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大阪のベンチャーが東アジアへの展開を急ぐ理由とは?ゲーム開発会社「クローバーラボ」に聞く

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by [2014年10月30日]

 mobage、GREE、コロプラ等のプラットフォーム向けにゲームを提供し、最近ではネイティブアプリでも成功を収めつつある大阪のベンチャー企業「クローバーラボ」。この規模では珍しく海外展開にも力を入れているのだが、そこには何か理由があるはず。今回は、ちょうど、クローバーラボ代表の小山氏にお話を伺う機会を得たので、なぜ海外展開を進めるのか、海外展開することのメリット/デメリット等について語って頂いた。

クローバーラボ株式会社 代表取締役 小山力也氏

ベンチャー企業が退職金1000万円!?

―――クローバーラボの事業内容を教えてください。
 コンテンツで世の中を「もっと便利に!もっと楽しく!!」をモットーに、ソーシャルゲームやキュレーション型コマースサービスなどを開発しています。これまでに、「アルカナの騎士」、「ゆるドラシル」など3本のネイティブアプリゲームを作ってきました。アプリの開発は、基本的に全行程を内製しているため、高いクオリティを保ちながらもスピード感をもって作っています。実際に「ゆるドラシル」は企画からリリースまで約6ヶ月で開発しました。また、リリース後の運営も自社内で行っています。

―――クローバーラボで働いているのはどんな方ですか?
 弊社は、基本的に自社でコンテンツを開発していますので、コンテンツに対して工夫できる所はありとあらゆる場所にあります。こうすればもっとこのアプリが「楽しく」なるんじゃないか、こうすればユーザーはもっと「便利に」なるんじゃないかといった意見を積極的に発言してくれる方を求めています。
 またコンテンツだけではなく、どうしたら自分はもっと仕事を「楽しく」やっていけるのか、どうしたらもっと皆仕事がやりやすくなるのか等、コンテンツにしろ、仕事にしろ、現状に満足するのではなく、常により良いものを求める姿勢がある方が、弊社の環境では、より活躍、成長ができると思います。

―――職場環境はいかがですか?
 社員のモチベーションを高く保つため、また良好なチームワークを形成するためには、風通しの良さ、働きやすさが重要です。例えば、ベンチャー企業には珍しいと思うのですが定年時に1000万円を支給する退職金制度を設置したり、飲み放題の社内バーやダーツマシン、さらに仮眠室を完備しています。弊社では、終身雇用と言うと言い過ぎかもしれませんが、せっかく入った会社ですので、仲間として、できれば定年まで、長く働いてほしいと思っています。

膨らむ東アジアのスマホ市場

―――今、注力していることは何ですか?

神話の世界を舞台にした本格RPG『ゆるドラシル』。コマンド選択式オートバトルによる緊張感あるバトルを楽しめる。2014年10月には100万ダウンロードを達成

 これからは、東アジア、東南アジアへの参入を本格的に進めていきたいと考えていて、今すでに動き出しています。具体的には、「アルカナの騎士」は、台湾の大手オンラインゲームパブリッシャーに売却しました。また「ゆるドラシル」は、中国のゲームパブリッシャーに配信権を売却し、台湾のゲームパブリッシャーとは独占配信契約を締結しました。売却、契約をしたことで「ゆるドラシル」に関しては、中国、韓国、台湾、香港そしてマカオで配信される予定です。さらに、実はタイでもすでに準備を開始しています。今後も、こうした東アジア、東南アジアを中心に海外展開をしていきたいと思っています。

―――なぜ参入を台湾や中国などの東アジアに決めたんですか?
 1番は東アジアの市場規模ですね。中国・韓国・台湾のゲーム市場では、PCオンラインゲームが非常に大きくて、モバイルへのシフトに遅れが出ているんです。スマホゲームの開発体制や品質もあまり良くないんですね。
 それが、下の表を見ていただくとわかりやすいんですが、この2、3年で中国を筆頭に急激にスマホ市場が伸びてきているんです。ですが現地には、モバイルゲームのノウハウはないので、パブリッシャーはすごく焦っていました。ただ、PCオンラインゲームで得たお金はあったので、質の高い日本のゲームをそのまま配信する、ということになったんです。

文化の違いを理解することが、海外展開成功の鍵

―――海外展開の方法とメリットを教えてください。

 私たちは主に、現地パブリッシャーへの売却や独占配信契約を行なってきました。
 現地パブリッシャーへ売却する場合のメリットは、すぐにお金に変わることが挙げられます。ローカライズの手間が省けますし、現地の特性を知る必要もありません。
 現地パブリッシャーと独占配信契約する場合のメリットは、ノウハウを共有できることですね。現地での運営手法が学べるので、今後のためにもなります。また、この契約は一般的に、まず契約金をいただいて、加えて現地の売上から一定割合ロイヤリティとしていただきます。そのため、ロイヤリティ収入が期待できて、日本より売れる可能性も秘めているところがポイントですね。何より海外ユーザーの反応が楽しみですよね。
 ちなみに海外展開の方法としてはもう1つあって、自社でパブリッシングする場合があります。この方法には、収益が全て自社へ還元されるメリットがあります。ノウハウが溜まりますし各地域の特性も理解できるようになります。そうなると、海外ブランディングもできるようになります。

―――では逆にデメリット部分を教えてください。

 現地パブリッシャーへ売却する時のデメリットは、メリットの逆になるんですがお金以外残らないところですね。もちろん開発のサポートも必要になってきます。
 現地パブリッシャーと独占配信契約する時のデメリットは、収益の還元率の面に課題があることですね。売却する時よりも、開発のサポートをする必要がありますし、海外パブリッシャーとの信頼関係をどう築けるかもポイントになってきます。
 あと自社でパブリッシングをする時は、とにかくコストと社内リソースがかかることです。ローカライズもプロモーションも自社でコントロールしなくてはならないので。

―――海外展開をするに当たって注意すべきことはなんですか?

 3つほどあります。
 1つめは、文化や習慣が違うということです。例えば、中国で戦国時代を取り上げようとしても流行らないんです。中国は、とにかく三国志が人気で中でも相手を倒すのが大好きなんです。それに絵のテイストも、日本と比べてリアルでディープなんです。やはり、国によって流行のゲームジャンルやテーマが違うので、こういったことを中身まで理解することが必要かと思います。
 2つめは、ローカライズやカルチャライズです。これは、ただ言語を変えればいいというものではなく、機能面の変更なども含まれます。例えば、PvPバトル機能※は必ず盛り込んで、課金方式もお金を使ったユーザーがとにかく有利になるVIP機能が必須になってくるとかですね。これも文化の違いからくるものなんですが、今言ったような現地の文化に則した機能やルールなどを一緒に盛り込んで、時には変更することも必要になってきます。※Player versus Player。プレイヤー同士が戦うこと。
 3つめは、プロモーションです。日本のプロモーション方法は、多彩で様々な種類があると思うんですが、これも各国で大きく変わってきます。台湾で展開する際は、オンライン広告だけでなくオフラインイベントも必要になります。TVCMは、コストが安いので打ちやすいと思いますが、一方で事前予約などの仕組みはまだ普及していないので注意したほうがいいです。
 海外展開する際は、文化の違いを根本的なところから中身の部分まで理解することが大切です。

今後は台湾・中国市場への本格的参入を

―――今後の方針や展開をお聞かせください。

 まずは、台湾市場の勉強ですね。3年後には1500億程度の市場規模になると予想されているので、今後韓国と同程度の規模になると思うんです。それに繁体字圏※は、台湾だけでなく香港やマカオのマーケットも網羅できるので、先々のことも考えると勉強しないといけないなと。※繁体字とは、中国語における(簡略化を経た簡体字に対して)筆画が多い漢字の字体のこと。
 あとは、中国市場への参入を考えています。中国は特に分かりにくい部分が多く、弊社単独での進出は難しいと考えているので、中国の大手パブリッシャーとの関係性を構築していきたいと思っています。その一環で、中国企業からプロダクト単位で開発資金を調達したり、場合によっては弊社に対する資本受け入れも選択肢の一つです。すでにコネクションのある現地のパブリッシャーに対して、開発段階からプレゼンをしたりもしているんですが、もっと力を入れていきたいと思っています。
 さらに、実は3、4年後を見据えて、東南アジアでも今からタネを仕込んでおきたいと考えています。主に、インドネシア、タイ、ベトナムです。現状ではまだ東アジア圏ほど市場が成熟していないのですが、将来的には必ず大きくなる市場です。今のうちから布石をいろいろと打っておきたいですね。タイに関してはすでに「ゆるドラシル」の配信準備をパートナー企業さんと組んで開始していますので、来年春先には「ゆるドラシル」がタイにも登場します。今から現地の反応が楽しみですね。

クローバーラボのマスコット「クボちゃん」

▼参考リンク
クローバーラボ株式会社 cloverlab
ゆるドラシル【公式】
Clover Blog
東アジアのスマホゲーム市場規模は9,168億円(前年比2倍)、2014年に1兆円突破。CyberZ、日本・中国・韓国・台湾・香港の国別動向・市場規模予測を発表

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