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約10年の経営経験に学ぶチェンジマネジメント『次世代リーダーになれるか?』【B Dash Camp】

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by [2015年4月10日]

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青柳直樹氏グリー

青柳直樹氏 グリー株式会社 取締役 執行役員常務

 ヒルトン福岡シーホークで開催されている「B Dash Camp 2015 Spring IN Fukuoka」から、4月9日のセッション『次世代リーダーになれるか<2015年春編>』のレポートをお届けします。
 昨年も同じテーマでのセッションがありましたが、今年は全く違った色のセッションとなりました。モデレーターはグリーの青柳直樹氏です。

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登壇者紹介

高橋飛翔氏ヴォラーレ

高橋飛翔氏 ヴォラーレ株式会社 代表取締役社長

 WEBコンサルティング事業とインターネットメディア事業を行う。主にWEBコンサルではSEOのノウハウを強みにして、企業の収益改善・アクセス数アップに貢献。2012年の8月からは欲しいスマートフォンアプリが見つかるサービス『Appliv』を展開。3月の頭にアプリ版を出したところ、1ヶ月で数十万のダウンロードを記録。支社も建て6月をめどに海外展開をしていく予定で、世界規模のマーケットでスマートフォンアプリの発見サービスの展開を目指す。

秋好陽介氏ランサーズ

秋好陽介氏 ランサーズ株式会社 代表取締役社長

 「時間と場所にとらわれない新しい働き方をつくる」をビジョンとして、クラウドソーシング事業を展開。この3月に業務提携・投資提携・会社買収・ユーザーを表彰するランサーズオブザイヤーなど、いろいろと新しい取り組みにも挑戦している。クラウドソーシングの実態の認知度が20%程度のためテレビCMではブランド認知と顧客獲得を狙った。「こうしたことはやってみないとわからないのですが、経営者は、やった後悔はしないのに、やらない後悔は割とするものだと思うんです。だから、一回チャレンジしてみよう、とやりました」

赤坂優氏エウレカ

赤坂優氏 株式会社エウレカ 代表取締役CEO

 カップル向けアプリ『Pairy』『Couples』の2サービスを展開。2012年10月から始めた、Facebookを使った恋愛婚活マッチングサービスpairsの利用者数は、日本120万人・台湾80万人。月額課金のサブスクリプションモデルのため、ユーザーがストックされていくことで、スポット収益ではなく、ベース収益が進んでいくビジネスモデルを狙っている。年間で数万組のカップルが誕生していて、こうしたコミュニケーションサービスの需要によってマネタイズのチャンスが生まれてくると思い、2014年5月にCouplesをスタート。基本的にはクローズコミュニケーションアプリ。付き合って半年の方が50%を占め、週末何しよう、明日何しようというのを探している層のため、これからはメディア事業にも注力していくとのこと。

今に至るまでの軌跡

───みなさんは10年近い間やってきて、成功しつつあるという状況ですが、これまでと会社のステージが変わったなと感じる出来事があれば教えてください。

高橋 1つすごく大きい出来事だと思うのは、Appliv(アプリレビューサイト)の収益化が出来たときです。我々は2010年からひたすらSEOに集中してきたので、ブランディングもSEOの会社として築いていったんです。ですからメディアをやっても「え、メディアやってるの?」と言われ続ける状態がずっと続いていて。それが去年ごろから「Applivさん動いてますね」という声をかけていただくようになったり、アプリパブリッシャーさんにも「知ってるよ」と言っていただけたりするようになりました。

───成功の秘訣は何だと思いますか?

高橋 多分トラフィックが伸びたことと、実際の広告主としてアプリパブリッシャーさんとお付き合いをすることが増えていったことが、認知に繋がったかなと。一朝一夕の広報記事とかでは認識されなくて、ひたすらそこに投資し続けて成長させた結果、ようやく認知が進んできたのかなと思ってます。新規事業をやっていて、結構苦しい、何やっても結果が出ないこともあったんですけど、社員がほぼ辞めなかったので、会社としては安定してじっくり取り組めたかなという印象も持っていて。そうした組織的な面もあると思います。

秋好 僕は成功しているという感覚では全然なくて。山で言うと1合目だと思っています。でもステージが変わったなと感じることは2つあります。1つは事業面です。会社を始めたときは秋好という個人と会社の法人をバランスよくやっていました。コンフリクトが起きたときは、秋好が意思決定をすることも多くなってきていました。しかし、2011年頃からユーザーがついてくるようになって、どちらを取るかという状況になりました。その時に、会社を取ろうと思ったんです。ランサーズのために秋好を殺してもいいと思った。それを決めてからは個人を捨てて、加速のために会社を渋谷に移すなど、拡大に対しての躊躇が全くなくなりました。 2つめは組織面です。組織を急拡大していくと、よく成長痛とか言いますが、それに僕たちもかかったんです。そこで、経営幹部の選び方を変えました。今まではエンジニアだから開発長、経理が出来るから経理長、などスキルの高い人を選んでいたのですが、能力ではなくてランサーズとしてのビジョン実現とか経営者としての考え方の分身であるかなど、マインドを持ってる人を幹部にしてから組織を圧倒的にドライブしやすくなりました。

赤坂 僕も2つです。社員は移転直前が35人で、今は70人います。恵比寿にくるときに、受託事業から全撤退して自社サービスだけにしました。この時、受託の会社は受託から抜けられないだとか、自社の会社には絶対なれないということをよく言われました。でも会社としては思い切ったことで転換期になったと思います。あとは、35人のときは社長がやっていれば会社って進むんですが、70人になるとちょっと組織っぽくなってきます。この時に事業・スキル・組織の3軸のうち、会社としてどこに1番出来る人をおかないといけないかというと、組織というのがメインになってくるというのが今のフェーズで、ちょうど転換期に入ってるなと。

次世代リーダーに必要な海外展開

───海外展開についてお聞きします。組織を残しながら海外でもやっていくのかという点と、海外展開の理由を教えてください。

赤坂 pairsが日本で市場を取ったあとは台湾に進出しました。台湾は今、法人はあるが現地に人がいない状態です。台湾法人とシンガポール法人は去年設立したので、これから南アジアのマーケットをとりにいこうと思っています。ASEAN 10ヶ国中6ヶ国だけでも平均年齢29歳、5.6億人います。それに対して日本は平均年齢が43歳なんです。日本よりよほど若くて労働力があって、人口もいるというマーケットに、これからやる方が圧倒的に市場のチャンスがあることがマクロ経済からわかっているので、向こう2~3年で見て参画するのはマストだと考えています。

秋好 今160ヶ国くらいから接続がすでにあるのですが、今回アジアに強いグローバルなクラウドソーシングも買収したので粛々と進めていこうと思っています。ただクラウドソーシングはITが成熟したところに後からついていく業界なので、東南アジアは時間はかかるなと思いつつチャレンジはしていこうかなと。

高橋 ApplivのUU(ユニークユーザー)は600万人くらいなのですが、現状規模として世界で一番大きいところとそんなに大差ないユーザー数なんです。だから英語圏でしっかりトラフィックを集めてユーザープールを作っていくことが出来たら、今の弊社の固まりつつあるビジネスモデルをそこに輸出することで、世界No.1に王手をかけていけるんじゃないかと手ごたえを感じています。そういう意味で早く勝負して早く勝ちに行かないと、いつ他の会社が同じことをしてくるかわからないので、そこは一刻も早く英語圏でのNo.1を目指しますね。

───海外のサービスは進んでいるというか、新しいサービスが多いと思うが、そこはどう見ていますか?
赤坂 pairsでいうとアメリカ・フランス・イギリス・中国とそれだけでマーケット規模はすごいんです。時価総額2,500億円とかものすごい金額ついてるところがたくさんある。ただ、彼らの弱みは、やっぱりフランス発のサービスはヨーロッパでしか受けないってところなんですよ。それってカルチャライズが出来てないということなんです。アメリカの企業がアジアで成功するかというとそれはないかなと思っていて、インドネシアのマーケットを見ていても、海外企業が結構入ってきてるんですけど、売り上げは全然あがってないんですよね。これはチャンスかなと。

───上場をどうお考えですか? 国内がやや厳しすぎるかもしれないという中で、海外マーケットでの今後の展開も聞かせてください。

赤坂 柔軟に考えています。大型の調達が多くなってきているという話があるが、そうなると市場から調達すべきなのか、事業会社からすべきなのか、VCからが良いのか、そこは選択肢があると思っています。

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リーダーとしての目標像

───今回のテーマが次世代リーダーということで、目標としている経営者はいますか?
高橋 いつも刺激をもらっているのは村上太一社長です。2011年にリブセンスの上場をしたことに刺激を受けました。同世代からついにいったな、やられたと思ったと同時に、自分も頑張らないといけないと強く思いました。

───同世代が大型の資金調達やイグジットする見て焦ったり悔しいというのはありますか?
高橋 最近は全くしなくなってきています。会社によって伸び期はまちまちで、経営してきて30歳でいくか、35歳でいくかというのは人によって違うと思っています。そういうタイミングに自分が今ないというだけで、行くときは行くと思っているので、焦りや嫉妬よりも、とにかく落ち着いて、自分がどういうタイミングでどうすれば最短で成功に向かえるかを冷静に判断していくようになりました。

秋好 一人と言うのは難しいですね。結構ポートフォリオ的にいて。エンジニアだと(コロプラの)馬場さんとかですかね。他にもライバルの会社のことは良く見ています。会社は社長の色が出ると思っているので、相手の得意なことで乱されることもありますが、自分らしさの延長というか自分の会社の色や土俵で戦うことが大切だと思います。

赤坂 私はCCCの増田社長です。増田さんは「コミュニティを作る」ということをおっしゃっています。代官山や六本木にTSUTAYAを作る過程も見て、やっぱりすごいなと思っています。でも全く人がいないところに人が集まるコミュニティを作れる、交差点を作れるという点で敏腕プロデューサーだと思います。

───実際に経営へ取り入れているところはありますか?

赤坂 ソーシャルメディアが発達している今、また、SEOが強い場合は検索エンジンからとってくるというのもあるんですけど、人がいるところに人を集めるのは今や当たり前なので、人がまったくいないところに作れる力ですね。人がいるところにしかビジネスは生まれないと思っているので。

───新規参入が多い領域かと思うのですが、そこに何か感じる部分はありますか?
赤坂 競合ビジネスは良く見ています。良いところも悪いところも全部勉強させてもらいます。自分たちにないもので、自分たちのポリシーに合うものはどんどん取り入れます。(楽天の)三木谷さんもよくおっしゃっていますが、コピーを作ってからオリジナルを出していけばいいと思います。市場のヒットはそうやって生まれると思っているので。

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今後の展開

───良いときと悪いときをこれまでの10年で経験してると思うんですが、ここからIPOマーケットが厳しくなっていく中で、ステークホルダーとの関係やマーケットのどこでどう伸ばしていこうかという考えはありますか?

高橋 好況がいつまで続くかという点に関しては波があって然りだと思います。今が良いから今いかなきゃというのも発想としてはあるのですが、経営者としては、良いうちに上がれなかったときにどうバックアップをとっていくかということも大切だと思っています。そういう意味で、マーケットが今後悪くなっていくことを織り込んだ上で資金を確保していくプランニングは、当然必要だと考えます。

秋好 IPOか事業ビジョンの実現どちらかをとるなら、圧倒的に後者ですね。昨年、事業会社さんと資本提携をするという選択を取って、当然IPOも頃合いを見てチャレンジしていこうと思います。IPOの根本はまさに資金調達等の手段であり、会社を健全にするための手段だとも思っています。そうしてしっかり利益を上げて、ユーザーさんに満足していただきたいです。僕らのやっているクラウドソーシングと言うのは10年20年時間がかかる事業なので、その中で適切なタイミングで行ければ良いなと思っています。

───最後に、今後の意気込みをお願いします。

赤坂 PairyとCouplesという2事業をやっていますが、日本から出たもので、世界でも成功しているインターネットサービスはあまりないんです。特にスタートアップやベンチャー界隈で生まれてるかというとそうでもないから、それを作りたいです。マーケットが日本に限らなくなるのは確実だから、グローバルで勝てるようにというのが次世代リーダーとニアリーイコールかなと。

秋好 僕は成長がすべて、というか会社が伸びていないとリーダーもへったくれもないと思っています。ですからユーザーが満足なサービスを作れるかということにコミットしていくことと、経営者自身が満足度を持ってしまったら終わりだと思っているので、常に幸福度は持たずにやりきろうと思います。僕たちの世代(1980年代生まれ)はベンチャーのエコシステムをめちゃくちゃ享受しているんですよね。だからまた違ったエコシステム作りに貢献出来たらいいなと思っています。

高橋 赤坂さんもおっしゃってましたが、日本のスタートアップやIT企業のうち、グローバルで大成功したというのはまだまだ少ないですし、さらにいうとグローバルでNo.1をとった会社がないと思ってるんですよ。今は、Applivでスマホアプリを探すところにフォーカスしていますが、このサービスは世界No.1を取れると自負しています。ですからこれをしっかり数年間やりこんで、No.1を目指そうと思っています。

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───それぞれみなさん辿って来られた軌跡は違いますが、さまざまな場面を乗り越えて、地に足をつけた感覚を持ってらっしゃると感じると共に、そこから成功をつかんで、さらに過熱感のあるグローバルの大きな世界でやっていくという想いが感じられました。去年のテーマはグロースマネジメントでしたが、今年は10年近くやられてきた方ならではのチェンジマネジメントという感じでしたね。ありがとうございました。

株式会社エウレカ
ランサーズ株式会社
ヴォラーレ株式会社
グリー株式会社
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