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世界最先端 IT 国家創造宣言から約一年。日本に必要な取り組みとは?【CEATEC】

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by [2014年10月27日]

政府 CIO ・ 遠藤 紘一氏

2013年6月14日、アベノミクス第三の矢である「成長戦略」の柱の一つとして、『世界最先端 IT 国家創造宣言』が閣議決定された(翌年の2014年6月24日に改定された) 。
このビジョンを策定し実行しているのは、IT を活用した社会の形成を目指して内閣に設置された「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT 総合戦略本部)」という組織だ。
本記事では、この IT 総合戦略本部において、中核を担う内閣情報通信政策監(政府 CIO)を務める遠藤 紘一氏による講演『世界最先端 IT 国家創造宣言について』のダイジェストをお送りする。

IT 国家創造を推進する IT 戦略本部の中核を担う政府 CIO
 

なお、この講演は10月7日から11日まで幕張メッセで開催された、アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展 CEATEC JAPAN 2014(シーテック ジャパン) の4日目に行われたものである。
この講演では、昨年『世界最先端 IT 国家創造宣言』で策定した計画が、現状どこまで実現に近づいているのか、また、今後どのように計画を進めていくのかが語られた。

今までの IT 戦略には実行力が伴っていなかった

IT 政策といえば『世界最先端 IT 国家創造宣言(以下、創造宣言)』が初めてではないのですが、今までの政策は理想的な言葉を並べただけのものが多く、ほとんどは実現されないままになっていました。
そこで、昨年策定した『創造宣言』では、日本の成長戦略の柱とするために、まず何よりも実現を重視しました。
その上で、我々は目指すべき目標 ・ 社会の形として以下の3つを定めました。ここからは、これら3つの目標をどのように実現するか、詳細に見ていこうと思います。

革新的な新産業を生み出す起爆剤としてのビッグデータ

まず、新産業を生み出すための社会作りについてですが、近年ではパソコンの計算量の向上により、ビッグデータの重要性が高まっています。そこで、国のデータのオープン化を目指しているのですが、現在は各省庁が各々で公開していたデータを一元化してオープン化するところまでが完了しています。産業にとってより有意義なデータは、むしろ地方自治体の方が持っているだろうと思われるので、そこのオープン化も進めていきたいと思っています。
また、ビッグデータと関連して、パーソナルデータの使用に関する法の整備も必要です。現在の個人情報保護法は現状に対応できていないので、住所や名前、性別などの個人を特定できる情報を含まないパーソナルデータを使用できるように改正したいと思っています。改正案は、2015年の1月から始まる通常国会には間に合わせたいです。

農業の立て直しは急務

また、既存産業の成長でいえば、特に農業にかなり力を入れたいと思っています。というのも、今の日本の農業従事者の平均年齢は68歳で、しかもほとんどの農家で後継者がいないことが問題になっています。更に、相続人が不明なため、持ち主が分からず放ったらかしにされている農地も増えています。このままだと、いずれ日本の農業はなくなってしまうでしょう。そこで、IT を導入して日本の農業の国際競争力を高めると共に、若手の農業従事者を増やすことを目指しています。
実現できそうなことから順に、例えば篤農家のノウハウをデータベース化するだとか、農地のデータベースを作るとか、また、経験豊富な人でなければ見分けられない作物の状態を、新参者でも見分けられるようにセンサを開発するとか、そういう部分から考え始めることが重要だと思います。
これらの試みは、結果的に経験の無さを科学の力で補うことになるので、新規参入の障壁を下げることにも繋がります。最終的には、ここで構築した IT 農業システムを、人口増加により農業への需要が高まっている新興国に売ることが目標です。

世界で一番安全で災害に強い、健康長寿社会

日本は世界で一番の長寿国だと言われていますが、実は最後の15年はほとんどの人が不健康な状態で人生を終えます。せめて、自分のことは自分でできるくらいの健康を保ったまま人生を全うできる長寿社会の実現のためには、医療の進歩が必要です。医療への IT 活用として最も想像が簡単なのはやはりビッグデータの活用でしょう。このためにも個人情報保護法の改正案を詰めていきたいです。
また、長寿社会と関連して、災害に強い社会というのも目標の一つです。災害については、最近は数時間前に「なんか今日は様子がおかしい」というのが SNS で流れることが多いので、なんとか SNS を活用して信頼できる災害予知情報を配信することができないか、と現在検討中です
さらに、道路や車に IT 技術を活用して交通事故を減らせないか、ということも検討しています。最近では特に、信号や標識を無視して歩くお年寄りと車との事故が多いので、GPS 衛星を使って、例えば信号を無視しているような歩行者の存在を付近の自動車に知らせる、というデモを作っています。これは東京オリンピックまでに一部の道路で実現して、海外の人に実際に体験してもらって技術を輸出できるようにしたいと考えています

政府や自治体の行政システムを統一するだけで30億円の節約に

公共サービスが誰でもどこでもワンストップで使えるようにするためには、いわゆる「電子政府」を整備する必要があります。これは今まさに進めている最中です。似たようなデータを、省庁や地方自治体ごとに何故か違うフォーマットで、紙ベースでやりとりしていて、これが電子化の際の大きな障壁となっています。現在は、10年以上かけてようやく文字情報の標準化がほぼ済んできたので、これからは一気に行政の電子化が進むと思います。
また、既に導入されている IT についても、各自治体が似たような業務のために各々システムを構成しているので、整備や運営に無駄なコストがかかっています。システムが統一されれば、どこのシステムが壊れても同じノウハウを用いて修理や整備ができるのでコストを削減することができます。現在、国の情報システムは大体1,500個くらいあるのですが、これをシステムの統合によって多くとも半数の750個にまで削減できる目処が立っています。これにより、運用コストは30億円ほど減らせる見込みです。
また、日本国民にマイナンバーを導入することも考えています。これは、社会福祉や税金の管理に使おうという考えがあるのですが、その他にも、銀行口座の管理にも利用できると思います。

▼参考リンク
政府 CIO ポータル
CEATEC JAPAN 2014

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