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ターゲットは地方の主婦!?元シナリオライターが語るケータイ乙女ゲーの利用実態

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by [2014年8月18日]


 パズドラやLINEゲームと違って、プレイヤーであることを公言する人が身近に居ないため、ユーザーのイメージがなかなか掴めなかった「ケータイ乙女ゲー」。今回はケータイ乙女ゲーの元シナリオライターである20代女性に、実態をインタビューしました。

ケータイ乙女ゲーは「早婚主婦の疑似不倫」

───初期のケータイ乙女ゲーといえば、女子高校生が主人公の学園物が多かった印象がありますが、今は違うようですね。
 学園物だとエロが無理ですし、学園物に共感できる年齢の子たちは課金をしません。今は20代後半~30代の主婦がターゲットです。旦那との関係は壊したくない主婦の、ちょっとした不倫願望を充たしているんじゃないでしょうか。相手がいると離婚の原因になってしまいますが、ゲームなら大丈夫ですよね。

───恋愛ゲームに対してオタクっぽいイメージを持っていましたが、違うんでしょうか。
 ケータイ乙女ゲーのユーザーについては、オタクとは程遠いです。問い合わせ窓口に送られてくるメールも、ギャル口調だったり。元々スクールカースト上位女子で、オタク的なものをキモイと思っている層・世代なので、シナリオにオタクっぽさが出ないよう気をつけていました。また、文章が長いと読んでくれないので、シナリオは短い文章でテンポ良く進めていく必要がありました。
 「薄桜鬼」「うたの☆プリンスさまっ♪」など、ゲーム専用機を必要とするパッケージの女性向け恋愛ゲームは、ケータイ乙女ゲーのファン層とは年齢も属性も違って、中学生~大学生の若いオタクが中心です。

オシャレなお金持ちであることが重要

───男性キャラクターはイケメンな上に、お金持ちであることが多いですね。
 お金持ちであることはかなり重要です。広告代理店やカフェのオーナー、IT企業など、オシャレなお金持ちが多いと思われている職業設定が人気です。東京への謎の憧れがあるのか、表参道など、オシャレで有名な場所が舞台に選ばれることが多いです。マンガよりも、トレンディドラマや、女性ファッション誌によくある「30日コーデ」コーナーの雰囲気に近いです。IT企業などは、自分が勤めているからこそ気になるのですが、実態と全く違う描写がされています…。

───確かにオタクが登場することはなく、女優やモデルと結婚しそうな派手目の経営者が「IT系」として紹介されています。
 そんな人が、普通の会社員とハッピーエンドになるんです(笑)。専業主婦にとって、貧乏な人と不倫しても何の得にもなりません。旦那じゃなくて、イケメン社長と結婚していたら…という「もし」を想像するのが楽しいんだと思います。

───ボイスについてはどうですか?
 オタク向けのタイトルでは有名声優が起用されているかどうかが重要ですが、ケータイ乙女ゲーでボイスは重視されません。オタクの女性には、男性声優が結婚して発狂するようなファンが居ますが、ケータイ乙女ゲーのファンはそれほど重くありません。声優の名前を一人も知らないような一般女性も多く、重要なのは絵がオタクっぽくない画風のイケメンであることです。

オタクから見ると「周回遅れ」

───「基本無料」をうたうケータイ乙女ゲーですが、課金のポイントは?
 ストーリーチケット制のものが多いです。1話500文字くらいのシナリオを、1日5話まで読める仕組みになっているところが多いんですが、5分くらいで読み終わってしまうんですね。早く先が読みたければ課金、という風になっています。また、ベストコーディネート賞を取りたいからとか、コンプリート欲でアバターに課金する場合もありますね。

───今、アバターですか…。
 周回遅れのように見えますが、そもそも求めているものが違うんです。シナリオも韓流ドラマのような似たような設定・展開が繰り返し求められるので、作り手がマンネリで病んできます。

───プロのシナリオライターに求められるものは何でしょうか。
 確実に納品できることじゃないでしょうか。シナリオライターは「多いのに少ない」という変な状況です。誰でもライターになれますが、毎日1万字なら1万字と、確実な納品が出来る『使える』ライターは少ないので。内勤ライターは外注ライターが納品できなかった(ありていに言うと逃げてしまった)場合、作業の遅れをカバーするために毎日深夜まで残業することが多々あります。

───ケータイ乙女ゲーの「男性版」みたいな作品ってありますか?
 無い……んじゃないですか? 恋愛要素が強いものはPCゲームをやるオタク男性になるでしょうし……。男性向けの場合、女性向けに多い微エロでは実用性が無く、実用性があるレベルだとAppStoreの審査を通らないので、市場が無いと思います。恋愛ゲームというくくりだとAndroidではPCゲームの移植作がリリースされていますが、元の作品が人気のものだったり、ダウンロードの際に一括課金だったりと、女性向けとは市場が完全に異なっているように感じます。

自己投影を邪魔しないのが利点

───人気のキャラをどうやって作っているんでしょうか。
 キャラは5人程度用意していることが多いです。大手開発会社では最初から5人分のシナリオを同時リリースできますが(するかしないかは別として)、中小の開発会社ではコスト削減のためにまず5人分の設定を作って、人気が出そうな2人のシナリオだけ用意してゲームをリリースしたりします。出したあとの人気の様子を見て、イベントシナリオなどで繋ぎながら、あとの3人のシナリオを用意するんですね。攻略可能なキャラクターが2人しか出てこないままのゲームがあったら、あまり人気が出なかったんだなと考えていいと思います。逆に初期5人以外に攻略対象キャラが追加されたら、かなり課金率のいいゲームと言えます。
 5人分を一気にリリースしてしまうと、プレイヤーが分散してしまうというデメリットもあります。初回リリース時に1キャラ、アップデート時にもう1キャラ遊んでもらう方が課金率も人気も持続しやすいと思います。誕生日もキャラごとにばらけるように設定し、毎月何かしらのイベントを継続して用意できるように気を使います。

───ユーザーにとって、ドラマ・マンガ・小説ではなく、ケータイ乙女ゲーでなくてはならない理由って何なのでしょうか?
 まず、選択肢を自分で選ぶので、参加している感覚が得られることじゃないでしょうか。
 あとはドラマだと、俳優の相手になるのは結局美人女優ですよね。それで興醒めしてしまう人が居ます。かといって、女芸人をキャスティングしても視聴率が取れないし。ケータイ乙女ゲーはプレイヤーの自己投影を邪魔しないのが良いんだと思います。

 (APPREVIEW読者にも多い)「ITリテラシーの高い男性」から非常に遠い層について、興味深い話を聞くことができました。占いや恋愛ゲームは固定ファンがついているため、事業者はIT業界の激しい流行り廃りに振り回されることなくノウハウを蓄積していくことができます。
 自分の知らないところでヒットしているコンテンツについて知ることは、産み出せるものの幅を広げることになります。興味がなかったという皆さんも一度この世界を覗いてみてはいかがでしょうか?

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