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【保存版】ネイティブ広告の本質を“ユーザー目線で”考える

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by [2015年1月09日]

メディアの運営に必要不可欠なマネタイズの手法として、一般的なのが広告掲載であるが、ユーザーからして見れば脈絡のない無粋な広告は邪魔でしかない。
また、従来の広告フォーマットに慣れきっているユーザーは無意識的に広告を読み飛ばしてしまうことも多く、従来のオンライン広告の広告効果は日に日に下がっている、とも言われている。
そうした問題を解決するために考案されたのが、本記事のテーマである 『ネイティブ広告』 である。

『ネイティブ広告』 と一口に言っても、それが具体的にどんな広告を指しているかは時と場合により様々だが、米国のオンライン広告の業界団体 IAB(Interactive Advertising Bureau)では、ネイティブ広告を6つの種類に分類して定義している。
この定義の詳細については後述するが、少々乱暴な言い方で一言にまとめれば、コンテンツ内において異物感がより少ない自然な広告がネイティブ広告だ。

言い換えれば、決められた広告フォーマットにメディアが従うのを前提にしている従来の広告に対し、メディアのフォーマットに広告が従うのがネイティブ広告だと言えよう。

最近目にすることの多くなってきたこの 『ネイティブ広告』 という言葉だが、一時期バズった 『ビッグデータ』 という言葉と同じように、言葉だけが独り歩きしている状況であるようにも見える。
そこで、今回はいま流行りの 『ネイティブ広告』 について整理し、その理想と現実のギャップに目を向けてみたい。

IAB の定義が、既に本質から少し離れている

オンライン広告の国際的な標準規格を実質的に定めている IAB は、ネイティブ広告を以下の6つのカテゴリーに分類している。

  1. インフィード型
  2. レコメンドウィジェット型
  3. ペイドサーチ型(検索連動)
  4. プロモートリスティング型
  5. ネイティブ要素を持つインアド型(IAB スタンダード)
  6. カスタム型(その他)

インフィード型、レコメンドウィジェット型
インフィード型は、おそらくもっとも一般的なネイティブ広告で、Facebook や Twitter なんかで良く見かけるタイプの広告だ。YouTube のプロモーション広告などもこれに含まれる。要するに、コンテンツの一部として制作された広告だ。
これに対してレコメンドウィジェット型の広告は、メディアのコンテンツでは無いものの、他のコンテンツと並んだ所に PR 用の外部リンクが貼られているタイプの広告である。

レコメンドウィジェット型の広告

レコメンドウィジェット型の広告

ペイドサーチ型、プロモートリスティング型
ペイドサーチ型とは、Google や Yahoo! などの検索サイトで検索すると検索結果の上の方に出てくる広告で、検索ワードに対応した広告が表示される。プロモートリスティング型もこれに近いタイプの広告で、例えば『食べログ』などで検索した際にプロモーションとして上部に表示されるコンテンツと一体となった広告のことである。

リスト型広告

Google 検索のネイティブ広告はペイドサーチ型であり、プロモートリスティング型でもある

ネイティブ要素を持つインアド型
ネイティブ要素を持つインアド型とは、コンテンツの内容に関連した広告を従来と同じような広告枠に表示するタイプの広告であり、要するにコンテンツ内容からターゲティングをしている広告である。

ネイティブ要素を持つインアド型広告

ネイティブ要素を持つインアド型広告

カスタム型(その他)
上記のどれにも当てはまらないネイティブ広告は全てカスタム型に分類する。身近なものだと LINE のスポンサースタンプなどは、企業が PR 用に制作したスタンプがユーザーに使われ、拡散していく、という意味で新しい形の広告だと言われている。

LINE のスポンサースタンプも立派なネイティブ広告だ。

LINE のスポンサースタンプも立派なネイティブ広告だ。

その他には、Spotify のカスタムプレイリストや、Instagram などがカスタム型ネイティブ広告と言うことができるだろう。
(参考記事: IKEAに学べ!Instagramを活用したプロモーション
カスタム型のネイティブ広告は掲載メディアの特色を活かしたものが多いのが特徴だと言える。

IAB の定義する6種類のネイティブ広告を簡単に振り返ってみたが、筆者の感覚ではネイティブ要素を持つインアド型なんかは無理して 『ネイティブ広告』 と呼ばなくても良いのではないかという気もするが、ここは今回訴えたいポイントではないのであまり突っ込まないことにする。
問題は、この 『ネイティブ広告』 という言葉を広告プラットフォーマーが自分たちにとって都合の良いように使っていて、ネイティブ広告の本質が見失われている、ということである。

ネイティブ広告の本来の目的と現実

さて、ここで一旦ネイティブ広告の本来の目的に立ち返ってみよう。元々は、UX(ユーザー体験)を妨げないために、「広告であることを意識させない」ことを目的としたのが 『ネイティブ広告』 である。
実際に、IAB の定義した6種類の広告は、従来の広告と比較して “広告であること” が分かりにくくなっており、コンテンツに溶け込んでいることが多く、一時期物議を醸したエロ漫画のバナー広告のように UX を著しく損なうことはない。
ただし、「広告なのかコンテンツなのか」 が完全に分からなくなってしまうと “ステマ” だとされ、メディアの評判が悪くなるばかりか広告効果も薄くなってしまうため、IAB は広告であることを明記することをネイティブ広告の基準としており、実際に IAB 準拠のネイティブ広告は成功事例が多いようだ。

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Antenna のネイティブ広告は、コンテンツとしての完成度も高く、評判も良いようだ。

しかし、これらのネイティブ広告の成功に便乗して、『ネイティブ広告』をとりあえず謳っておけば良いと思っているかのような広告プラットフォーマー企業がちらほら見受けられる。例えば、ただ単にリスト型やタイムライン型の広告フォーマットをネイティブ広告と言っていたり、企業によっては以前と同じ仕組みのアドネットワークを、最近になって『ネイティブ広告対応』として売り出したりもしているほどだ。

ただ、そこには広告プラットフォーマーとしてのジレンマもある。そもそも、「コンテンツのフォーマットに広告フォーマットを合わせる」というのがネイティブ広告だとすれば、広告入稿から価格設定、掲載まで、全てメディアが自力で運営するしかない。
そこで、もし仮に広告プラットフォーマーが『ネイティブ広告のフォーマット』のようなものを作って営業したとしても、それは真の意味でネイティブ広告とは言えないのだ。
実際、現状ではネイティブ広告をきちんとやろうと思えば、メディアと広告パブリッシャーがその都度個別に手を組んで対応するしかないことが多く、スケールメリットが効きにくい状態となっている。

広告プラットフォーマーの将来

では、ネイティブ広告を整えようと思ったメディアは最初から最後まで全て自力でやらなくてはならないのか。というと決してそういうわけではない。
世の中のアプリやウェブサイトというのは、一部を除けば大体似たようなデザインになっていることが多い。特に、ニュースサイト、アプリなどは使い勝手を意識すると似たようなデザインになることが多く、奇抜なデザインはそうそう出てくるものではない。

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使いやすさを考えるとアプリのデザインは似たようなものに収斂していくことが多い。
 

そうしたアプリ・ウェブサイトに対しては、コンテンツと親和性の高いデザインにカスタマイズできる程度の自由度を与えることで、ネイティブ広告としての役割を果たす広告フォーマットを提供することができるだろう。

実際に i-mobile やアスタ等の一部アドネットワークは、アイコン・タイトル・説明文・ダウンロードリンクをそれぞれバラして入稿してもらい、それらをある程度自由な形でカスタマイズできるような広告フォーマットに対応しており、メディア自身でコンテンツと親和性の高い広告枠をカスタマイズすることができるようになってきている。
(逆に言えば、定番のデザインが存在しにくいジャンルのアプリやウェブサイトの場合は、やはり広告主と直接手を組まないとネイティブ広告を制作することは難しいということでもある。)

UX の邪魔にならない広告が普及することは、読み飛ばしていたかもしれないオンライン広告から自分の購買ニーズを見つける機会が増えることになり、ユーザーにとってもメリットとなるはずだ。しかし、現状ではいくつかの成功事例に引っ張られ、『ネイティブ広告と言っておかなければ時代遅れ』という風潮が蔓延し始めていて、表面だけを取り繕ってネイティブ広告を謳う業者が増えてきている気がする。『ネイティブ広告って大したことないじゃん』とその普及が遅れてしまうのだとすれば非常に残念なことである。

広告プラットフォーマーは、どうか安易なネイティブ広告に走らずに、ユーザーのことを第一に考えた工夫のあるサービス提供をして欲しい。

▼参考URL
IAB ネイティブアド・プレイブック – IAB の定めたネイティブ広告の6つの定義と6つの検討ポイント

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