません。もっともAndroid 5.0も当初「L」とのみ発表され、後に「Lollipop」と明かされましたから、この「M」も何らかのお菓子の名前の頭文字であると考えるのが妥当でしょう。

もちろん現時点ではデベロッパープレビュー(Developer Preview)と呼ばれる開発者向けのプレビュー版の状態での発表となるため、今年の第三四半期を予定している正式リリースの段階で今回発表された内容がそのまま維持される保証はありません。

しかし、Googleの発表内容が守られるとすると正式リリースまで最短で3ヶ月、最長でも6ヶ月と比較的短い時間しか残されていないこと、それにこれまでの各バージョンでの修正状況などを勘案すると、この「M」の基本的な機能のアウトラインは今回のデベロッパープレビュー版でおおむね固まっていると考えて良さそうです。

そこで今回は、「Androidのコアユーザーのエクスペリエンス向上に焦点を当てた」とするこの「M」のデベロッパープレビュー版に搭載されている新機能などを中心に、この新しいOSの方向性について考えてみたいと思います。

新機能

キーノートなどで明らかにされた「M」に搭載される主な新機能は以下の通りです。

 1.Permissions
 2.App Links
 3.Battery
 4.Now on tap
 5.Android Pay & Fingerprint

ユーザーに「安心」をもたらすPermissions

1では、アプリを実行する際の権限の許可をインストール時に一括で行うのでは無く、個々の権限ごとに個別に設定できるようにするものです。

これまでGoogle Playでアプリをダウンロードしインストールする場合、インストールする際に表示されるそのアプリが要求する全ての権限について承認せねばならず、アプリの機能から考えて必要が全く無いのに高いアクセス権限をどさくさ紛れで要求する、悪質なアプリが問題となることが少なくありませんでした。

実際、筆者の経験でもあるアプリをインストールしようとした際に、そのアプリが許可を要求する権限の一覧をみて、「これはアプリの機能から考えて全く使う機会があるとは思えない」、あるいは「これを使われたら何をされるか知れたものでは無い」といった開発者の姿勢や良識を疑いたくなるような権限が平然と並んでいることに呆れて拒否したことが何度もありました。

これまでのGoogle Playだと、All or Nothingということで、全部許可するかインストールそのものを止めるかのどちらかしかなく、素性が若干怪しくても特定の機能だけ使いたいといったニーズには答えられていませんでした。

このポリシーが「M」では変更され、例えばネットワークアクセスを行う場合であるとか、位置情報を利用しようとする場合であるとか、インストールされたアプリごとに個別の権限の有効無効を設定できる様に変更されるというのです。

つまりこれまでであれば、例えば勝手に位置情報をネット経由で送信される恐れのあるアプリであっても、自分の意思でそうしたアプリのこちらが意図せぬ動作をあらかじめ禁止できる様になるのです。

ちなみにこの機能、最初から許可設定にしておけば自動でアプリのアップデートを行える様になるということでもあります。Androidの仕組みから言って、Windows UpdateのようにアップデートしたらOSそのものが起動しなくなった、などという事にはならないでしょうが、この機能を有効にしていると頻繁に大規模アップデートされるアプリの場合、知らない間にの通信量上限に達していた、ということになる可能性もあります。

煩雑な他アプリ呼び出しを簡素化するApp Links

2はこれまでのAndroidで、あるアプリを動作させているときに別のアプリの機能が必要となった場合、その機能を持ったアプリの一覧を表示して、そこからユーザーに選ばせる、といった結構迂遠な動作をしていたのですが、それが改められ、事前に設定されていれば特にダイアログ表示によるユーザー確認なしに無条件で他のアプリが呼び出されて起動するようになる、という機能です。

これまでだと、一覧表示されたアプリのどれを選べば良いのか、知識が無いとまごついてしまったりしていたのですが、そういった問題が解決されるわけです。

ハードメーカー各社のこれまでの工夫を取り込んで標準化するBattery

3は「Doze(居眠り)」と称する節電機能の標準サポートが目玉機能で、ユーザーの行動状況を推測してユーザーが積極的に利用していないと判断される様な場合にネットワーク通信の間隔を広げ単位時間あたりの通信量を減らすなどし、動的にシステム全体の消費電力を節減する仕組みです。

この機能、なにやらQualcommのSnapdragon BatteryGuruのようですが、そうしたアプリや端末メーカー各社がやっている省電力対策を特定ハードウェア依存とせずOS標準で搭載した、ということになるようです。

一方、バッテリーに関連して、この「M」ではUSBのType Cコネクタ、つまりUSB 3.1搭載の新MacBookに搭載され、「コネクタの表裏に関係なく挿せる」ことで話題になった新型コネクタがサポートされたことが明らかになっています。

このType Cコネクタは最大データ転送速度が10Gbpsに達するUSB 3.1をサポートしているのですが、実はコネクタの向きの問題や転送速度の問題以上に重要な新要素を含んでいます。

というのは、これまでのUSB規格だとホストコントローラと各デバイスがハブを介したツリー状のトポロジで接続されるのが鉄則で、給電する場合はホストコントローラからデバイス側への一方通行となっていたのですが、このType Cコネクタでは(USB 3.1での新仕様を踏まえて)双方向給電に対応するようになったためです。

これまで、例えばスマートフォンでMHLによりUSB端子からHDMI端子をもったディスプレイに映像を出力したい場合、スマートフォン側がホストとなるため、本体内蔵のバッテリーで動作させねばならなかったのですが、Type Cコネクタ対応機器ならば、映像出力しながらディスプレイ側からスマートフォンへ給電を行うことができる様になるわけです。

今回の「M」でのUSB Type Cのサポートは、通信速度ではなくこうした双方向給電をはじめとするモバイル機器に有益なことこの上ない新機能を重視してのものと考えられるため、実際にこのタイプのコネクタを搭載した端末でもUSB 3.0以上の高速データ転送をサポートする可能性は低いでしょう。

検索に一大革命を起こしそうなNow on tap

4はGoogle Nowの改良で、これまでのGoogle Nowが位置情報を基礎にユーザーが何をしているのかを判定していたのが、利用アプリその他の解析情報、特に送受信されるメールに含まれる文字列などと複合で判定されるようになり、しかも画面を下から上へスワイプしていたのが、ホームボタンの長押しで起動する様になったものです。

具体的に言えば、メールが届いてそこに書かれた固有名詞が分からなかったりした場合に、ホームボタンを長押しすればその固有名詞を自動で検索して関連情報を提示してくれたり、そのメールの内容を解析して各種サービスを起動してくれたりするようになるのです。

つまり、その場その場のシチュエーションで、最も可能性の高い単語や状況を解析・抽出して自動で検索し情報やサービスを提供してくれるという、ずぼらな人間や画面の仮想キー入力が鬱陶しくて仕方ない人間には大変ありがたい、夢の検索システムが実現するというのです。

まぁ、これはこれでユーザーが主体的に何かをすることが無くなるんじゃないか、何かある度にホームボタン長押しで答えや解決策が出る様に習慣づけられてしまうんじゃないか、という危惧もあるのですが、麻薬的な魅力のある新機能ではあります。

日本市場では当分恩恵のなさそうなAndroid Payとそれでも有用なFingerprint

5はその名の通り、Apple Payの対抗というべき電子決済サービスと、それに連携する指紋認証システムです。Android PayはVISAやMasterCard、あるいはAmerican Expressなどアメリカの主要クレジットカードサービスに対応するとのことで、これによる決済機能への対応にナイキやマクドナルドなど多くの企業が名乗りを上げています。Fingerprint Supportはこのサービスのためのユーザー認証だけでなく、ロック解除のための認証にも利用できる様になっており、各アプリケーションで利用可能とするためのAPIも提供されるため、今後広く利用される様になるでしょう。

もっともこのGoogle Pay、先行するApple Payでさえ未だ日本では未対応のままであることを考えると、また日本ではいわゆる「おサイフケータイ」機能がずっと昔から存在していて、これと競合する機能であって何らかの形で整合をとらないことにはキャリア各社からの支持を受ける事が難しいことなどを考えると、少なくとも日本国内では、当分は「なかったこと」になるのではないでしょうか。

基本的にはAndroid 5.0/5.1のマイナーアップデートにとどまる

以上、「M」の新機能を見てきましたが、ユーザーインターフェイスの変更であるとかJVMの変更であるとか、OSの根幹に関わる様な重大な変更点はほとんどなく、これまでのハードウェアメーカー各社による独自アプローチであった機能の追認・標準化であるとか、ユーザー権限の制御・管理法の変更であるとか、重要であることは疑いないものの、規模としては比較的小さなアップデートが主体となっています。

そのため、ハードウェア的には現行のAndroid 5.0・5.1が快適に動作している端末ならば特に問題なく動作するものと考えられます。

5.2か6.0か。それが問題だ

Android M Developer Preview公式ページ現行Nexus各機種を対象としたシステムイメージファイルの他、開発ツールやサンプルコードなどが公開されている。

Android M Developer Preview公式ページ
現行Nexus各機種を対象としたシステムイメージファイルの他、開発ツールやサンプルコードなどが公開されている。

この「M」については早速Android 6.0かそれともAndroid 5.2か、という議論がネット上で行われたりしているのですが、筆者の見る限り、これはAndroid 5.2とするのが妥当でしょう。

まぁ、正直なところこれまでの「ググる」検索の概念をひっくり返してしまいそうな勢いの「Now on tap」こそが、今回最大最重要の新機能で、これだけでもバージョン名をAndroid 6.0とする価値があるような気もするのですが、このあたりの正解は実際のリリース待ちということになります。

なお、記事執筆時点でGoogleのAndroidデベロッパーサイトで現行のNexus 5, 6, 9およびNexus Playerに対応した「M」のデベロッパープレビュー版を搭載するハードウェアシステムイメージが公開・提供されています。

さすがに日常的に実用にしているNexusにいきなりこれを入れるのは無謀というか危険にすぎるのですが、手元で遊んでいるNexus 5やNexus Playerなどのある方は試しに入れて「Now on tap」で検索の新次元を先行体験してみるのも良いかも知れません。

▼参考リンク
Google I/O 2015
Android M Developer Preview & Tools | Android Developers Blog
Android M Developer Preview | Android Developers

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