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将来は少子化問題を解決したい…妊活中の男女から絶大な支持を集める『コウノトリ』開発者インタビュー

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by [2015年3月30日]

社内子供が欲しいけど、なかなかパートナーとのタイミングが合わないし、自分から言い出せない。女性の妊活への悩みを少しでもサポートしていきたいという考えから始まった『コウノトリ』は、妊娠しやすい日をカップルで共有できるスマホアプリです。今回は、コウノトリを開発したアマネファクトリー社の代表取締役 齊藤慶武氏に起業から今後の展開についてお話を伺いました。
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受託ビジネスから起業へ

――アマネファクトリーはどのように始まりましたか?

20年近くウェブの世界で受託ビジネスをしていたんですが、やはり自分たちの思ってるものを作ってみたい、自分たちで作れる場所を立ち上げようというのが始まりです。しかしそれよりも、年齢を重ねていくうちに「ただ作っているだけでもな…」という気持ちが芽生えてきました。若いころと違って、40歳を越えて子供も生まれてやっていくうちに「少しでも人の役に立つものを作っていきたい」と思うようになりました。

ネットの世界でずっと生きてきましたが、個人的にはネットはメディアになりきれてないと思っています。テレビとか映画、音楽を聴いて感動したり心に響いたりしますが、ネットは便利だけで、まだまだそういうレベルに達していないので、良い物を作っていかないといけないと思います。生活の中で、Facebook や Twitter などの SNS が常に使われていますが、感動して使っている訳ではありません。それよりは、人生のイベント、本当は一気通貫してやりたいですけど、誰もが通るであろうイベントのところで手助けしていくものが作りたい、ということで会社をスタートしました。

――会社には何名いますか?

会社は全員で5名です。開発は僕を含め3名とデザイナー、ディレクターが1名ずつで、年齢はみんな40近くです。

――会社の設立自体は去年の9月ですが、どのタイミングでコウノトリを開発したのでしょうか?

前の会社にいたときに一度コウノトリのアプリを出しているんです。その会社は受託ビジネスをメインでやっていた関係上、自社サービスの予算が取ることができませんでしたが、有志を募ってやることにしました。片手間で作ったこともあり、満足できるものではなく、やはり本当に力を入れるなら、自分でやるしかないと思いました。

コウノトリは「そろそろ2人目…」から発想

――タイトルで「コウノトリ」を使ったアプリはなかったんですね。

意外にコウノトリって名前のものは存在してなかったんですよ。パートナーと連携する、みたいなアプリもおそらく初めてです。最近では他社さんからも限定的な連携ができるアプリが出始めていますが、それよりも1年以上前にコウノトリを出しています。そのときは予算も何もなかったのでメディアに全然取り上げられていませんが…ひっそりとしていました(笑)。

――他にタイトル候補はありましたか?

考えたのは「モウヒトリ」ですね。実はコウノトリというのは、生活が忙しくてそういったタイミングを持てない方へのアプリとして名づけたものなんです。一般的に、1人目は(夫婦生活の)回数も多いので自然とできることが多いんです。ただ、2人目となるとお互い仕事が忙しかったり、1人目の育児が大変だったりしてなかなかタイミングが取りづらいように思ったので、タイミング合わせに重きをおいたアプリを作ろうというのが、始まりです。

――パートナーと2人で使わず、個人で使っているユーザもいますか?

個人で使っている方も多いですね。よく「アプリを入れて、と相手に言えるならその日だって言い出せるんじゃないか」と言われるんですが、それは毎回言えないと思うんです。結婚して、計画を立てて話し合う中で、タイミングを取る時期を考えようとなったときに「コウノトリ」があることをパートナーに伝えていただければと考えています。これなら、言い出すのは最初だけで、何度も言う必要はなくなりますよね。こういった考え方は、30代の方には受け入れられているような感じがします。

本当は、男性からこういったアプリがあることを奥さんに伝えてくれることが1番だな、と思いますけどね。「妊活」という言葉は少し曖昧ですが、色々調べると現在の妊活は女性の負担が圧倒的に大きいですよね。1人でできるものではありませんので、男性がもっとサポートできるものを作っていかないと、と思いますね。

男女の意見を集めて、一番使いやすいものを

社内

――コウノトリの新バージョンをリリースした際は、女性の意見など色々と集めたりしましたか?

既にママさんユーザから色々と聞いていたんですが、やはり2人目はタイミング合わせるのが大変だったという意見がありました。

男性側の意見も色々と聞き、この手の他のアプリはとにかく情報量が多すぎると感じました。すごく難しい言葉が色々と並んでいたら、男性が話題から逃げてしまうかもしれません。そもそも男性に「そろそろ高温期に入るけど…」って言われたら嫌だと感じません? なので、男性が見ることができるのは、奥さんの排卵日を表示しているカレンダーだけです。

――カレンダーで思い出したんですが「男の子」「女の子」それぞれを妊娠しやすい日があるんですね。

あくまで、日本では有名な「オギノ式」という計算式のなかでの方法なので、色々とやり方によっては違うと思います。他には、基礎体温から生理日を算出する方法もありますが、とにかくストレスを与えないというのが目的だったので、その場合だと毎日基礎体温を測る必要があります。

要望が多くて「基礎体温」を入力する機能を追加しましたが、基礎体温を測って何かを算出するということはしていないです。基礎体温は人それぞれじゃないですか。なので、正確な値を出すには自動でやるのは曖昧だなと感じました。あくまで基礎体温を入力してグラフを見て自分で推測していくに留めています。そのときに、男性側に「待ってる!」って送れるようになっています。

――シンプルなUIが高評価のようですね。

コウノトリのようなアプリは色々とありますけど、情報や機能がめちゃくちゃいっぱいありますよね。女性はたぶん、日々データを付けることでストレスを感じていると思うんです。子作りは、ストレスが一番の大敵です。自然の流れで作れることが一番良いんですが、ストレスにならない程度のサポートをしていきたいと思います。

なので、このアプリには、ゴリゴリと機能を追加していくことはしません。僕たちからすれば完結したアプリなんですが、実際の利用者の声を取り入れながらもやっています。今度追加する機能は「男性側に基礎体温の表示を見せる」というアップデートで、近々リリースされます。

――コウノトリのダウンロード数はどれぐらいですか?

爆発的なものではないんですが、1日で使っている人(DAU)は相当な数です。ダウンロード数自体は、2万5,000ほどですが、70%の人は毎日使ってくれています。ダウンロード数に対する広告収入は多いと感じています。マネタイズという意味では、ダウンロード数が増えていけば成立するかもしれません。

日本には挙児希望(きょじきぼう)者※が1000万人もいます。その中の1%でも10万人になるので、20万人くらいには使って頂けるのではないかと思います。その人数でしたら採算的にも続けていけるかもしれません。※子供が欲しい人のこと

マネタイズは2作目から

タイアップ

――地下鉄で広告を掲載するマーケティングを行っていましたが、ダウンロード数への影響はありましたか?

コウノトリは正直、お金を稼げるアプリだと思っていません。ずっとウェブをやっていて分かっていたんですが、パブリシティ系、メディア系からのダウンロードは判別ができません。ない訳ではないと思うのですが、広告を出してダウンロード数が伸びるとは元々思っていませんでした。「こういうのがあるよ」というブランディングのためです。なので、コウノトリもマネタイズできるに越したことはありませんが、本格的な収益化は次のアプリ以降でやろうと思っています。

――コウノトリとは別に、新しいアプリに取り掛かっているんですね?

新しく作っているアプリは「トツキトオカ」で、女性が「妊娠した」時に利用できます。妊娠したら、妊娠したで色々と悩みがあります。奥さんが何に怒っているかなんて、男性には分かりません。なので、少しでも女性の辛さを共有してあげようというものを作ろうと思いました。女性はきっと、気持ちを理解してほしいんですよ。

2人で育てる感を出したくて、このアプリも男性と女性がアプリで繋がるようになっています。子供がお腹の中にいる時、たいてい皆さんは子供に名前を付けています。アプリでは、2人で胎名を付けて、毎日この赤ちゃんの様子を見られるようになっています。そして最後に、それを本にできたらなと思っています。そこでマネタイズしていきたいですね。日本ではまだ少ないですが、エコー写真を飾る方も多くて、海外ではマタニティ用のエコー写真を入れるフレームも流行っています。それも取り入れたいですね。

奥さんが、妊娠中に辛いと感じていることをご主人と共有できるだけで、全然違うと思うんですよ。奥さんは妊娠中の状態や出来事をメモなどしてることが多く、そこに綴った内容をひとまとめにしたいです。妊娠中に行ったときの旅行写真などもまとめて、日記にできたらいいですね。

トツキトオカでは、赤ちゃんを毎日可愛がってもらいたいので280日分の赤ちゃん(のパターン)を用意しています。最初は可愛らしい生物みたいですが、どんどん人間ぽくなっていきます。このアプリは、ダウンロード数はあまり狙っていませんが、使ってくれる人は使ってくれると思いますね。

――いつ頃のリリースを考えていますか?

早ければ4月中です。アップルの審査が最近厳しいので、もしかしたら5月ぐらいになるかもしれません。

赤ちゃんが生まれてからのアプリも計画中

――その他のアプリはいかがですか?

実は、赤ちゃんが生まれて1歳~3歳になると出てくる、奥さんの悩みがあります。子供が生まれて育児は大変じゃないですか。「公園デビュー」という言葉は聞いたことはありますか? 子供が外に遊びに行くとき「誰と遊べば良いか」という悩みにぶつかります。

――公園デビューもママ友も良く聞きますね。

「ママ友」も、色々と大変なので、そういう部分をサポートできるものを考えています。実はママたちは大変で、子供が「今日はAちゃんと遊びたい」という日もあります。別にBちゃんが嫌いという訳でもないんですがね。そんな微妙な調整をしてあげられるアプリです。

奥さんは育児で忙しいんですが、1日の中で「この1時間だけ暇」という時間があるんです。予定が埋まってないと、奥さんが子供とつきっきりになって、参ってしまいます。なので、予定を埋めてあげるものを考えています。

少子化問題を何とかしたい

――今後の展望をお聞かせください。

実は大口を叩くとですね「コウノトリ」の前の問題を解決したいと思って、政治家になるか、起業するかで迷ったんですよ。

出産をする以前に、日本には少子化問題が大きく立ちはだかっています。これは社会環境の問題なので、要するに女性が社会進出していくのに弊害があるのも問題があるのですが、そのあたりを解決するために口を出せる立場になりたいと思います。そのためには、巨大な会社を作るか、政治家になるしかないと思いました。今は昔より随分良くなっていると思いますが、例えば、女性が妊娠すると会社での立場が悪くなるといったことや、待機児童の問題で女性が育休や産休を延長すると復帰したときには席がない、ということもあり、女性にとってはまだまだ苦しい時代です。その辺を解決する方法を考えていかないと、少子化を解決することはできないと思います。

――ありがとうございました。

アマネファクトリー株式会社 (amane factory inc.)

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