左から 株式会社ハルシオンシステム 坂内(ばんない)氏、大坂氏 株式会社エムプロ 松田氏

太ももチラ見せは偶然だった!ポケットガールに社運をかける「ハルシオンシステム」インタビュー前編

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by [2015年3月25日]

左から 株式会社ハルシオンシステム 坂内(ばんない)氏、大坂氏 株式会社エムプロ 松田氏

左から 株式会社ハルシオンシステム 坂内(ばんない)氏、大坂氏 株式会社エムプロ 松田氏

不老不死の力を得た錬金術師がホムンクルスの娘を育てる美少女育成アプリ『ポケットガール』。特定の層にドストライクなこのアプリを開発したのは一体どういう方なのでしょうか。美少女ゲーム好きとしてはとても気になる! というわけで今回は、開発元の株式会社ハルシオンシステムの坂内(ばんない)さん・大坂さんと、イラストを受託した株式会社エムプロの松田さんをお迎えしてお話を伺いました。

▼目次
太ももちらみせは偶然だった!ポケットガールに社運をかける「ハルシオンシステム」インタビュー前編
全財産は残り10万円…ポケットガールに社運をかける「ハルシオンシステム」インタビュー後編

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「やってらんねぇな」と独立したエンジニア2人

──まずは株式会社ハルシオンシステムのお二人のプロフィールを教えてください

坂内(ばんない)氏。独立にあたって気合いを入れるため、髪の毛を金に染めた

坂内(ばんない)氏。独立に当たって気合いを入れるため、髪の毛を金に染めた

坂内 坂内(ばんない)と申します。今年で37歳になります。

大坂 大坂(おおさか)です。33歳です。

坂内 僕は、元々企業所属のSEでした。大学を出た後いったん物作り系の会社に就職しまして、その後3年間専門学校に通い、開発系の会社に入ってSIer(システムインテグレーター)として2年ほど働きました。そこで1度目の独立をして、ネイル(爪)に関するSNSを作ったんですけど、あまりウマが合わなくて「やってられるか」と9ヶ月ぐらいで辞めちゃいました(笑)もう一度企業でSIerとして3~4年ほど働いて、大坂くんと2人で独立して現在にいたる、という感じです。社名は伏せますが、普通のメーカー系です。アプリ開発に携わったのはここ2年ほどのことで、それまでは全然触ったこともありませんでした。

──お二人はどうして知り合ったのですか?

大坂(おおさか)氏。坂内氏に引き抜かれた。

大坂(おおさか)氏。坂内氏に引き抜かれた。

坂内 大坂くんのいる現場(会社)が客先で、僕が外注として出向していたんですね。2人とも酒とゲームが好きなので仲良くなりました。で、あるとき僕の会社に引っ張りました。本当はお客さんなので引っ張っちゃいけないんですけど(笑)そうしたら会社の上の者の言ってることが変わっちゃって「もうちょっとやってらんねぇな」と。「2人で独立するか」という流れで、会社を興した感じですね。

──現在はご実家にお住まいとのことですが、別々に開発されているんですか?
坂内 はい、それぞれ実家で開発しています。以前は事務所を借りていたこともあるんですよ。2013年の3月末に務めていた会社を辞めて、4月から6月末くらいまで会社設立の勉強をして…というときには部屋を借りていました。当初は実は3人で始めたんですけど、とある事情で「3人目」がいなくなりまして(苦笑)部屋が無駄になったので引っ越しました。2度目に借りた事務所は、2014年8月に家賃が払えなくなってしまって(笑)引き上げて、それ以降は2人とも実家で別々に作業しています。

──会議はどのように行っていますか?
坂内 基本はLINEでやって、週に1度、月曜朝にSkypeを使って3人で話し合いをしています。実際に会うことは少なくて、(大きめの)打ち合わせや、今回のようなインタビューのときくらいでしょうか。

──「ハルシオン」という社名にはどのような由来がありますか?
大坂 「幸運」的な感じですね。

坂内 基本的には「ハルシオン」という語感の良さから入りました。理由としては、ハルシオンはギリシャ神話のカワセミ(アルキュオネー)なんですね。海の神様のような存在で、幸運を運んでくるというような意味があります。皆が楽しんでくれて、幸せになってくれるようなアプリを作れたらいいなあという願いを込めて、「ハルシオンシステム」と名付けました。

──花の「ハルジオン」とか、睡眠薬の「ハルシオン」と勘違いされませんか?(笑)
大坂 それはよくあります(笑)

坂内 もう薬で覚えてもらっても……名前売れればそれでいいので(笑)実はハルシオンで検索すると、別の会社なんですけど、安眠アプリが出てくるんですよ(笑)

──そうだったんですね。会社のサイトはどなたが作られたんですか? またblogはどなたが更新されているんですか?
坂内 あれは、(サイトの)テンプレートを探してきて、幻の3人目に「これでちょっと作っといて」とお願いしました。blogは、僕が月曜日で、大坂くんが木曜日の、毎週月木更新です。飲んで忘れたときとか以外は、なるべく更新しています(笑)

──blogを読ませていただいたのですが、プログラムがわからないと難しいなぁと感じました
坂内 そうですね。開発者向けを想定しています。ハルシオンシステムは新しい会社なので名前が売れていません。で、実際に自分たちがアプリを開発するとき、調べながら作っていると色々な方のサイトを見に行くので、そのような感じで自分たちのサイトやblogも、名前を少しでも覚えてもらえればいいかなというのが根本にあります。ですので、今後も開発者に向けて書いていく予定です。

──Unityを使われている方からは評判がいいのではないでしょうか
坂内 そこそこ話しかけていただけますね。見てます、とか……。

──『ポケットガール』をプレイしたとき、会社サイトはいわゆる美少女ゲーム系を想定していたので、ガチガチのSEサイトとblogで驚きました
坂内 そうですね(笑)そのうちサイトを改装したいんですよね。ちょうど昨日(19日)話したところなんですけど、今のサイトはショボすぎて寂しいのでなんとかしたいなぁとは思っています。ただ、僕たち2人が手を加えても変わらないので、頼めるWeb系の方を探そうと考えています。

広告を外すと太ももが見えるのは偶然でした

──『ポケットガール』の企画を立ち上げた経緯を教えてください
坂内 企画をたちあげたのは僕です。「予約トップ10」でとりあえず予約を集められたらいいかなっていうのが根本にありまして。「予約トップ10」を見ているお客さんは、中学生から青年……ぐらいの若い男性が多いですよね。客層を考えると「萌え系アプリで、かわいいキャラは必須でしょう!」というのが大前提としてありました。それで、次に、かわいいキャラを使って何をしようかって考えたときに、育成ゲームがいいなと思いまして。育成ゲームっていうと、最近のスマホ業界では放置系が主流ですよね。でもそれはちょっと僕たちの目指すところは違う。もっと本格的な育成ゲームを作ろうと思ったら「プリ○」みたいになってきちゃったんですよね(笑)

──あー、メーカー(※)、的な(笑)

坂内 はい(笑)その、まあ、最近そういう育成シミュレーション系が出てないじゃないですか。この系統のアプリがあまりないので、ソーシャルゲームやカジュアルアプリとはまた別の、ハマってくれれば長く遊べる、コンシューマ向けのようなゲームを作りたいな、というのが一番初めの企画でした。

──美少女ゲームがお好きなんですか?
坂内 いや、やらないですね(きっぱり)

大坂 昔、十何年前はやってましたけど……今は全然。

──「アリスソフト」とか……
大坂 その世代ですね。

松田 僕も大坂さんと同じで、今は全然です(きっぱり)

──意外です。こんなにがっつり美少女系のアプリは少ないので、失礼ながら、部屋中にポスターが貼ってあるような、コミケにいる百戦錬磨のような方なのかと思っていました(笑)
大坂 意外と誰もやってないんですよね~……。

坂内 あんまり美少女ゲームをプレイしないので、どうやって作ればいいのかわからなかったという部分はあったんですけど……ま、できたらいいかなって(笑)

──課金で下のバナーを外すと、太ももが! 絶対領域が! とても話題になっていますし、あれは心憎い課金演出だなぁと思っていたのですが…
坂内 なんも考えてないという(笑)

大坂 言われて初めて気づきました。偶然の産物ですねぇ(笑)

坂内 本当は誘導させるべきポイントなのに、誘導してないしね(笑)

──今後「これを消すと実は~」という方向に誘導する予定は?
坂内 どうかなぁ……。あまり課金を重たくさせたくないんですね。なるべくお金をかけなくても遊べるようにしたかったので、そんなに……誘導してもいいかな~とは思うんですけど(笑)とっとこさん(『とっとこダンジョン』room6の木村氏)が物凄く頑張って広めてくださったんですけどね!

大坂 買いすぎです(笑)笑っちゃいましたねぇ、あれは(笑)

坂内 好きだなぁ、あの感じ(笑)

──すごかったですよね(笑)私も見てたのですが、『とっとこダンジョン』で儲かったお金、全部使っちゃったんじゃないか心配で心配で(笑)
『room6』代表・木村征史さんの課金額はなんと11,000円
(2015年2月2日時点で『とっとこダンジョン』の総DL数は8,500)

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坂内 ともあれ、特別美少女ゲームが好きといいうわけではなく、どうやったら遊んでもらえるかなと考えて作りました。

──テキスト(シナリオ)はどなたが担当されたんですか?
坂内 以前、『ルナティックダンジョン』というハクスラ系アプリを作ったのですが、そのシナリオを作ってくださった方にもう一度お願いしました。外注ですね。


(※)「プリンセスメーカー」:新世紀エヴァンゲリオンで有名なガイナックス製の名作PCゲーム。現在ある美少女育成シミュレーションの礎となった作品。勇者が孤児の少女を引き取って育てる。育て方によって将来が変わる。プリンセスメーカーで人生の方向性が変わった方も多いのでは?

細かい部分もこだわって快適に

──キャラクターやUI(ユーザーインターフェース)周りはどなたが担当されましたか?
坂内 画像は、すべてエムプロさんに投げています。立ち絵も、背景も、歯車などの小物も、バナーも全部。

──画面が変わるときに歯車がからから回りますよね。あの演出を組み込んだきっかけはなんですか?
坂内 一番初めにUIを作ったんですね。それでまぁ、こだわってみようかなっていうのがありまして。見てて楽しい、動きがあったほうが楽しいかなと思って最初に歯車の動きを実装しました。

──アップデートで時計が追加されましたが、これも遊びごころですか?
坂内 時計は、ユーザさんから「時間がわからない」という意見があって実装しました。どこにいれるかとか考えたときに、世界観を崩したくなかったのでアナログ時計に決まりました。これもエムプロさんに発注しました。

松田 色々あったんですよね、時計。

──色々動かすのは面倒くさいと思うのですが、お2人ともエンジニア出身なので、するっとクリアされたのでしょうか
坂内 思った通りに動いてくれないなどはありました。エフェクトなどはこれまで触ったことがなかったので、勉強しながら実装しましたね。冒険とか、カードを選択するときのキラキラですとか、戦闘画面ですとか……。やりたいものを実装するにはどうしたらいいいかなぁ、と。

──β版のテストプレイヤーを募集されていましたが、その時のフィードバックをもとに作られたんですか?
坂内 昨年(2014年)12月にテストをしていただいたときには、『冒険』そのものはあったのですが、戦闘はすべてカードを選択するだけだったんです。それだと運で決まってしまうので、(プレイヤーの操作感を出すために)変えた方がいいんじゃない? という意見がありまして、12月から今の戦闘を僕が作って組みこんでいきました。

──戦闘をフリックにしたのはなぜですか?
坂内 まずスマホの「触っている感じ」を出したかったというのがあります。それと、ちょっと前にコマンドを入れて戦闘するアプリがあって、いいなぁと思ってまして。でも、1つ1つのコマンドで攻撃するというのは無かったので、それをやってみようと思ったのが原点です。

──カードめくりはランダムですか? うちの娘、宝箱を見つけるたびにトラップを踏むんです…
大坂 宝が貰えないどころか、疲労値が100上がっちゃう(笑)

坂内 依頼主によってカードの種類は決まっています。例えば宝箱が3個で戦闘が5個あるとか。トラップのあるなしとか。どの依頼主が良いのかというのがわかってくると狙えるようにはなりますよ。操作は一切してないです。攻略のコツは、良い依頼主を覚えることと、あとは「運」としか言いようがないですね……。

──「~~のアトリエ」シリーズは意識されていますか?
大坂 やってないです。

坂内 そういうコメントは結構多いです。錬金術というキーワードでアプリを知ってくださった方たちはたぶん「アトリエ」シリーズのシステムを求めてて、「アイテム合成がない」と言われるんですけど……「んなもんないよ」と(笑)娘を育てるゲームなので、雰囲気だけ味わってください(笑)
 錬金術というモチーフはストーリー上必要だからいれただけなんです。いや、でも、はじめは錬金術いれようと思ったんですよ。(アイテムを)まぜまぜするシステム。でも、時間も人手もたりないので「無理」と判断してやめました。今後のアップデートでも追加予定はありません。

──「錬金術」というモチーフを選んだ理由を教えてください
坂内 ゲームシステム的に、世界は進んでいくんだけど娘が何回も変わるっていうのがまずベースになっています。ですので、ストーリーをどうするか話し合った時に「ホムンクルスだったら何回作っても大丈夫じゃねぇか」と。ホムンクルスといえば錬金術師でしょう、とそういうわけで決まりました。ですので「パパ」の元ネタも特にありません。(「アトリエ」シリーズや「鋼の錬金術師」系統の話ではなく)あくまで美少女育成ゲームがベースです。

3サイズ設定に四苦八苦!?

──プレイヤーの中で、人気の高い成長パターンってありますか?
坂内 初期ですね。初期が一番いいって言われるんですよ。

──皆さんはどのパターンの娘お好きですか?
坂内 腕力ですね。

大坂 僕も同じく。

松田 ツインテです。初期娘は、開発の初期からもう何か月も見てるので飽きちゃったんですよね。テストすると必ず初めに出てきますし。

──娘のスリーサイズはどのように決められたんですか?
坂内 スリーサイズはねぇ……。辛かったですね(しみじみ)スリーサイズを取り入れようとなったとき、実際、わからないじゃないですか。この年齢だと平均どれくらいかなんて。仕方ないからネットで「12歳 スリーサイズ」とか検索かけるわけですよ。「うちらなにやってんだろうね!?」と(笑)

松田 危ない人(笑)

大坂 3人でボイスチャットしながらね(笑)Googleとかに検索ワード収集されてたらどうしよう(笑)

坂内 ……で、まあ、サイズ的にはどれくらいがいいのかというのを決めて、「ここまで成長させる間に、0.xミリくらいずつ大きくしていこう」と考えました。後はバイトによってどのくらい差をつけるのかも考えましたね。

──「モラル」を下げるとボインちゃんになりますね(笑)大変だったんですね……
松田 (3人の中で)ロリコンいないからね。

大坂 いないねぇ(しみじみ)

坂内 残念なことにいないんです……。世間的には(二次元の)ロリ娘を好きな人が多いので、それは『ポケットガール』にとって良かったです。

アップデートでCVがつくぞ!

──今後のアップデートでCV(キャラクターボイス)、声優がつくとお伺いしました
坂内 その予定で動いています。プロですが、まだ有名ではない方ですね。1人は、以前『ルナティックダンジョン』で声を当ててくださった、アクロスエンタテインメントの西川真美さんです。他にもあと2人の予定です。

西川真美 ボイスサンプル

──成長後によって声優さんが変わるんですか!? とても楽しみです
坂内 ありがとうございます。ただ、人によっては声がつくとイメージが違うっておっしゃる方もいるんですね。僕たちとしては声はそう重要ではないと思っていたんですが、プレイヤーさんの声で「欲しい!」というのがあったので、やっぱり入れることに決めました。
 ギャランティに関しては非公開とさせてください。本当は、僕たちのような小さいディベロッパは、声優専門学校の学生さんや、インターネットで手軽にお願いできる方に頼むのがいいのかなとは思ってるんですが。プロに普通にお願いすると結構高いので(笑)

ss043──アップデートはいつごろの予定ですか?
坂内 4月中……の予定です。もう1つ、着せ替えモードというアップデートを作っているのですが、それと一緒になるか、分けるか、今はまだちょっとわかりません。

──一番課金されているものはなんですか?
坂内 課金はすべて「クリスタルの原石」になるのですが、それを「クリスタルの結晶」(左図)購入にあてられる方が多いです。これは、ゲーム内通貨の5,000円で売れるんですよ。お金が足りなくなっちゃった方が、「原石」を購入して、「結晶」をゲーム内で買い、アイテム屋で売却してゲーム内通貨に変えているという感じですね。

──ショップでいいものを見つけたから、ちょっとお金を集めてこようってバイトして戻ってきたら、なくなってるんですよね(笑)
大坂 月替わりなんですよ(笑)

──アイテム課金の額は予測を上回っていますか?
坂内 まったく予測してなかったです。楽しんで貰って、たま~にハマった方が課金してくれたらいいかな、程度でした。『ポケットガール』に命運をかけているのは事実なんですけど、ジャブジャブ課金してもらおうというのはちょっと……ゲームを好きになってくれればいいな、という思いはずっとベースにあります。
 僕自身は『ブレイブフロンティア』などのソーシャルゲームをちょこちょこやっていますが、基本的に課金は一切しないので、『ポケットガール』のプレイヤーにも課金させようという考え方はありません。
 課金で広告を外すと太ももが見えるというのは本当に偶然なんです。

──他にもアップデートの予定はありますか?
坂内 なるべくプレイヤーの声は反映したいです。ユーザさんからのご意見で良いものは吸収していきたいと考えているんですけど、『ポケットガール』は声と着せ替えのアップデートでいったん終えて、2の制作に移る予定です。キャラと世界観を全部一新して、Live2Dを使って動くものを作ってみたいな~と。なるべく面白いゲームを作っていきたいのですが、その足掛かりがこの『ポケットガール』なのかなと思っています。

後編へ続く

▼関連リンク
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