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スマホのヒットアプリをニンテンドー3DSでリリースするとどうなる? PUMOインタビュー

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by [2015年2月16日]

pumo01203 株式会社PUMO(プーモ)は、デベロッパーとしてユニークなゲームをリリースする一方で、スマートフォンの著名アプリをニンテンドー3DSへ精力的に展開している注目の企業だ。
 今回は、PUMOがどのようにゲームを開発しているか、また自社アプリやニンテンドー3DS展開の今後について、同社で取締役CCO(Chief Content Officer)を務める竹下功一氏(写真)にお話を伺った。

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PUMOに息づく遺伝子

まずはPUMOをご紹介頂けますか?
 PUMOは、2012年12月に代表の柴田が起業した会社です。柴田は以前ハドソンという会社でモバイル事業やiモード向けコンテンツ事業の立ち上げを行なっていました。
 弊社のメイン事業は、現在はゲームがメインで表に出ていますが実はそれだけではないんです。ちょっと先の未来を見据えた事、ありそうでまだなかったようなサービスなど、いわゆるゲームではないものも実はガリガリと企画開発しています。PUMOでは「面白い!」と思う事、「ワクワク」する事を、現在のゲームの枠だけにとらわれずにどんどんやっていこう! というスタンスです。会社設立当初は、受託開発やコンサルティングなども多かったのですが、現在は自社アプリ開発、ニンテンドー3DS向けゲームの開発配信事業など、自社事業の比重が大きくなっています。

受託開発ではどのようなものがありますか?
 大きいものでは、NTTドコモ様のゲームポータル『dゲーム』で『dゲームmini』という、登録なしの完全無料で遊べる、スマートフォン向けブラウザミニゲームコーナーの企画制作を手がけまして、現在も運営を継続しています。そのTOPページの下の方には、Developed by PUMO というクレジットも入れて頂いておりますので、ぜひ探してみてください(笑)。
 このサイトは、すべて「30秒でプレイする」というコンセプトで、1番最初に出した30秒で遊ぶボウリング『30sec.ボウリング』などがあります。ランキングシステムも独自に開発をしたものを搭載していて、リリースからだいぶ時間も経っているのですが、ランキング登録数も減ること無く、今でも毎日遊び続けてくださっている人がいるようです。

PUMOにはどのようなメンバーが集まっていますか?
 柴田の他、私を含め起ちあげ時メンバーの取締役3名は、みんな柴田が声をかけた面々ですね。私は元々柴田と同じハドソンという会社でゲームのシナリオや企画、プロデュースをやっていました。CTOの澁谷はハドソン~スクウェア・エニックス~CINGといった会社を経て独立していたんですが、一緒にやらないかと柴田が声をかけて。COOの平城も、TSUTAYAさん(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)にいた時に柴田と交流があった事がきっかけです。

一番のつながりはハドソンということですね?
 今のところそうですね。柴田がずっとハドソンでやってきた人間なので、もういろいろなつながりはそこからかと(笑)。役員以外の社員でも、時期や場所はかぶってないのですが、半分くらいハドソン出身者です。在職時には面識がなかったメンバーがPUMOに来てみたら、実は君もいたの? とか。
 柴田や私と一緒に仕事をしたことがある人も多いのですが、だからこそ、その人となりもよく分かっているんですよね。

PUMOにはハドソンの遺伝子が活きていると感じますか?
 そうですね、それはあると思います。これは今となってはの個人的な感想ですが、ハドソンは、次に来るものであったり技術だったりへ目をつけて、新しいこと、面白いことをいち早く始めていた会社でした。CD-ROMとか、モバイルとか、オンラインとか…ただ残念ながら、継続する事があまり得意でなかったように思います。いろいろな事をやっていましたが、継続していたら、今ごろスゴいことになっていそうなこと、実際に今その時代がきているものもありますし。あるいは、ちょっと早すぎた!? という事も。成功例としては、初期のパソコンソフト販売、ファミリーコンピュータのサードパーティ事業への参入や、PCエンジンなどではないでしょうか。
 ハドソン時代に柴田が起ちあげ、そこに私もプロデューサーとして参画したスマートフォン事業も良かったと思っています。ゲームメーカーではいち早くiPhoneへ参入していたと。そのかたちでの事業部は実質1~2年くらいしかやれなかったのですが、もうちょっと続けたかったなという思いはありました。今のPUMOでは、私がその時にしたかった取組みを再起動している、できているかもと思っています。
 そういった「これは面白い! 来るんじゃないか! というものをがあれば行動する」という遺伝子は、PUMOの中にも受け継がれていると思います。さらに私としては継続する事がいかに重要か身にしみているので、とにかく続けること、それも大事にしていきたいですね。

アプリ界で異彩を放つニンテンドー3DS化プロジェクト

ニンテンドー3DSにアプリを移植する際、PUMOを通すメリットは何でしょうか?
 メリット…あるのかな? あるような、ないような…すみません(笑)。ただ、個人でニンテンドー3DSの開発から配信までを独自にやるのはやっぱり大変だと思います。出せるまで時間もお金もかかりますし。その点では一応会社という形態で、それなりにコンシューマ業界での経験もあって小回りも利く、弊社のような会社を利用してもらえれば良いと思います。
 弊社でのニンテンドー3DS化にあたって、私が守りたいと思っているのは、必ずクリエイターの方自身に企画や仕様(の策定)をやって頂いて「これは俺がつくったゲームだ!」と胸を張って言ってもらえるようにしたい、という事です。必ず開発に関わって頂きたい、単に移植をこちらでやりますからという風にはしたくないと思っていて。やはり完成した時に一緒に作りましたね、と言って頂けるようにしたいんです。

なぜこのプロジェクトを始めたのですか?
 ニンテンドー3DSのダウンロードソフトを出すことができるようになりそうだ、というお話があって…では何を作る? というので企画を色々出していたんです。オリジナルの企画案もありつつ、その中に1つ私がふと思いついたRucKyGAMESさんの『ぐんまのやぼう』がニンテンドー3DSに出たら面白いだろうな…という案も入れていました。
 その後、RucKyGAMESさんに「ニンテンドー3DSで、ぐんまのやぼうをやりませんか?」とお声がけして、どうなるかわかりませんがやってみましょうか! というお話になって…。
 結果的には、おそらく最初に弊社独自のタイトルを出しても、まったく無名のできたばかりの会社なので、さして話題にもならなかったと思うのですが、お陰様で発表時に「ニンテンドー3DSにぐんまのやぼうが!?」というニュースは、私が思った以上に色々なところで取り上げて頂くことができました。
 最初にRucKyGAMESさんへお声がけさせて頂いたのは、以前より親しくさせて頂いていたこともありますが、コンテンツそのものはもちろん、「この人ならば」というところがありました。RucKyGAMESさんなら、プラットフォームが変わっても最後までやりきってくれる、ものづくり、ゲームへの愛や執念を持ってるい人だと思っていたからです。以降のタイトル『王国の道具屋さん』『DOOORS』『新宿ダンジョン』もコンテンツの魅力はもちろんのこと、プラットフォームが変わっても、こだわってものづくりをしてくれる、やりきってくれる方たちだと思ってお声がけさせて頂きました。
 そもそも何故スマートフォンアプリクリエイターの方を…というと、これもまた私がハドソン時代、まだiPhone3GSの頃スマートフォン事業の担当になって、いろんなアプリをむさぼるようにプレイして、「こんなにも面白いコンテンツがあるんだ!」「こんなぶっ飛んだクリエイターさんがいるんだ!」と、そちらの世界に触れたことがきっかけでした。私はアプリ開発者さんやそのタイトルとかが大好きなんですね。そんな自分が好きなゲーム、アプリ、そのクリエイターさんのタイトルを、弊社の取り組みによってコンシューマ機に持っていきたい、世に出したい! と強く思っています。
 またPUMOでのオリジナルタイトルもそのうちニンテンドー3DSへ出していきたいと思っています!

前述の4タイトルを作ってみて、方針に変化はありましたか?
 これまでの4タイトルは好評を頂いているのですが、いくつか課題も浮き彫りになりました。あとは、開発資金の問題もあります。今後は、既存タイトルの底上げとともに、開発資金の調達などを検討する必要があります。すでに企画書、仕様書ができあがっているタイトルや、他にもニンテンドー3DSでのリリースを希望されている開発者さんからのご相談もいくつか頂いているので、そのあたりを早急に進めたいですね…。弊社の取り組みに興味をお持ちで、出資して頂ける方がいらっしゃったらぜひ! ご連絡をください(笑)。

ニンテンドー3DSとスマホで、ユーザー層に違いはありますか?
 はい、あると思います。厳密にデータを取っていないんですが、意外なことにスマホ版をまったく知らなかったという方も結構います。
 また、子供さんの場合、スマホは持たせてもらえないけれども、ニンテンドー3DSなら持っていることが多いです。ニンテンドーeショップでは無料で見られる動画や体験版があるので、そこをきっかけとしてアクセスしてくれるということもあります。

開発者さんは子供たちにも遊んでもらいたいと思っているのですか?
 はい。『王国の道具屋さん』のニンテンドー3DS版には、スマホ版にはない“主人公の性別選択”を入れたんです。これはアソボックスさんからの提案で、子供たちは性別を選びたくなるからと。これは、やってよかったと思います。弊社で2014年のTOKYO GAME SHOWに出展したときが『王国の道具屋さん』の初プレイアブルだったんですが、小さいお子さんが結構張り付いてプレイしてくれて。その時に、男の子は男の子に、女の子は女の子にしてやっていたのを見て、そこでも「ああ、よかった」って(笑)。

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ニンテンドー3DSでデモを行なう竹下氏

千本ノック、はじめました

PUMOの代表作は何ですか?
 今のところゲームでは代表作と呼べる華々しいものはないのですが、ダウンロード数的に言えば、一番初めに出したiOSアプリ『ソーシャルタイマー』です。アップルさんにフィーチャーして頂いたこともあったんですよ。

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「タイムカプセル的な楽しみもありますよ」と竹下氏

ソーシャルタイマー
 身の回りのカウントダウンを視覚化することで、毎日を有意義に能動的に生きよう、という意識付けができるアプリ。それぞれのカウントダウンはFacebookで共有することも可能。友人からのコメントが付くこともあるが、そのコメントは、カウントダウンが終わったときに、初めて読むことができる。

最新作『$1,000,000,000,000.00(一兆ドル)』の元ネタはハドソンの『忍者〇〇くん』ですか?

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『$1,000,000,000,000.00(一兆ドル)』ファミコン世代は思わず頬がゆるむ。

 特にそういうつもりは無かったんですよ(笑)。スタッフに「障害物は当たったら絶対痛い! アウト!って超わかりやすいものにして」と言っていたら鉄アレイになっていたという…。
 『忍者〇〇くん』といえばこんなエピソードもあります。4年ほど前のハドソン在籍時のことですが、RucKyGAMESさんとのコラボレーションでiPhoneアプリを作ったんです。それが『僕とちくわと鉄アレイ』という、鉄アレイにちくわを投げてはめるゲームでした。
 RucKyGAMESさんと初めて会ったのもその時です。ハドソンをネタにして何か作ってもらえませんか? とお声がけしてアイデア出しをして頂いたんですが、RucKyGAMESさんから出してもらったアイデアの100個のうち80個くらいが、ちくわか鉄アレイに関連するものだったような…。これはもうRucKyGAMESさんはよほどこのネタで作りたいんだろうなと思って。プレゼン資料を作ってプロジェクトの承認を通しました。最初は偉い人の会議で、果たしてこの企画を通せるのかと思っていたんですが…結構受けまして。当時のハドソンの偉い人たちに感謝ですね(笑)。今があるのもあのタイトルがあったからだと思っています。

PUMOではどのようにゲームを作っていますか?
 弊社では「ゲームは世の中に出して、お客様の評価を受けて、初めて完成する」と考えています。なので、ちゃんとモノを出すことを大事にしています。
 今、社内で「千本ノック」と呼んでいる取り組みを行なっています。これまで『羊カウント』『A』と先ほどの『$1,000,000,000,000.00(一兆ドル)』というアプリをリリースしてきました。これは、まずはとにかく「打席に立つ事」=「アプリをリリースする事」。まずは世の中にモノが出てなきゃどうにもならない。ただし、打席に立てば何でもよいわけではなく、本気でバットを振りぬく事。大ぶりで空振りになってもいい、当てるつもりで本気で振る! また、前提条件を決めています。各パート1名ずつの少人数で、開発期間は基本1か月以内でできることとしています。
 どんなに小粒でもあるポイントでは面白いと思って頂けるものができれば、少しずつでも本数を重ねていくことで、確実に経験値は増えていきますし、同じ期間内でできる事も増えていきます。開発陣のスキルがあがっていくことによる、そうした「作る」→「スキルがあがる」→「もっと面白くなる」→「そのうちどれかが大ヒット! 売れる!」という良いサイクルを早く作りたいですね。まず目標は「毎月1本何か出ている」「PUMOって地味にいろいろ出してるよね」と言って頂けるように、毎月リリースを継続できるようにがんばります。

ニンテンドー3DS化プロジェクトは自社タイトルへ影響を与えていますか?
 私は、個人開発者さんが作られているスマホゲームの、ファミコンがブレイクしたときのような、定番や王道もあれば、何だこれは!? というものまであるカオスな感じが大好きなんです。最近のAppStoreはちょっと違ってきていますが。iPhoneを持ちだした時から現在までも、毎日いろいろなゲームを遊ばせてもらっています。この開発者さんはすごいなあとか、このゲームよく考えられているなあみたいなことを悶々と考えながら(笑)。
 スマホのゲームでは、弊社は他の開発者さんより2年出遅れていると思っていますが、ニンテンドー3DS化プロジェクトがきっかけで、以前よりもっとたくさんの開発者さんとも知りあうことができました。そこで広告(の運用)はどんな風にすればいいですか? とか、最近ヒットしたアプリのことを教えてもらったりして。今回のインタビューもそうですね(笑)。アプリ界ではまだ新人で弱小な弊社へお声がけ頂けるのも、ニンテンドー3DS化プロジェクトのお陰だと思います。

iOSとAndroidの違いは感じますか?
 今のところ弊社のアプリではダウンロード数がすごく違いますね。AppStoreは海外も含めて結構ダウンロードして頂けるのですが、Google Playはさっぱりです(苦笑)。タイトルを工夫してみたり試行錯誤していますが、まだまだです。広告費用も掛けられないので、今はとにかく連絡ができるメディアさんに頼み込んで、紹介して頂けないかお願いしたりとか…。
 繰り返しになりますが、いろいろな開発者さんのお話を聞くと、やはり続けることが大事だと実感しています。続けていけば、全体的に底が上がっていく、けん引役になるようなヒットアプリが出る確率もあがる。そうすれば、お客様に他の自社アプリも遊んで頂ける。そういったお話を日々聞くので、励みにがんばろうと思います。

ゲーム以外に注目しているものはありますか?
 はい。いろいろあるのですが、中でも柴田をはじめ注目しているのはVR、人工知能、ロボットなどです。まだ詳細をお伝えすることができないのですが、近々、発表できるようになると思いますので、その際にはぜひ応援してもらえると嬉しいです。

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過酷な(?)千本ノックとは対照的に穏やかな社内風景

PUMOのゲームを作っているメンバー

自社タイトルはどんな環境で開発していますか?
 「千本ノック」のミニゲームに関しては基本内製、一部業務委託という形です。開発環境については、自社エンジンです。ワンソースでiPhoneとAndroidにマルチで出せるもので、特徴としては、アプリの起動がとにかく早いことがあります。気づく方は気づかれると思いますが、一兆ドルでアイコンをタップしてもらったらすぐにゲームが始まります。このエンジンは現在も「千本ノック」の開発とともにブラッシュアップされ続けています。
 昔のファミコンは電源を入れたらすぐにゲームができました。それが段々変わってきていますよね。最近のスマホゲームでも、最初にすごく長い時間ダウンロードを待たなくてはいけないものとか…。
 ゲームをやめてしまう、続けてもらえない理由はいろいろありますが、その1つに待たされる時間の悪影響は必ずあると思っています。さあやろう! と思ってから10秒経っても、20秒経っても始まらない…もういいや、と思ってオフにしてしまう…。弊社のミニゲームではまずそういった「待たせる」ことがないようにしたいんです。

グラフィックはいかがですか?
 実は社員ではまだデザイナーが一人もいないんですよ。弊社のアプリのグラフィックは「アイドル伝説」以外すべて、これもまた元ハドソンの人がやっているデザイン会社さんに依頼しています。王国の道具屋さんのニンテンドー3DS版のグラフィックも全部そこにお願いしたものです。後で聞いたら実はこのドット絵を打ってたのは◯◯を作ってた誰々さんだった、とか。ほぼみんな知り合いです(笑)。

音楽はいかがですか?
 ニンテンドー3DS版の音楽は全部オリジナルですが、これもすべて、元ハドソンでサウンドをやられていたクリエイターさんに頼んでいます。ハドソンの著名タイトルをいくつも手がけていたので、技術力、クオリティは確かです。ゲームのサウンド制作はノウハウの塊ですが、彼の音楽は、ずっと聴いていても飽きないですし、ついつい口ずさみたくなるような印象的なフレーズであったりするんですよね。
 王国の道具屋さんの音楽もすごく良くて、サウンドトラックなんか作れたら良いなと思って、いろいろ検討しています。ぐんまのやぼうのBGMは、群馬県の民謡をアレンジしたもので、無駄に荘厳な感じ(というリクエストで制作されたもの)です(笑)。DOOORSは元々音楽がまったく無かったんですが、ニンテンドー3DS版では、雰囲気のよいアンビエントなBGMが入っています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。
 ぜひ、PUMOを、そしてPUMOのニンテンドー3DSタイトルやスマートフォンアプリを応援して頂けると嬉しいです! 助かります! ニンテンドー3Dをお持ちの方はぜひゲームをダウンロードして遊んで頂き、おすすめ投票や、お友だちに薦めたりして広めて頂けたら…。弊社でのこの取組みを続けるためにも、ぜひ皆さまに応援をして頂ければとてもありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします!

PUMO

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