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ゲームアプリで聞くあの音はこうしてできている!フリー音楽素材「魔王魂」の制作現場に潜入

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by [2014年9月12日]

 みなさんが日々遊んでいるゲームアプリの魅力は何だろうか? ゲームアプリを開発している側にお話を聞くと、シナリオ、ゲームシステム、グラフィックなどに力を入れているケースが多いようだ。だが、無くてはならないものが抜けている。そう、音楽だ。スマホアプリに限った話ではないが、ゲームの開発予算のうち、音楽の分は最後に割り振られるケースが多いと聞く。そんなゲーム向けの音楽制作を支え、個人のゲームアプリ開発者を中心に絶大な人気を得ているサイトが、フリー音楽素材「魔王魂」だ。
 今回、魔王魂の管理人であるKOUICHI氏(以下敬称略)にコンタクトを取ることができたので、魔王魂の音楽素材がゲームアプリのBGMや効果音に使われている理由や、音楽素材の制作環境についてお話を伺ってきた。

前編はこちら
なぜみんな「魔王魂」を使うのか?ゲームアプリ開発者が求めるフリー音楽素材に迫る

KOUICHI フリー音楽素材サイト「魔王魂」のメイン管理人にして、サウンド制作会社「株式会社ジョーカーサウンズ」代表取締役。都内でプロ作曲家として活動中。極度の面倒くさがりやな上、記憶力が人の半分も無い(ファンの方のほうが自分の曲に詳しかったりするくらい)。かなり熱しやすく冷めやすい、超絶気分屋。酒と猫とお笑いが好き。

魔王魂の音ってどうやって作っているの?

音楽制作環境についてお聞かせ頂けますか?

KOUICHI DAWソフトはSteinbergの『Cubase』を使っています。音楽ツクールのあとはヤマハ製の『XGworks』『SOL2』というソフトを使ってきました。特に思い入れがあるわけではないのですが(笑)、私の機材、結構ヤマハ製のものが多いですよ。
 昔はハードウェア音源の『MU2000』を使っていましたし、オーディオインターフェースやMIDIコントローラーもヤマハのものです。製品の良い悪いは抜きにして、DAWとの相性を考えたときに、やはり同じ会社が作った物が良いだろうと思ったんです。実際に使ってみてヤマハに不満もありませんでした。さらに、次買おうと思っているギターもヤマハ製だったりします。

Cubaseのプロジェクトファイルを開いたところ

右上に見えているのがDTMブームを支えた名器『MU2000』

最初にXGworksを選んだ理由は何でしょう?

KOUICHI 特にありません(笑)。明確に理由を答えられないのですが、しいて言えば「ヤマハだったから」ではないでしょうか。

DAWの自分なりの使い方はありますか?

KOUICHI プログラムのコアのファイルを覗くと、DLLファイルがあるのですが、その中にあるミキサーの画像をオリジナルデザインにしたりしています。SOL2を長く使っていたのですが、最後の頃は、機能的には時代遅れになってしまったので、デザインだけでもと、かなりスタイリッシュなインターフェースにしていましたよ。それこそCubaseと見間違うような。
 音楽制作とは関係ありませんが、ホームページのバナーを作るソフトだけでホームページを作っていたこともあります。

クリエイティブな作業をする際に、ユーザーインターフェースでやる気が変わるものですか?

KOUICHI はい。見た目とか制作環境の美しさは、徹底しています。
 Cubaseもバージョンアップすることに、トラックやアイコンの色を自作して変えたり、一番おしゃれな色になるようにWebデザインのカラーコードの本を見ながら1個ずつ決めていく、というように、とにかく綺麗にしています。私はMacを使っているんですけど、アプリケーションのアイコンも壁紙も全部自作です。

パソコンはMacひと筋ですか?

KOUICHI いいえ、5年くらい前まではWindowsを使っていました。Windowsは、DTMソフトが豊富にあるのですが、OS自体に不要な機能が多かったりするので、自分にはシンプルでスタイリッシュなMacの方が合っていると思います。

(お部屋を見渡して)そういう雰囲気が伝わってきます。

KOUICHI ありがとうございます。不要な物が好きではないんです。物も服もよく捨てます。そのせいで年々服が減ってきて、変な服しか残っていないんですけど(笑)。

使われる音源も少数精鋭ですか?

KOUICHI 私はDAWに付属している音源で十分です。どの曲も編曲したら同じですからね。他の音楽家に聞いてみると「ピアノ音源は10万円」という感じで音源にこだわっている人が多い印象です。
 でも、最近は会社としてお仕事を頂くようになったので、どんなジャンルにも対応できるよう一通りの音源は揃えています。「民族楽器のこの音にしてほしい」と依頼された時に「持っていません。今から買います」では話になりませんからね。

音源はソフトサンプラーのオリジナルライブラリ

特に使用頻度が高い音源はありますか?

KOUICHI 私のカスタマイズ欲が強いせいもあって音源は自分で作ってしまいます。

それはソフトシンセのつまみをいじってということですか?

膨大なライブラリの一部を聞かせて頂いた

KOUICHI いいえ。ギターで弾いた一番低い音から一番高い音までを全部録音して、それをCubase付属のサンプラー『HALion』に取り込んで編集しています。HALionは、自作のサンプリング音源を登録できるので、それらをライブラリ化して使っています。ドラムもベースもギターも揃えてあるんですよ。
 ファミコンとゲームボーイの音も用意してあります。実機の音を出して、ドから順番に収録していきました。スーパーファミコンもやりたかったのですが、技術的によくわからなくて断念しました。
 あとはあまり使ったことはないのですが、私の手拍子も録ってあります。これが、鳴る度にきちんと4層くらいのレイヤーがあって、ランダムで鳴るので本当に手拍子しているみたいなんですよ。普通にマイクで録った方が早いですけど(笑)。

印象に残っている作曲依頼はありますか?

KOUICHI ジョーカーサウンズでの作曲依頼の話になりますが、いくつかあります。
 スマホアプリでファンタジー系ゲーム音楽の案件がありまして、民族系の音を使った楽曲を納品したところ、大変気に入って頂けたんです。ところが「民族系の音をオーボエに変えてもらえませんか?」というリテイクがありまして「わかりました」と(笑)。
 あと、女子校の新体操部の音楽を作らせて頂いたことがあります。演技の際にかかるBGMです。ただ、優勝の常連校にも関わらず、納品した音楽での試合結果が良くなかったのは残念でしたが…。曲自体はとても気に入って頂けて、2回目の依頼も頂いたのですが、とにかく修正依頼が多くて最後はお互いの心が折れてしまいました。楽曲についての打ち合わせは、女子校にお邪魔して女子高生に囲まれて、というなかなかできない経験をさせて頂きました。

作曲依頼をする際に気をつけると良いことはありますか?

KOUICHI 音楽には起承転結があるということです。通常は、例えばAメロ、Bメロがあって、その次にサビ…という流れがあるものですが、「ここもサビに、あそこもサビにしてくれ」で結局全部サビになってしまう、なんてこともありました。これは作曲や楽器演奏の経験が無い方に多いようです。
 そういう意味では法人のご担当者は曲の発注に慣れている方も多く「50秒から55秒付近の所ちょっと抑えて」というように、指示が具体的で分かりやすいです。

音楽制作の初心者に勧められるツールはありますか?

テキストエディタで作曲できるフリーソフト『サクラ』

KOUICHI 今は音楽制作のハードルがどんどん低くなっています。最初からCubaseを使って問題ないと思います。価格を抑えたエントリーグレード『Cubase Elements』から始めて、アップグレードするという方法もあります。
 もちろん、初心者向けのソフトがもっと出てもいいかなと思います。今でもダウンロードできますが、昔は『サクラ』みたいな無料ソフトが流行っていましたよね。そういったソフトも入門には良いと思います。

楽器演奏についてはどう思われますか?

KOUICHI 私はバンドマンなので、もちろん楽器演奏はするべきです。
 ただ、楽器を演奏できなくても作曲できるというのがDTMの良いところです。今の時代であれば、演奏経験は有っても無くても、どちらでも良いと思います。
 私の場合、ループ素材を一切使用しないという主義なのですが、そのおかげもあって、音源を作っているうちに「ドラムってこうするんだ」「ベースの役割ってこうなんだ」という感じで勉強になっていたんです。だから、楽器は弾かなくても、楽器の特性を知る必要はあると思います。ちなみに、私はピアノが弾けないのですが、ピアノは弾くことができたら良かったなと後悔しています。
 今の若い方達は楽器を弾けなくても、ループ素材を貼ったり、コードを入れたら自動でアレンジがついたり、という機能によって、これまでより感覚的に曲を作れていますよね。そういう意味では、芸術性は幾分高まったのかなという気もします。

作曲方法についてはいかがですか?

KOUICHI コードがあって、リズムをつけて、メロディをつけてという具合に人それぞれだと思います。私はこれまで3,000曲くらい書いてきましたが。1,000曲を超えたあたりで“メロディが先”という結論にたどり着きました。最初に思いついたメロディを形にして、それに自然なコードをつける、という作曲法です。
 先ほどの話に戻ると、楽器が弾けないと、そういう部分で途中で成長が止まってしまうのかもしれませんね。あと、何より楽器は楽しいですよ!(笑)

それでは最後に、今後の展開をお聞かせください。

KOUICHI 魔王魂とは別に曲の品質を上げた有料音楽素材サイトを準備しています。有料音楽素材サイトとしては後発になりますが、まずは国内最大規模の物を作ろうと考えています。価格やユーザー層等、細かいことは決めていませんが、個人から法人の小規模な案件までを視野に入れています。
 魔王魂は引き続き無料でやっていくのですが「聞いたことがある曲ばかり」「他のゲームシーンが思い浮かぶ」といったご意見を頂いています。これは簡単に言うと曲数が足りていないということなんです。魔王魂は更新しているように見えて、あまり更新していないので(笑)、現在曲数を増やす方法を検討中です。

魔王魂
サウンド制作、作曲依頼/株式会社ジョーカーサウンズ
テキスト音楽「サクラ」

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