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たった4坪で月商500万円!スマホ修理のプロ『スマホステーション』社長インタビュー

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by [2014年10月03日]

電波法改正で『街の修理屋さん』が合法に

今年の2月、電波法改正案が閣議決定され、『登録修理業者制度』が新設されることになった。
スマホが壊れた場合、まず浮かぶのが端末メーカーへの持ち込みだろう。しかしメーカーで修理すると、個人情報保護のため端末内のデータは全て消されてしまうことが多い。
現行の電波法の下では、端末メーカーやその委託先以外の修理業者、いわゆる『街の修理屋さん』にスマホの修理を頼んだ場合は、データの保持は可能になるものの、端末の技適が維持されなかった。
これが電波法の改正により、適正な修理業者として総務大臣に登録された業者であれば、修理後も端末の技適が維持されることになったのだ。つまり、『街の修理屋さん』に修理してもらったスマホ端末を使用することが、法的にグレーでは無くなるということだ。

そこでAPPREVIEW編集部は、たった4坪のスペースで月500万円の売上だという『街の修理屋さん』、スマホステーション吉祥寺店に足を運んだ。スマホステーションの経営者であり、吉祥寺店の店長でもある猿谷吉行氏にお話を伺うことができた。

スマホ修理ビジネスで重要なのは顧客の満足度


───たった4坪のスペースで月に500万円の売上をあげる、ってかなりすごいことだと思うのですが、この売上を達成できた秘訣があれば教えていただきたいです。

基本的なことをしっかりやるということに尽きると思います。基本とは一言で言えば、お客さんに「来て良かった。」と思ってもらえるような、リピーターになってくれるような工夫をすることです。
リピーターであったり、紹介や口コミを聞いて来てくれたお客さんは、価格ではなくサービスに価値を感じて来てくれます。スマホステーションは他の修理屋さんよりもおそらく少し価格が高いと思うのですが、その分だけ、修理後に何か問題が起きたらちゃんと対応するとか、半年間は再修理を補償するとか、そういう部分をしっかりしてお客さんの満足度を高めているのが売上につながっていると思います。
逆に、価格競争の末に「安いけどサービスは悪い」お店になってしまったところのほとんどは衰退しています。結局、修理の腕だけが良くてもダメで、お客さんを大切にすること、リピーターになってもらうことを第一に考えるべきなのだと思います。
もちろん売上は上げていきたいですが、それは結果として達成することで目的じゃない。目的はあくまでも来店してくれたお客さんの問題を解決して喜んでもらうこと。ということを現場でも良く言っています。

───接客の部分で気をつけていることはありますか?

例えば、「こんな修理がおすすめですよ。」というような修理の押し売りをしない、というのがあります。「液晶がヒビ割れてしまいました」というような相談が来たとしても、それで修理が必要かどうかはお客さん自身が判断すべきことです。私たちはあくまでも、「ヒビ割れていても普通に使う分には問題ありません。ただ、そこから水滴が入って基板がダメになったりするリスクがあります」というような、修理のプロとしての見解を述べることにとどめます。
こうして最終的に修理するかどうかをお客さん自身に判断してもらったほうが、満足度が高くリピーターになってくれやすい、というのがあります。

───ちょっと話が逸れてしまうのですが、そもそも修理屋さんのリピーターって、何度もスマホを壊してしまう人がいるってことですか?

月に3~4回画面を割って修理に来るお客さんはいますが、8割のお客さんは新規のお客さんです。ただ、リピーターになってもらえるような対応をしていれば、それが良い口コミを生みますし、そのお客さんの家族のスマホが故障した時にスマホステーションを紹介してくれたりして、良いお客さんを呼んできてくれます。
新規の方は、どうやらweb検索でスマホステーションを見つけてくれた方が多いようなので、webページをしっかり作ることはやはり大事なのかな、という気がしています。

───吉祥寺店の立地を考えると、人通りが多くて新規の獲得が簡単、というようには見えないのですが、ここに店舗を構えた理由はなんですか?

本当にたまたまですね。縁があった、という感じです。ただ、人通りの多い駅中にあった池袋店よりも、吉祥寺店の方が売上が多いということもありますし、結局はお客さんの問題をきちんと解決してあげる、ケアしてあげる、ということが集客にとっても重要なんだろうなと思っています。

iOSのアップデートはトラブルが起きやすい?

───今まで修理してきた中で、印象的な故障はなんですか?

XPERIA本体の上部3割くらいしか残っていない破片みたいなものを普通郵便で送ってきて、「なんとかなりますか?」という問い合わせがあったこともありました。他には、恋人と喧嘩して本体を叩き折ったとか、車に轢かれたという問い合わせもありました。

───どんな故障での修理の依頼が多いですか。

スマホを落として画面を割ってしまった、などの原因で画面の操作ができない、という故障が一番多いです。7, 8割のお客様はこの理由でうちに来ますね。最近はiPhoneがリカバリーモードになってしまった、電話口で対応してくれ、対処法を教えてくれ、という問い合わせがほんとに多いです。

珍しい故障で旬なものとしては、iPhoneのリカバリーモードで出てくるappleマークが赤い(通常は青色)、という事例です。これは調べてみても、なかなか事例がでてきませんが、どうやら、iOS8でリカバリーモードになると、赤くなっているようです。他にもiPhoneの画面全部が青くなったり、赤くなったりする、ブルースクリーンエラーという、iOSの不具合もあります。これになると、修復ができないので、どうやったらお客様の力になれるのか思案しています。

───電話口で対応してくれという問い合わせは、店頭には行かないが無料で教えて欲しい、ということですか?

そうですね。うちはスマートフォンの修理が商売ですが、それと同時にお客様が自分自身で解決できる問題についてはなるべく自分自身で解決できた方が良いな、そういう環境を整える必要があるな、という風に感じています。お客様の立場からすれば、わざわざ店頭に足を運んだりお金をかけたりせずに問題を解決できる方がいいのは当然ですから。
なので、自社のブログによくあるトラブルと対処法・解決策を載せています。ここの情報を見ながら、自分自身でなるべく解決してもらうようにして、それでもどうしても対処できない場合にはうちに足を運んでもらう、というのが理想だと思っています。

───iPhoneのリカバリーモードに関する問い合わせが多いのはiOS8リリースの影響でしょうか?

そうだと思います。WindowsやAndroidと違って、iOSのアップデートは通信しながら行うので、アップデート中に通信が途切れるとデータが破損するなどといったトラブルが発生しやすいです。あと、メーカーやキャリアでは、リカバリーモードになると初期化するしかご案内がないので困っているお客様が多いみたいですね。

───iPhone6など、新機種への対応はどのようにしているのですか?

新機種が出たらそれを購入して、分解してスマホステーション各店舗で利用するマニュアルの作成をしています。他のお店だとすごく迅速に分解レビューを掲載するところもあるのですが、うちの場合は割とのんびりしていて、新機種が出てから一ヶ月くらいじっくり検証してからマニュアルを作成します。

───一番多いときで、一日の売上はどれくらいですか?

一日の売上の最高記録は35万円です。その日はもう本当に大変で、半分泣きながら仕事をしていたのを覚えています。お客さんの人数も、多い日は35人くらいですね。少ない日だと4人くらいです。

───やはり土日のお客さんが多いのですか?

実はそうでもなくて、その日にならないとどれくらいお客さんが来るか分かりません。土日にたくさん人が来るだろう、と思ってスタッフを多めにして待ち構えてたら全然来なくて、それなのにスタッフが少なめな月曜にドッと人が来る、なんて週もありました。
割と最近まで修理は自分ひとりで全てやっていたのですが、それでは手が回らなくなってきたので今では修理ができる人材も増やしました。

───修理が難しい機種などはありますか?

機種ごとに全く違うつくりだったり、構造が複雑な機種も存在する分、iPhoneよりもAndroidの方が修理は難しいと思います。
例えば、バッテリーが内臓されている機種などは、修理するのにかなりの手間がかかりますし、予期せぬ不具合も多いです。ただ、「故障してしまったスマホのデータを消さずに修理したい」という要望を持っている人も多いので、そうした場合はかなりの手間をかけてでも、データを保持した状態で修理ができるように試みます。

店舗経営で一番難しいのは人材管理

───新しくスタッフになった人が現場で戦力になるにはどれくらいかかりますか?

それは完全に個々人の資質によるのでなんとも言えませんが、早い人なら1, 2週間で一人前になります。
ただ、研修は一人ひとりの個性を見て進めていきます。失敗を気にせずどんどんチャレンジしていくようなタイプの人には、早い段階から色々と任せてみたり、責任感が強くて失敗しないように慎重に取り組むタイプの人には研修期間を長めにとり、簡単な修理を経験して色々なことが確実にできるようになってからレベルの高い修理を任せたりしています。

───お店を運営していく上で、一番難しいのはどこですか?

なんといっても人材管理が一番難しいところだと思います。割と最近まで一人で全部やっていたのを、手が回らなくなってきたのでスタッフを増やしましたが、人が増えたら増えたで色々大変でした。
この吉祥寺店も、管理という意味では今のままでは全然ダメです。なぜかというと、経営者である自分自身が中心となって働くことで売上を作ってしまっているからです。ほんとうは自分がいなくても業務が回るように、売上が出せるようにするシステムを作らなきゃいけないのにそれができていない。
ただ、こういう話は売上が上がってきたから言える話なので、最近ようやくそういうことを考えることができるようになった、という感じですね。最近は電話応対マニュアルなんかも作りました。

───今後はどのように展開していくのか、教えていただきたいです。

自分は起業する前に高い売り上げ目標を達成したいと掲げていましたので、その観点からマーケットが大きく売り上げ規模の大きな会社が多い携帯業界に興味を持っていました。ちょうどスマホが登場して携帯業界に大きな変化が起こると感じ、スマホ分野の中でも新規参入した事業者しかいないスマホ修理市場なら自分でもトップを取れる可能性があるだろうと思ってスマホ修理ビジネスを始めました。
しかし、実際にやってみると思っていた以上に難しいしまったく儲からず、すごく大変でした。最初の店舗は、一日100万人は通る池袋の駅構内に店舗を構えたのに、初月の売上が10万円行かなかったです(笑)。翌月には大手町駅の改札の正面に店舗を構えたのですが、それでも、初月は20万円行くかどうかの売上でした。正直、何度も修理事業はダメだから止めようと思いましたよ。それが最近ようやく軌道に乗り始めて売上も出てきたので、先ほど出た人材管理の話など、これから取り組みたいことはすごく多いです。

───最後に、電波法の改正で「登録修理業者制度」が新設されることについてどうお考えですか?

今まではスマホが壊れた時、端末メーカーに修理してもらうことしか思い浮かばなかった人にも、第三者の『街の修理屋さん』が選択肢に上がるようになると思うのでそれはすごく大きいことだと思います。
また、スマホ修理業界の中で、適正な修理業者としての登録を目指して修理の水準を上げよう、という動きが出てくるのはすごく良いことです。こうしてスマホ修理ビジネス全体が良くなっていけば、結果的に自分たちもやりやすくなると思うので大歓迎です。

───お忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございました。

スマホステーション株式会社
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-16 コピス吉祥寺 B1F
TEL:0422-27-2567 / FAX:020-4623-0190
http://sma-sta.com/

モバイル端末と回線をセットで契約する文化の中では、困ったことが起こると「とりあえずキャリアショップ」という利用者が多かった。しかし端末を通販で買い、通信回線はMVNOにする選択を行うと、問題解決をある程度自力で行う必要性が出てくる。『登録修理業者制度』の施行により、こうした需要に応える業者が増えることが予想される。合鍵を作るように、靴のリペアをするように、スマホの修理屋さんを探して持ち込むのが多数派になる日が来るのかもしれない。

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