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新興eコマース『Fril』『BASE』『RECLO』〜新たなトレンドを作り出せるか?

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by [2014年7月28日]

本記事では、福岡で開催された投資家・スタートアップ企業向けイベント「B Dash Camp 2014」内のセッション「新興eコマース〜新たなトレンドを作り出せるか?」 のダイジェストをお送りする。
eコマースといえば楽天やアマゾンが有名だが、昨年はリクルートがポンパレモールを始めたことや、Yahoo!ショッピングの出店料やロイヤリティなどを廃止して無料化したことがニュースを騒がせた。

株式会社モブキャスト 福元健之氏

今回のセッションでは、日本初のフリマアプリである『Fril(フリル)』、ネットショップを作るためのWEBサービス『BASE(ベイス)』、フリマとブランド買取りを行う委託販売サービス『RECLO(リクロ)』を運営する経営者が登壇した。
既に競合ひしめくeコマース業界の中で、比較的新しいサービスを運営する三社が今後どのように事業展開していくのかが語られた。

モデレータは株式会社モブキャスト 執行役員COO 福元健之氏だ。

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eコマースでも空中戦が重要になってきた

───最近eコマースの市場の動きが活発で、フリマアプリのメルカリが14.5億円を調達したりテレビCMを始めたりして物流総額が10億円を超えた、という話もありましたが、最近のeコマース業界についてどのようにお考えでしょうか?特にFril は、メルカリが競合相手ですよね。

株式会社Fablic 代表取締役社長 堀井翔太氏

堀井 そうですね。今まではプロダクトを磨いてユーザー数やリテンション(ユーザー継続率)を地道に伸ばしていくというのが主流でしたが、最近はプロダクトができて一年くらいで大きな資金調達をして、一気にブーストをかけながらプロダクトを磨いていく戦い方も出てくるようになってきました。
 実際にメルカリさんやグノシーさんはかなり大きな額を調達して勝負していますが、今はこうした空中戦も重要な時代だと思うので、Fril もテレビCMを検討しています。

───RECLOさんは、RealRealさんやZOZO USEDさんとか、競合も多い中古市場に踏み込んでいきましたが、eコマース市場についてどう考えますか?

株式会社アクティブソナー 代表取締役社長 青木康時氏

青木 フリマ市場は順調に成長し続けるだろう、と考えています。その中で、リアルの面倒くさい工程を全て代行するフリマプラットフォームがRECLOです。
 写真撮影から配送から何から何まで全て代行するためには、リアルの工数がかかる面倒くさい作業を効率化しなくてはならないのですが、それができるプレイヤーはeコマース業界にはなかなかいないと思っています。
 ウォーターサーバーメーカーでリアルビジネスに関わっていたことがあったので、自分こそがネットでの合理化とリアルの効率化の両方ができる数少ない人材だ、という勝手な勘違いがRECLOというサービスを始めたきっかけでした。

───BASEさんはeコマース業界についてどう捉えていますか?

BASE株式会社 代表取締役 鶴岡裕太氏

鶴岡 現在、BASEの売上はほぼありません。クレジットカード手数料などをいただいているので多少語弊はあるかもしれませんが、「手数料完全無料」で運営しています。
 それでも、BASEが大金を調達してどんどん攻めていくことができるというのは、eコマースという市場自体を評価していただけているということかな、と思っています。

BASEはプラットフォームではなくインフラとして決済を変える

───どのプラットフォームで買っても同じだという購入者も多いと思うのですが、ショップとしてどういった色を出して事業展開をしていきたいですか?

堀井 Fril を作ろうと思った元々のきっかけは、リアルやプロフ、ミクシィとかのアルバム機能などを使ってコミュニティ内で服を売ったり買ったりしているのを見たことでした。
 その頃から今まで見てきて、やはり「時間はあるけどお金はあまり無い」ユーザーがフリマ市場には多いと感じていて、今後は「時間は無いけど服は沢山持ってるしお金も沢山ある」ユーザーをいかに取り込んでいくかが重要だと思っています。
 最近はそういうユーザーの要望の声も多いので、それに対するソリューションも今後は用意していくつもりです。

───Fril にはフォロー機能もありますが、いわゆるカリスマ的存在にフォロワーが多くついたりすることはありますか?

堀井 似たようなブランドが好きな人やコーディネートが似ている人をフォローしてその人の出品をチェックして購入するということはありますが、どちらかと言えば欲しい商品を検索で探して購入するパターンの方が多いですね。

───一方で、RECLOではどのような色を出していくつもりでしょうか。

青木 結局のところ、ユーザーは欲しいものを探しにくるので、その欲しいものがちゃんとある・見つかる、という安心感が大事だと思っています。
 要するにセレクトショップと一緒で、「自分の好きなものがありそうなお店に見せる」ということが重要です。ただ、RECLOの色を出すために品揃えを偏らせることはしたくないです。
 品揃えを充実させて、「ここなら好きなものが見つかりそう」だと感じてもらった結果、自分にとってのセレクトショップとして活用してもらえるような方向にもっていきたいと思っています。
 また、RECLOでは5日おきに5%ずつ値段が下がっていくので、「先にライバルに買われてしまうんじゃないか?」という駆け引きもあったりするのですが、これが結構面白がられています。
 このような「ここで買ったら面白い、気持ちいい」というエンターテイメント的な要素も重要だと感じています。

───BASEは、上の2社さんとは少し違うプラットフォームですが、どのような色を出していきたいと思っていますか。

鶴岡 BASEの場合は、比較的ライトなユーザーが多いので、商品さえあればネットショップを作れますという概念を作ってあげたいとは思っていますが、BASEとしての色はほぼ0にしたいと考えています。現在も商品や店舗の色はつけないようになるべく意識しています。
 BASEはRECLOさんやFril さんと違ってマーケットプレイスを持っていないので、プラットフォームというよりもインフラとして決済を提供している認識が強いです。
 現状では大きいモールのような個別サービスにしていこうとは考えていません。もっと別の形で店舗さんの売上貢献を見つけてあげたいと考えています。今後のマネタイズもショッピングカートではなくて決済の部分で行うつもりです。

eコマースにはバイラル(口コミ)マーケティングが重要

───eコマースでは人を集めてくるのが非常に重要ですが、どのようなプロモーション戦略を今までとってきましたか?

堀井 やってないことはないのですが、Fril のメインユーザー層が女性だったからかバイラル(口コミ)の影響が非常に大きかったです。
 最初の頃は右肩上がりで徐々にDL(ダウンロード)数が増えていたのが、あるところで一気に増えた感じでした。

青木 DL数が一気に増えた要因は、やはりDL数が一定のラインに超えたことでしょうか?

堀井 爆発の要因は、DL数というよりは認知だと思います。当時はまだフリマアプリというものがそもそもなかったので、レビューサイトでたくさん取り上げていただけたり、使ってくれた人がブログで紹介していただけたりしたのが大きかったです。
 ただ、口コミやネット広告だけではリーチできない層もあると最近感じているので、今後は資金調達してテレビCMをやっていくことも考えています。

───RECLOさんはリリースしたばかりですが、どうやって2ヶ月で5万人を集めたんですか?

青木 広告は一通りやりましたが、Twitterなどソーシャルのバズが大きかったです。もともと先行していた競合が存在していたので、自分たちの良さをしっかり出すことを考えて、今は「RECLOなら最大90%OFFで買える」というのをアピールして広告しています。

───BASEは出店数が10万店舗を超えていますが、プロモーションはアフィリエイト広告ですか?

鶴岡 そうですね。今も一ヶ月で1万店舗くらい増えているのですが、その流入の多くは検索からなので、まだまだ自分の力でサービスに呼び込めるユーザー母数は少ないと思っています。
 自分でもなんでBASEが伸びているのかよく分からないので、プロモーションはテストとしてやっています。例えば、先月の店舗増加率は過去最高なんですが、特にたいしたプロモーションはしていません。市場がいいんですかね?(笑)

今後の事業展開について

───最後に、今後の事業展開について教えてください。

青木 普通のフリマの「CtoC」の間に委託販売として入りこむことで、「CtoBtoC」としたのがRECLOですが、ただ単に面倒くさいことも全て代行するだけではなくて、CtoCの間にBが入ることでブランド鑑定など安心できる点も大きな特徴だと思っています。
 今はアパレルのみですが、間に鑑定が入ることでより面白くて安心できるサービスを提供できるのであれば、中古家具や中古車も扱っていきたいと思っています。
 また、先ほどもお話ししました通り、RECLOでは5日ごとに5%ずつ値段が下がっていって「いつ買うか?」というユーザー間の駆け引きが存在するのですが、値段が下がる前にアラートを配信したりしてその駆け引きを煽ったりもしています。
 アメリカには常に値段が1セントずつ下がっていく”Drop ‘Til You Shop”などもありますが、エンターテイメントの要素を持ったeコマースはまだまだ少ないので、「楽しませながら売る」ということも追求していきたいと思っています。

瞬く間に値段が下がっていく”Drp ‘Til You Shop”

堀井 最近は、eコマースアプリでいかにユーザーを獲得していくか、ということを考えています。
 eコマースでは集客が全てだと言ってもいいくらい重要ですが、そのユーザーの多くは検索からの流入です。
 例えば、ZOZOを運営しているスタートトゥデイさんが公開しているIR資料を見ると、購入者の約3分の1が非会員のユーザーなんですね。非会員の方はおそらく、欲しい物を検索してみたらヒットした先がZOZOTOWNのHPだった、ということだと思います。ZOZOくらい大きなサービスでも検索からの流入が重要だということが分かります。
 最近ではAndroidのGoogle検索バーで検索するとアプリ内のコンテンツも結果に表示されるようになったので、アプリでも検索からのユーザー流入が見込めるようになりました。この層をいかにして獲得するかをすごく考えています。

鶴岡 現状のBASEの売上はほぼ無いのですが、今後は決済の部分でマネタイズ化を進めていきたいと思っています。
 やはり、リアルだと1,000円で売れるのにeコマースだと決済手数料などが引かれて950円になったりするのは良くないので、ネットの世界のやり取りでも価値が100%流れていく世界を作っていきたいです。例えばYahoo!ショッピングは無料化しましたが、今後はそういう流れが加速していくと思います。
 また、BASEという口座でお金をプールする場所を提供する、ということもやりたいと思っていて、似たようなサービスだと中国の”Alipay(支付宝)”というサービスに注目しています。
 BASEではそうした決済の部分でのマネタイズを考えているので、ショッピングカートの部分での収益は0でも良いと思っています。
 現在のように初心者向けでありつつ、上級者もケアできるようなサービス設計も進めていきたいです。

 日本初のフリーマーケットアプリとして、既に多くのユーザーとノウハウを蓄えており、アプリ内コンテンツも含めた横断検索からの流入を見越して更なる飛躍を目指す『Fril』。その一方で、今年4月にリリースしたばかりの『RECLO』はCtoCのフリマの間に、販売代行・鑑定団として入り込み「楽しませながら売る」エンターテイメント性も追求するようだ。更に、eコマースサイトを作るためのサービスである『BASE』は、ユーザーにとってより還元されるネット決済をeコマースインフラとして提供していきたいと語った。
 LINEやYahoo!などの動きも活発であり、非常に注目されているeコマース業界。競合となる大企業が沢山いる中で『Fril』も『BASE』も月間物流総額は数億円以上である。『RECLO』もリリースされてわずか2ヶ月で会員5万人、月間出品数1000億品を達成し、新興のeコマースの勢いはとまらない。今後もeコマース業界の動向に注目し続けたい。

▼参考リンク
フリマアプリ「Fril」
BASE(ベイス) | ネットショップを無料で簡単に作成
RECLO (リクロ) | クローゼットを、リフレッシュしよう
ポンパレモール
Yahoo!ショッピング

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