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大学生クリエイターユニット超水道インタビューその1~超水道はこうして生まれた~

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by [2014年10月30日]

大学生創作ユニット『超水道』 左:山本すずめ氏 右:ミタヒツヒト氏

2014年10月6日にリリースされたデンシ・グラフィックノベル『ghostpia』(第一話)が今大きな反響を呼んでいます。制作者は大学生を中心としたユニット・超水道。彼らはこれまでに『佐倉ユウナの上京』『森川空のルール』など数々の良質なノベルアプリ(デンシノベル)を世に送り出してきました。ghostpiaは全10話+αの連載形式でのリリースを予定しており、これは超水道としても初の試みだそうです。今回は超水道より代表のミタミツヒトさんとイラストレーターの山本すずめさんにお越しいただき、ググっとロングなインタビューをさせていただきました。本記事から4回にわけてお送りします。

▼目次
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその1~超水道はこうして生まれた~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその2~iPhoneアプリ開発の道~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその3~ghostpia制作秘話・前編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその4~ghostpia制作秘話・後編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューおまけ~超水道こぼれ話~

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超水道は超水道にしかできないものを作りたい

───自己紹介をお願いします
ミタ 企画やシナリオを担当しているミタヒツヒトです。大学4年、22歳です。最新作『ghostpia』や『森川空のルール』『ボツネタ通りのキミとボク』を担当しています。

すずめ イラストとスクリプト担当の山本すずめです。同じく大学4年生で、ミタ君と同級生の23歳です。

ミタ すずめ君ともう1人のイラスト担当斑(ぶち)君とは中学が一緒だったんです。すずめ君は斑君に紹介がきっかけで運命の出会いを果たしました。あともう1人、『佐倉ユウナの上京』を執筆した蜂八憲というシナリオ担当がいまして、彼は一昨年卒業していて今はサラリーマンをしています。この4人が現在の超水道のメンバーです。他にお手伝いで高校生の新生すずし眉毛(しんせいすずしまゆげ)君という子がいます。

───『超水道』結成の経緯を教えていただけますか?
ミタ 2008年の11月に結成したので、もうすぐ6周年になりますね。僕は中高とずっと演劇部をやっていました。脚本を担当していて在学中に2作ほど書いた覚えがあります。でも高校2年生の冬に引退した時にやることがなくなってしまいまして、当時はものすごく演劇にハマっていて、僕にとって青春そのものだったんですね。だから、そういう風にもう一度燃えたいなと思って、「何かやりたいな」と探していたときに出会ったのが、当時既にかなりメジャーなものになってきていた同人活動で、更にその中の、今に比べていくらか勢いのあったノベルゲームの世界だったんですよ。それで別の高校に通っていた斑君と連絡をとって超水道を立ち上げることになりました。

───2008年というと「ひぐらしの鳴く頃に」がヒットして「うみねこの鳴く頃に」がリリースされるようなころでしたね。
ミタ そうでしたね。ただ僕らはあんまり最新鋭のノベルゲームにはコミットしていなくて、好きな作品は? と言われたら『沙耶の唄』(注1)とか『アトラク=ナクア』(注2)とか『WHITE ALBUM』(注3)とか……。

すずめ 僕は元々存在すら知らなかったんですが……(笑)

ミタ ああいう古き良き「らしい」ノベルゲームというか、イラストと文章と音楽が合わさって、すごく「良い」演出ができるっていうのを本当に美しく感じて、僕らもやってみたいなと。パーツがバラバラに構成されて1つになるっていうのは演劇とノベルゲームの似ている部分だと僕は考えていて、経験が生かせるんじゃないかと思いました。(昨今流行りの)いわゆる超豪華な演出は僕らの技術ではできませんし、そういうものはできるサークルや企業さんに任せたらいいのではないでしょうか。

(注1)ニトロプラスのアダルトゲーム。脚本はまどマギやFate/ZEROで有名な虚淵玄。2003年12月26日発売。グロ耐性の無い人は絶対に検索してはいけない。
(注2)アリスソフトの18禁ノベルアドベンチャーゲーム。1997年12月18日発売とかなり古い作品だが、今なお高い人気を誇る。
(注3)Leafのアダルトゲーム。浮気をテーマに扱った『重い』作品。1998年5月1日発売。WHITE ALBUM2は本作の10年後が舞台の別作品。

───山本すずめさんにイラストをお願いしよう、と決めた経緯は?
ミタ 実はすずめ君は途中参加で、2010年からだっけ?

すずめ 2010年だね。高校卒業後に、ちょうど僕が1年間浪人していた年の梅雨ごろに誘ってもらいました。

ミタ 超水道を結成した当時は僕と斑の2人ですごい小規模に活動していたんですが、2人とも大学に進学するとやりたいことも自由になる時間も増えたので「じゃあ超水道をもうちょっとガーッて頑張っちゃおう」と思ったんです。その時に斑君が絵を描くきっかけになった男がいて、それがすずめ君だったというわけなんです。というのも、同じ中学に通っていたころに「隣のクラスにめちゃくちゃ絵のうまいやつがいるぞ」と斑君が言ってきまして。「僕(斑)も彼(すずめ)のように描けるようになりたいんだ」という風に斑君からすずめ君を紹介してもらったんです。それが僕とすずめ君が知り合ったきっかけでもあるわけなんですが、すずめ君を呼び戻せば超水道はもっとすごいところにいけるに違いないと思いまして、「超水道」というものを説明して一緒にやってもらえることになりました。ちなみに斑君とは小学校1年生からのつきあいです。

───中学からの友人同士で組んでいるといえば「Fate/stay night」「月姫」のTYPE-MOONが有名ですね。アダルトゲームのお話も出ましたが、18禁要素を含んだいわゆる美少女ゲームを作ろうということはなかったんでしょうか?
ミタ エロを書くのって向き不向きがあると思うんですけど、最初に斑君がアダルト要素のあるイラストを描くのが得意じゃなかったというのがあり、僕自身も演劇出身なので……。シナリオを書くときに「ヒロイン要素」や「お色気要素」を考えることはなくて、演劇用シナリオ理論で考えていたために、エロを入れるということは考えませんでした。僕らは僕らの得意なことをやるべきで、売れ線のものやエロはよそに任せて、超水道っぽいものができたらいいなと一貫して思っています。

超水道第1作目のリメイク版『森川空のルール・再』

初コミケから壁サークルへ

───いつごろからコミックマーケットに参加されるようになったのでしょうか
ミタ 初めて申し込んだのは2010年の冬コミ(C79)で、受かりました。ありがたいことに今のところ一度も落ちたことはありません。2012年の冬コミ(C82)で初めて壁をいただけまして、2014年の夏コミ(C86)も壁でした。(編注:大手サークルは混雑に対応するため、島状に集められたスペースではなく国際展示場の壁沿いにスペースを配置される。一種の人気の指標にもなっている)

───コミケではどのようなものを頒布されているんですか?
ミタ 夏コミ(C86)ではghostpia本編リリースに先駆けてハイレゾ音源のサントラ、ポストカードやTシャツなどを頒布しました。冬コミ(C87)はまだ当落が発表されていないのでなんとも言えないのですが、ghostpia関連のグッズやCDを出したいとは思っています。これからにご期待ください。(受かっていれば)在庫のあるものはもちろん持ち込む予定です。

再販については、超水道のスタンスとしてはあまり行いたくない、という考え方です。サントラのように継続的に売れていくものは再販が必要だと思うのですが、Tシャツなどのグッズは毎回毎回のリリース時やイベントの「旬」な感じをなるべく維持していたいんです。イベントで出したグッズは、そのイベントかその次のイベントで売り切って、新しいものをどんどん出していくという風に考えています。それは在庫をうちで抱えているといずれパンクするという極めて現実的な事情にも基づいています。

───『超水道』最初期のゲームは一般的な同人ゲームと同じようにCDに焼いたものだったと伺いました
ミタ はい、僕の自宅には(CDが)あるのですが、一部作品は今はもう手に入らないと思います。アプリ第1作目『森川空のルール』の前の作品はすでにiPhone用のエンジンで作っていて、その後移植予定だったんですが、リメイクしたいということでリリースせずに今にいたります。是非今後にご期待ください!

チャオ・スイタオから通販がきた!?

───再販とリメイクについてのお話が出たので、通販についても教えていただけますか?
ミタ 超水道のWebサイトから申し込める通販とPixivのBOOTH販売の2通りをご用意しています。どちらも超水道メンバー手作業の自家通販です。同人でノベルゲームを作っている人たちってやっぱり同人ショップに委託することが多いと思うんですけど、それは超水道としてはあまり効果的な手立てとは思っていないんです。

サウンドトラックの他に、『ボツネタ通りのキミとボク』などに楽曲を提供してくれているinaryさん(はやくP)のインストゥルメンタル・アルバムも取り扱っています。

───私書箱を利用していらっしゃるのはどうしてですか?
ミタ 純粋にあったほうが便利というのがまず大きな理由です。あとは、超水道に対する窓口がメールアドレス以外にもう1つあった方が、社会的にというか……『超水道』というものがちょっとは信用してもらえるかなと思ってとりました。「私書箱を取る気はあるんだ、コイツら」みたいな感じに思ってもらえるといいですね。こうやって質問いただけることも理由の1つですし、名刺代わりです。

すずめ 管理は大変なんですけど、一度始めてしまったことなので。

ミタ 私書箱のせいでかかっているお金とか時間を考えると無いほうがマシなんですけど、これはなんだか(社会人でいう)背広のようなものだと思っています。あ、バレンタインに、チョコレートが届いたことがあります! 

───それは、あの、変な言い方になるんですけど、例えば『テニスの王子様』の「跡部様へ♡」というようなキャラクター宛てなのでしょうか。それとも……?

ミタ 超水道の皆さん宛て、だと思います…。

───モテモテですね!(笑)
2人 いやいやいやいや(照れ笑い)

───ちなみに『超水道』の発音は超新星と同じ(ちょう→すい→どう↓)であってますか?
2人 正しいです(笑) 超!兄貴、とかではない(笑)

すずめ 以前通販で超水道から荷物を受け取った人から面白い話を聞きまして。その方のお母様が荷物を受け取って「中国の方から荷物が届いてるよ」と(笑)

ミタ 「チャオ・スイタオさんからよー」(裏声)みたいな。「あなた中国人のお友達がいたの?」みたいな(笑)

大学生活とアプリ制作の両立

───アプリを作っている学生の方への参考になればと思ったのですが、大学生活との両立や、就職活動はどのような感じで行っていらっしゃいますか?
すずめ 単位はギリギリなんとか……。

ミタ 就活がヤバいので、むしろなにか紹介してください、と(笑)

すずめ このままいくと、イラストレーターというか作家としてフリーでやっていくことになりそうです。

ミタ 僕もだよ。フリーのライター。

すずめ ……という道しか残ってこなくなってきたといいますか(笑)

ミタ 逆に考えて、ghostpiaで利益が出れば、これからにも少しは希望が持てるかなと考えています。ghostpiaはこれまでとは違うやり方をしているので、もしかしたらヒットするかもしれない。という淡い期待もありますね。

───山本さんは美大に通っていらっしゃるそうですが、課題との両立は大変ではありませんか?
すずめ えっと、なんとかしてます。なんとか。睡眠時間を削るとか、学校に行かないとか(笑)僕は日本画を専攻しているんですが、日本画の課題で(超水道の)イラストを課題として提出できるわけではありませんし、僕が所属しているクラスでは、そもそもアトリエの外で課題を描いてはいけないというルールがあるんです。

ミタ 課題の数自体はそんなに多くないけど、大粒のがドンドンドンドン! と楔のように来ているのを見かけます。

すずめ 月1くらいのペースで大きい絵を1枚描く、みたいな感じです。実際に家でやってこなくてはならない課題っていうのはほとんどないんですよね。なので大学に行く日は大学の課題、家にいるときは超水道のイラストっていう感じです。ちなみに今は卒業制作で2メートル×2メートルくらいの、とても大きな絵を描いています。

ミタ 森川空のルールに出てくる絵の考証はすずめ君にやってもらいました。

───ミタさんは1日にどの程度シナリオを書かれるんですか?
ミタ 超水道以外では文章を書かないのですが、追い込みの時期はなんとか頑張って、1日20,000文字くらい……40Kbくらいですね。

次回へ続きます
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその2~iPhoneアプリ開発の道~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその3~ghostpia制作秘話・前編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューその4~ghostpia制作秘話・後編~
大学生クリエイターユニット超水道インタビューおまけ~超水道こぼれ話~

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