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DMAICプロセスって何?gloopsがソーシャルゲーム運営に活かす部署間連携術

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by [2014年10月16日]

 スマートフォン向けソーシャルゲームでおなじみのgloopsは、大規模なタイトルをどのように運営しているのだろうか? 今回、gloopsが主催したデータ分析担当者向けセミナー「gloops流データアナリストの部署間連携術」にて取材の機会を頂いた。なんとgloopsにはデータ分析だけを行なう専門部署“データマイニング部”(以下DM部)が存在するそうだ。このセミナーでは、DM部の勝俣氏が実際に社内で行なっていることについて、同社のモバイルゲーム『スカイロック』の大規模PRを事例にわかりやすく解説してくれた。

勝俣真也氏 株式会社gloops ソーシャルゲーム事業本部 データマイニング部

 データを出したけど伝え方がわからない、分析結果を聞き入れてもらえない、他部署の方とどのように関わったら良いかわからない。
 これらはデータ分析者の方には、よくある経験ではないでしょうか? そんな分析者の方のために部署間連携をうまく図るための手法をご紹介します。

分析の前にやるべきこと

 我々は分析の前に、「分析対象に対する理解」をしっかりするようにしています。我々の分析対象はゲームなので、まずは「パラメータ相関図」というものを書き起こします。これはゲーム中の機能間のつながりを図示したものですが、実際にゲームをプレイしながら書いています。これを書くことによるメリットは3つです。


 1つ目はゲームに対してしっかりと理解ができることです。見たいのはデータではなく、データの先にあるお客様の動きです。ですので、まず我々がプレーヤーとしてお客様の気持ちになって考えるため、実際に自分でプレイしてみるのです。
 2つ目は相手の土俵に近づけることです。ゲームに関して議論する場合、相手はゲームのプロである場合が多いですよね。そのプロに向かって、ゲームをプレイしたことがない人間が「ちょっとここのKPIが悪いから直してくれ」といっても、説得力がありません。
 3つ目は共通認識を自分の中に普及していくことです。例えば、ソーシャルゲームのゲーム内通貨です。ゲーム内通貨はコンテンツによって呼び方は様々です。スカイロックの場合ですと、ゼニーという言い方をします。制作サイドも議論をするとき、ゼニーという言葉を使います。そういう状況の中で、我々だけがゲーム内通貨という言い方をしていたら、ちょっと距離を感じてしまいますよね。
 以上の3つを行うことによって、コミュニケーションが取りやすくなります。

DMAICプロセスとは?

  我々は分析の際に用いるのは、DMAIC(ディマイク)プロセスという考え方です。DMAICプロセスとは「問題を定義する」「定義した問題に対して必要なデータを計測する」「計測したデータを分析する」「分析だけで終わらずにそこから改善を行なう」「改善を行なった後にその効果が出ているか監視していく」「監視して再び問題点が出たら、問題定義に戻る」というサイクルのことです。

 この中でもっとも大事なところは改善です。そして、この改善を行なうまでにベースとなるのが問題定義です。
 では、このDMAICプロセスを踏まえて、実際にスカイロックの大規模PR(テレビCMなどの実施)を3つのフェーズにわけて説明します。

Phase 1 CM実施前

 CM実施前におけるDM部に課せられたのは「リクープ(回収)期間を算出せよ」というものです。ここでDMAICプロセスを活用します。問題定義は「リクープ期間の最小化」「費用対効果の最大化」ですので、どちらにせよ決済予測が必要です。通常、決済予測を算出する式に過去に計測した数値を当てはめるだけですが、今回はCM期間というかなり特殊な状況です。よって普段のインストール推移だけでは、CM期間中のインストールは予測できません(他の値である継続率、課金率などは過去の実績値から推測できるため、焦点はインストール数になる)。こんなとき、部署間連携のコミュニケーションが重要になるのですが我々は「ジョハリの窓」を応用しています。

 CM期間中のインストール数がわからないときに「そういえば(スカイロックのプラットフォーム側の)DeNAさんはよくCMを実施している」ことに気づきました。何とかして直接聞きたいのですが、私は先方との繋がりを持っていません。ただ、弊社のマーケティング本部の担当は、よくDeNAさんとミーティングをしています。そこでマーケティング担当に聞いてみると、すでにDeNAさんとすり合わせを行なっていて、予測インストール数のデータを持っていたのです。そこから情報を開示してもらうことで、日々の決済予測を出すことができました。ここで大事なのは(ジョハリの窓における)「気づかない窓」にあたる情報の取り扱い方です。
 1つは、まず自分が知らないことが何なのか(ここでは予測インストール数)を知るということです。もう1つは相手と共通の目標を設定することです。今回の場合、私は問題定義の段階で決算予測を出すことを明確に決めており、これはマーケティングの人とも共有していました。決済を出すことが共通目標になっていたために、データを開示してもらい、その結果、決算予測を算出することができました。
 今回の事例をDMAICプロセスに当てはめるとこうなります。

Phase 2:CM実施期間中

 CM実施中に課せられたのは「大規模PRを成功に導け」です。今回の問題定義で気をつけなければならないのは、「成功」という概念が曖昧で、人によって様々な解釈ができてしまうところです。問題定義がフワッとしたままだと、お互いの認識にズレが生じてしまい連携が取れません。そのため問題定義は、より具体的な「お客様により長く遊んで頂くにはどうしたらいいか?」としました。つまり我々がしなければならないのは、継続に強く影響している要因のあぶり出しを行ない、企画にフィードバックすることです。


 パラメータの一部は隠していますが、左側のレーダーチャートを見ると、戦闘力が高い人は継続率も高いことがわかります。この結果をわかりやすくしたのが右のグラフです。
 ここでもジョハリの窓を応用します。我々は知っているけど企画は知らない情報、つまり「隠された窓」にあたる情報です。企画の仕事は“施策を考える”ことで、データを見ることが目的ではありません。企画はピンポイントでわかりやすいデータを求めています。なので、自分の分析結果を相手に共有するときは相手の興味・関心を知り、結論を簡潔にすることを心がけます。それらを意識したアウトプットがこちらです。


 ここでわかるのは戦闘力が6,000以上になると、継続率も上がっていることです。このアウトプットをもとに、お客様の戦闘力を6,000以上にして、ゲームを継続してもらおうという施策が生まれたわけです。DMAICプロセスで振り返ると、このようになります。

Phase 3:効果測定

 最後はCM実施後の効果測定です。結果的に予測を大きく上回りました。
 おろそかになってしまいがちなのですが、この効果測定は次の問題定義につながりますので忘れてはいけません。そして、この部分がDMAICプロセスのC=コントロール-監視なんです。
 ここで大事なのは伝えたいことを明確にしたデータを共有することです。皆さんの中には細かいデータを出した方がいいんじゃないかという方もいらっしゃるかもしれません。ただ、ここでは予測に対してどうだったのかということを伝えたいのです。細かい数字を出して見にくいと思われてしまってはいけません。

部署間連携のコツは3つの“D”

 最後のまとめとなりますが、部署間連携のコツは3つの“D”です。すなわち、データ、自分、相手の3つを意識して、しっかり問題を定義するようにすることです。これにより、データ分析者はプロジェクトの改善により貢献することができるでしょう。

▼関連リンク
株式会社gloops
スカイロック – モバゲー
スカイロック(SKYLOCK) <公式>|株式会社gloops

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