津田真吾氏2

[Developers Summit 2015] エンジニアにとっての財務/会計 #devsumi

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by [2015年3月17日]

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株式会社INDEE Japan 代表取締役 テクニカルディレクター 津田真吾氏

 2月19日・目黒雅叙園にて、Developers Summit 2015 が開催されました。本記事では、このカンファレンス内で行われた『エンジニア発スタートアップ』と題したセッションの後半部の講演、株式会社INDEE Japanの津田真吾氏による『エンジニアにとっての財務/会計』のダイジェストをお送りします。(前半の「イノベーションの不確実性をコントロールする技術」はこちら

エンジニアは財務に向いている

 エンジニアは、財務やお金を扱うことに向いています。
 理由は三つあります。一つはロジカルに理にかなったことを信じていること。二つ目は製品、企業、技術者といった技術に端を発することに値札をつけるので、技術に明るいこと。三つ目は、エンジニアというのは、技術の進歩に敏感ですので、勉強し続けることに抵抗がないことが挙げられます。
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 エンジニア時代を振り返りますと、嫌いだったことが二つあります。一つはコミュニケーションです。人にわかってもらう、ということが面倒で、とにかくやっちゃえというマインドでした。もう一つは、金勘定です。いいものを作れば、お金は勝手についてくると思って、自分のやっていることの価値をいちいち考えたくありませんでした。
 しかし実際問題、コミュニケーションについては大きなプロジェクトをしようと思うと、多くの人と関わるので共通言語が必要です。どういう対策をすればいいのか、といった情報を共有しなければ支援を得られません。金勘定についても避けて通れません。世界の共通言語は英語だと思われがちですが、そうではありません。共通言語はお金です。このビジネスはいくらなんだ、という方が通じるのです。

商売の因果関係は何でわかるのか

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 複式簿記はルネサンス時代に、いまでいう「株式会社」みたいなかたちで、いろんな人からお金を集めて商売するときに使われていました。みんなで共有したお金をどう管理するのかといったときに考案されました。複式簿記は何故入ってきたか、どう入ってきたかを記録するもの、すなわち商売の因果関係を示すものです。
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 帳簿はバランスシートとプロフィットロスの二つです。バランスシートでは、流動資産、固定資産、短期負債、長期負債、資本金という大枠で見ていきます。流動資産、固定資産が今の資産の状況で、短期負債、長期負債、資本金はその資産がどこから来たのかという原因を示しています。プロフィットロスで考慮されるのは損益です。売り上げから、原価、販売管理費を引いたものが利益になります。そして、この利益は来期、バランスシートのどこから来たのかという原因の項目に組み込まれます。我々レベルで知っておくべきはこの程度です。そして、この複式簿記によって商売の因果関係がわかると、お金の使い方、お金のもらい方もわかるようになります。

投資? 消費? お金の使い方

 お金の使い方は、会計上においては投資か消費しかありません。まず、投資なのか消費なのかといったお話をしたいと思います。昔、競馬をやっていたときの仲間が「外れ馬券は投資だから」と慰めてくれたのですが、果たしてこれは投資なのかなと思いました。投資というのは、すればするほどリターンが大きくなります。さきの例で言えば、外れれば外れるほど、次は当たりが大きいとか、当たりやすくなるということにならなければなりません。それゆえ、馬券は投資ではなく消費です。
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 言ってしまえば、投資と消費の違いは「未来の収益の源になるかどうか」です。具体的には、パソコン、ソフト、工場設備、特許、商標のことです。意外かもしれませんが、ここで注意したいのは、ヒトは含まれません。理由は単純で、奴隷じゃないからです。最近流行っているピケティ氏もおっしゃっていましたが、奴隷制度があったときにヒトは資産ですが、廃止以後は人件費として消費されてしまいます。
 また特許や商標は結構重要で、最近の調査によると、スタートアップはロゴがあると6倍、特許があると25倍も成功しやすいというデータがあります。つまりエンジニアが作り出したものを形にして バランスシート上に載せてあげることは大事なのです。技術がわからない人たちに向けた共通言語を作るという意味ですから、コミュニケーションと金勘定の観点から、労を惜しまずやったほうが良いと思います。

お金のもらい方

 次はお金のもらい方です。これについては、返さなければいけないのか、ということが重要になります。
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 お金のもらい方は、借りる、出資、売り上げを立てるの三つしかありません。しかし、それぞれ本質がまったく異なります。借りることの本質は、金利を払って時間を買うことです。出資の本質は、株を発行しますので、共有するという部分的な所有権です。売り上げの本質は、商品、サービスによる価値です。それぞれの本質を考慮して、お金集めをすることをオススメします。
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 例えば、開発するためにお金借りようかなというときに、銀行から借りると、車や家といった担保が必要になります。その場合、スタートアップに失敗したら、個人的にも破産する悲劇が起きてしまいます。企業の黎明期は不確実性が高く、時間をかければうまくいくというものではありません。出資を受ける際には、こういうリテラシーを持って方がいいかと思いますし、借金はできるだけ控えた方がいいと考えられます。

それでも、お金をもらうにはどうしたらいいの?

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 しかし、それでもお金をもらわなければならない場合は、こうすれば儲かるというストーリー、すなわち事業計画を決めなければなりません。ここでは、何も決まっていないときのプロフィットロスをどう書くのかを説明します。通常は、売り上げから必要経費を引いて、利益を考慮して書きますが、何も決まっていないときは逆損益計算を使います。
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 出資してもらうためには魅力的なビジネスである必要があります。魅力的なビジネスであるためには、どういう売り上げ、経費にするかという検証をすることで、お互いに儲かりますという内容をシェアすることになります。噛み砕くと、売り上げは客数と単価です。そして、客数はページビューとコンバージョンにわかれ、これは実験可能(数値化できる)です。これを実験すると売上高がわかるので、投資家も投資しやすくなります。最近ではA/Bテストなどの手法もお堅いビジネス書で出ていますが、こうした仮説検証の実験はエンジニア業界では昔から草の根的に行われており、それがビジネスの場に広がっていったのかなと思っています。
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 まとめると、まず起業するなら極力借金しない。二点目は技術的な成果を見える化する。三つ目は事業計画を立てるときには逆損益計算を使うことの三つになります。

▼関連リンク
株式会社INDEE Japan
デブサミ2015

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