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個人開発者の生命線は工数のやりくり~いたのくまんぼう「限られたリソースでの戦い方」

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by [2014年8月29日]

 アプリの広告収益を最大化する弊社のSSP『アドフリくん』は、企業のみならず、多くの個人開発者にご利用頂いています。今回は、個人開発者がどのようにアドフリくんを使い、活かし、そしてカジュアルゲームなどを作っているのかについて、スマホ向けゲームアプリを開発している、いたのくまんぼう氏に、アプリの発想方法なども交えて語って頂きました。

いたのくまんぼう 人呼んで「和尚」。元々コンシューマーゲームを作っていたが、その後独立。現在はアプリの個人開発を行っている。代表作は、『江頭ジャマだカメラ』『MagicReader』『i列車の車窓から』で、最新作は『嫁放置』。『MagicReader』は、国連WSA2012を受賞した。

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個人アプリ開発者が複数の広告会社を使うワケ

 私たち個人開発者は、無料広告アプリをメインに作っているので、広告収入は命綱です。世の中にはアプリ向けの広告を扱う会社は数多あり、会社ごとに広告の単価や在庫など様々な違いがあるので、私たちが受け取る収益が変わってきます。そのため、なるべく工数をかけたくないからと言って、1つの広告会社だけを使っていると、例えば在庫切れや、思わしくない単価、サーバートラブルで広告が出なくなった時などに収益が減ったり、最悪の場合は無くなってしまいます。
 そうならないためのリスクヘッジとして、私たちは複数の広告会社を使っています。複数の広告会社を使うと、1つのアプリに複数の広告のSDK※を組み込むことになります。A社の広告が表示されなければB社の広告を表示し、そしてB社の広告の単価が低ければC社のものに切り替える、ということをやっています。これで、配信のトラブルやリカバリーをするようにしています。※Software Development Kit=ここでは広告配信に必要なプログラムをパッケージにしたものを指す。

“1SDK”の「アドフリくん」が広告の工数を圧縮

しかし一方で、問題点もあります。
各社のSDKを組み込むことになるので、例えばSDKのバージョンアップがある場合大量のコストがかかります。バージョンアップして差し替えなければならないということは、複数のSDKを使っていればその分頻度が上がってしまいます。また、広告の配信をチェックして、既存の広告から別会社の広告に切り替えようとすること自体も、自分でプログラムする必要があります。さらに広告効果を確認して、リアルタイムでA社は何割、B者は何割…というように配信の比率を割り振るために自分でサーバーを用意するなど、様々なことが必要になってきます。
さすがに個人でそこまでやっていると面倒ですし、広告のための工数が上がるということは、アプリの楽しさ・面白さとは全く関係ない部分の工数が上がるということなのです。

そこで「アドフリくん」です。
アドフリくんによって広告の工数が圧縮できるんです。アドフリくんは、1つのSDKで、各広告会社の広告配信を可能にし、管理画面で各広告会社の効果・比率を比較し、変えることができます。在庫切れや広告が表示されなかった際に、別のものを表示することもやってくれます。
1人でアプリを作っていると、工数やリソースに限界があります。しかしアドフリくんのおかげで、広告メンテナンス工数が大幅に圧縮できるので、そこで空いた工数を開発に回すことができます。

それでも個人開発者のリソースは限られている

個人開発者としては、企画・グラフィック・プログラム全てを自分でやる必要があるので、少ないリソースで戦う必要があります。最後にこの、少ないリソースでどう戦っていくかについてお話しようと思います。

CASE1:『i列車の車窓からーそうだ!京都行こう!ー』

事例の1つとして、『i列車の車窓から』を紹介します。

これは僕が作ったアプリなんですが、これを作った時京都で仕事の打ち合わせがあったんですね。当然、新幹線で行くだけでは出張費がかかってしまいます。ですが個人開発者なので、これがどうしても許せず何か節約できないかと考えまして、新幹線の車窓を録画にしてアプリに仕上げることを思いついたんです。このアプリを作るために、ちょっと本末転倒ではあるんですが(笑)わざわざ自分でビデオカメラを買いまして、京都までの2時間ちょっとの車窓を撮影しました。結果として、カメラ代とホテル代を含めた旅費全てをペイすることができるくらいの収益が出ました。

実はこのアプリ、400円で売っているんです。高い!と思われるかもしれないですが、今もそのままの価格でそれなりに売れています。これは後から気づいたんですが、ユーザー層は電車が好きな方なんですが、そういうアプリでもきちんと作っていればお金を払って頂けるんですね。収益がプラスになったこと、そして移動時間はカメラ枠を動かないようにセッティングしたり、と工夫していたので退屈することなく京都に着くことができました。結果として、1人ウィンウィンになりました(笑)。移動時間の窓からの風景に価値がある、ということを思いついたが故に、このアプリが作れたんだなと思います。

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CASE2:『嫁放置』

2つ目の事例は、最新作の『嫁放置』というアプリです。
これは、今流行の放置ゲーなんですが、僕の妻が描いてくれた絵を使って妻と2人で作ったアプリなんです。クレーンゲームで湧いてきたカプセルをクレーンで拾って、カプセルから出てくる絵を集めるというものです。妻自身はグラフィックの経験が全くない素人なんです。でも、なかなか味のある絵なんですよね。ある意味、妻の心の闇が現れた絵を集めるアプリになっています。

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きっかけとしてはある時、妻がドラえもんの絵を描いたことがありまして、それがめちゃ怖かったんです。(笑)子供が泣き出しそうな絵で、逆にもしかしたら使えるんじゃないかと思ったんです。妻の絵が下手すぎて、逆に下手というのを売りにできないかなと思ったんです。全くの素人が描いたドット絵というのを、セールス的に押し出して弱点を売りに変えようと。

そしてその時のストーリーとして、夫婦で頑張ってアプリを作った、というのも加えました。夫のアプリのために素人の妻が頑張って絵を描いたということが、話題になるんじゃないかなと思いまして(笑)こういったことも意識しました。おかげ様で多くのメディアに取り上げて頂きまして、最終的に週刊文春にも取り上げていただきました。また、カテゴリ1位、無料総合17位までいかせて頂きました。これも、絵が下手ということを逆に利用して価値に繋げた例なのかなと思います。

「色眼鏡を掛け替える」ことで、ピンチをチャンスに

見えている世界というのは、自分というフィルターを通して見えていると思うんです。よく偏った見方をすることを色眼鏡で見るとか言うじゃないですか。今普通に見ている世界も、自分という色眼鏡を通しているので、自分の心の中でそのメガネを変えることをイメージするんです。こうすると、別の角度から物事が見やすくなります。
例えば『i列車の車窓から』でいうと、移動するだけではもったいないなと思ったところですし。また、放置ゲームを作ると集めるもののリソースがかかって1人ではできないという問題を、妻に描いてもらうことで解決する。そして妻の絵がとんでもなく下手だったという問題点をどうしようか、と考えたところで新しいメガネを新調し、色々考えたことでできたことかな、と思います。

自分の考え方1つで周りにあるものの価値は変わるんだ、無いところからリソースを作っていかなければならない、とどうしても個人開発者はリソースの限界があります。ただ、企業の方もリソースが無限にあるというわけではないと思うので、こういった考え方が少しでもお役に立てればなと思います。

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