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いつの間にか進んでいた、ITを駆使する今どきの神社仏閣

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by [2014年8月05日]

寺社においてもITが利用されているのはご存知だろうか。筆者は、

  • 寺社は伝統的、保守的なイメージがあるため、そうした威厳にITはそぐわない
  • 祈祷、供養などの宗教的行いにあたって、電波のような俗なものが周囲に飛んでいることは信条的に許されない
  • 霊的な結界のようなものが展開されているために、そもそも電子機器が作動しない
  • という先入観すら抱いていた。程度の違いこそあれ、この認識は筆者だけではないのではないだろうか。今回は寺社がどのようにITを活用しているのかを紹介する。

    現代日本人の神社仏閣に対する関わり方

     そもそも寺社について、世の人々はどれだけ知っているのだろうか? 冠婚葬祭を行うだけの場所? 神社、寺院内の建物や像の名称は? 神社、寺院の関係は? 宗派ごとの建築様式は? 季節ごとに開催される行事は? 
     おそらくほとんどの人が、結婚式、葬式、初詣、夏祭りの際に利用するだけだろう。中には毎日の散歩ついでに近所の神社で参拝される人もいるだろうが、それも少数に過ぎないし、そうした人であっても宗教心は特にないと自身を評している場合が多い。これは日本が無宗教であるという意見に、特に何の疑問もなく、頷く人が多いことからもわかるように、一般的に言って、私たちは寺社を自分たちとはあまり関係のないものとして認識している。しかし、その一方で、仏壇や神棚がある家も少なくはなく、寺社に関心を持つ機会も多少はある。つまり、寺社に触れる機会は多いけど、特に関心を持つまではいかないというのが、現代日本人の平均的な感想であると言えるのではないだろうか。そうした状況にあって、寺社のホームページ等の運営のようなIT活用は私たちの仏教や神道に対しての、理解を深めるきっかけとなるかもしれない。

    神道×IT

     今年の初めに話題になった、とある賽銭箱。東京港区にある愛宕神社は楽天の提案により、一日限定で電子マネーの楽天Edyを賽銭として神社に奉納できる独自の賽銭箱を設置した。奉納という儀式を文明機器によって簡略化するなど罰当たりと思われたのか、案の定、いくらかこの電子マネー賽銭に対しては批判もあったそうだが、好意的な意見も同時に寄せられたとのことである。

     この愛宕神社、ホームページを運営しており、神社らしからぬポップでキュートな画像やフォントが散りばめらている。技術的に手間がかかりそうなギミックもあり、ヴァーチャル参拝というページでは、遠方に住んでいる人でもお参り気分が味わえるように写真とともに解説が記されている。こうした先進的(?)な神社であるせいか、ご利益のひとつとして紹介されているのが、コンピュータ・印刷関係。参拝客は印刷会社が多いのかしら…。
     
     愛宕神社ほどではないが、ITを活用している組織として全国の神社をまとめている宗教法人、神社本庁のホームページでは、基礎的な用語の解説やコラムはもちろんのこと、全国47都道府県の神社庁にアクセスするためのリンク(一部、ホームページを持っていない神社庁もある)や、英語サイトやキッズサイトといった対象別のサイトもあり、全国の神社の総合的な窓口として機能している。
     また、これ以外にも、より積極的にインターネットを活用しようとしている組織として「神社オンラインネットワーク連盟」というものがある。これは神社本庁に所属する神主の有志によって設立された非営利組織で、ウェブサイト「神社と神道」の運営をしている。このサイトでは、質問掲示板でユーザー同士が意見交換が行われたり、全国の神主のブログのリンク集もあるということで、神主のプライベートな部分も知ることができ、自分とはまったく違う存在だと思っていた神主の方々を身近に感じることができるかもしれない。

    仏教×IT


    「仏教なう」「お坊さんLINEスタンプ」「京都の中心で、仏の名を称える!」「他力本願で行こう!」「仏教は失恋に効くのか!?」「お寺ごはん」…これらの言葉はとあるインターネットサイトに載っているものである。仏教のパロディサイトなのかと思いきや、れっきとした正規の僧侶たちが運営しているサイトだ。その名も「超宗派仏教徒によるインターネット寺院『彼岸寺』」で、運営は「こりかたまった仏教をときほぐし、今に生きる仏教へと再編集する、まったく新しい場」として位置づけている。連載コラムや、寺での実地イベントを含めて多彩な活動を行っており、フェイスブック、ツイッターとの連動はもちろんのこと、最近は更新されていないがUSTREAMでも講演の配信「ヒガンTV」を見ることができる。仏教という単語だけだと近寄りがたいが、この彼岸寺のようにアプローチの仕方を変えるだけで、途端に馴染み深く感じることもあるだろう。清濁併せ呑む、酸いも甘いも受け入れるといった仏教の構え方がよくわかるサイトとなっている。

     またこの彼岸寺と似たようなサイトとして「寺ネット・サンガ」というものがある。こちらも「お坊さんあるある」をテーマに「坊コン」という講演会兼ディスカッションのイベントも開催するなど、彼岸寺に負けず劣らずの魅力的な活動をしている。ただ、こちらの活動はどちらかというと情報発信というよりは、実際に参加すること(会員になること)を重視しているようなので、仏教や仏門についてしっかりと関わりたいと思う人向けのものとなっている。

    番外編

     台座から一回転できるようになっている。朝9時から夕方5時までは、本堂の方向を向いた南向きになっている。夕方5時から翌朝9時までは世田谷通りの方向を向いていて、交通安全や世界平和を祈念している。もし貴方が大佛さまをお参りされるとかならず、大佛さまは貴方のほうを向いて見守ってくださいます。

      東京都世田谷区の妙法寺、おおくら大佛。平成6年の秋ごろに完成したとのことなので、20年ほど回り続けていることになる。365日×20年のため、少なくとも7,000回以上は回っている。世界一回る大佛ということでギネス登録はされないのだろうか。

    これからの神社仏閣×IT

     従来の寺社は地理的側面、すなわち敷地や建物、地脈が云々というように空間的な制約があることが前提であり、実際に目に見える形で存在するということに効力を持っていた。寺社が司る冠婚葬祭を、一部の簡略化された儀式以外を除いて、誰も自宅や学校や職場といった日常的な場で行おうとはしないことからもわかるように、寺社は土地に縛られることで、神主、住職が遠方より来る参拝者を迎えるという構図ができ、そしてそれゆえに霊的な威厳などの性質を獲得していたからだ。しかし、最近では土地に縛られない場でも、寺社はサービス(と言っていいのかわからないが)を行うことができるようになり、寺社の活躍は冠婚葬祭に限らないものとなっている。いつかインターネット成人式、インターネット葬式のようなものも出てくるかもしない、いや、さすがに出ないか、と思っていたらインターネットで葬儀の中継を見ることのできるサービスがあるそうだ……。

    ▼参考リンク
    Nexal「お賽銭が楽天Edyで決済できる『愛宕神社』の新しい取り組み」
    神社本庁
    神社と神道
    超宗派仏教徒によるインターネット寺院『彼岸寺』
    寺ネット・サンガ
    妙法寺

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