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退役軍人の再就職先として注目されるUberの抱える問題とは

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by [2014年11月07日]

 配車サービスUberは今年9月、イラク、アフガンから帰還した退役軍人を主として、18ヶ月かけて5万人をドライバーとして雇用することを発表した。『UberMILITARY』と銘打たれたこのキャンペーンは、就職難にあえぐ退役軍人の再就職先として注目され、順調にドライバー数を増やしている。しかし、一方にはある問題が懸念されている。

退役軍人にとって魅力的なドライバー職


 Uberの実行している今回のキャンペーン『UberMILITARY』は、その名称からわかるように、退役軍人を雇用する主な層として想定している。
 退役軍人は、生死の境である戦場で毎日を過ごしていたことで、心身ともに非常に疲弊した状態で帰ってくることが多く、また一般の人々と比べて普通の企業でのキャリアがないために就職難に陥りやすい。そこにUberは目をつけ、ドライバーとして雇用しようとしたのである。この試みは、いくつかの要因によってひとまず成功している。例えば、退役軍人のセカンドキャリア、再就職を支援する全米商工会議所の後押し。あるいは平均年収が9万ドル(ニューヨークでフルタイム労働した場合。きちんとしたデータはUberから発表されていない)も稼げるとされていることや、キャンペーンサイト上の「自分の好きなときに仕事が出来る」といったフレーズに現われている自由さもあって、キャンペーン開始から僅か二週間で1,000人以上もの応募があったという。
 しかし、実際のUberのドライバーたちの置かれている状況は非常に厳しい。ドライバーはガソリン代や、車の維持費を自分で負担しなければならず、ドライバーの所有している車種、行っているサービス、自宅から客の多くいる市街地までの距離、そしてどの都市でドライバーをしているのか(※)によって収入は大きく変わってくる。しかもドライバーの収入である運賃のうち、Uber側がいくらマージンを取るのかは固定していない。Uberの利用者が最も多いロサンゼルスでは、UberX(低価格タクシーを配車する)のサービスの場合、1マイルにつき2.4ドルの運賃が1.1ドルに値下げされ、さらにマージンは5%から20%に上昇した。こうした料金体系の変更を不当だとして、Uberのドライバーは各地でストライキを起こしている。

※最も料金の高いニューヨークと、最も料金の低いとダラスでは約二倍の差がある。料金が高い地域は他にはサクラメント、アシュビル、ゲインズビル、低い地域はヒューストン、ロサンゼルスで、治安のいいところは高く、悪いところは低いとはっきり分かれている。

値下げは成熟の証拠か

 ただ、このUberの料金体系の変更は致し方ないと考えることもできる。Uberはタクシーにはないサービスを提供し続け、これまでタクシー業界が拾えなかった顧客の拡大を狙えることが分かった。
 しかし、Uberと同じく配車サービスを行っている同業他社と競合する場合どうしたらいいのか考えると、やはり一番手っ取り早いのは料金の値下げだ。これからは熾烈な値下げ合戦が、インターネット配車サービス業界で行われることだろう。ある意味では、新しいサービスが生まれる見込みのない、成熟した業界になったと判断できるかもしれない。

▼参考リンク
The Verge『Uber is recruiting 50,000 veterans as drivers』
The Verge『Uber costs twice as much in NYC as Dallas: Where does your city rank?』
BUISINESS INSIDER『Uber Drivers Across The Country Are Protesting Today —Here’s Why』
UBER MILITARY

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