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データを駆使する現代サッカー、足りない才能と努力はITリテラシーでカバーだ!

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by [2014年8月08日]

 1950年代、新橋のSL広場ではサラリーマンや学生たちが街灯テレビの、ボクシング、プロレス、相撲、野球などといったスポーツ中継に釘付けになっていたとき、画面には選手たちの動きだけがあり、それ以外の情報は一切なかった。当時、スポーツは身体的能力に依存するものだと思われていた。しかし、今では野球なら投手の投げたボールの位置を9分割で把握できたり、サッカーなら走行距離をトラッキングできるようになった。選手の動きをデータ化し、分析することで身体的能力以外でも勝敗を決定することができるようになるほど、ITが活用されるようになったスポーツ。そのIT活用事例を、サッカーを通じてみていきたい。

サッカー×IT

今年の六月頃に日本を熱狂させたブラジルW杯。多くの視聴者が朝早くからテレビに釘付けになっていた。ほとんどの人は試合中のボールの行方のみを追っていただけかもしれないが、サッカーファンはテレビ画面の下にも注目していたことだろう。「走行距離」「シュート決定率」「ボール支配率」などといったデータが表示されており、印象や雰囲気だけでなく数値として選手の動きを把握できるものとなっていた。また選手自身にとっても、試合後に自分の動きを数値としてクールに捉えることで思い込みによることがない弱点を知り、それを克服するために活用することも出来るということで、現代のサッカーにおいてデータ収集と分析は当たり前のものとして存在している。
 これらのデータは国際試合や欧州リーグにおいては複数台のカメラで選手の動きを撮影することで収集され、そしてそれら収集したデータを解析するという一貫したシステムが導入されている。ChyronHego社の「TRACAB」やProzone社の「amisco」などが代表例として挙げられ、アーセナル、チェルシー、バイエルン・ミュンヘンなど欧州のビッグクラブを顧客としている。これらのシステムにより、セットプレーにおいて各選手がどのように動くかということや、またボールから遠く離れた位置にいる選手の動きも追えるため、カウンターや速攻のような瞬発力が重要となるプレーを想定して、相手のディフェンダーの位置を把握することは有効であると考えられる。しかし、これらのデータ収集、解析は、カメラを十何台もスタジアムに設置する必要があり、ポジションを把握するのに軍事技術を援用しているということもあるなど、設備にしても技術にしてもかなり専門的なものとなっており、高額な商品にならざるを得ない。そのため欧州ビッグクラブのような資金力のある組織以外で使用することは現実的に難しく、一般の人々にとってはあまり縁のないものとなっている。
ところが、昨年、もっと手軽にデータ収集、解析ができるデバイス「micoach speed-cell」がアディダス社から発売された。この「micoach speed-cell」、サイズは約3.5×2.5×8cmで、対応しているシューズの中に埋め込むことで使用するもので、計測できるのは、「総走行距離」「高強度距離」「総パフォーマンス時間」「アクティブタイム」「最高スピード」「スプリント数」「時間別距離」「時間別スピード」の8種類となっている。これらのデータはワイヤレスで送信され、iPhoneやPC上でシンプルで見やすいグラフとして閲覧することができる。またシンプルな扱いやすさだけでなく、金額としても比較的、安価であるため、中学や高校の部活でも導入されるといった実績もある。



 ちなみにこの「micoach speed-cell」は「micoach」というシリーズのうちの一つの商品であり、ほかにも心拍数の計測やBluetooth通信で音楽も聞けるスマートウォッチ「micoach smart run」や、小型デバイスを内蔵したサッカーボール「micoach smart ball」(8月27日発売予定)というものがある。

サッカーのIT活用に追いつけ、追い越せ


 サッカーにおけるITの活用はクラブそれぞれの裁量によって定められているが、アメフトではNFL自体がITの積極的な利用に乗り出し、今シーズンからNFLは所属する全32チームの選手のショルダーパッドにRFIDチップを内蔵する。技術提供はZebra Technologies社が行っており、17のスタジアムにて受信装置の設置することを決めている。選手たちの動きをリアルタイムで把握し、ファンにそれらデータを集計した結果としての状況を目に見える形で届けることが目的だ。またNFLはこのシステムだけでなく、収集、解析されたデータをチームが閲覧し、利用するためのタブレット端末の導入も決めている。ただ、端末はスタジアム専用のものとなっており、スタジアム内のネットワークにしか接続できない上、試合中しか使用することができない。コーチが試合中にプレー画面を再生しながら、次の戦略を立てたり、メモを書きこむことでプレイに生かすために使われると思われる。

▼参考リンク:
ChyronHego社
Pronze社
アディダスオフィシャルブログ『パフォーマンスデータで、フットボールが進化する。データ活用により、効果的なフィジカル強化を実現する新Webサービス「フィジラボ powered by miCoach」がオープン。』
アディダス『micoach』
GIGAZINE『スポーツのデータ分析にウェアラブル端末・Surface・高精度カメラを導入、次世代データ分析がスポーツ界で主流に』
Zebra Technologies

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