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オンライン決済サービスとして見る携帯3キャリアのポジティブな未来

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by [2014年11月18日]

 ガラケーからスマホの時代になり、モバイル向けのメディア・広告・ゲーム業界が非常に活性化しています。今回は、こうしたスマホシフトによって携帯3キャリアが失ったものと、今後の可能性について考えていきます。

スマホシフトした「キャリア決済」のフローは使いやすいか?

 ガラケー全盛時代には、多くの若者が1曲200~400円の着うたを購入し、800億円に近い市場が形成されていました。ガラケーから有料コンテンツを購入する場合、決済フローは4ケタのパスワード入力のみで終了しました。ガラケーの一番の長所は、回線契約・端末選択とメンテナンス・オンライン決済をワンストップで3キャリアが担っていたことではないでしょうか。

 スマホシフトにより、オンライン決済はAppStoreやGooglePlayで行うものになりました。質の高い回線・端末・決済プラットフォームをそれぞれ自分自身で選択したい消費者にとっては、スマホシフトは良い変化でした。しかし選ぶのが面倒な消費者にとっては、オンライン決済の選択がボトルネックとなります。dメニューやスマートパスなど、スマホでキャリア決済させるポータルもありますが、残念ながら、AppStoreやGooglePlayどころか、ガラケーと比べても使いづらいという声が多いようです。

クレジットカード保有率は減少傾向
特に「地方」「若年」「男性」が低い

 一方、決済方法の定番として、特に旅行や出張など、現地通貨に両替するのが面倒な期間の海外滞在で活躍するクレジットカードはどうでしょうか? 都市部を中心に、クレジットカードの所有が大前提のコミュニティが生まれがちですが、自分の周囲の当たり前が日本全国の当たり前とは限りません。


 現に、2013年にJCBが行った「クレジットカードに関する総合調査(pdf)」によると、クレジットカードの保有率は2009年から減少傾向にあります。


 同じ調査を年齢・性別毎で見ると、男女ともに20代のクレジットカード保有率は低く、特に20代男性は72.2%と最も低い値を出しています。地域別では首都圏・東海圏・近畿圏といった大都市を抱える地域の保有率が高く、北海道・東北・九州の保有率が低くなっています。クレジットカードでしか決済できないサービスは「地方」「若年」「男性」を取りこぼすことになりかねません。

 ニコニコ動画のプレミアム会員費は、2011年11月の時点で3キャリアのスマホからの決済に対応しています。IT系サービスの公式オフ会も東京23区内のみで行われることが多いですが、ニコニコ動画は「ニコニコ町会議全国ツアー」で全国を周っています。「内輪受け」を脱してユーザーを増やしていく上では、取りこぼしを防ぐという観点も必要です。

決済サービスには「ブランド力」が必要

 先日LINEが決済サービス「LINE Pay」を発表しましたが、アカウントを乗っ取られた際のリスクについて懸念する声があがりました。「iTunesカードを買ってきてください」と頼む手順を飛ばして、スムーズに不正な振り込みが行えるようになれば、確実に被害は拡大します。また、ウェブサービスにクレジットカード情報を登録する際には2ちゃんねる個人情報流出事件のようなプライバシー関連のリスクがあります。

 数あるプラットフォームの中でも、決済にまつわるプラットフォームは特に「ブランド力」が重要です。顧客データを攻撃から守るためのセキュアな環境作りには大きなコストがかかるため、小資本ベンチャーによる構築は期待できません。決済にまつわる情報は実名と繋がりやすく、クラックされた際の実害が大きいからこそ、預け先の企業のモラルと技術力への信頼が問われます。

3キャリアはプラットフォーマーたちが欲しがる
「最も大事なもの」を既に持っている

 電子書籍やゲーム内アイテムなどのデジタルコンテンツに課金する人々は、日本国民全体から見れば少数派です。しかし生活必需品の購入や、飲食店・美容室・病院の予約といった、あらゆる世代・性別・属性の人々が日常的に行っている「現実世界での購買行動」の入口がインターネットに置き換われば、その市場規模は凄まじいものになるでしょう。そこで問題になるのがあらゆる世代・性別・属性の人々にクレジットカード登録や口座振替登録をしてもらうことへのハードルですが、キャリアは回線契約時に、その情報を握っています。

 新興キャリアやMVNOがわかりやすく格安な回線料金を提示する中、3キャリアが複雑・高額な料金体系とMNP優遇でユーザーの反感を買っていては、せっかく登録されているクレジットカード・口座情報を逃すことになりかねません。これまで通りに回線料金で収益を得ようとするのではなく、デジタルコンテンツ事業者かリアル事業者かを問わずユーザーを誘導しオンライン決済を担う、スマホポータル兼決済プラットフォームになり、決済手数料で収益を得るモデルになれば良いのではないでしょうか。つまりKDDIのSyn.(シンドット)連合にECやリアルタイムECが加わりキャリア決済を利用可能になる、あるいはリニューアル後のLINEやGunosyでキャリア決済が可能になっているような姿です。日用品の定期購入や家事代行、宅配弁当など、高齢者にも需要があるような生活密着型の定期的なサービス利用の決済にキャリアが使われるようになれば、手数料収入はかなり大きなものになるのではないかと思います。

 するとますますスマホが便利になり、PCによるインターネット接続の入口として勝ってきたヤフーが危うくなります(2014年、初の減益)。それを見越してのヤフーのケータイキャリア、ワイモバイル発足でしょうか。TポイントのCCCと提携し、遺伝子情報を広告に利用することを考えているデータドリブン企業であるヤフーが、2014年8月からキャリアをスタートさせたわけです。ヤフーなら回線・決済・ポータルをワンストップ化するビジョンを持っていそうですし、シェアさえ広がればかなり強いのではないでしょうか。ワイモバイルの安価な価格設定も、Yahoo! BBが価格破壊でブロードバンドを普及させた前例を思い出します。2014年、3キャリアの契約数は、docomo約6,200万、au約4,000万、SB約3,500万。回線契約をワイモバイルやMVNOにじわじわ奪われ、決済プラットフォームを外資に奪われきってしまう前に、今ある数千万人の決済情報という強みを最大限に生かせるポータル・プラットフォーム構築に踏み出してほしいと思います。

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