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プロモ動画とアイコンでアプリをヒットに導く達人が御殿場に居た!

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by [2014年8月20日]

 まるで都市伝説のように、アプリ開発者の間で囁かれているある噂をご存知でしょうか。

「アプリのデザインは+Beansに任せておけば間違いない。最近はいい感じのプロモーションビデオも作ってくれるらしいぞ」

 APPREVIEWでは、+Beansが静岡県御殿場市を拠点に、スマートフォンアプリのアイコンやUI(ユーザーインターフェース)のデザイン、プロモーションビデオの制作を行なっているとの情報をキャッチ! 編集部のある東京から富士山のふもと御殿場市まで、東名高速道路を車で飛ばして+Beansの勝間田氏(以下敬称略)にお話を伺ってきました。

勝間田雅裕 ロゴ、アイコン、モバイルアプリ関連のデザイン提案と設計のほか、最近は2D/3Dアニメーション、プロモーション動画制作を手がける。ちなみに+Beans(プラスビーンズ)というのは屋号。
+BEANS blog(お仕事の相談等もこちら)

 勝間田氏が、プロモーションムービー、アイコンデザイン、ロゴデザイン、アプリ内のインタラクションのデザイン/プログラムを担当した最新作『TapCal2』。

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iPhoneの発売を機に調理師からアプリデザインの道に

学生時代からすでにデザインを勉強されていたのですか?

勝間田 高校生の時からデザインに興味があったので卒業後に美術の専門学校に通ったり、当時は映画も好きだったので自分で撮影したりしていました。気にいった短編映画があれば、絵コンテに書き起こしたりして、どういうカットが入っているのか、といったことを分析してみたり、当時はただの趣味だったのですが、結果的に現在の仕事に繋がってますね。
 専門学校は、本当に芸術家になるための勉強で、仕事は自分で創れという感じでした。卒業しても特に仕事はなくて、1クラスに30~40人位いたのですが、その中で就職したのは1人だけでしたね。それ以外の人たちは、フリーターでのんびりやってくかみたいな。
 僕はそこから、たまたま始めた料理の仕事をずっとやっていました。下積みからというのが当たり前の業界ですが、その時のお店は、新人の頃から料理をきちんとやらせてくれる所だったこともあって興味を持って続けることができました。

デザインと料理に共通点はありますか? 料理から学んだ事は?

勝間田 無理やりこじ付けるなら盛り付けでしょうか。お刺身ひとつにしてもどう見せるか? とか、今ある素材でどう魅力的に見せるか? という感覚は同じですよね。
 料理の仕事をやっていて良かったのは“仕事の姿勢”を学べた事です。料理といってもずっと厨房に引きこもっているわけではありません。お客様と直接お会いすることもありますし、そうすると自分の作った料理がお客様に美味しく食べていただいているのか、を意識するようになります。ところが、職人の中には「デミグラスソースは一から作らなくちゃだめだ」みたいに、調理行程にこだわってしまう人もいます。重要なのはそこではなくて、結果としてお客さんが美味しいと思ってくれれば良いんです。
 極端な話ですが、市販ソースを使って、味にアレンジを加えて、一から作ったのと同じ味が出たら、お客さんとしてはそれで十分ですよね。
 デザインや映像も、見てくれる人や発注してくれる人がいて、相手がどう感じてくれるかが一番大事です。その感覚は、3Dモデルを使った動画を作るとして、自分で作ったものよりも、質の高い3Dモデルが購入できるなら、既製のモデルを使うのが普通ですよね。
 ただ、テンプレートなどはそのまま使うと見る人に伝わってしまうので、きちんとクオリティを上げて、最適化して、省いた分の手間と時間は質を上げるために使うようにしています。

料理からデザインの仕事に戻ったきっかけは?

勝間田 iPhoneの発売です。初めはアプリを作りたいと思い、プログラムの勉強を始めたりしていました。デザインは学生時代の経験で多少の自信はあったので、他の事を勉強したいと思って。
 でも、性格が完璧主義なので、何度もデザインを書き直したりしているうちに、これはキリが無いなと。でも、できる事をしてお金を稼がなければいけないという現実があるので、アイコンやUIなど、アプリデザインの受注からぼちぼち始めて、まだフリーランスの仕事を始める前の段階で、個人規模の仕事で声をかけて頂けるようになり、そのあとはトントン拍子でした。
 今でも自分のアプリは作らないわけではないんですが、少し興味が薄れてしまった感じです。今興味があるのは完全に動画とかアニメーションですね(笑)。アプリは「コレを作りたい」というのがあれば、また作りたいな。名刺代わりにもなりますしね。僕は自分から営業しないので、作ったものを営業材料にしているんです。
 ただ、今の仕事のスタンスですと、常に誰かの意見を反映したものを作っているので「あなたが作ったものは?」と聞かれた時に「コレです!」と言えるものが無いんです。今後は少しずつ「こういうのも作れます」「クオリティはこれくらい」というのを、みなさんに見せていけたらと思っています。
 アイコンデザインも同様で、やめたわけではありません。依頼があればやりますが、できればPV制作も一緒に発注してくれればありがたいですね。全体的な見積り金額も下げられますし。

御殿場在住の勝間田氏がおすすめしてくれた「とらや工房」。8月某日にも関わらず冷房無し! 自然の風が吹き抜ける店内では、とらや謹製のお菓子、喫茶を楽しめる。あんみつは、小倉餡と白玉はもちろん、寒天のおいしさに感動!

プログラムの知識が求められる現代のデザイナー

お仕事をする場所はご自宅ですか?

勝間田 はい。引きこもってやっていますが、けじめがつかなくて困っています(笑)。趣味が仕事になってしまったので、クオリティにこだわりますし、好きだからやっているということもあって、自分が納得出来ない状態では終わりたくないですね。もちろん、納期が許す限りにはなりますが。
 今までの自分の趣味や興味が仕事に繋がってきていることは確かです。アプリ制作やデザイン、動画の経験によって“このアプリの見せ場”が普通の人よりは分かるので、クライアントに言われなくてもこちらから提案することができます。
 そうした仕事をこなしていて感じることは、今どきのデザイナー、特にアプリ絡みの場合は、プログラムに明るくないと これから先もデザイナーとして仕事を続けていくのは難しいと思っています。例えばこちらから「UIにこんなアニメーションで入れて下さい」とお願いして、クライアントから「できないです」と言われた場合、プログラムの知識が無ければそこで終わりですが、知識があれば「ここをこう変えればできます」という提案ができたり、さらに「これが僕のイメージです」とコードを渡してしまうことも可能です。気まずい雰囲気になることもありますが(笑)。
 画家は絵を、イラストレーターはイラストを、料理人は料理を作れるんですけど、UIデザイナーはUIをユーザーに直接提供できないんですよね。実装されなければ意味が無いので。だからこそ、自分自身でクオリティを担保するためにも、プログラムの知識が無ければいけないと思います。

理想のUIはありますか?

勝間田 理想を突き詰めると“UIがなくても機能する”という点に辿り着くんじゃないかと思っています。現状のような見た目だけを作るようなUIデザインは最終的には無くなっていくのではないでしょうか。
 そう考えると、仕事でフォトショップだけをやっていてもダメで、やはりアニメーションやプログラムもできないと。アニメーションも結局は数学ですし、簡単なスクリプトでも理解できているのといないのとでは結果が違う。「デザイナーが動画も撮って、デザインもやって、プログラムも書いて」これらの事は全部一つに繋がってくると思っています。

勝間田氏が手がけたアプリのアイコンデザイン

箱庭RPG2(iOS 6当時)

iconsider for icon designer(iOS 6当時)

Dbox Mover(iOS 6当時)

HarrisCamera(iOS 6当時)

説明書 for iPhone(iOS 6当時)

日めくり2014年版

3Dとは違った2.5Dの魅力

動画制作を始めたきっかけは何ですか?

勝間田 仕事としての動画制作は自分発です。デザインの仕事をしているときに、これは動画にしたいなと思った事があって、自分から「できますよ」と。
 動画自体に興味を持ったのは、以前に見たAppleの「Designed By Apple Intention」の2D動画がきっかけです。正確には2.5Dというんですけど、基本は2Dで、途中でカメラが入って立体になったりするようなアニメです。僕はこの2.5Dが好きで得意なんですけど、日本人でやっている人はあまりいないんです。日本でアニメというと3Dが多くて、すでにそちらのレベルは高かったので、今から自分が勝負することはできないと考えました。学生の頃は「高いソフト買って自分で3D動かしたい」みたいな憧れがありましたけど、今は商品が引き立つのであれば、3Dにこだわる必要もないと思っています。2Dだと「実写」に合わせやすいっていうのもポイントです。

実写とはどのようなものですか?

勝間田 アプリの画面を実際に撮影した動画です。撮影したものの風景にタイトルロゴを入れたり、説明文を入れたり、あと海外だとよくあるのですがモーショントラッキングという、カメラの動きにあわせて説明やイラストが出てくるようなものです。3Dでやるとゴテゴテしてしまうのですが、2Dだとさりげないかっこよさが出ます。
 地方のCM等は、コストの安さからかアニメーションで済ませちゃう事があるんですよね。東京でも地方でもちゃんとした所に依頼すると結構な値段がするんですけど、僕のような個人であればもう少し安くできる。人手の代わりに自分ががんばれば良いだけなので。
 僕の場合、1分半の動画を制作すると25万円くらいからが目安になります。デザインに比べれば費用は高いんですが、フルCGでも制作に1ヶ月は掛かるので、それを考えると安いと思います。東京の広告代理店であれば倍以上するのではないでしょうか。企業同士であれば代理店を通すメリットがあるんですけど、制作費以外にかかるお金を考えると、個人開発者は僕みたいなところのほうが頼みやすいのではないでしょうか。
 当時は、iPhoneアプリ専門でデザインをやっている人がいなかったんですけど、実際始めてみると、Webデザイン、DTP、アプリデザインは“見た目を作る”という部分は一緒ですが、それぞれユーザーが必要とするものが全然違うんですよ。アプリデザインは、Webデザインをやっていた会社が、儲かりそうだからといってすぐにできるものではありません。そちらにしっかりとシフトしなくてはいけない。それをできる会社が出てきたのも、ここ最近ですよね。

どんな環境で作業していますか?

勝間田 アドビ三昧です。フォトショップ、イラストレーターは定番ですが、動画にはAfter Effects、BGM調整用にAuditionなどを使っています。
 パソコンはMac Book Proです。動画の処理がちょっと厳しいのですが、Mac Proを買うんだったら、Windowsの方が良いかなと。特に、3Dやっている人はほとんどがWindowsですよね。マシンを安価に自分で組み立てたりできるので。
 ストレージはSSDですが、やはり容量が足りなくなるので、外付けに逃がそうとしています。動画の転送速度はUSB3.0でも厳しいですね。
 最近は、Surface Proが気になっています。ペン入力ができるので、そのままコンテも書けるし、プロのアニメータや監督でも絵コンテなどにSurface Proを使っている方もいるようです。あれがすごく速くなってくれれば良いですね。

勝間田氏が手がけたアプリのプロモーション動画
新宿ダンジョンPV

Moca アイコンコンセプト

Staccal2 PV(オープニングロゴとエンディングのアイコンアニメーション、クレジットアニメーションを担当)

Staccal2 アイコンコンセプト

PVが必須になる今後のアプリ開発

デザインやPVで理想としているものは?

勝間田 いかにして作り手の意思が伝わるか、というところですね。
 人間は結局、感情なんだと思っています。デザインは理論だてて作られますが、伝えるには感情に翻訳しなければいけません。しかもその感情は作り手のものではなく、ユーザーに湧き起こさせるもの、つまり「こういう感情になってほしい」というデザインをする必要があるんです。誰でも使いやすいアプリを作りたいはずですし、作っている本人はそれが最高に使いやすいと思って作っているわけです。ところが、実際に使いやすいかは別。そこが難しいところで、思い入れが強すぎても無くてもダメ。「プロの手で作って素人の目で見る」ことが求められるのです。その事をひたすら繰り返しているのがデザイナーです。
 それでも、評価を下すのはあくまでユーザーのみなさんです。もしユーザーが1人でも「使いにくい」と言ったらがどこかに必ず失敗があるんです。
 理想は、そんなことを意識せずに使われるアプリです。「ここのデザインのディティールが素晴らしい」とかはどうでもよくて、ユーザーにそれを気付かせてはダメで、デサインの本質としてきちんと使いやすくしていかなければならないんです。

ユーザーのレビューは気になりますか?

勝間田 Twitterでエゴサーチしたりします。僕の場合は、辛辣なのはきついですが、悪い意見の方が参考になります。心が折れなければ客観的に読むことをオススメします。
 動画の評価に関しては、理論とかはどうでもよくて、ひたすら感情で良いと思っているんです。カッコイイとか、カワイイ、素敵…言葉にしてしまうと幼稚な感じですが、いかに惹きつけるか、という点でそこが一番重要ではないでしょうか。
 僕は、アプリのPVの長さは1分20秒がベストだと思っていますが、それも最後まで見てもらうことが大事です。最後まで見ると後々の印象が違うんです。おいしかったけど食べきれなかったラーメンと、綺麗にスープまで残さず飲み干したラーメンの違いのように、ひと口目がおいしかったとしても、食べきれなかった場合は良い印象が残らないものです。

PVに向いているアプリはありますか?

勝間田 というよりは、アプリを開発するときにPVを出すことを想定しておくと良いと思います。
 ゲームなんかは個人で作っていると単調になりがちですが、PVを作ることが分かっていれば「ここで派手なのが欲しいよね」「キャラクターがキックするときにもっと派手にしよう」「ちょっとカメラに寄せてみよう」というふうに見せ場のあるものになります。見せ場が無いアプリだとPVにしたところで魅力は伝わりません。
 最近、Google Playは動画やアイキャッチが目立つように仕様を変更しましたし、Appleもデベロッパー向けに、App Storeに動画を公開できるように発表しています。これからのアプリは、機能性が優れている事はもちろんですが、ユーザーが使い始める前に魅力が伝わるようにする必要があるでしょう。

今後の展望をお聞かせください。

勝間田 常に先があるかは分かりません。僕はフリーランスになりたくて、なったわけではなくて、会社組織に向いていなかったので仕方なく(笑)。ただし、自分で作るもののクオリティは、きちんと保ちたいというのはあるんです。そうなると(会社組織では)周りの人からすると迷惑ですよね(笑)。
 だから、気の合う仲間とチームを作って、切磋琢磨し合ってやっていきたいなっていうのはありますよ。動画であれば、サウンドを作る人、実写を撮る人、編集する人がいて、アニメーションは僕が作って、という感じでクオリティを上げていくことができます。そのうち大きな仕事もやりたいと思っています。

▼参考リンク
箱庭RPG2
iconsider アイコンデザイン実機シミュレーター
Dbox Mover (Cloud File Mover for Dropbox)
HarrisCamera
説明書 for iPhone
日めくり2014年版 – 暦、祝日、月齢など毎日の50種類以上の情報を表示するスケジュール機能付き日めくりカレンダーアプリ
とらや工房

御殿場から箱根方面を望む

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