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大学生クリエイターユニット超水道インタビューその2~iPhoneアプリ開発の道~

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by [2014年11月06日]


デンシ・グラフィックノベル『ghostpia』が大反響を呼んでいる大学生クリエイターユニット・超水道より、代表のミタヒツヒトさんとイラストレーターの山本すずめさんにお越しいただいた、ググっとロングなインタビュー。第2回にあたる本記事では、iPhoneアプリの開発を手掛けるようになったきっかけや、ghostpia制作に至るまでの道のりについてお話していただきます。

▼目次
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその1~超水道はこうして生まれた~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその2~iPhoneアプリ開発の道~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその3~ghostpia制作秘話・前編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその4~ghostpia制作秘話・後編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューおまけ~超水道こぼれ話~

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iOSアプリ開発を始めたのは教授の無責任な一言がきっかけだった

──初期の活動はCDに焼いたゲームをコミケなどの同人即売会で頒布されていたということですが、そこからアプリに移行したのは、超水道にはアプリの方があっている、と考えたからでしょうか?
ミタ 即売会に参加してCDを頒布するというのは楽しかったし、予算がかかっているので利益は出ていないけれど「お金」という目に見える形で成果が出るので、サークルを維持していく上では即売会に参加して定期的に買ってくれる方を見るべきとは昔から思っていました。でも、いつだったか、大学の講義で……どの教授だったか忘れてしまったのですが……「今スマホが熱いんだよ!」とおっしゃっていたんですよ。確かコンテンツ系の講義で、その教授も全然ITには詳しくないけど「熱いらしいからお前ら若いしやってみたら?」くらいの無責任なテンションで。その講義を聴いた帰り道「そうか~、スマホが熱いのか~」と考えまして、まだ当時はiPhoneなんてなかったので、ガラケーのメールで『いまスマホが熱いらしいよ』と僕もその時は何も考えずにすずめ君に送りました。

すずめ 熱いらしいよ、と突然……(笑)

──どう思われましたか?
すずめ 「あ、そうなのか……」みたいな感じで……スマホといってもまだピーンとくるものではなくて、App Storeという存在もまだ全然知らなかったですし。そういう時代だったので素直に「そうなのか~」ぐらいにしか捉えていなかったんですけど、とりあえず後日、都内某所のマクドナルドで「熱いらしいからちょっとアプリを作ってみよう」みたいな感じで企画を作り始めました。それがアプリ制作の第一歩でした。(インタビューその1でも言いましたが)いつかリメイク予定です。

──期待してお待ちしてますね
ミタ もうしばしお待ちいただければと思います(笑)

デンシノベルが生まれる瞬間


『’99~恐怖の大王と放課後の女神~』は超水道とゲームキャストのコラボ企画「1週間ゲームメイク」プロジェクトで制作アプリです。ファミレスで大奮闘した7日間の様子はゲームキャスト内の記事でご覧ください(リンク下部)

──超水道の特徴の1つにその制作の速さがあげられると思うのですが、企画書や発注書をきちんと練り上げてメンバーに共有するのでしょうか、それとも話し合ってその場で作っていくスタイルなのでしょうか?
ミタ まず最初は1週間企画と同じで、僕が夜中のファミレスで突如語り始めるんです。「こういう話を考えたんだがどうか」というのをパッと言うと、皆嫌な予感を覚えながらも「どういう話なの?」と聞いてくれます。頭の中で考えているだけでまだプロットを作っているわけではないので話に穴があるんですが、メンバーに聞いてもらっていると、その場のノリと機転で埋めながら一応最後まで話すことができるんですよね。それでメンバーの反応がよかったら、そこから話をもうちょっと広げます。今度はお話だけじゃなくて、スクリプトでこういうことをやりたいだとか、前のノベルでこのような苦情が来ていたから次はもっと改善しようだとか、そういう風に話を固めていくうちにそろそろ夜が明けるかな、くらいの時間になるので解散します。その後にどういうことが決まったかということをメモから企画書未満くらいにガーッとまとめて、Dropboxに共有します。「じゃあこれでやろう、スケジュールは後で話せばいい、皆こういうのをやるのでヨロシクネ」という風にするのが最近のやり方ですね。

──話してみて、イマイチな感触だったら?
ミタ やめるか、練り直すかします。

──メンバー同士のやりとりで固まっていくんですね。ファミレス代が結構かかってしまうのではありませんか?
ミタ そうですね(笑)

──企画はすべてミタさんなんですか?
すずめ そうです、ミタ君です。

ミタ 超水道の企画とディレクションはみんな僕ですね。シナリオは僕と蜂八憲(はちやけん)で書いています。『’99~恐怖の大王と放課後の女神~』などを執筆した佐々木ケイ君は現在個人で活動しています。

佐倉ユウナは電子書籍? リジェクト回避に奔走!

──iOSアプリ制作の山場(?)と言えばAppleの審査ですよね。超水道も『佐倉ユウナの上京』で何度もリジェクトされてしまったそうですが、どのような問題があってどのように乗り越えたのか教えてください。
ミタ あれは実は結構シンプルな話で……いえ、やはり思い出したら色々ありました(笑)

すずめ あったね(笑) 実はちょうど佐倉ユウナの上京が完成したのが、iBooks Storeができて間もないころだったんです。佐倉ユウナの上京はかなり電子書籍に近いフォーマットだったので、(アプリ内で使用している)音楽はiTunes Store、絵と文章はiBooks Storeで出してね、という風に言われてしまいました。

──なるほど……それはどのようにリジェクトを回避されたんですか?
ミタ 電子書籍ではできないことをやりました。2つあるのですが、まず1つはアプリ内課金をいれました。電子書籍の中では課金ができないんですよ。ということで、アドオンをいくつかいれることによって「電子書籍にはできませんよ」という言い訳をしました。もう1つは、一か所だけインタラクティブな挙動をさせました。立ち絵をチュートリアルにだけいれたんです。一番最初の起動時に入っています。

すずめ メニューボタンもいれましたね。

ミタ あとはちょっとしたアニメーションも挿入しました。そういったインタラクティブな要素を入れることで「これはブックではありませんよ」とアピールをしたわけです。かといって(Appleへの再申請時に)メールを添えたわけではなくて、改良したものをそのまま通していただけました。

──最終的なリジェクト回数はどのくらいになりましたか? 超水道公式blogを拝見したのですが、見当たらなくて……。
ミタ 1回じゃなかったっけ?

すずめ いや、2回か3回あったような気がします。

ミタ (佐倉ユウナの上京)リリース当時にお受けした取材で訊かれて書いたつもりに……(笑)

──そうだったんですね(笑)リジェクト回避のアイディアを出されたのはどなたなんでしょうか?
2人 色んな方に助言をいただきました……。

ミタ すごくアクロバティックな方の中には「Appleと『iTunes Storeで音楽を出すし、同じ内容のものをiBooks Storeでも出すから、App Storeでも出させてくれ』という風に交渉しろ」と言って下さった方もいて、大変熱い意見が交わされましたね。

すずめ いましたね(笑)そこまで考えて頂けて、本当にありがたいことです。

──確かに熱いですね!
ミタ 超水道は「熱さ」で持っているので、周囲の人たちが、火に油を注ぐようにして遊びたいみたいで「どんどんやれ!」という風に焚きつけてくるんです。

すずめ 新しいことをさせたがるんですよね。

──超水道の「超」は熱い感じを表してるんですか?
ミタ 謎の勢いのようなものは感じたもらえたらいいかな、と思っています!

定型文は嫌い―文章へのこだわり―

──超水道の文章って独特のオタク臭さのようなものが無いとプレイしていて感じました。ライトノベルが好きで「Fateは文学、AIRは芸術、CLANNADは人生」というようなものを網羅しているオタク層とは明らかに違う、一般的な「非オタ」の方でも読みやすい文章だと思います。そういうのはミタさんが乙一の『GOTH』が好き、というような嗜好からきているのでしょうか?
ミタ (乙一の)プレーンさは見習いたいと昔から思っているところではありますが、それ以上に僕の場合、セリフ回しについてはお芝居にしても違和感のないように、喋った通りに読まれるように書こうと心がけています。『ghostpia』は特にかなり書き言葉より話し言葉に寄ったテキストになっていて、それが今の僕のトレンドなんです。僕のテキストは……なんて言ったらいいんだろう……

すずめ なんだろうね?(笑)

──オタク的な定型文が無いなぁ、と。
ミタ そうなんです、定型文が嫌いなんです。今、オタク用語が一般化しすぎていて、Twitterのタイムラインを眺めていると、お互いに向けてリプを飛ばしているように見えて、ただオタク的な定型文を飛ばしあっているだけで、それはまるで人口無能みたいだな、と。哲学的ゾンビというのでしょうか。僕はどちらかというとそういう「定型的」なものではなくて、キャラクターならば『眼鏡をかけているおとなしい娘』だから好きになるのではなく、この娘を好きになって欲しいと思っています。

──そうだったんですね。私は『森川空のルール』が好きなのですが、「僕」の目を通して「空」という女の子を好きになっていく過程がリアルに描かれているのが超水道の魅力だと思います。
2人 ありがとうございます。

森川空のルール・再
森川空のルール・再

ミタミツヒトと蜂八憲が生み出す物語の違い

──蜂八さんのシナリオ(『佐倉ユウナの上京』)の方が大人の物語で、ミタさんのシナリオ(『ghostpia』『ボツネタ通りのキミとボク』『森川空のルール』)の方が少女的な雰囲気がありますが、これは意図的にわけて制作されているんでしょうか?
ミタ 最初に蜂八さんが加入してお互いに話したときに、今書きたいものがちょうど段違いになっていたんです。例えば『ボツネタ通りのキミとボク』のように、僕は感情にそってガーッといくのが得意で、蜂八さんは石を積み上げていくような作品作りが得意なんです。将来的には変わるだろう、あと何作か書いたら飽きるだろうとは話しているのですが……超水道では交互にシナリオを書いているので、ちょうど良いタイミングで大人っぽい物語と子どもたちの物語がリリースできるだろう。そういうわけで今のままでいこうということになりました。

──蜂八さんの『佐倉ユウナの上京』は、大学生や浪人生の描写がリアルなので、今大学生の方ももちろん共感されるとは思うんですけど、卒業して数年経った方の方が素直に受け取れるんじゃないかな、と思いました。リアルタイムだと胸に刺さりすぎてしまうのではないかと(笑)蜂八さんの方が年上でいらっしゃるんですよね?
ミタ そうですね、それはあると思います。ただ蜂八さんは在学中から『佐倉ユウナの上京』のネタを温めていてくれまして、その上で僕たちの考えを重ねてくれました。「リアルタイムだと胸に刺さる」という風な印象を受け取って貰えるように細心の注意を払って蜂八さんは書いたので、そう「ウッ」てなっている人を見かけるたびに……ニコニコしています(笑)

──もし私がリアルタイム大学生なら読めないと思うんですよ(笑)
2人 (笑)

ミタ 受験ってテストじゃないですよね……。

──……精神力ですよね……(しみじみ)
ミタ ……というふうに『佐倉ユウナの上京』を読んで思いました(しみじみ)

佐倉ユウナの上京・上/下
佐倉ユウナの上京・上佐倉ユウナの上京・下

iOS8問題について

──せっかくiPhone6が出たのにiOS8でアプリの挙動がおかしくなってしまったのは残念でしたね。
ミタ そうですね。ただ、これは天災というか……たまたま?

すずめ たまたまですね。超水道のアプリはノベルゲーム制作エンジンを使っているので、(バグは)エンジン依存の部分が大きいんです。かなり重篤なバグについては、Artemis Engineを使っているもの、つまり『ghostpia』以前のものに発生しているのですが、そちらの方はエンジン側では既に対応済みなので、後は僕たちのような各開発者が対応してアップデートすれば修正完了です。

──それは大変ですね。
ミタ Artemis Engine側は大変迅速に対応してくださいました。ただ、ちょっとさすがに、すぐにはできなかったというだけです。

すずめ ユーザーさんからの報告にもラグがあったりして、超水道側でもすべてのバグを把握するのに時間がかかってしまいました。申し訳ありません。

──iOS8になったことでアプリの64bit対応などが義務付けられましたが……?
ミタ 今のところそういった問題にはぶつかっていませんし、エンジン側の問題なので、エンジンが対応したら僕たちも対応するでしょうし、エンジン製作者の方も先見の明がある方なのでいいようになるでしょう。なるようになるでしょうし、そこを心配していても仕方がないと考えています。

※2014年11月5日現在 以下3つのアプリは修正が完了し、iOS8でもDLして楽しめるようになっています。
・森川空のルール・再
・佐倉ユウナの上京・上
・佐倉ユウナの上京・下

「ボツネタ通りのキミとボク」も既に申請済みで、審査結果待ちとなっていますので、もうしばらくお待ちください。

(▼関連記事:アップル、2015年2月からiOSアプリを全て64ビット化へ)

次回へ続きます
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその1~超水道はこうして生まれた~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその3~ghostpia制作秘話・前編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその4~ghostpia制作秘話・後編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューおまけ~超水道こぼれ話~

超水道最新作『ghostpia』(iOS版)はコチラ
ghostpia

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ゲームキャスト「1週間ゲームメイク」

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