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LINE新社長、出澤氏に聞く今後のプラットフォーム戦略【B Dash Camp】

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by [2015年4月14日]

モデレータのB Dash Ventures株式会社 代表取締役社長 渡辺洋行氏、LINE株式会社 代表取締役社長 CEO 出澤剛氏

 ヒルトン福岡シーホークで開催された「B Dash Camp 2015 Spring IN Fukuoka」から、4月10日のセッション『LINEは次のステージへ』のレポートをお届けします。※以降は敬称略

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東南アジアで絶好調のLINE

渡辺 改めまして社長就任おめでとうございます。どうですか?

出澤 ありがとうございます。いろいろ大変です。

渡辺 4年前(前代表の)森川さんから「お前暇だろうから韓国連れて行ってやるよ」と言われて、済州島やお茶畑に行ったんですけど、そこで「どうなんですかNHN」という話をしたら「新しいサービス出るけど、当たるかどうか謎」と言っていて、それがLINEでした。そこから考えると隔世の感があるというか、この4年間で大躍進のLINEだと思っております。
 本日は、出澤新体制に変わって初めてのお披露目をやって頂くんですけども、今LINEがやっていること、そして今後ここに重点をおいていくということを話して頂ければと思っています。まずLINEについて説明をお願いします。

出澤 現状、もちろん日本が一番大きなマーケットなんですけども、タイと台湾ではトップシェアを取っていまして、日本以上に盛り上がっている感じです。あとはインドネシアが非常に伸びていて、これからトップシェアが狙えるんじゃないかと。中東、アメリカでも登録数では2500万を超えてきているという状況です。社員も多様化、グローバル化していて、連結で言うと2500名以上のチームがいるんですけど、半分以上が外国人で、世界に多く拠点もあるという状況です。
 一番重要な指標がMAUでこれは12月末の数字なんですけども、世界に1.8億人というところで、3月末の数字を4月後半にアップデートするんですけども、順調に伸びています。

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 今一番力を入れているのは二軸ありまして、1つはグローバル、もう一つはプラットフォーム。特にLINEプラットフォームをがんばっているところです。
 グローバルに関しては、キーワードは1つでローカライズを徹底する。例えばステッカー(スタンプ)などはLINEで一番人気がある機能ですけど、ブラジルに持っていったときにムーンというキャラクターが「ナヨナヨしすぎていて気持ち悪い」という話があって、「ブラジルだとマッチョじゃないと使わない」と言われて、マッチョバージョンがあったりだとか。各国の民族衣装を着せたりということもやっています。
 地域ごとに別の機能を入れたりというところも丁寧にやっていて、東南アジア向けに出している『LINE Alumni』はLINE上で出身校を入れて同級生を卒業生が探せるという機能で、これが1つのきっかけになってインドネシアでブレイクしたというところもあります。
 欧米はやはり攻略が難しくて、挑戦の連続という感じです。例えばステッカーで言うと、漫画みたいなものは子供っぽすぎるというフィードバックが多いので、自分の顔をLINEのスタンプにできるセルフィーのステッカーを提供したり。あるいは完全にLINEのブランドを外して『B612』というセルフィーのアプリも展開しています。

 プラットフォーム系でいうと二軸あって「ライフ」と「エンタテインメント」ということでやっています。これは日本だけではなく、トップシェアを取れているタイと台湾では並行して進めています。エンタテインメント系でいうと、ゲームは非常に順調に進んでいますし、アバター、漫画、占いとか、あとはミュージックもそろそろ出ると思いますけども、幅広く展開しています。
 ライフの領域に関しては決済が非常に重要になりますので、基軸に『LINE Pay』があって、その先にタクシーだったり、出前、コマースのサービスなどが出てくると。『LINE@』というO2O系のサービスもあって、これも『LINE Pay』と連携していくというのが今のところの全体像です。

現地スタッフの力を借りてローカライズを徹底

渡辺 日本ではもう圧勝、アジアでもかなりきていると。特にアジアに関して言うと、ローカライズで徹底的に攻めるということなんでしょうか?

出澤 通常のインターネットサービスよりも、クローズドにプライベートに使って頂いているという意味で、現地の文化背景や、端末の普及度、通信速度、キャリアのデータプラン、そういうものが絡んできますので、ローカライズがキーワードです。なるべく早いタイミングで現地の優秀なスタッフに仲間になってもらって、彼らに大きい権限を与えて、いろいろ企画してもらい、それを東京で開発してもらう流れです。

渡辺 特にタイ、インドネシアは、ローカル色が強いと聞いていますが、具体的には?

出澤 1つ事例をご紹介しますと『LINE Alumni』という同級生を探す機能ですけど、日本では展開していなくて、主に東南アジアだけやっています。機能だけでなく、マーケティングの現地化を非常に意識しました。12年前に「インドネシアの若者全員が見た」と言われているくらいすごく流行った映画があって、高校生同士の純愛を描いた映画なんですけども、その「12年後」を当時の役者さんを使って10分のYouTubeのムービーにしたんです。二人ともLINEを使っていて、今は離れ離れでアメリカとインドネシアに住んでいるけれども、これを使ってまた出会って、恋が始まるかも、という内容で、それが600万回再生されて、認知が広がって、これをきっかけにLINEの成長速度がぐっとあがったと。去年の秋くらいのことです。

渡辺 そういう意味では、特に重点国はありますか?

出澤 アジア、北米、南米という感じです。特にインドネシアが伸びているので重要かなと。

渡辺 タイでもかなり人気ありますよね?

出澤 タイ・台湾・日本など、トップシェアが取れている国ではプラットフォーム展開を進めていて、まだトップシェアをとれていない国では積極的に攻めています。こういったサービスは友だちがいるところに全部集まってしまうので、1位のサービスはローコストでユーザーが集まり続けるし、2位以下のサービスはなかなか成果が出ないという状況になってしまうので、早い段階でトップシェアに持っていくということが非常に重要なことです。

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渡辺 グローバルとして勝つためには北米・欧州だと思いますが、そこはこれからという感じですか?

出澤 (欧米は)マーケットのサイズも大きいですし、人口もGDPも大きいですが、攻略するのにお金もかかるし、人のコストも一番高いところですからね。最初の頃はスペインや南米でLINEが流行って、ヒスパニック系の文脈でいろいろやってみたり、あるいは若者を狙ってセレブリティのコラボレーションをやったり。さっきのセルフィーアプリだったり、ツムツムというゲームをアメリカでも出しているんですが、そういったLINE以外の軸でも攻めてみようと、色々なことをやって頑張っています。

渡辺 LINEとは関係ないアプリでもやっているということですね?

出澤 LINEだけでいけるのが一番なんですが、それだけだと足りない場合は、それにこだわらず、次の新しい展開をしていくというのは考えています。

エンタテインメント系とライフ系
二軸のプラットフォーム戦略

渡辺 次にプラットフォームの話をお聞きします。エンタテインメント系とライフ系を二軸に分けているというお話ですね。エンタテインメント系というのは、ここ数年ゲームを中心にたくさん出ていますが、実際儲かっているんですよね?

出澤 は、はい。

渡辺 どれくらい儲かっているんですか?

出澤 (笑)いま、LINEの公表している売上は去年が850億円くらいで、LINE事業で770億くらい、だいたい半分以上の収益はゲームからきています。

渡辺 半分ですか! ダウンロードですとどのくらいですか?

出澤 LINE以外のゲームやファミリーアプリで、グローバルで9億ダウンロード。ゲームで5.5億くらいです。

渡辺 LINE本体のアプリはダウンロード数を公表していないですよね?

出澤 MAUに切り替えてからは公表していません。

渡辺 9億ってスゴいですよね。

出澤 先ほどのセルフィーアプリ『B612』もグローバルで2000万ダウンロードされていますし、我々のサービスはすごく作りこんで調査しながらやっているので。

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渡辺 ライフ系は『LINE Pay』を使ってということになると思いますが、最近ですと『LINE TAXI』や『LINE WOW』ですか、お弁当でしたっけ?

出澤 最近『おねがい WOW』というコンシェルジュサービスを始めて、500円で買い物代行してくれるといった取り組みもしています。

渡辺 なんかもう全部狙っていっていますよね?

出澤 スマートフォンインターネットはPCの置き換えではなくて、今までインターネットが届いていなかったまったく新しいところにやっとリーチできるということなので、特にまだインターネットに来ていないリアルに近いトランザクションは積極的に提案していこうと思っています。

渡辺 次は何を狙っているんですか?

出澤 リアルタイムコマースなどは、非常にチャンスがあると思いますので、コマースに関する取り組みはいくつか発表ができるかなと思います。いまグローバル全体で120くらいのプロジェクトが走っていて、そのうちの1/3くらいがこういったライフ系のもので検討していたりしますので、いろいろ出てくると思います。

渡辺 戦々恐々とする方も出てくると思いますが、LINEと相性が良くないものもあるし、ハマらないと出来ないと思うんですよね。タクシーやおつかいは相性が良いと思いますが、そのへんはどのように見極めていますか?

出澤 我々の価値はやはりコミュニケーションなので、親しい人々との人間関係をオンライン上に再構築しているというのが基本です。人間関係を使って何か付加価値が提供できることが一番大事。例えばLINEゲームで、友だちと実名、電話帳レベルでランキングを競ったりとか、そういったところが新しい価値だったと思います。すべての領域においてそういうコミュニケーション+αでいいことが起こるというのが、我々がやるべきかどうかというところです。

渡辺 そうすると次やるのは何でしょうね?

出澤 (笑)

渡辺 なかなか言えないですね?

出澤 そうですね。ただ『LINE Pay』周りはいろいろ新しい取り組みが出てくると思います。

渡辺 プラットフォームに乗って行くための会社への投資や買収もすると思います。ゲームファンド、ライフファンドを作られますが、サイズはいくらでしたっけ?

出澤 ゲームが100億円サイズで、ライフが50億円サイズ。それとは別にジョイントベンチャーやらせて頂いたり、本体から投資することもあります。

渡辺 この注力分野というのは、結局プラットフォームの注力分野と思っていいですよね?

出澤 そうですね。ゲームはわかりやすいですし、グローバルに一緒に戦えるパートナーということになりますし。ライフで言うとやはり決済系とかO2O系かなと思います。最近ですと『WebPay』という非常に優秀な決済系のベンチャーにジョインしてもらったので、それらも含めて非常に力が入っていますね。

渡辺 そういえば、最近賑わせている某g社、一緒に投資しましたね。

出澤 はい。

渡辺 何とかしてください(笑)

出澤 今一緒にゲームを作らせて頂いていて、非常に途中経過としてはいい出来だと聞いていますし、もともとグローバル展開力も強いので、我々としては、そういうところでご一緒したいなと。

渡辺 これはg社も期待ですね。

会場 (笑)

ファンドの投資先から見るLINEの注力分野

渡辺 ファンドの投資先を見ると、LINEさんの注力分野が分かるかなと。今回のイベントは動画に1つ切り口をおいてやっていまして、LINEでも動画広告をかなり本格的にやられたと聞いているんですけど、どんな取り組みをされています?

出澤 昨日の舛田(LINE取締役/ CSMO)が登壇させて頂いた3Minuteへの出資、今日の森川さんの発表も含めて、かなり似た領域かなと思うんですけど、ああいう領域はあるかなと思っています。あとはLINE自体でライブキャスティングをやってユーザーがコメントで盛り上がるということはすでに始まっていて、バーバリーさんとグローバルマーケティングパートナーということで2月にやらせて頂いていて、バーバリーのロンドンのショーを日本でリアルタイムで配信すると。深夜24時だったんですけども、10万人以上の方が視聴していろいろコメントしたということもありますし。
 動画広告ですと、この1月に出た新しい商品で「LINE上のスタンプをゲットするためにLINE上でテレビCMを見て頂く」という取り組みを始めています。

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渡辺 それはスタンプをダウンロードしようとするところで上に視聴ボタンがあってということですよね? 一枠いくらですか?

出澤 一枠6000万円です。

渡辺 すごいですねぇ。

出澤 その分、ナショナルクライアントさんにどういう価値を提供するかというのが非常に大事だと思っています。だいたい数百万回視聴されて、そのあとにその数百万人が企業さんのスタンプをダウンロードして、スタンプという嫌らしくないかたちでずっとユーザー間を行き来して、だんだんブランドに対する認知・愛着が深まるとという感じになっているので、非常に良い取り組みかと思います。

渡辺 もうけっこう売れているのですか?

出澤 値段言ったあとに言いづらいんですけど、一番にベンツさんにやって頂いて、そのあとサントリーさん、トヨタさんにやって頂いています。

渡辺 儲かってしょうがないですね。LINEとしては、基本的にはナショナルクライアントさんに対して枠を売ってという方法ですよね?

出澤 マネタイズに関してはまだ抑制的という前提ではあるんですけど、LINEの広告をやる前提でいうと、価値を分かって頂いて、いい場にしていこうという形でやってきました。

渡辺 仮に500万ダウンロードくらいで6000万円として、1視聴約10-20円。テレビと比べるとGRP(延べ視聴率)まだまだですよね、ネット全般そうですが。

出澤 (テレビCMと)セットでやって頂く場合も多いですし(ネットだけでは)やはり届かない部分が出ているということで、今まさに過渡期だと思います。我々もそうですし、クライアント様側でも、いろいろなことが試行錯誤です。

渡辺 私も、テレビと置き換わるというイメージではまったく無くて、テレビの補完で当面進んでいくだろうという感覚を持っています。今後IPOするんじゃないかというお話もでていますが、それを踏まえて収益化もやると思いますが、実際IPOはいつするんですか?

出澤 いつも同じ回答でつまらなくて申し訳ないのですが、特に決まっていないです。

渡辺 でも年内はあるでしょうね? 言ったら大騒ぎですよね(笑)収益化、今抑え気味というお話もあったんですけど、今後ぐぐっと押し込んでくるということはありますか?

出澤 収益化というよりは、このプラットフォームの中で、よりユーザーさんとの接点を増やして、時間を増やすことが大事なので、まずは使って頂くことが大事です。『LINE Pay』なども、今までもそうそうたるプレイヤーがオンラインペイメントに挑戦してそれほど大きく普及せずにきたというところです。LINEがそうだったみたいに、最初はよくわからないけども、いつの間にかみなさん使って頂いていたみたいな形で、生活レベルで浸透しないと、すべて絵に描いた餅。プラットフォーム展開、特にライフの部分で、本当に使って頂くところが一番大事です。

渡辺 LINEは、自分が使っていてもそうですし、今日のお話伺ってもそうなんですが、実は根っこのところはスタンプがあって、スタンプを欲しいユーザーが広告見てくれたり、スタンプを使ってコミュケーションすることでどんどんバイラルがかかっていく、そんな印象です。

出澤 スタンプは我々にとって本当に発見というか、それが無かったら成長のスピードとか幅とか違っていたんだろうなと思うくらいです。2011年6月にスタートして、10月の秋に投入された機能なんですが、それによってユーザーの巡回が進んでというところがありましたので、スタンプは本当に大きなキモですね。今もそうですし。

渡辺 最後に付け加える点がもしありましたら。今後のLINE出澤新体制でここを押していくぞという点がありましたら教えてください。

出澤 今までどちらかと言うと閉じて自社でやるというイメージを持たれていた方もいるかもしれないのですが、今年はプラットフォームの部分が課題です。先ほどのファンドの取り組みとか、特にライフ領域でいうと我々ずぶの素人なので、パートナー様と組まないとといけないですし、エンタテインメントにおいてもそうなので、そういう意味では幅広くご一緒させて頂いて、スマートフォン全体を盛り上げられればなと思っています。

渡辺 それでは最後にIPOいつですか?

出澤 決まっていないです(笑)

LINE Corporation
B Dash Camp 2015 Spring in Fukuoka

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